喘息の話(1)ぜんそく、とは?

 

気管支喘息は「気道の慢性炎症を本体とし、臨床症状として変動性を持った軌道狭窄や咳で特徴づけられる疾患」と定義されています。成人では6~10%と報告されていて頻度の高い疾患です。

 

診断は、臨床症状、アトピー素因、血液検査、肺機能検査、画像検査などを用いて総合的に行います。ただし、喘息と同様の症状を来しうる疾患には、喉頭炎、声帯機能不全、気管支結核、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、うっ血性心不全、気胸など多数の疾患があるため、他の疾患との鑑別は特に重要です。

 

喘息の発症と関連のある危険因子としては、個体因子としては遺伝子(ADAM33遺伝子:第20染色体上)、アトピー素因、気道過敏性、性別(成人では女性)、出生時低体重や肥満があります。また、環境因子としてはアレルゲン、呼吸器感染症(乳幼児期におけるRSウイルス、ライノウイルス、細菌感染など)、喫煙、食物、鼻炎(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など)などが知られています。

 

喘息発作の誘発因子としては、呼吸器感染症、気象、アルコール、ストレス、月経などがあります。

喘息の治療目標は、症状や増悪がなく、薬剤の副作用がなく、呼吸機能を正常に維持することで日常生活に支障をきたさない状態を継続することです。

そのために原因となるアレルゲンからの回避、吸入手技の指導、アドヒアランスの管理が重要です。

喘息による死亡者数は減少傾向が続き毎年2000人以下ですが、約90%が65歳以上の高齢者です。喘息死に至る発作の原因としては、感冒と下気道感染を合わせた気道感染が最も多く、過労やストレスがそれに続きます。死亡前1年間の喘息重症度は重症例が約40%を占めるが、近年では中等症の割合が高くなる傾向があります。また、喘息の病型では非アトピー型が多いことが知られています。

 

薬剤治療については、次回、解説する予定です。

独法国立相模原病院・アレルギー科VS杉並国際クリニック・アレルギー科(その5)

 

杉並国際クリニックのアレルギー科が行っているアレルギー専門外来診療の守備範囲を説明する目的で、我が国におけるアレルギー診療の最先端の医療センターである相模原病院との比較してみました。

情報源は、同病院のホームページです。

 


Q.化学物質過敏症やシックハウス症候群の検査はできますか?

 

A.環境医学センタ-およびシックハウス外来は閉鎖いたしました。新規の患者さまの診療は行っておりません。

 

シックハウス(化学物質過敏症)に関するよくある質問

10年以上にわたり環境医学センタ-およびシックハウス外来の利用をいただきました。

診療の特殊性もあり、平成28年3月末を持ちまして閉鎖させていただきました。
ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解とご了承の程よろしくお願いいたします。

 

 

<杉並国際クリニックからの視点>

Q.

化学物質過敏症やシックハウス症候群の検査は、杉並国際クリニックではできますか?

 

A.

詳細な問診や採血などでの総合的な身体評価にて診断をしています。化学物質過敏症やシックハウス症候群の診療には特殊性もあります。シックハウス症候群が疑われる場合には、事前に、ホルムアルデヒド・VOC(トルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物)など、室内空気環境測定をして、受診日に結果をお持ちいただくようご協力をお願いいたします。

室内空気環境の測定業者などの情報につきましては、お近くの保健所などにお問い合わせください。

 

 当外来では、以下の項目につきましては検査しておりませんのでご注意ください。

 

• 症状悪化の原因となる化学物質の特定や体内の残留化学物質の測定

 

• 種々の化学物質のアレルギー検査や薬剤のアレルギー検査

 

• 歯科治療における金属や麻酔薬、抗生剤などのアレルギー検査

 

また、近年問い合わせが多い電磁波に対する過敏症状については、電磁波負荷検査および確定診断をしておりませんのでご注意ください。

 

 

※来院皆様へのお願い

診察室には、空気清浄機など特別な装置は設置していません。

 

ただし、不快と感じるにおいには個人差がございますので、受診される方は診察室内の空気清浄度維持のために可能な限り、におい対策(化粧品、香水、整髪剤、喫煙などを控える)にご協力ください。

 

 

Q.

化学物質過敏症やシックハウス症候群に対して、杉並国際クリニックではどのような治療をしていますか?

 

A

治療はおもに生活環境改善や生活習慣改善のための指導や栄養指導、運動指導です。
   

なお、シックハウス症候群や化学物質過敏症では、衝動性眼球運動の成分である階段状波形が高頻度に検出されることがわかっています。

そこで、中枢神経機能評価方法のひとつで滑動性眼球追従運動検査(眼球電位図)が有用です。これは、測定専用のゴーグルをつけてパソコン画面上の動く目標物を追従する検査です。当クリニックでは実施していないため、一定期間内に治療効果が挙がらない場合には、専門施設をご紹介いたします。

独法国立相模原病院・アレルギー科

VS杉並国際クリニック・アレルギー科(その4)

 

杉並国際クリニックのアレルギー科が行っているアレルギー専門外来診療の守備範囲を説明する目的で、我が国におけるアレルギー診療の最先端の医療センターである相模原病院との比較してみました。

 

情報源は、同病院のホームページで

 

Q.

アレルギー性鼻炎はアレルギー科で受診できますか?

 

A.

アレルギー性鼻炎に関しては、副鼻腔や鼻ポリープなどでは手術が必要なことや鼻洗浄や鼻ネブライザーなどが有効なこともあることから、耳鼻いんこう科受診をお勧めしております。なお月曜日午前には、耳鼻いんこう科専門医が鼻アレルギー外来を行っております。

 

 

Q.

金属アレルギーの検査はできますか?

 

A.

当科では金属アレルギーの検査は行っておりません。皮膚科へご相談下さい。

 

 

Q.

じんま疹はアレルギー科で受診できますか?

 

A.

じんま疹のみ場合は皮膚アレルギーの診療を行っている皮膚科受診をお勧めいたします。他の皮膚疾患の可能性がないかの確認が必要となるからです。ただし皮膚症状だけでなく息苦しさ、腹痛、意識消失などが重なる場合、アナフィラキシーという全身アレルギーの症状である可能性がありますので、その場合はアレルギー科を受診して下さい。

 

 

<杉並国際クリニックからの視点>

Q.

アレルギー性鼻炎は杉並国際クリニックのアレルギー科で受診できますか?

 

A. 

アレルギー性鼻炎に関しては、副鼻腔や鼻ポリープなどでは手術が必要なケースを除いて、当クリニックで診療していますので、ご相談ください。一般的に、内科領域のアレルギー疾患の代表は気管支喘息ですが、杉並国際クリニックを受診される気管支喘息の患者さんの3分の2近くにアレルギー性鼻炎が合併しています。これを鼻炎合併喘息といいますが、アレルギー性鼻炎と気管支喘息を統合的にお治療することが患者さんの利益にかなうことは学会でも認められているので、アレルギー専門医としては気管支喘息のみならずアレルギー性鼻炎のチェックも必ず行うべきだと考えて毎日実践しております。

 

 

Q.

金属アレルギーの検査は杉並国際クリニックでできますか?

 

A.

当科では金属アレルギーの検査のみを希望される方の初診受付は行っておりません。お急ぎの方は皮膚科へご相談下さい。当クリニックでの金属アレルギーの検査は、アレルギー専門医の立場から必要であると判断した場合のみ実施しております。

 

 

Q.

じんま疹は杉並国際クリニックで受診できますか?

 

A.

じんま疹のみ場合であっても、ご受診ください。30年に及ぶ臨床経験を持っています。とりわけ、じんま疹は他のアレルギー疾患を背景とすることがあります。また皮膚症状だけでなく息苦しさ、腹痛、意識消失などが重なる場合があります。これはアナフィラキシーという全身アレルギーの症状を引き起こす可能性があり、さらにショック状態に至るものをアナフィラキシーショックといいます。生命にかかわることがありますので、放置しないで私共のようなアレルギー専門医に御相談ください。

 

独法国立相模原病院・アレルギー科

VS杉並国際クリニック・アレルギー科(その3)

 

杉並国際クリニックのアレルギー科が行っているアレルギー専門外来診療の守備範囲を説明する目的で、我が国におけるアレルギー診療の最先端の医療センターである相模原病院との比較してみました。

 

情報源は、同病院のホームページです。

 

よくある質問

Q.国立病院機構相模原病院でアレルギーに関して可能な検査はなんですか?

 

A.アレルギーのチェックのためには、アレルゲン(アレルギー原因物質)に対して体が反応するかどうか確認いたします。確認の方法は血液検査、皮膚テスト、負荷テスト、の3つです。どれも医師と相談の上行います。血液検査は当日中には結果は出ません。皮膚テスト(プリックテスト)は受診日に相談し、予約して後日行います。負荷テストを行う場合は原則入院して行います。

 

血液検査

血液中の特定の物質(アレルゲン)に対するIgE抗体を測定しております。

血液でわかるアレルギー原因(IgE-RAST)測定できるのは一度に13種までです。

 

 

<杉並国際クリニックからの視点>

Q.杉並国際クリニックでアレルギーに関して可能な検査はなんですか?

 

A.アレルギーのチェックのためには、アレルゲン(アレルギー原因物質)に対して体が反応するかどうか確認いたします。確認の方法は主として血液検査、例外的に皮膚テスト、行っていないのが負荷テストです。どれも医師と相談の上行います。血液検査は当日中には結果は出ません。皮膚テスト(プリックテスト)は受診日に相談し、予約して後日行います。負荷テストを行う場合は原則入院が必要なので、当院では行っていません。

 

血液検査

血液中の特定の物質(アレルゲン)に対するIgE抗体を測定しております。血液でわかるアレルギー原因(IgE-RAST)測定できるのは一度に13種までです。その他に、基本的な検査項目として血清中の総IgE抗体量や好酸球数の測定を行います。

独法国立相模原病院・アレルギー科  VS

杉並国際クリニック・アレルギー科(その2)

 

杉並国際クリニックのアレルギー科が行っているアレルギー専門外来診療の守備範囲を説明する目的で、我が国におけるアレルギー診療の最先端の医療センターである相模原病院との比較してみました。

 

情報源は、同病院のホームページです。

 

 

対象となる疾患

 

1.気管支喘息

原因がはっきりしない喘息の方

現在の治療法に疑問や不安をお持ちの喘息の方

難治性喘息(通常の治療でよくならない方も含めて)

ペットやカビなどによる喘息

解熱鎮痛薬喘息(いわゆるアスピリン喘息)

お仕事や環境が原因の喘息

典型的でない喘息症状(咳、息切れ、胸痛など)の方

鼻茸や副鼻腔炎のある喘息

特殊な原因の喘息の方

 

 

2.成人の各種アレルギー

その原因として

カビ動物ラテックス 、食物花粉食品添加物 、果実昆虫職業に関するものなど

 

 

3.薬剤アレルギー

 

 

4.ペットアレルギー

ハムスター、イヌ、ウサギ、ネコ

 

 

5.アレルギーによる肺炎

過敏性肺炎          

好酸球性肺炎      

アレルギー性気管支肺真菌症

 

 

6.好酸球増多症

 

 

7.原因不明のアレルギー症状

 

 

8.アナフィラキシー

 

 

9.好酸球性血管性浮腫

 

 

10.その他アレルギー疾患

 

 

 

<杉並国際クリニックからの視点>

要するに、相模原病院のアレルギー科は、アレルギー内科として気管支喘息を主たる対象疾患としていることが、ここからわかります。

 

ただし、一口に喘息とはいっても千差万別なのが現実です。原因があきらかでなくとも標準的な治療でコントロールできる喘息が多いですが、逆に、原因が明かにされても治療効果に結びつかないこともあります。相模原病院では、主に、以下のタイプの喘息を例示列挙しています。

 

難治性喘息、解熱鎮痛薬喘息、環境性喘息、耳鼻科領域関連喘息、ペットやカビなどによる喘息、特殊な喘息、など

 

ここで、気になるのは、喫煙関連の喘息に関しての対応です。

 

超高齢社会を背景として、高齢者を中心にCOPDを合併した気管支喘息の患者の外来受診が増加しています。

 

COPDは、タバコ煙を主とする有害物質への長期にわたる吸入暴露により生じる肺の炎症性疾患で、従来、慢性閉塞性肺疾患、と訳されることが多かったものです。臨床的には、徐々に生じる労作時の呼吸困難や慢性の咳、痰を特徴とします。そのため、心不全との鑑別が必要なこともあり、実際に右心不全という状態であったりもします。また気管支喘息とは異なり呼吸機能検査で完全には可逆的ではない気流閉塞を示します。

 

このようなCOPDを合併する気管支喘息をACOといいますが、相模原病院では、どのような扱いなのかが必ずしもあきらかでないので心配です。

 

杉並国際クリニックでは、受動喫煙を含めて、徹底した、根気強い禁煙サポートをしています。本人が喫煙者であるばかりでなく、家族や職場の喫煙者の副流煙にさらされるだけでACOは増悪しますが、禁煙により治療反応性が改善した症例を多数経験してきました。

独法国立相模原病院・アレルギー科 

VS 杉並国際クリニック・アレルギー科(その1)

 

杉並国際クリニックのアレルギー科が行っているアレルギー専門外来診療の守備範囲を説明する目的で、我が国におけるアレルギー診療の最先端の医療センターである相模原病院との比較してみました。

 

情報源は、同病院のホームページです。

 

 

アレルギー科

成人アレルギー全体の診療

 

受診される方

水曜日(検査日)を除く、月曜日から金曜日までの8時30分~11時00分が受付時間となっております。

 

できるだけ、現在おかかりの医療施設の紹介状をご持参下さい。

 

国立病院機構相模原病院では、アレルギー疾患に関して耳鼻いんこう科、皮膚科、眼科と協力して診断、治療を行っております。

 

症状が鼻症状のみ(鼻炎・副鼻腔炎など)・眼症状のみ(結膜炎など)・皮膚のみ(じんま疹など)でしたら、まず耳鼻いんこう科、眼科、皮膚科を相談されることをお勧めいたします。

 

どの診療科にかかればよいかわからない場合は、アレルギー科へご相談下さい。

 

慢性じんま疹、接触性皮膚炎、金属アレルギーに関しては、アレルギー科ではなく、まずは皮膚科での対応となります。

 

特別なアレルギー疾患や難治性の病気でご相談をご希望される場合は、前もってアレルギー外来に受診日時をご確認下さい。なお病気の経過が長い方は今までの経過を書いたメモをご持参いただくとより密度の濃い相談がしやすくなります。その際、紹介状をご持参いただくことをお勧めいたします。

 

また、「経過中に使用した」もしくは「現在使用中」の薬のリストや薬手帳もご持参下さい。

 

紹介状をお持ちでない方や医師の指定がない紹介状をお持ちの方は、当日担当医のうち対応可能な医師が診察いたします。

 

また、医師指定であっても診療状況によって他の担当医が診察させていただくことがあります。

 

休診情報も当院ホームページで公開されておりますので、必ずご参照のうえ受診して下さい。

 

食物アレルギー外来は完全予約制となります。(必ず紹介状を持参して下さい)

 

診察ご希望の方は、アレルギー科外来までお問合わせ下さい。

 

当院では、アレルギー・呼吸器センターとして呼吸器内科とアレルギー科が一体となって共通の医師が診察を行っており、すべての医師がアレルギー疾患および呼吸器疾患の両方の領域の診療を行っております。

 

化学物質や環境の影響で多彩な症状が出てしまう疾患であるシックハウス症候群や化学物質過敏症の患者さまの診療を行っていた環境医学センター・シックハウス外来は閉鎖いたしました。現在当院では診療を行っておりませんので他施設への受診をお願いいたします。

 

花粉やダニなどの吸入性アレルゲンによる症状がある場合には適応に応じて、アレルゲン免疫療法を行っておりますので希望される場合はご相談下さい。

 

 

 

 <杉並国際クリニックからの視点>

相模原病院では、成人アレルギー全体の診療ということで、アレルギー疾患に関して耳鼻いんこう科、皮膚科、眼科と協力して診断、治療を行っていることが紹介されています。

 

ただし、症状が鼻症状のみ眼症状のみ皮膚のみに限局したものでなく、複合的であってどの診療科にかかればよいかわからない場合は、アレルギー科へご相談下さい、とのことのようです。

 

杉並国際クリニックでは、患者さんにとって混乱しやすい、そうした制限は設けずに診療を受け付けております。

  

相模原病院の上記の説明は、一般の方には少しわかりにくいかもしれません。そして、アレルギー専門医の一人としての立場からしても若干の疑問が生じます。その理由は、自覚症状というのは診療においてもっとも重要な最初の情報ですが、たとえ病気が進んでいても関連する全身の症状に無自覚な場合が多いからです。

 

患者さんが訴えるアレルギ―の症状が鼻症状のみ、眼症状のみ、皮膚のみである場合で、一見軽症のように自己判断しているケースであっても、ほとんどの場合、複数の領域においてアレルギーの所見を見出されるからです。

また、相模原病院のアレルギー科の主たる対象疾患は「鼻、眼、皮膚以外」、すなわち、気管支喘息をはじめとする呼吸器症状や食物アレルギーなど消化器症状など、内科領域であることを示唆している可能性もあります。

 

「特別なアレルギー疾患や難治性の病気」というのも、具体的に例示していけばきりがないのでやむをえないところですが、主に、呼吸器や消化器などのアレルギーや全身性のアレルギー疾患や原因不明のアレルギー性疾患を指しているのではないかと思われます。

  

次に、注目していただきたいのは、『化学物質や環境の影響で多彩な症状が出てしまう疾患であるシックハウス症候群や化学物質過敏症の患者さまの診療を行っていた環境医学センター・シックハウス外来は閉鎖いたしました。現在当院では診療を行っておりませんので他施設への受診をお願いいたします。』という記述です。

 

そして、《よくある質問》のコーナーの末尾に以下のような記述がありました。

 

シックハウス(化学物質過敏症)に関するよくある質問

10年以上にわたり環境医学センタ-およびシックハウス外来の利用をいただきました。診療の特殊性もあり、平成28年3月末を持ちまして閉鎖させていただきました。ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解とご了承の程よろしくお願いいたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 いろいろな背景があろうかとは思われますが、シックハウス症候群や化学物質過敏症の診療を行っていた『環境医学センター・シックハウス外来は閉鎖』というアナウンスは注目すべき情報です。

 

すくなくとも、施設閉鎖前まで10年以上も診療を行っていたのであれば、『他施設をご紹介いたします。』という案内があってしかるべきかと思われます。ところが、『他施設への受診をお願いいたします。』とはどのようなことでしょうか。

 

国立病院としては非常に無責任であると思います。なぜ、閉鎖に至ったのかという背景を知りたいものですが、「診療の特殊性もあり」という表現が多くを物語っています。これはあくまでも推測にすぎませんが、「受診される患者様の人格傾向の特殊性もあり」ということの婉曲的な表現ではないかと考えます。

 

同様の事例が線維筋痛症でもあります。かつて、聖マリアンナ医科大学では、線維筋痛症の外来がありましたが、ほどなく閉鎖されました。

 

以下の聖マリアンナ医科大学のホームページを引用します。

 

メディカルサポートセンター難病相談

☎ 044-977-8111(代表)

E-mail:ims.soudan●marianna-u.ac.jp

スパムメール対策のため、お手数ですが●を@に変換の上でご利用下さい。

(メール対応受付は、土日祝日を除き常時行っております)

 

※線維筋痛症に関しては、神経精神科の受診のみの対応とさせていただいております。

(ご相談は専門医転出のため、お受けできなくなりました)

 

 

このように、聖マリアンナ医科大学での線維筋痛症外来閉鎖の理由としては専門医転出、対応先としては神経精神科の受診、と案内されているだけ親切ともいえるでしょう。

 

ただし、実際のところ、線維筋痛症は多くの場合、難病ではありません。なぜ、線維筋痛症の例を挙げたかというと、線維筋痛症だけではなく、シックハウス症候群や化学物質過敏症の患者さんにもメンタルケアが必要なケースが多いからです。

 

一時期、相模原方面や立川方面から、シックハウス症候群や化学物質過敏症の患者さんが多数来院されましたが、慢性疲労症候群や線維筋痛症との合併例のみならず、うつ病や双極性障害などを伴うケースが相当数に上りました。

 

しかし、残念ながら、彼らの多くは、メンタルケアを受けることに対して拒否的であり、頑なな姿勢を崩さない方が少なくありませんでした。ありとあらゆるアプローチを提案しても、ことごとく拒否するようなタイプの方、医療不信に陥っていたり、攻撃的な言動をとりがちだったり、など、診療継続困難な方も散見されました。

 

「身体過敏性は、すなわち精神過敏性、また逆も真なり」なのです。

しかし、根気強くお付き合いさせていただくことを通して、そうした気づきが自然に得られて、徐々に快方に向かった方も少なくありませんでした。

 

アレルギー専門医であり心身医学の専門医であることが、少なからず、こうした患者さんの診療に役立っていることは、紛れもない事実です。しかし、私のようなバックグランドをもつ医師の活躍を国立相模原病院や聖マリアンナ医科大学等のような大規模医療機関に期待することはとても難しいのが日本の先端医療の嘆かわしい現実なのだと思います。

アレルゲン

 

アレルギー反応を起こす原因となる物質をアレルゲンと呼んでいます。免疫学の言葉で抗原と呼ぶこともあります。

 

アレルゲンになり得る物は、その多くはタンパク質です。食物、ダニ、カビ、昆虫、ハチ毒、動物の皮屑、花粉、薬品、天然ゴムなどがあります。アレルゲンとなる物質は、はじめに私たちの体の中に入ってくると抗原提示細胞によりアミノ酸に配列によって形作られる立体構造が認識され、その形に合った特異IgE抗体が産生されるようになります。

 

多くのアレルゲンは、加熱処理や消化酵素によりその立体構造が変化してアレルゲンとしての活性が低下します。例えば卵白の多くのタンパク質は加熱処理で構造が変化して、卵白特異IgE抗体とは反応しにくくなります。しかし、ピーナツは、加熱ロースト処理でアレルゲンとしての活性が高まることがわかっています。

 

 

<補足説明>

一言でアレルギーといっても複数の型があります。もっとも代表的なのがⅠ型アレルギーです。そして、治療薬である抗アレルギー薬はⅠ型アレルギー反応に関与する化学伝達物質(ケミカルメディエーター)の遊離、作用を調節する薬剤、Th2サイトカイン阻害薬の総称です。

 

剤形としては、経口薬、吸入薬、点鼻薬、点眼薬など多様です。しかし、これらの抗アレルギー薬はすべて、症状をコントロールする治療薬であって、根治的治療法ではありません。

 

Ⅰ型アレルギーの根治療法には、アレルゲン免疫療法があります。これはIgE抗体が関与するI型アレルギー反応のアレルゲンを生体内に投与し、アレルゲンに対する過敏反応を軽減させようとする治療法です。

 

気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、蜂毒アレルギー(保険応なし)に行われます。

 

アレルゲン免疫療法の施行法には、注射による皮下免疫療法(SCIT)と舌下免疫療法(SLIT)があります。

 

両者の臨床効果は同等ですが、アナフィラキシーなど生命の危険にかかわる全身性副反応はSLITの方が遥かに少ないです。そのため杉並国際クリニックが実施するアレルゲン免疫療法はもっぱら舌下免疫療法(SLIT)です。

アレルギーの検査

 

アレルギー反応の概要をつかむための検査には、IgE抗体検査、皮膚テスト、血中好酸球数などがあります。

 

 

IgE抗体検査

IgE抗体は、即時型アレルギー反応を引き起こす抗体です。一般的な、血液検査でアレルゲンに特異的なIgE抗体を測定することができます。

 

血液中に存在するIgE抗体の総量を示すのが血清IgE抗体値、非特異的IgE抗体値とよばれるものです。そのIgE抗体がどのようなアレルゲンに対して反応するのかを測定するのが特異的IgE抗体測定です。

 

現在200種類以上のアレルゲンに対する特異IgE抗体を測定することができます。測定値は、クラスという段階的に量をわかりやすく示す方法でクラス0~6まで7段階で示す方法がとられています。値が高い方がその特異IgE抗体の量が多いことを示していますが、ここで気をつけなければいけないことは、この値が高いからと言って必ずしも臨床症状と相関しないということです。

特に、食物アレルゲンでは、特異IgE抗体がある程度高くてもそのアレルゲンを摂取しても症状がでないことがしばしば経験されます。

 

アレルゲンによる感作の状況を診ている検査で診断の参考にしていると考え頂くのがよいようです。

 

健康保険の範囲内で測定できるアレルゲン数は、測定方法によっても異なります。主治医とよく相談して相談するアレルゲンを選びましょう。

 

 

皮膚テスト

皮膚の直下にいるアレルギーに関連する細胞に皮膚表面から直接アレルゲンを接触させることで反応を見る検査です。

 

IgE抗体が結合しているマスト細胞に、皮膚表面からアレルゲンを接触させ局所での反応がプリックテスト、スクラッチテスト、皮内テストです。このテストは、即時型アレルギー反応によってマスト細胞から放出されたヒスタミンによって周囲の血管が拡張することで皮膚の赤み、血漿成分の漏出で皮膚の盛り上がり(膨疹)がおこります。

 

このテストは、間接的に特異的IgE抗体の存在を示しているものなので、血液の特異IgE抗体の検査と同様にアレルゲンによる感作の状況を見ている検査なのですぐには診断をしません。診断の参考にしていると思ってください。

 

具体的な方法は、アレルゲンのエキスを1滴前腕部などにたらして、専用のプリック針、スクラッチ針を使用して、皮膚の表面に傷をつけます。皮内テストの場合は、1mLのシリンジを用いて、皮膚のごく表面に水疱をつくるようにエキスを注射します。15分後に判定しますが、赤く腫れていれば陽性です。

 

遅発型アレルギー反応を見る検査がパッチテストです。皮膚表面に、アレルゲンエキスのついたシールを貼りつけて48時間まで観察します。48時間後に貼ったシール部分が腫れていれば陽性です。この反応は、Ⅳ型アレルギー反応を見る検査です。

 

 

<補足説明>

アレルギー専門医として毎日診療しているのですが、皮膚テストなどを実施しなければならない機会はほとんどありません。それどころか、大学病院の皮膚科で実施したパッチテストによる皮膚の湿疹がいつまでも治らず、痒みで眠れなくなったという方の相談にのったこともあります。

 

アレルギー専門医としては、確定診断をするために厳密な検査を実施しなければならないこともありますが、検査のために、患者さんを苦しめる結果を招かないよう、細心の注意を要することは言うまでもありません。

 

私自身、プリックテストを自分で実験したことがあります。アレルゲン試液でないコントロール用の塩酸ヒスタミン液によって膨疹が出現し、しばらくの間、痒みが持続した経験があります。それ以来、皮膚テストに対しては消極的になりました。

 

ましてやこうした検査はアナフィラキシー・ショックという致死的な副反応の可能性もあり、たった1件であってもこのような事故は起こしてはならないと考え、慎重な姿勢で臨んでいます。

IgE抗体

 

IgE抗体は、即時型アレルギー反応をおこす大切な役者です。アレルゲンによる感作がおこると、そのアレルゲンにだけ結合することができる特異IgE抗体が形質細胞で産生されます。

 

アレルゲンが卵白であれば卵白特異IgE抗体、ダニであればダニ特異IgE抗体が産生されます。産生されたIgE抗体は、血液中を流れて、私たちの皮膚や粘膜のすぐ下にいるマスト細胞や、血液中を流れる白血球の一種である好塩基球の表面にくっつき、アレルゲンと出会うのを待っています。

 

アレルギーの血液検査で測定しているのが、このIgE抗体の量であり、現在200種類以上のアレルゲンに対する特異IgE抗体を測定することができます。測定値は、クラスという段階的に量をわかりやすく示す方法でクラス0~6まで7段階で示す方法がとられています。

 

値が高い方がその特異IgEの量が多いことを示していますが、ここで気をつけなければいけないことは、この値が高いからと言って必ずしも臨床症状と相関しないということです。特に、食物アレルゲンでは、特異IgE抗体がある程度高くてもそのアレルゲンを摂取しても症状がでないことがしばしば経験されます。

 

診断の参考にしていると考え頂くのがよいようです。

 

マスト細胞や好塩基球の表面にくっついている二つのIgE抗体にアレルゲンが結合し、2つのIgE抗体につながりができるとそのシグナルが細胞内にはいりマスト細胞や好塩基球が活性化してヒスタミンやロイコトリエンを放出する仕組みがあります。この物質によって即時型アレルギー反応による症状がおこります。

 

 

<補足説明>

 この解説のポイントは、アレルギーの血液検査で測定することが多いIgE抗体についての扱い方です。

 

現在200種類以上のアレルゲンに対する特異IgE抗体を測定することができますが、当クリニックでは、代表的なアレルゲンの検索のみ検査して診断の参考にしています。

しかし、この値が高いからと言って必ずしも臨床症状と相関しないことは良く知られています。

 

ただし、特異IgE抗体ではなく、総IgE抗体(非特異的IgE抗体)量はしばしば検査しています。慢性のアレルギー疾患の患者さんは、複数のアレルギーを合併しているいことが多いため、個別的なアレルゲンに対する特異的IgE抗体量を測定するより、いろいろなアレルゲンに対する個体全体の反応の結果、すなわち、治療がうまくいっているかどうかの経過観察の血清免疫学的な目安として総IgE抗体量の測定はなお有用であると考えております。

<アレルギーを知ろう>

 

アレルギー反応

私たちの体には、自分の体の成分と違う物、例えば、細菌、ウイルス、食物、ダニ、花粉などが体の中に入ってくるとこれを異物として認識して攻撃し排除する仕組みがあります。これを「免疫」と呼んでいます。アレルギー反応も広くは免疫反応の一部ですが、異物に対して反応する際に自分の体を傷つけてしまう場合をアレルギー反応と呼んでいます。

 

アレルギー反応を演ずる役者は、たくさんいます。主な役者は、抗原提示細胞、リンパ球、好酸球、マスト細胞などの細胞と、IgE抗体、ヒスタミン、ロイコトリエン、インターロイキンなどのタンパク質や化学物質です。これらの役者たちが、連携してさまざまな種類のアレルギー反応を演じています。

 

 

アレルギー反応をもう少し詳しくみてみましょう。

 

私たちの皮膚や粘膜には、外からやたらに体の中に物質が入ってこないようにするバリア機能と呼んでいる仕組みがあります。

このバリア機能が何らかの原因で破綻するとそこから、体のなかにウイルス、細菌、アレルギーの原因となる、ダニ、ほこり、花粉、食物などが入り込みます。

侵入してきた物質は、抗原と呼ばれ、アレルギーの原因になるものは特にアレルゲンと呼んでいます。

抗原やアレルゲンが侵入すると、皮膚や粘膜の直下にいる抗原提示細胞がそれらを見つけて異物として認識します。

 

抗原提示細胞からの情報はリンパ球に伝えられます。

抗原の種類や状況、免疫のバランスによってこの後の反応が変わってきます。細菌やウイルスに対しては、形質細胞がIgG抗体やIgM抗体を産生し、侵入してきた細菌やウイルスを攻撃し排除します(免疫反応)。

アレルゲンに対しては、形質細胞がIgE抗体を産生したり、リンパ球が直接反応するようになります。

 

 

産生されたIgE抗体は、血液中を流れて皮膚や粘膜にいるマスト細胞の表面にくっついて待機しています。

この状態を「感作(かんさ)」と呼んでいます。

感作されただけではアレルギー反応はおこりません。感作された状態で、再びアレルゲンが侵入してマスト細胞上のIgE抗体と反応するとマスト細胞から、ヒスタミン、ロイコトリエンが放出され様々なアレルギー症状をおこします(即時型アレルギー反応)。

 

また、リンパ球が反応した場合は、再度のアレルゲンの侵入によって、様々な活性化物質や、細胞間伝達物質などが放出されます(遅発型アレルギー反応)。

 

 

この他にもいくつかのアレルギー反応の経路があることがわかっています。

 

即時型アレルギー反応の代表的な疾患が、花粉症、気管支喘息、食物やハチ毒でのアナフィラキシーです。遅発型アレルギー反応の代表的な疾患には、接触性皮膚炎があります。

 

 

<補足説明>

アレルギー反応は特殊な免疫反応です。免疫とは、私たちの体には、自分の体の成分と違う物、例えば、細菌、ウイルス、食物、ダニ、花粉などが体の中に入ってくるとこれを異物として認識して攻撃し排除する仕組みです。そして異物に対して反応する際に自分の体を傷つけてしまう場合を特にアレルギー反応と呼んでいます。

 

私たちの皮膚や粘膜には、外からやたらに体の中に物質が入ってこないようにするバリア機能と呼んでいる仕組みがあります。そのうえで、免疫という身体の働きがあり、それ自体は本来有益なものなのです。しかし、アレルギー反応は、アナフィラキシー反応のように、かえって生命を脅かしてしまうものまであるので問題となります。

 

私たちを取り巻く環境の中には、アレルギー反応を引き起こす異物がたくさんあり経年的に増加していることが推定されます。そのうえに、私たちの身体のバリア機能は、いろいろな原因によって弱まっている可能性があります。これらの問題点が解決されない限り、アレルギーを減らすことは難しくなりますが、実際に、アレルギーは国民病といわれるまでに増えてきています。

 

環境改善とバリア機能の強化という二つの側面を踏まえた養生法や鍛錬法を実践することは、実に理に適っているはずです。水氣道®は、アレルギー反応を引き起こす細菌、ウイルス、食物、ダニ、花粉などの異物の少ない水中での有酸素運動であり、温度や湿度も維持された環境にあり、水着着用により、皮膚や粘膜などのバリアに対する傷害も少ないためアレルギー体質の患者さんにとっては理想的な鍛錬法の一つであるということができるでしょう。

 

アトピー性皮膚炎の患者さんに対して、入浴やプールでの運動を制限する皮膚科の先生もいらっしゃいますが、短期的な見立てにすぎないと思われます。

長期的な展望に立てば、アトピー性皮膚炎の患者さんも気管支ぜんそくの患者さんと同様に、水氣道の鍛錬によって改善が得られています。また、花粉症に至っては、運動不足も好ましくない反面、花粉散布量の多い屋外の運動は続けにくいものがありますが、屋内の温水プールを活用すれば、安心して運動不足を解消できることでしょう。