糖尿病の治療は、血糖値を下げるだけでは不十分!

 

-2型糖尿病では患者さんの病態を見極め、それに見合った薬剤を選択する必要ありー

 

一口に糖尿病といっても様々なタイプがります。多くは生活習慣病として認識されている2型糖尿病ですが、現在までに多くの種類の糖尿病治療薬が開発され、実際に処方されています。単に血糖値を下げることだけが目的であれば、どの薬剤を使用しても良いことになります。実際に、日本糖尿病学会は、糖尿病の第一選択薬は特定せずに主治医の判断に任せる立場をとっています。

 

ところで、日本人の膵臓のβ細胞(インスリン分泌細胞)は欧米人に比べて脆弱であることがずいぶん以前から指摘されています。そのため、日本人では糖尿病の初期から機能低下がはじまり、やがてインスリンを分泌できなくなりがちです。

 

つまり、糖尿病の患者さんの膵β細胞機能をいかに温存させるかを考えた処方が必要です。この膵β細胞の保護のためには、この細胞を疲弊させない薬剤を選択することが必要となります。

 

そこで2型糖尿病を診る際には、病態を見極めることが大切になってきます。残念ながら、他院から病態にそぐわない薬を長期間処方されてきた皆様に別の病気の初診で遭遇することが少なくありません。

 

処方するのは医師ですから、決して患者さんの落ち度ではありません。そして、現在の日本糖尿病学会の指針によれば、必ずしもそうした処方医を責めるべきではないでしょう。

 

 

そこで、糖尿病の皆様に、お勧めしたいのは、処方してくださる先生に、以下のように率直に尋ねてみることです。

 

「私の糖尿病はインスリン分泌が不十分なタイプなのですか、それともインスリンが働きにくいタイプなのですか?」

 

あなたのこの問いかけに対して、診療データとともに笑顔ではっきりと答えてくれるようなドクターの処方薬であれば、まず安心してよいといえるでしょう。

 

 

このように、2型糖尿病の場合の薬の使い分けの基本は、病態を把握しておくことが前提となります。インスリン分泌促進薬か、インスリン抵抗性改善薬か、その選択が糖尿病の薬物療法を開始するにあたっての鍵になるからです。

 

杉並国際クリニックでは、以上のことを踏まえて、糖尿病の薬物療法開始の際には、これまで以上に丁寧な病態評価方法を開始して行く予定です。

 

インスリン抵抗性の指標としてHOMA-R([空腹時血糖値×空腹時インスリン値]/405

が用いられています。

この値が2.0以上であればインスリン抵抗性があると解釈し、薬物療法が必要であれば、インスリン抵抗性改善薬を処法します。

 

ただし、この方法には限界があります。空腹時血糖が140㎎/dLを超えるとデータの信頼性が確保できないからです。その場合は、体型やそのほかの検査所見(たとえば中性脂肪高値、あるいは高インスリン血症であれば、インスリン抵抗性が疑われます)から病態の鑑別を試みなくてはならないからです。つまり、初診時において軽度の糖尿病であれば有用な指標となりえるのですが、中等度以上の糖尿病の病態鑑別は、より複雑で難しくなるといえるでしょう。インスリン分泌低下が併存してくれば、スルフォニル尿素(SU)薬を併用したり、さらにインスリン注射を必要としたりする段階に至ることも少なくありません。

 

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。

薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、生活習慣指導、食事療法、運動療法、認知行動療法など集学的な診療体制を構築して、口頭のみではなく実際に体験していただく経験を積み重ねてきました。

薬の処方ばかりに終始しているタイプの糖尿病専門医よりは、糖尿病の外来診療について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

日本糖尿病学会ホームページから

 

「糖尿病診療ガイドライン2016 糖尿病診断の指針 4 運動療法」では、運動療法について、とても有益な5つのQ&Aが掲載されています。

 

これを抜粋して紹介したあとに【杉並国際クリニックの実地臨床からの視点】でコメントを加えてみました。

 

 

Q4-4 

有酸素運動、レジスタンス運動とは何か?

 

 

【要点】

有酸素運動とは、十分に供給された酸素と、基質である糖質や脂質を反応させて再合成されたアデノシン3リン酸(ATP)をエネルギー源として用い、持続的、律動的かつ反復的に主要な骨格筋を10分間以上動かす運動をいいます。

 

有酸素運動は、心肺機能を高める効果があります。

 

レジスタンス運動は、骨格筋に負荷を与える運動であり、筋機能(筋力と筋持久力)を高める目的で行います。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

 

2型糖尿病の患者さんの血糖コントロールに対する有効性は、有酸素運動とレジスタンス(抵抗)運動のいずれにも認められています。しかも、両者の併用効果も明らかにされています。

 

一般に有酸素運動には、ウォ―キング、ジョギング、サイクリングなどが含まれ、心肺機能を高める効果があります。そして、心肺機能は最大酸素摂取量で評価することができます。水氣道®も有酸素運動として水中でウォ―キング、ジョギングを行うほかサイクリングと同様の運動を行などがプログラムされています。

 

そして、陸上とは異なり水圧に抗しての呼吸や運動を行うことになるので、最大酸素摂取量はより大きくなり、心肺機能の向上をさらに高めることができます。有酸素運動は糖代謝を改善させるのは、インスリン抵抗性が改善することによります。

 

そのメカニズムは、内臓脂肪や体重の減少による全身的な代謝改善効果に加えて、遺伝子発現の変化に伴う運動に対する骨格筋の適応により、細胞内のシグナル(信号)を変化させることによります。簡単に言えば、有酸素運動の習慣をもつことによって遺伝子レベルからの確実な体質改善が期待できるということになります。水氣道®もこうした根本的な体質改善を目標にしています。

 

一方でレジスタンス運動は、自体重、チューブ、ダンベルやマシンなどを用いて行う抵抗運動で、筋機能を高める働きがあります。レジスタンス運動の効果は、骨格筋を増やすことによって体組成の変化をもたらし、その結果、インスリン抵抗性が改善します。

 

筋量を増やすには、無酸素運動を取り入れた中~高強度の運動が必要とされてきましたが、比較的低強度のレジスタンス運動においても反復運動を繰り返すことで、筋の持久力を高め、有酸素運動と同様に遺伝子発現の変化を伴う適応が生じ、糖代謝を改善する可能性が高まります。

 

水氣道®は水中運動であるため、運動に際して持続的に水の抵抗を受けます。水氣道®は有酸素運動であると同時にレジスタンス運動でもあります。水中の運動は、自覚される以上に強度が高いのですが、そのほかに水氣道®は比較的低強度のレジスタンス運動において反復運動を繰り返すため、筋量増加のための運動条件をすべて網羅しているといえます。

 

なお運動に伴って、様々なホルモンの分泌が変化します。健康な人では、血糖降下性に働くインスリンは運動時に低下し、血糖上昇性に働くグルカゴンやカテコーラミン、コルチゾールは増加します。

これに対して2型糖尿病の患者さんが中等度の強度の運動を行った場合、インスリンの低下は起こりにくいため肝臓での糖生産性は増加しにくいことに加え、骨格筋での糖利用は増加するので、運動により血糖値を下げることができます。

糖尿病はもはや国民病です。

糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。

薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。

私は、糖尿病専門医ではありませんが、生活習慣指導、食事療法、運動療法、認知行動療法など集学的な診療体制を構築して、口頭のみではなく実際に体験していただく経験を積み重ねてきました。薬の処方ばかりに終始しているタイプの糖尿病専門医よりは、糖尿病の外来診療について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

日本糖尿病学会ホームページから

「糖尿病診療ガイドライン2016 糖尿病診断の指針 4 運動療法」

では、運動療法について、とても有益な5つのQ&Aが掲載されています。

 

これを抜粋して紹介したあとに【杉並国際クリニックの実地臨床からの視点】

でコメントを加えてみました。

 

 

Q4-3 

1型糖尿病患者に運動療法は有効か?

 

【要点】

運動の長期的な血糖コントロールへの効果に対する一定の見解は得られていません。しかし、心血管疾患のリスクファクターを低下させ、生活質QOLを改善させます。

(合意率95%)<推奨グレードB>

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

高円寺南診療所の30年間で、インスリン療法を導入した方は、たった数名のみで、極めて少数です。1型糖尿病の方と2型糖尿病が進行した方です。

初診時にすでに糖尿病が進行していた方の1人のみがインスリン療法を開始したあと透析クリニックで腎透析療法を受けています。その方も水氣道®を永年続けることによって、透析導入のタイミングを予想以上に遅らせることができました。

 

1型糖尿病の患者さんでも運動により血糖値は低下します。しかし、長期的な血糖コントロールへの運動の効果については一定の見解は得られていません。ただし、心血管疾患を生じるリスクが高いとされている1型糖尿病の患者さんも、運動に寄よりこれらのリスクを減少させると同時に、QOL〔生活の質、人生の質〕を高めるなど血糖コントロール以外の効果が期待されます。そのため運動の強度が中等度以下の運動療法が勧められます。

 

なお、合併症がなく、血糖コントロールが良好であれば、インスリン療法や捕食を調節することにより、いかなる運動も可能です。

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。

薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。

私は、糖尿病専門医ではありませんが、生活習慣指導、食事療法、運動療法、認知行動療法など集学的な診療体制を構築して、口頭のみではなく実際に体験していただく経験を積み重ねてきました。

薬の処方ばかりに終始しているタイプの糖尿病専門医よりは、糖尿病の外来診療について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

日本糖尿病学会ホームページから

 

糖尿病診療ガイドライン2016 糖尿病診断の指針 4 運動療法では、運動療法について、とても有益な5つのQ&Aが掲載されています。

 

これを抜粋して紹介したあとに

【杉並国際クリニックの実地臨床からの視点】

でコメントを加えてみました。

 

 

 

Q4-2 

2型糖尿病患者に運動療法は有効か?

 

【要点】

有酸素運動が、血糖コントロール・インスリン抵抗性・心肺機能・脂質代謝を改善し、血圧を低下させます。

(合意率100%)<推薦グレードA>

 

 

有酸素運動とレジスタンス運動は、ともに血糖コントロールに有効であり、併用によりさらに効果があります。運動療法は、食事療法と組み合わせることによって、いっそう高い効果が期待できます。

(合意率100%)<推薦グレードA>

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

 

2型糖尿病の患者さんは、インスリン抵抗性や肥満、高血圧、脂質代謝異常、慢性炎症を伴っている場合が多いことが知られています。こうした2型糖尿病の患者さんには運動療法によって血糖コントロールが改善されるとともに、これらの異常が改善します。一般的には、糖尿病治療において運動療法は食事療法と組み合わせることにより、さらに高い効果が得られます。

 

近年、レジスタンス運動の有用性が注目されています。レジスタン運動では、筋量や筋力を増加させるとともにインスリン抵抗性を改善し、血糖コントロールを改善します。一般的には週2~3回、主要な筋肉群を含んだ8~10種類のレジスタンス運動を10~15回繰り返す(1セット)ことより開始し、徐々に強度やセット数を増加させていくことが推奨されています。

 

レジスタンス運動は有酸素運動との併用によりHbA1c低下において有効性が高まることが示されています。なお高齢者においても有効性を示すエビデンスがあります。

 

 

水氣道®は、有酸素運動とレジスタンス運動を系統的に組み合わせた運動であるうえに、親水航法をはじめ10種類以上の様々な運動テクニック(形)によって、主要な筋肉群をはじめとして、全身の筋肉をくまなくトレーニングしています。水を利用した自然なレジスタンス運動を1セットで10~15回程度繰り返して行うことも取り入れています。

 

一般的な注意事項としては、高強度のレジスタンス運動についてです。高齢者や狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患などの合併症のある患者さんには高強度のレジスタンス運動は不適切です。

 

レジスタンス運動における最低限必要な強度と量については、最近、持続的血糖値モニタリングを用いた研究があります。

短時間の高強度運動を2週間続けた試験において血糖値の低下と骨格筋ミトコンドリア機能の増加が報告されています。

なお、高強度運動は運動量を少なくしても、運動適応により遺伝子発現の変化を介して代謝機能を改善することが示されています。ただし、高強度の運動は、定期的な運動習慣がある患者さんのみに考慮されるべき方法です。

 

水氣道®でも、このような考え方に則り、定期的な運動習慣が形成されている階級である初等訓練生(水氣道6級)以上の会員では、徐々に段階的に高強度の運動参加に導いています。入門者である体験生(級外)・特別体験生(水氣道7級)の方には中強度以下のプログラムとしています。

 

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。

薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、生活習慣指導、食事療法、運動療法、認知行動療法など集学的な診療体制を構築して、口頭のみではなく実際に体験していただく経験を積み重ねてきました。

薬の処方ばかりに終始しているタイプの糖尿病専門医よりは、糖尿病の外来診療について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

妊娠可能年代の女性の糖尿病治療

 

今年成人式を迎えたばかりの私の娘Bをもつ母親Aさんからの相談例

 

Q 

Bは、最近、2型糖尿病の診断を受けました。主治医から、食事療法と運動療法だけでは不十分なので薬物療法を勧められましたが、私がお断りしたところ、転医を促されてしまいました。Bは一人娘なので養子を迎えて家業を後継する大切な娘なので、糖尿病のお薬をはじめたら母子に悪影響があると聞いて心配です。どうしたらよいでしょうか?

 

A 

娘さんのBさんは、すでに立派に成人されて、専門学校を卒業して今春、就職とのことを承りました。おめでとうございます。すでに立派に成人されているのですから、今後は、是非ご本人の意志を尊重し、自主的な健康管理の習慣を獲得できるように御支援ください。

 

とはいえ、相手の先生との信頼関係がこじれてしまってBさん自身が引き続き通院がむずかしいというのでしたら、Bさんご自身に新しい医療機関を受診されることをお勧めください。その際にも、<診療状況提供書>は必要です。たとえ気まずくてもこれまでお世話になっていた先生からの情報は不可欠です。

 

Bさんの身長が156㎝、体重が86㎏ということですので、体格係数(BMI)を算定してみますとBMI=86÷1.56÷1.56=35.3

  

BMIは25以上で肥満度Ⅰ、30以上で肥満度Ⅱ、35を超えると肥満度はⅢということになり、高度な肥満であることがわかります。

   

正確なことは、情報不足なので申し上げられませんが、主治医の先生が食事療法と運動療法だけでは不十分であると判断されたのは無理からぬことであるように思われます。

   

たしかに、糖尿病治療薬の中には妊婦への投与がありますが、Bさんはすぐにご出産の予定でなければ問題はありません。もし、ご結婚等が予定されているなど妊娠可能性がある場合は、なるべく妊婦や授乳婦への影響が少ない治療薬を開始することをお勧めします。

 

 

妊娠前として望ましい血糖管理

糖尿病を持つ女性が妊娠を希望する場合は、事前に血糖を十分に管理した上で計画的に妊娠することが望ましいです。

 

妊娠前の血糖コントロールはHbA1c7.0%未満を管理目標にしてください。

 

今後、妊娠・出産を考えるのであれば、今からきちんと糖尿病の治療を行い(具体的にはバランスのよい食事・運動と、必要な場合糖尿病治療薬の使用を考慮する)HbA1c<7.0%未満にしておきましょう。

 

また糖尿病には特有な合併症があるので、注意しなければなりません。糖尿病の合併症は妊娠により悪化する可能性もあるからです。

 

合併症の管理や、使用できる薬剤の相談も含め事前に担当医と相談しましょう。

 

 

妊娠と薬物療法

妊娠前~妊娠中、出産後の授乳期の治療にはインスリンの治療を行います。糖尿病の飲み薬やインスリン以外の注射製剤を使用している方は、原則インスリンへの切り替えが必要です。インスリンの中でも、妊娠中の使用の安全性がほぼ確立しているものがあるので、そうしたインスリンを選択することになるでしょう。また、インスリンポンプや持続血糖測定器を使用して、血糖値を詳細に確認しながら細やかな血糖管理を行うことがあります。

 

Bさんは、まだ20歳なのですから、十分な時間があるので、計画的な減量をはじめ、きちんとした糖尿病管理を継続することをお勧めします。

 

ジョギングをはじめて膝関節を痛めた、と伺いましたが、水氣道®であれば、水の浮力を活用することができるので、関節を十分に保護しながら有酸素運動を続けることができます。妊娠中も継続可能な数少ない安全なエクササイズであることも、是非、Bさんにお伝えくださいますように。  

 

 

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

食事療法

Q3-1 

糖尿病における食事療法の意義と最適な栄養素のバランスについて教えてください。

 

【要点】

目安は炭水化物:50~60%エネルギー、

たんぱく質:20%エネルギー以下、

残りを脂質とします。

 

身体活動量、合併症の状態、嗜好性などの条件に応じて、適宜、柔軟に対処します。

 

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

上記の【要点】は、2型糖尿病を対象とするものです。

 

そもそも、2型糖尿病における食事療法は、まず総エネルギー摂取量の適正化によって肥満を解消することを目的とします。肥満解消によって、インスリン分泌不全を補完し、インスリン作用からみた需要と供給のバランスがとりやすくなるからです。こうした状態を導くことによって、高血糖のみならず糖尿病の種々の病態を是正することができます。

 

ただし、体重の減少には総エネルギー摂取量の制限が有効ですが、上記の【要点】の各栄養素についての推定必要量を定めるための十分なエビデンスは乏しいです。むしろ、栄養素バランスについては個別化が望ましいです。

  

なぜならば、糖尿病では動脈硬化性疾患や糖尿病腎症など種々の臓器障害を合併するため、合併症予防の見地から、それぞれにおいて設定された栄養素比率の制約を受けるからです。

   

最近、ローカーボ(低炭水化物)療法が流行していますが、炭水化物摂取量のみの減量によって体重が減少することはありません。また、血糖コントロールやインスリン抵抗性を改善するという研究結果も得られていません。

   

また、近年、食品の摂り方によって、食後の血糖上昇を抑制しうることが注目されています。特に、食物繊維に富んだ野菜を先に食べることによって、食後血糖上昇が抑制され、HbA1cが低下することが報告されています。また、50歳以上の壮年・高齢者では、咀嚼力の低下により血糖コントロールを乱す可能性があります。したがって、野菜など食物繊維に富んだ食材を先に食べ、よく噛んで咀嚼すれば、食後の高血糖が是正されます。炭水化物摂取量に関わらず、食物繊維は20g/日以上摂ることは、「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言(2013年)」で推奨されています。

   

高円寺南診療所30年の歴史において、禁煙指導と並んで重視してきたのは食事摂取のリズム調整です。日本で増えている朝食の欠食、遅い時間帯の夕食摂取といった食習慣も肥満を助長し、糖尿病管理を困難にしています。

  

特に、就寝前に摂る夜食は、肥満の助長、血糖コントロールの不良の原因となり、合併症をきたすリスクが高くなります。さらに、総エネルギーの適正化のみならず、欠食あるいは就寝前の間食の摂取など、食事摂取行動への介入が望まれる場合がしばしばあります。

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

Q2-4 

糖尿病の慢性合併症の予防・進展抑制はどのように行いますか?

 

【要点】

糖尿病の慢性合併症の予防,進展抑制のためには、

①血糖コントロール

②肥満解消

③禁煙遵守

④血圧のコントロール

⑤脂質代謝のコントロール

 

以上のすべてを目指します。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病なのですが、③の禁煙遵守からはじめるのが、杉並国際クリニックのメソッドです。なぜならば、糖尿病は万病の元であり、糖尿病の管理は、全身管理と密接に結びついているからです。禁煙をしたいが、これまで何度も失敗してきた、というタイプの方でも禁煙成功に導くことは可能です。ただし、頑なに禁煙を拒否するような方は、責任ある医療機関としてお引き受けすることは難しいです。

 

④血圧のコントロールなどもなかなか進展しません。ガイドラインで明記されている理由は、糖尿病患者では動脈硬化が進みやすいから、禁煙が必要としています。

 

次いで、①血糖コントロールは当然です。慢性合併症の代表が血管障害(細小血管症、大血管症)です。細小血管症の発展・進展をほぼ抑制できるとされるのがHbA1c<6.9%です。これに対して、大血管症については、食後の血糖値だけが高い耐糖能異常の段階から発症・進展するリスクが高いです。

 

したがって、①血糖コントロール、の理想的な目標は、1日を通じて高血糖、低血糖なく空腹時および食後高血糖が是正され、その結果、HbA1c値が正常化することです。

 

杉並国際クリニックでは、1日1~2食(朝食抜きが多いです)ではなく、1日3食を原則として推奨していますが、これは上記の①血糖コントロール、の理想的な目標を実現し易くさせるためです。

 

次に、② 肥満解消、が重要であることにも根拠があります。肥満の中でも、内臓脂肪蓄積は、血圧、脂質代謝、血糖のコントロールに悪影響を及ぼし、心血管イベント(症状出現)の危険因子とされています。

 

体重コントロールの目標はBMI22とすべきとされます。そして、2型糖尿病患者ではBMI≧23以上は蛋白尿が出現する率が高く、心血管イベントの危険因子の閾値でもあります。たとえ1~2㎏だけでも減量すると糖尿病に関与する代謝の改善を認めることが多いです。そこから、減量前体重の約5%の減量を目安として、徐々に行うことが大切です。

 

実際の方法は、まず、毎日の体重記録です。肥満の原因を生活環境、食習慣、運動習慣、精神的要因などの面から総合的に分析し、是正できるものを見出して減量に対する動機付けを行うことが推奨されています。

 

さらに、④血圧のコントロール。目標血圧<130/80mmHg(家庭血圧<125/75mmHg)です。その理由は、合併症防止のためには、1日中正常血圧を維持することが重要だからです。

禁煙と肥満解消に加えて食塩摂取制限だけでも血圧はコントロールしやすくなります。ただし、糖尿病性腎症がある場合には、生活習慣全般の改善委加えて、十分な降圧を図るべきです。

 

糖尿病合併高血圧症の薬物療法は、それぞれの病態に見合った降圧剤を選択します。

 

最後に、⑤脂質代謝のコントロール。血清脂質で最も重要なのはLDLコレステロールです。脂質代謝の目標値は、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞など)を有しない場合にはLDLコレステロール<120mg/dL,冠動脈疾患を有する場合にはLDLコレステロール<100mg/dLです。糖尿病患者にみられる脂質異常症は心疾患イベントの強力な危険因子です。その他、中性脂肪<150mg/dL,HDL-コレステロール≧40mg/dL以上、非HDLコレステロール<150mg/dLをそれぞれ目標とします。

 

心血管イベントの危険因子です。アルコールの摂取は血糖や血清脂質の コントロールを乱しがちなので、少ないほど良いです。とくに、肝疾患や合併症など問題のある症例では禁酒とします。

 

平成8年に標榜を追加した心療内科は、実際には、このような総合的な日常診療の場で力量を発揮しやすいのです。心療内科とは身体科である内科をベースにしていますが、社会的には誤解が多く、啓発運動を継続していく必要があります。なお高円寺南診療所時代に基礎を確立し、杉並国際クリニックの新時代に国内はもとより、世界に向けて発信する全人的健康法である水氣道は、糖尿病治療の国際標準にも適ったメソッドであることを知っていただければ幸いです。

 

 

 

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

Q2-3 

糖尿病の血糖コントロールの目標はどのように設定したらよいですか?

 

 

【要点】

糖尿病の血糖コントロールの目標は、可能な限り正常な代謝状態を目指すべきです。治療開始後、早期に良好な血糖コントロールを達成し、その状態を維持することができれば、長期予後の改善が期待できます。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病の治療目標を達成する目安としての血糖コントロールの目標は、年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定します。

その理由は、血糖のコントロールを急激に、あるいは厳格に行い過ぎると、ときに重篤な低血糖、細小血管症の増悪、突然死などを起こし得るからです。

 

とりわけ、管理を寛容なものとする必要があるのは、高齢者、罹病期間が長い、重篤な併存疾患や血管合併がある、低血糖のリスクが高い、サポート体制が整っていない、などの場合です。

 

いずれにせよ糖尿病は未治療で放置すると細小血管症や大血管症などの血管障害を招きます。

 

細小血管症を抑制するためには空腹時血糖値および血糖値の平均値の指標であるHbA1cの是正が重要です。

 

大血管症を抑制するためには、以上に加えて食後高血糖の是正も必要です。

 

まずは、血糖コントロールの目標を何に置くかがポイントになります。

 

 

①血糖正常化を目指す場合:HbA1c<6.0%

細小血管症・大血管症ともに発症のリスクを低下させることができます。

適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、

薬物療法中であっても低血糖などの副作用が無く達成可能な場合

罹病期間の短い、心血管系に異常のない若年者において目標となる数値

 

(対応する血糖値:空腹時血糖値<110mg/dL)

 

 

②合併症予防を目指す場合:HbA1c<7.0%

細小血管症の出現の可能性は少ないとされます。

 

(対応する血糖値:空腹時血糖値<130mg/dL,

食後2時間血糖値<180mg/dL)

 

 

③治療強化が困難な際の目標:HbA1c<8.0%

この値を超えると網膜症のリスク増加の傾きが大きくなります。

 

(低血糖などの副作用や、虚弱高齢者や余命5年以下と推定される高齢者であるなどの理由で治療強化が難しい場合)

 

以上とは別に、妊娠に際しては厳格な血糖コントロールが必要です。

 

  

高円寺南診療所時代に基礎を完成させた水氣道は、緩徐に血糖を低下させることができるために、安全かつ効果的な有酸素運動療法です。

 

杉並国際クリニックの時代に入り、これをさらに発展させて、現在の水氣道会員の中から多くの水氣道指導者を誕生させることによって、インスリンその他、血糖降下薬になるべく頼らないで済む糖尿病管理の、より確かなメソッドを確立させたいと願っています。

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

Q2-2 

糖尿病の基本的治療方針はどう考えるべきですか?

 

【要点】

 

●糖尿病の基本的治療方針は、糖尿病の病型、病態、年齢、代謝障害や合併症の程度などにより異なります。

 

 

●インスリン治療の適応

 

①インスリン依存状態

 

②インスリン非依存状態においても、

1)妊娠時、全身管理が必要な外科手術、重篤な感染症の際

 

2)経口血糖降下薬やGLP-1(glucagon-like peptide 1)受容体作動薬によっても目標の血糖コントロールが得られない場合

 

 

●インスリン非依存状態での治療方針

 

十分な食事療法、運動療法を2~3カ月間行っても良好な血糖コントロールが得られない場合:経口血糖降下薬やGLP-1受容体作動薬により治療します。ただし、代謝障害の程度によっては、食事療法、運動療法に加えて、最初から経口血糖降下薬やインスリンなどの薬物療法を開始します。

 

糖尿病は慢性疾患であり、合併症の発症、増悪を防ぐには、継続的治療が必須です。チーム医療による糖尿病教育は糖尿病治療の根幹を成すものです。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病でインスリン治療が直ちに必要なのは、まず

①インスリン依存状態です。多くの1型糖尿病はこの状態にあります。

 

② インスリン非依存状態にある2型糖尿病でも、代謝障害が中等度以上(随時血糖値250~300mg/dL程度またはそれ以上)であれば、食事療法、運動療法に加えて、最初から経口血糖降下薬やインスリンやGLP-1受容体作動薬による薬物療法を行います。

 

高円寺南診療所時代に基礎を確立した水氣道は、糖尿病の患者さんのためにも理想的な運動療法プログラムを具体的に提供して実践を続けてきました。杉並国際クリニックの時代に入って、水氣道のもつ生活習慣改善効果を一層引き出すための取り組みを展開しつつあります。

 

2型糖尿病でも、急性代謝障害を認めない代謝障害が中等度以下(随時血糖値250~300mg/dL程度またはそれ以下で尿ケトン体陰性)、まず、患者の病態を十分に解析して、適切な食事療法と運動療法を行います。この場合、生活習慣改善に向けて糖尿病教育を十分に行い、患者さんが治療に向けての意識を高められるようにすることが大切です。

 

こうした治療を2~3か月程度続けても、なお、目標の血糖値(HbA1c 7.0%未満)を達成できない場合には、経口血糖降下薬またはインスリンやGLP-1受容体作動薬などを用いられます。この場合、血糖のコントロール目標は、患者の年齢や病態などを考慮して患者ごとに設定するといった個別臨床的立場で決定します。

 

ただし、体重の減量や生活習慣の改善により、代謝状態が改善し、薬物の投与量の減少~中止が可能になってくることがあります。こうした効果は、食生活を含む生活習慣改善指導とともに水氣道を続けている糖尿病の患者さんにとっては、顕著な傾向であり、とくに、年間を通して水氣道の稽古に励んでいる会員でインスリンを使用している方はゼロになりました。

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

 

糖尿病治療の目標と指針

 

Q2-1 

糖尿病の治療の目標は?

 

【要点】

糖尿病治療の目標は、

 

① 高血糖に起因する代謝異常を改善すること、に加え

 

② 糖尿病に特徴的な合併症、および糖尿病に併発し易い合併症の発症、 増悪を防ぐこと、さらには

 

③ 健康人と変わらない生活の質(quality of life: QOL)を保つこと、

 

④最終的には、健康人と変わらない寿命を全うすることにあります。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

言うは易く、行うは難し。それは、糖尿病治療の目標達成も例外ではありません。この難題を解決するにあたっては、まず、その理由を分析することが大切だと思います。

 

治療目標①:高血糖に起因する代謝異常を改善すること

高血糖に起因する代謝異常は、その程度が軽度であれば、ほとんど自覚症状として気づかれることはありません。気づきがなければ、認識がかわらないので、生活習慣態度や健康行動に向けての行動変容は期待できません。

 

糖尿病はインスリン作用の不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝性疾患であるため、インスリンの作用不足に気づくための工夫が必要であるということになります。気づかないために、長期間放置されることがあります。

 

そうなると、治療目標 ② 糖尿病に特徴的な合併症、および糖尿病に併発し易い合併症の発症、増悪を防ぐこと、を達成することは困難になってしまいます。代謝障害が軽度でも長く続けば特徴的な慢性合併症(網膜症、腎症、神経障害)を発症するリスクが高くなるからです。

 

さらに、糖尿病では全身の動脈硬化症が促進され、これが心筋梗塞、脳梗塞、下肢の閉塞性動脈硬化症の原因となります。また、細菌感染に対する抵抗力の低下をもたらします。

 

この状態になると、治療目標 ③ 健康人と変わらない生活の質(quality of life: QOL)を保つこと、は望むべくもありません。

 

また、血糖値が著しく高くなる代謝状態では口渇、多飲、多尿、体重減少がみられるようになります。さらに急速に進行すると、急性合併症として意識障害や昏睡に陥り、効果的な治療が行われなければ死に至ることもあります。

 

治療目標 ④ 健康人と変わらない寿命を全うすること、

この目標を達成するためには、早期に治療目標①:高血糖に起因する代謝異常を改善すること、この目標を達成することが大前提であるということがわかるはずです。

 

気づきにくい病状に気づくためには、自覚症状のみを唯一の健康尺度にしている多くの人々の意識を変革する大胆な手立てが必要です。

 

とはいっても、それは必ずしも難しいことではなく、定期的な住民健診や職場健診を積極的に活用し、健診の結果に基づいて、適切な対応をすることだけでも十分な解決策であると思います。