ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。

 

しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。

 

そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

Q

超音波を利用した「美顔器具」を使うと骨粗鬆症になる?

 

超音波を利用した「美顔器具」を利用しています。超音波が骨粗鬆症の原因になるとききましたが本当でしょうか?

 

A

骨粗鬆症の検査に超音波を利用しますが、超音波が骨粗鬆症の原因になったという報告はありません。

 

超音波法はX線を利用した検査法と比較して精度は落ちますが、被爆の心配がなく簡便なためよく用いられています。

 

材木を切るのこぎりなどを長年使っていた人は“振動病”で皮膚が白く薄くなる(白蝋病)こともありますが、美顔器の超音波はそれほど激しく振動しないと思います。実際に超音波の程度や利用期間を確かめないと断定できませんが、骨粗鬆症を引き起こす可能性は少ないでしょう。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

超音波を利用した「美顔器具」を使うと骨粗鬆症になる?

 

日常の医療現場では、いろいろな質問がでてくるものです。このようなデマの発生源の多くは、美容業者から発せられることが多いことを経験しています。その理由は不明ですが、顧客に市販の「美顔器具」を購入されると、セルフトリートメントで済んでしまうため減収となってしまうので困る、という関係者の本音を聞いたことがあります。

 

超音波美顔器については、医療用の超音波との比較につい比較してみると解り易いかもしれません。

 

超音波も市販しているものと、医療で使用するものは周波数が違います。超音波治療器の出力は1.5W/cm2くらいですが、超音波美顔器の出力は100mW/cm2 (0.1W/cm) しかありません。

 

治療用の医療用の超音波は、画像診断、温熱療法、筋マッサージ、骨膜刺激など検査と治療の両方に使用されます。治療用だと捻挫や腰痛など骨までエネルギーが到達するので大きな出力が必要になります。

 

これに対して市販の機器は基本的に低周波~中周波です。この周波数は比較的安全に使用できるので、市販が許されています。美顔器では、肌の表面だけでよいので出力は限られていて作用の弱いです。

 

つまり、骨などへの影響は無視することができるということになります。

 

ましてや、骨粗鬆症を来す可能性はありません。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックする、が表示されます。

と書かれています。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

 

「質問18」 

私には日本で働いているいろいろな国の友人がいますが、そのうちの何人かは食欲がなくなって痩せたり、胃が痛んだり、よく眠れないなどと、元気がなく、心配です。

 

母国語で医師に話したいと希望する友人もいるのですが、外国語で受診できる先生は、どこで探したら良いでしょうか?

 

 

「答え」 

日本に滞在されている外国人の方が体調を崩された場合、慣れない環境や医療システムの中でどこに相談したらよいかわからない、自分の状態を十分に伝えたり相手の説明を十分に理解したりできるかわからないと心細い思いをされていることが多いものとお察しします。

 

外国語で直接診療を受けることができる医療機関を探すには、まずは外国語対応可能なことをウェブサイトで公開している医療機関もありますので、検索サイトなどを使って探したり、医療機関検索ポータルサイトを利用したりすることができると思います。

 

また自治体が案内・検索サービスを提供していることもありますので、お住いの自治体の医療もしくは外国人居住者担当の窓口に問い合わせるのもよいでしょう。

 

また、受診に当たっては外国語で診療してくれるかどうかだけでなく、どの診療科を受診すべきかについても判断が難しいことがしばしばあると思います。

 

その場合はまず勤務先の産業保健スタッフやかかりつけ医などに、日本語で(もしくは日本語と母国語のわかる方に同伴してもらって)相談し、病態に合わせて、一緒に医療機関を探してもらうとよいと思われます。

 

(菊地裕絵)

 

 

<高円寺南診療所の見解>

この質問が、どのような経緯で心療内科学会ホームページのQ&Aに採り上げられたか、詳細は示されていないので不明です。明らかに示されているのは、質問者自身の受診の相談ではなく、質問者の友人である複数の外国人に関する受診相談、しかも外国語対応可能な医師、医療機関についての問い合わせであるということです。

 

しかも、その主訴は、心療内科では典型的な、ごく普通の訴えです。つまり、この質問の本質は、心療内科領域での外国語診療が可能な医療機関へのアクセス方法について、ということになります。

 

回答者の菊地裕絵先生は、国立国際医療研究センターの心療内科科長(医長)です。国立国際医療研究センターのホームページには、中文、Englishのアイコンがあり、EnglishをクリックするとInternational Health Care Centerについて紹介されています。

 

菊地先生は<外国語で直接診療を受けることができる医療機関を探すには、まずは外国語対応可能なことをウェブサイトで公開している医療機関もありますので、検索サイトなどを使って探したり、医療機関検索ポータルサイトを利用したりすることができると思います。>と書かれていますが、国立国際医療研究センターもその一つであることがわかります。

 

前身は、厚生労働省所管の施設等機関であった『国立国際医療センター』(英語: International Medical Center of Japan, IMCJ)で厚生労働省所管の施設等機関でした。それが、2010年(平成22年)4月1日、「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律」に基づき国立研究開発法人国立国際医療研究センター(英語: National Center for Global Health and Medicine, NCGM)は、日本の厚生労働省所管の国立研究開発法人へと組織移行する形で発足した国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)です。

 

この医療機関は、日本内科学会をはじめ各種の医学会の認定施設であり、日本心身医学会研修診療施設でもあります。

 

しかし、この体制の確立は比較的最近のことではないかと推測されます。というのは、国立国際医療研究センターは、比較的最近のことではないかと思われます。それは、旧医療センター時代では、国際医療センターという名称にもかかわらず、英語での診療は必ずしもスムーズではなかったことを経験しているからです。

 

この質問者への、より望ましい回答は、心療内科関連領域で外国語対応が可能な医療機関のリストが作成されることだと思います。少なくとも英語での対応が可能な医療機関を明確に提示できていないということは、日本の医療機関の国際化が十分に進展していないことを如実に物語っています。

 

心療内科関連領域の診療で英語対応することは、必ずしも容易でないことは、高円寺南診療所30年の歴史をふり返るなかで実感してきたことです。しかし、継続は力なりです。多数の外国人診療を経験してくることができました。そこで、来年の改元を期に、高円寺南診療所は、杉並国際クリニックに改称する予定ですが、心療内科関連領域を含めて英語診療可能な医療機関の一翼を担いたいと思います。

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみました。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

今回からは、三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介いたします。

 

 

高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてきました。

 

 

Q

漢方薬でよく聞く「証」とは何ですか?

 

A

「証(しょう)」とは漢方独自の用語ですが、病人が示す様々な状態(=特徴)のことを言います。また、その人に備わっているもともとの体質や体力などを指す場合、あるいは抵抗力を指す場合もあります。

 

いずれにしても漢方では薬(処方)を選択する場合の重要な目標となるもので、4つの大きな診断法(望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せっしん))があり、更に「陰陽(いんよう)」「虚実(きょじつ)」「表裏(ひょうり)」「寒熱(かんねつ)」「気血水(きけつすい)」などの独特の概念で証(しょう)を決定するので、西洋医学のような病名がなくても処方が選べます。

 

また、同じ病名でも違う処方になることもあります。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ>

実は、30年間におよぶ診療でこのような質問を受けることはありませんでした。そのかわり、<この漢方薬は何の薬ですか>とか<この漢方薬はどんな病気に効くのですか>という質問はたくさん受けてきました。

 

そんな質問に対しての答えは、それはあなたの「証」に合っている漢方薬だと思われるからです、とこたえて納得していただけたらどんなに便利でしょうか。

 

西洋医学になれている多くの皆様にとって、薬は症状に対応するものであるとか、病名に対応するものである、という発想を持たれることは当然のことでしょう。しかし、漢方は別の発想をします。

 

解説では、「西洋医学のような病名がなくても処方が選べます。」とありますが、いきなりそのような発言をしても、多くの患者さんは当惑してしまうことでしょう。

 

そのために「証」を説明する必要があり、Q&A形式にまとめたのではないかと推測します。

 

 

患者さんの「証」に基づく治療方法を、<髄証療治(ずいしょうりょうち)>といいます。

 

「証」を別の言葉で言い換えると、その人の医学的特性です。治療反応性であるともいえます。

 

解説では、精神的側面について言及していないのが物足りなく思われます。実際には、「証」とはその人本来の体質ばかりではなく気質、さらには体調ばかりではなく気分にも関連しています。

 

ですから、その人の「証」に叶った処方薬の素晴らしさは、その人に備わっているもともとの体質を改善し、体力や抵抗力を高めるばかりでなく、人柄が良くなり、気分が安定してくることを経験できるからです。

 

「証」の見立てのための目安となる指標として、「陰陽」「虚実」「表裏」「寒熱」「気血水」が紹介されていますが、実はこれらは、漢方薬だけでなく鍼灸治療方針の決定にも用いられています。

 

なお水氣道の稽古プログラムにも積極的に取り入れています。たとえば、水氣道の動作は、膝関節や肘関節などの中間関節が伸展(実)させたり屈曲(虚)させたりを交互に行う動作があります。

 

冷えてきたら(寒)温まる(熱)動作に転換します。腹側(裏)の体操や運動と背側(表)の体操や運動も交互に行うことによって、全身のあるいは全心身の調整をはかることを目標としています。

 

また、「氣・血・水」の概念をもとに、理氣航法、調血航法、活水航法などの鍛錬技法を水氣道は生み出し、さらに発展を遂げていることは、水氣道の参加者の方は、すでに良くご存じのことでしょう。

回答に述べられているように、漢方は西洋医学とは異なる視点から処方されるため、西洋医学では異なる病名であっても、証が近ければ、同じ処方がなされることがあります。これを異病同治といいます。逆に、西洋医学では同じ病名であっても、異なる薬を処方されることがあります。これを同病異治といいます。

大切なことは、西洋医学の方法と漢方医学の方法とは異なる次元ではありますが、両方の医学の本質を弁えて、上手に併用することです。それによって、高齢社会でありストレス社会でもある現代の医療問題の大部分を効率的に解決する手立てとなり得るので、こうした統合医学の普及が急務だと思われます。

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会の

ホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。

 

 

花粉症

 

Q

どんな症状がみられますか。

 

A 

花粉症の患者さんが花粉の曝露を受けると、直ちに発作性にくしゃみ、鼻水、鼻づまりがみられます。

これを即時反応といいます。

 

眼のかゆみ、充血といった眼症状もほぼ必発です。さらに花粉に曝露されて7時間以降にその時点では花粉の曝露はないにも関わらず、鼻づまりが見られることがあります。

これを遅発反応といいます。

 

即時反応に続いていろいろな炎症が引き起こされその結果として引き起こされる反応と考えられています。

 

実際には花粉の侵入、即時反応、遅発反応が連続的に繰り返されていることになります。

 

花粉症では、鼻や眼症状以外にのどの症状(かゆみ、刺激感)、咳、胃腸症状(痛み、下痢)、顔などの露出部皮膚の発赤、かゆみ、さらに頭重感、頭痛などの全身症状を訴える患者さんも半数以上にみられ、軽いうつ症状も数%の患者さんでみられるといった報告もあります。

 

特に花粉飛散のピーク時には鼻や眼症状以外にもいろいろな合併症がみられています。

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

この質問の回答者は、花粉症で見逃されやすい、あるいは無視されやすい症状について言及しているところが素晴らしいので、再掲します。

 

花粉症では、鼻や眼症状以外にのどの症状(かゆみ、刺激感)、咳、胃腸症状(痛み、下痢)、顔などの露出部皮膚の発赤、かゆみ、さらに頭重感、頭痛などの全身症状を訴える患者さんも半数以上にみられ、軽いうつ症状も数%の患者さんでみられるといった報告もあります。

 

ただし、もっと詳しく説明して欲しかったのは、鼻づまり(鼻閉)に伴う睡眠障害や、口呼吸に伴う易感染性、気管支喘息の発症などです。

 

それから、うつ症状にも言及されていますが、そのメカニズムが重要だと思います。

 

たとえば、アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻汁、鼻閉を主訴とする疾患です。

 

その原因抗原は、ハウスダストやスギ、ブタクサなどの花粉です。最近、小児にも急激に増加しています。

 

その原因の一つは、ストレスによる交感神経系の刺激が粘膜の感受性を更新させているためです。つまり、自律神経を介して症状の発現が促進されることになります。

 

起床困難や不登校の原因にもなっていることも少なくありません。

 

とくに慢性的な鼻づまりによる口呼吸は、本人の自覚が乏しいため、適切な治療を始めることは容易でないことがあります。

 

鼻閉の弊害が軽視されがちなのはとても残念です。動脈血酸素分圧飽和度が低い状態になっているケースも散見されます。

 

口呼吸の患者さんに多い、鎖骨呼吸や胸式呼吸による浅くて、効率の悪い呼吸パターンが定着し、習慣化している例が少なくありません。

 

頭重感、頭痛、うつ状態などが、慢性的な鼻づまりによるものとの見立てに基づいた治療によって、症状から解放される症例が、高円寺南診療所では後を絶ちません。

 

 

 

Q

花粉症の治療にはどんなものがありますか。

 

A

花粉症は、原因となる花粉が鼻に侵入してこなければ症状は起きませんから、治療の第1歩は原因花粉と接触しないことです。

 

そのためには、花粉飛散情報を利用して外出や窓の開閉の工夫をして花粉曝露を避ける、マスクや眼鏡を利用して侵入する花粉の量を減少させる、職場、学校、自宅の中に花粉を持ち込まない、などの対策が重要です。

しかし、完全に花粉曝露をシャットアウトするのは困難です。たとえマスクをしても呼吸や会話に伴ってマスクの隅から花粉は侵入してきます。

 

その他、もっとも広く行なわれているのは薬物療法です。いろいろな特徴をもった薬剤がありますので症状に合わせて使うことで高い効果がみられますが、ただあくまで症状を抑えるもので、根本治療にはなりません。

 

現在唯一根本治療の可能性を持つのは特異的免疫治療(減感作療法)と呼ばれるものです。

 

さらに、薬物などの治療に改善がみられない方には手術治療も検討されます。

 

治療に当たっては当然ですが、ご自分の症状や困っていることを正確に伝え的確な治療、アドバイスを受けるためにも医師とのコミュニケーションを十分に取ることが大切です。

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。

 

多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。

 

しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。

 

骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。

 

そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。

 

それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

 

それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 Q

骨粗鬆症患者は転倒時に骨が折れやすいのでしょうか

 

先日、70歳の母が転倒して大腿骨(足の付け根)を骨折しました。

 

「骨粗しょう症だから骨折した」と担当医に言われたそうですが、骨折の原因は転倒で骨粗鬆症とは関係ない気がします。骨粗鬆症の患者は、転倒の際に骨折する確率が高いのでしょうか

 

A

大腿骨頚部骨折の最大の危険因子は骨粗鬆症です。骨粗鬆症になると、骨の強度を保つための骨梁(こつりょう)が減ってしまうため、ちょっとした衝撃で骨が折れやすくなってしまいます。

 

骨粗鬆症でない方でも、ひどい転び方をすれば骨折することもありますが、骨粗鬆症の患者さんの方が大腿骨頚部骨折の危険性が高いのは確かです。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

まず、この質問者は、患者本人ではなく息子か娘ということになります。相談対象である70歳の女性の子供であることから、質問者はおそらく50歳以下、40歳代かもしれません。このような素朴な疑問を抱いたまま、あいまいなままにしないでおくことは二重の意味で大切です。

 

というのは、まず質問者の母親である70歳の女性の健康管理のため、もう一つは質問者自身の身にも将来振りかかってくる可能性の高い問題だからです。

 

このケースの場合、問題となっている医学情報は伝聞に過ぎません。ですから母親の報告を鵜呑みにせず、専門医に質問することは、高齢者をサポートすべき立場にある家族にとっては賢明な行為だと思います。

 

このケースは、骨折を問題にしており、部位は「大腿骨(足の付け根)」とのことです。

 

この骨折部位は、とても重要な情報です。この質問の回答者は、ただちに<大腿骨頚部骨折>という医学用語に置き換えて説明をはじめています。

 

この大腿部近位部骨折は、骨粗鬆症が原因で発生する脆弱性(ぜいじゃくせい)骨折のなかでも患者数が最も多く、わが国では2012年に19万例発生したと推計されています。

 

脆弱性骨折とは、軽微な外力によって発生した骨折です。軽微な外力とは、立った姿勢からの転倒か、それ以下の程度の力です。

 

そして、骨粗鬆症のおもな臨床症状は脆弱性骨折とそれに続発する機能障害や慢性疼痛です。大多数は骨折を起こすまで無症状で経過します。

 

ですから、たいていの骨粗鬆症の患者さんは病識が無いため、骨折してはじめて病気を知ることになります。

 

まさに、晴天の霹靂ということになり、医師の見立てをにわかに信じることができないのもやむをえないことです。

 

 

しかし、その後の患者さん自身の人生や、サポートをするご家族の将来のためにも病気に対する正しい認識が必要になってくるのです。

 

なぜなら、大腿骨近位部骨折の場合は、より直接的に日常生活動作(ADL)の低下や寝たきりに結び付きやすく、長期的には生命予後を悪化させる(寿命を縮める)からなのです。

 

そして、骨粗鬆症の治療の目的は骨折予防です。ですから、治療目的は、まず骨折リスクを低下させることにあります。

 

 

予防は早いに越したことはありません。この質問をきっかけとして、母親の継続的なケアの必要性を改めて認識するとともに、質問者自身の骨粗鬆予防対策をはじめることも大いに意味のあることだと思います。

 

特に、この質問者が女性である場合、更年期(およそ45~55歳)に差し掛かっている可能性があり、自分自身の骨量をチェックしておくなどの備えを始めることも大切なのではないでしょうか。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

それは日本心療内科学会のHPです

 

心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、

 

<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

Q

消化器心身症ということばを聞いたのですが、どのような病気でどのような治療をしたらよいでしょうか?

 

A

消化器心身症には、二つの考え方があります。第一は心理社会的ストレスで発症あるいは増悪する消化器疾患です。

 

もう一つは、消化器症状がありながら、その原因となりそうな病気が一般的な内視鏡検査や超音波検査、あるいは一般的な血液検査で見つからないものです。

 

後者は、機能性消化管疾患と呼ばれますが、消化器不定愁訴とも呼ばれます。

 

ストレスによる増悪あるいは症状によるストレスのために心理的な問題と言われたりすることがありますが、その違いは後述のように明らかになってきました。

 

消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)は、ストレスによって発症あるいは増悪が顕著で、以前は消化器心身症の代表のように言われていました。

 

しかし、1980年代のピロリ菌研究によって消化性潰瘍におけるストレスの果たす意義の解釈が変わってきました。

 

阪神淡路大震災でも、そして東日本大震災でも、ピロリ菌感染者では消化性潰瘍が悪くなり、潰瘍から出血を起こす患者さんも少なくありませんでした。

 

一方、同じ被災地にいてもピロリ菌非感染者あるいは除菌者では消化性潰瘍を発症する人は極めて少数でした。

 

すなわち、ピロリ菌感染(必ず炎症を伴います)とストレスの両方が揃った時に消化性潰瘍が発症することが判りました。

 

潰瘍性大腸炎やクローン病のような炎症性腸疾患もストレスによって炎症が増悪することが確認されています。

 

治療として、ピロリ菌陽性のストレス誘発潰瘍では除菌、炎症性腸疾患は原疾患の治療を優先し、あわせてストレス軽減の対策を考えます。

 

機能性消化管疾患の代表には、胃もたれや胃の痛みが慢性的に続く機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)と、便秘や下痢のような便通異常があって、腹痛や腹部不快症状を起こす過敏性腸症候群とがあります。

 

いずれもストレスによる症状増悪が特徴的です。いずれの病気でも内視鏡検査では異常がないのに、粘膜組織を採取して顕微鏡で調べると、極めて軽度の炎症があることが判ってきました。

 

治療に際して、これらの病態にみられる炎症への対応策はまだ判らず、ストレスを軽減する治療、そして前者では消化管運動賦活薬、後者では便通異常の調整、過敏性腸症候群の治療薬を用います。

 

軽度であっても胃や腸に炎症があるところにストレスがかかることで症状が出現したり増悪するものが消化器心身症です。うつ病などの精神神経疾患と大きく異なるのはこの点にあると言ってもいいでしょう。

 

(本郷道夫)

 

 

<高円寺南診療所の見解>

本郷道夫先生は、世界的に独創的な絶食療法で有名な東北大学医学部心療内科1996年(平成8年)から2011年(平成23年)まで教授を勤めていらした方です。

 

本郷先生は、消化管機能の専門の立場から、消化管機能障害を中心に科を大いに発展させました。

 

現在、公立黒川病院(宮城県黒川郡)に所属されているようです。

 

以下、黒川病院のHPから引用します。

平成24年4月より病院管理者として着任しました。地域の皆さまの病院を創っていきたいと思います。

・これまで大学病院で、消化器内科、心療内科、総合診療部を担当してきました。

・むねやけ、胃もたれ、胃痛、腹痛、便秘、下痢、食欲不振、こころの悩み、自律神経障害、など、何でもご相談ください

 

 

さて、この問いは、心身症の専門領域についての質問です。心身症には消化器心身症の他に、呼吸器心身症、循環器心身症などが大きな三本柱になっていますが、その他の身体系統にもそれぞれの心身症があります。

 

ここでは消化器心身症について説明されています。

 

本郷先生は「軽度であっても胃や腸に炎症があるところにストレスがかかることで症状が出現したり増悪するものが消化器心身症」であるとの回答を与えています。そして具体的には、機能性消化器疾患(消化器不定愁訴、機能性胃腸症、過敏性腸症候群)、消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)などを例示しておられます。

 

いずれにしても、本郷先生は、<ストレスによって炎症が増悪する>という消化器心身症の病態を説明しておられます。

 

この御指摘はとても大切です。なぜなら、<ストレスによって炎症が増悪する>のは消化器心身症に限らず、炎症を伴う心身症についてもあてはまる病態だからです。

 

高円寺南診療所では、「炎症」をたくさん見ています。感染症のみならず、リウマチのような自己免疫疾患も炎症がベースですし、アレルギーも特殊な炎症として理解されているからです。

 

つまり、リウマチもアレルギーも「炎症」性疾患であり、心理社会的ストレスにより悪化する病気だということです。

 

本郷先生が説明されているように、こうした疾患は心身症として理解することで、より効果的な治療が可能となります。身体的・心理的・社会的ストレスを軽減すること、克服することが、これらの病気の治療に極めて有効になります。

 

高円寺南診療所では鍼灸療法、心理療法の他にユニークなオリジナルな心身医学療法として水氣道®、聖楽院の聖楽療法は、いずれもこうした身体的・心理的・社会的ストレスを軽減すること、克服することを実践して、顕著な治療効果を発揮していることは、皆様が経験していらっしゃる通りです。

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみました。

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてきました。

 

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

 

 

今回からは、さらに一歩進めてオリジナルの「漢方よくあるQ&A」をご紹介いたします。

 

 Q 1

漢方薬の服用は食前とされていることが多いですが、つい飲み忘れてしまします。食後服用しても良いでしょうか?

 

 

 A 

はい。食後の服用でも結構です。服用のタイミングにこだわるあまり薬を飲み残してしまうことは賢明ではありません。

 

高円寺南診療所で処方する漢方薬の多くは食前服用を指示しています。しかし、従来から食間服用が一般的とされてきました。

 

「食間」というと、<食事中に、食物と一緒に>という意味に受け取られがちなので、食前としています。

 

「食間」というのは、食事と食事の間の空腹な時間>を意味します。ただし、文字通りの「食間」に服用していただくことも、実際にはなかなか難しいのが現実です。

 

 

それでは、なぜ、わざわざ空腹時に内服するように指示されているのかについてですが、これは伝統的な教えであって、はっきりとした科学的根拠は示されていません。

 

食事との関係で、内服のタイミングは治療上問題になるほどではないという意見すらありますが、胃酸のpHは、空腹時か食後かで違いがありますし、服用時間の差で吸収される薬剤の血中濃度が変わる可能性はあります。

 

食前と食後では、食後の方が吸収がより早いので、速効性を優先する場合には食後の内服に利がありますが、逆に安全性を考慮すれば食前の服用が理に適っています。

 

 

食間服用の指示が文献上頻繁になされているようになったのは宋代(960~1279年)以降だとされます。

 

高円寺南診療所の見解は、たとえ科学的な検証が十分なされていなくとも、永年にわたる人体実験の末に生き残っている先人医師たちの経験の集積は、それなりに尊重すべき未知の真理が含まれている可能性が高いと考えて尊重すべきではないか、ということです。

 

そして、その上で新たな工夫を凝らすことによって、より効果を挙げる方法を考案すべきだと考えます。

 

しかし、だからといって食前の内服を忘れたために、次の食事時間まで内服せずに先延ばしにしてしまう必要はまったくありません。そのような場合であっても、安心して食後内服をしてください。

 

 

どうしても食前服用が望ましいのは、薬理作用が強く副作用が出易い麻黄を含む漢方薬(附子剤)を処方する場合です。

 

これに対して胃がデリケートな人の場合や胃に負担が掛かる生薬を含む漢方薬を処方するべきにも食後投与です。

 

たとえば、地黄剤や麻黄剤などは、胃の具合を悪くする場合があるため、処方を避けるか、あるいは食後に服用することを指示します。

 

 

高円寺南診療所で処方する漢方薬は、伝統的な煎じ薬ではなく、他のほとんどの医療機関と同様に近代的なエキス製剤です。

 

煎じ薬の場合は原則的には伝統を踏襲して食前服用とし、「分2、分3」で処方することが一般的です。

 

たとえば分2の場合は朝夕とし、分3の場合は朝昼夜もしくは朝夕および就寝前服用を指示することでしょう。

 

つまり、同じ内容の漢方薬を一日に複数回服用していただくことになります。

 

これに対して、エキス製剤は、必ずしもこの原則にとらわれる必要はないと考えています。

 

そこで、高円寺南診療所ならではの処方方略としては、朝用、昼用、夜用あるいは就寝前用など、一日1回から3回までの漢方処方において、それぞれ異なる漢方製剤の処方をすることがむしろほとんどです。

 

その理由は、東洋医学は理論的に時間医学的な発想を持っているということと、近年、その時間医学の科学的

 

解明がすすみ、時間栄養学あるいは時間薬理学として発展してきていることを踏まえた処方を心掛けることのメリットがあるからです。

 

漢方処方は、診察時の見立てにより「証」を決定して、処方薬を処方します。

 

しかし、ヒトはどのような体質・気質であるにせよ、多かれ少なかれ時間帯によって体調や気分が周期的に変化します。

 

診察時に見立てた「証」の本質は持続的な性質を持つと考えているようですが、実際には時間的に大きく変化しています。このことは、それぞれの時間帯ごとに効果的な処方が異なっても良いことの根拠となります。

 

そこで、その時間帯ごとに、最も必要とされる漢方薬を処方することは理にかなった処方方略であると考えて実践して有効性を確かめつつ、さらに発展させているところです。

 

 

こうした処方方略を心掛けることによって、少しずつ経験的にわかってきたことがあります。

 

まず、内服忘れが減っていきます。次いで、時間帯ごとに異なる漢方処方をすることによって、患者さんの一日の周期が明確になり、生活リズムが是正され、昼と夜のメリハリが出てくることです。それに加えて、時間帯ごとの自分自身の体調・気分の変化を認識し易くなるようです。

 

そうなってくると、目的とする心身の不調が改善あるいは解消されていくばかりではなく、日中はより活動的・生産的に、夜間はリラックスして熟眠が可能となっていく様子が観察されます。

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会の

ホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。

 

 

アレルギーの病気についてQ&A 

 

 

花粉症①

 

Q

どんな花粉によって花粉症は引き起こされますか。

 

A 

花粉症を引き起こす花粉は数十種類以上知られています。大別すると樹木花粉、草本花粉、ブタクサなどです。

 

図2は代表的な花粉とその飛散地域、飛散時期を地域ごとに示したものです。地域により大きく異なりますが日本での花粉症の特徴はなんといってもスギ花粉症です。

 

ただ、スギ花粉飛散は沖縄には見られず、北海道も南部の函館などに限られています。

 

北海道では樹木花粉症としてシラカバ花粉による花粉症がみられることが特徴です。

 

ヒノキは関東以西に広く分布していますが、特に西日本ではヒノキ花粉飛散数はスギ花粉飛散数を上回っているところが少なくありません。

 

これらの花粉の飛散時期は地域により違いがあります。また、花粉がどのくらいの距離まで飛散するかは花粉の種類によって大きく異なり、スギでは数十キロメートル以上の飛散があるとされていますが、カモガヤ、ヨモギなどの草本花粉は数十メートル、せいぜい飛んでも数百メートルといわれています。

 

ご自分の住んでいらっしゃるところでどんな花粉がいつごろ飛んでいるのかを知っておくと役に立ちます。

 

<図2>

kafun1

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

この質問は、特定の患者さんからのものではないことは、回答の内容から察することができます。ここでは、まず東京もしくは近郊に在住していて高円寺南診療所に通院可能な圏内の方を対象として、内容をしぼりこんでみます。

 

花粉症を引き起こす花粉は、たしかに数十種類以上で、大別すると樹木花粉(木本植物)と草本花粉です。

 

花粉症の原因となる代表的な植物を分類してみます。

 

木本植物は、

マツ目 ヒノキ科(スギ、ヒノキ)

ブナ目(カバノキ科:シラカンバ、ハンノキ / ブナ科:コナラ、ブナ)

 

草木植物は、

イネ科(ホソムギ、カモガヤ、チモシー)

キク科(ブタクサ、ヨモギ)

 

以上、ヒノキ科、カバノキ科、ブナ科、イネ科、キク科の5科の花粉が、わが国の花粉症の90%以上を占めます。

 

 

図2は、関東圏では1月からスギ、ヒノキ、ハンノキなどが示しています。

 

例年、年明け早々に対応し始めなければならないのが、スギ花粉症です。もっとも、スギ花粉単独の花粉症は少なく、通年性アレルギー性鼻炎、スギ・ヒノキ花粉症、多重感作花粉症、薬剤性鼻炎などに遭遇することが多いです。

 

また、かぜなどに起因する急性鼻炎、急性・慢性副鼻腔炎、好酸球増多性鼻炎、血管運動性鼻炎なども鑑別すべき疾患です。

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。

 

最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。

 

しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。

 

骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

 

それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

Q

母乳で子育てをすると骨粗鬆症になりやすいのですか?

 

先日、骨粗鬆症と診断されました。

 

出産後に母乳を長く与えていたのが原因でしょうか

 

A

出産後に母乳を長期間与えていても、骨粗鬆症にはなりません。母乳をよく与えた方が、むしろ骨粗鬆症になりにくいとの考えが一般的です。

 

最近の研究では、妊娠期にはカルシウムの吸収・利用が良くなることや、授乳期にカルシウムを多く摂取してもいったん骨量は減少しますが、授乳終了後約6ヵ月で元に戻ることが分かりました。

 

そのため、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では妊婦・授乳婦のカルシウム付加量がなくなり、「目安量(700mg/日)を目指して摂取することが勧められる」「妊娠中毒症等の胎盤機能低下がある場合は積極的なカルシウム摂取が必要である」としています。

 

平成18年の「国民健康・栄養調査」によると20-39歳の女性のカルシウム摂取量は476mg/日しかありません。18-49歳女性のカルシウム摂取目標量は600mg/日ですので、明らかに摂取量が不足しています。

 

妊娠・授乳中には700mg/日のカルシウム摂取が勧められていますので、妊娠・授乳を機会に十分なカルシウムをとるよう心がけましょう。ちなみにカルシウムの上限量は2300mg/日ですので、通常の食事で上回ることはありません。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

 この質問者には、感謝です。全くの盲点でした。乳児にとって母乳栄養のメリットが大きいことは理解していましたが、母体の側の健康については十分に理解していなかったからです。

 

このような質問に対して、

「母乳育児が終ったら急激に骨が強くなることがわかっており、さらに母乳育児は骨粗鬆症を防ぐという報告もあります。(順天堂大学医学部付属静岡病院2011年夏号より)」という回答があります。

 

ああ、そうなんですか。というくらいあっさりしていて結論は解り易いのですが、今一つメカニズムがわかりにくいです。

 

そこで、新潟市民病院患者総合支援センター(スワンプラザ)長/産科部長 倉林工 先生の以下のレポートを引用して妊娠後骨粗鬆症(post-pregnancy osteoporosis)について触れておきたいと思います。

 

 

特集 女性のライフサイクルと骨・カルシウム代謝 Seminar

 

妊娠後骨粗鬆症の病態・診断・治療

ただ妊娠後骨粗鬆症は,原因が不明で稀な病態です。逆の見方をするならば、ほとんどの女性は妊娠に直接的に起因する骨粗鬆症は起こらないことを意味します。授乳開始前にすでに骨粗鬆症になっているケースはまれなので、授乳のみが原因で骨粗鬆症になることがあるのか、ということが課題になります。

 

妊娠後骨粗鬆症は初産婦に多く,妊娠後期や産褥の授乳中に発症します。脊椎骨折による持続する激しい痛みと行動制限を伴うことが多いようです。その診断には,骨折がなければdual energy X-ray absorptiometry(DXA)による腰椎や大腿骨頸部の骨密度(BMD)測定が最も有用な方法です。骨折の診断には、古典的な椎体X線像が多くの場合使用されるが,magnetic resonance(MR)は妊娠中も安全に使用可能で,椎体骨折や骨髄浮腫の診断にも有用です。

 

骨吸収は妊娠後期と授乳期に亢進するが,産褥期の授乳中止後に骨形成が亢進し,骨構造もほとんど回復します。

 

薬物療法の有用性が確立せず,また妊娠や断乳後に骨量や骨強度が回復するため,現時点では妊娠後骨粗鬆症に対して薬物療法が必要かどうか不明です。

 

いずれにせよ、産褥期の授乳中止後に骨形成が亢進し,骨構造もほとんど回復するということが質問に対する回答のポイントだと思います。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです。

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

と書かれています。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、

<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

「質問16」

胃・十二指腸潰瘍にストレスが関係していると言われたのですが、心療内科で受診をした方がいいでしょうか?

 

「答え」

むずかしい質問です。

胃・十二指腸潰瘍がストレスで発症するとはいえません。

 

ヘリコバクターピロリ菌の感染がある場合、危険因子となります。

 

ですから、まずは通常の消化性潰瘍の治療をうけるべきです。

 

プロトンポンプ阻害剤といった制酸剤を中心とした薬物療法と背景に胃粘膜のピロリ菌感染があれば、除菌をすることが重要です。

 

これらは一般内科、消化器内科で受けられるのがよいでしょう。

 

ですが、もしあなたがそうした治療を受けたうえで、主治医からあなたの胃・十二指腸潰瘍にはストレスが関係していると言われたとしたら、おそらくそれは、形態的に見た胃・十二指腸潰瘍の状態とあなたが訴える胃や十二指腸からの痛み症状が釣り合わない(潰瘍がほとんど治っているのに、強い痛みを訴える)のだと思います。

 

これには、上部消化管の機能異常と刺激への感受性の亢進が関係し、この両者には心身のストレスが関与することも多いからです。

 

心療内科はこのような病態の治療を専門的に行います。

 

まずは、内科的な薬物治療に加え、食事、睡眠のとりかたなどの生活指導を行います。ここまでは一般内科と大きな違いはありませんが、加えて緊張や疲労の蓄積を自覚する方法や緊張や疲労の緩和法(リラクセーション法)を指導します。

 

さらに必要があれば心理面からの治療を併用しますが、こうしたケースはそう多くはありません。

 

ですので、あなたが一般内科や消化器内科で胃・十二指腸潰瘍の治療を受けられたうえでも、胃痛などの症状が続いて困られた場合は、心療内科を受診されるのがよいでしょう。

 

(福永幹彦)

 

 

<高円寺南診療所の見解>

回答者の福永幹彦先生は、関西医科大学心療内科教授です。ご専門は、心療内科全般、消化器心身症(過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア)、慢性疼痛とのことです。

 

質問は、要するに、胃・十二指腸潰瘍で心療内科を受診して良いのかのお尋ねです。

 

そこで<「答え」難しい質問です。>というのでは、質問者は困ってしまうことでしょう。患者さんの質問は至って平明であり、何ら難しいことはありません。答えるのが難しい質問、あるいは答えにくい質問だということでしょう。

 

ここで「胃・十二指腸潰瘍」というのは、胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍ということであって、一般に消化性潰瘍と呼ばれるものと考えます。心療内科専門医としては、まず、胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍という診断が確定しているのかどうかを確認することからはじめるべきでしょう。

 

消化性潰瘍が確定診断であって、患者さんが、何らかのストレス(正確には、ストレッサー)を自覚しているのであれば、心療内科を受診していただくことは、その患者さんにとって、とても望ましいことだからです。

 

もし、「胃・十二指腸潰瘍」というのが患者さん自身の自己診断であって、ストレス性潰瘍を疑っているケースであったとしても、心療内科専門医であれば相談にのることは可能だと思います。なぜならば心療内科専門医は、消化器内科専門医ではなくとも、少なくと一般内科医だからです。しかし、世の中には、精神科医など内科医でない心療内科標榜医がほとんどなので、福永教授は明確に回答しにくかったのかもしれません。