糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

Q2-4 

糖尿病の慢性合併症の予防・進展抑制はどのように行いますか?

 

【要点】

糖尿病の慢性合併症の予防,進展抑制のためには、

①血糖コントロール

②肥満解消

③禁煙遵守

④血圧のコントロール

⑤脂質代謝のコントロール

 

以上のすべてを目指します。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病なのですが、③の禁煙遵守からはじめるのが、杉並国際クリニックのメソッドです。なぜならば、糖尿病は万病の元であり、糖尿病の管理は、全身管理と密接に結びついているからです。禁煙をしたいが、これまで何度も失敗してきた、というタイプの方でも禁煙成功に導くことは可能です。ただし、頑なに禁煙を拒否するような方は、責任ある医療機関としてお引き受けすることは難しいです。

 

④血圧のコントロールなどもなかなか進展しません。ガイドラインで明記されている理由は、糖尿病患者では動脈硬化が進みやすいから、禁煙が必要としています。

 

次いで、①血糖コントロールは当然です。慢性合併症の代表が血管障害(細小血管症、大血管症)です。細小血管症の発展・進展をほぼ抑制できるとされるのがHbA1c<6.9%です。これに対して、大血管症については、食後の血糖値だけが高い耐糖能異常の段階から発症・進展するリスクが高いです。

 

したがって、①血糖コントロール、の理想的な目標は、1日を通じて高血糖、低血糖なく空腹時および食後高血糖が是正され、その結果、HbA1c値が正常化することです。

 

杉並国際クリニックでは、1日1~2食(朝食抜きが多いです)ではなく、1日3食を原則として推奨していますが、これは上記の①血糖コントロール、の理想的な目標を実現し易くさせるためです。

 

次に、② 肥満解消、が重要であることにも根拠があります。肥満の中でも、内臓脂肪蓄積は、血圧、脂質代謝、血糖のコントロールに悪影響を及ぼし、心血管イベント(症状出現)の危険因子とされています。

 

体重コントロールの目標はBMI22とすべきとされます。そして、2型糖尿病患者ではBMI≧23以上は蛋白尿が出現する率が高く、心血管イベントの危険因子の閾値でもあります。たとえ1~2㎏だけでも減量すると糖尿病に関与する代謝の改善を認めることが多いです。そこから、減量前体重の約5%の減量を目安として、徐々に行うことが大切です。

 

実際の方法は、まず、毎日の体重記録です。肥満の原因を生活環境、食習慣、運動習慣、精神的要因などの面から総合的に分析し、是正できるものを見出して減量に対する動機付けを行うことが推奨されています。

 

さらに、④血圧のコントロール。目標血圧<130/80mmHg(家庭血圧<125/75mmHg)です。その理由は、合併症防止のためには、1日中正常血圧を維持することが重要だからです。

禁煙と肥満解消に加えて食塩摂取制限だけでも血圧はコントロールしやすくなります。ただし、糖尿病性腎症がある場合には、生活習慣全般の改善委加えて、十分な降圧を図るべきです。

 

糖尿病合併高血圧症の薬物療法は、それぞれの病態に見合った降圧剤を選択します。

 

最後に、⑤脂質代謝のコントロール。血清脂質で最も重要なのはLDLコレステロールです。脂質代謝の目標値は、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞など)を有しない場合にはLDLコレステロール<120mg/dL,冠動脈疾患を有する場合にはLDLコレステロール<100mg/dLです。糖尿病患者にみられる脂質異常症は心疾患イベントの強力な危険因子です。その他、中性脂肪<150mg/dL,HDL-コレステロール≧40mg/dL以上、非HDLコレステロール<150mg/dLをそれぞれ目標とします。

 

心血管イベントの危険因子です。アルコールの摂取は血糖や血清脂質の コントロールを乱しがちなので、少ないほど良いです。とくに、肝疾患や合併症など問題のある症例では禁酒とします。

 

平成8年に標榜を追加した心療内科は、実際には、このような総合的な日常診療の場で力量を発揮しやすいのです。心療内科とは身体科である内科をベースにしていますが、社会的には誤解が多く、啓発運動を継続していく必要があります。なお高円寺南診療所時代に基礎を確立し、杉並国際クリニックの新時代に国内はもとより、世界に向けて発信する全人的健康法である水氣道は、糖尿病治療の国際標準にも適ったメソッドであることを知っていただければ幸いです。

 

 

 

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

Q2-3 

糖尿病の血糖コントロールの目標はどのように設定したらよいですか?

 

 

【要点】

糖尿病の血糖コントロールの目標は、可能な限り正常な代謝状態を目指すべきです。治療開始後、早期に良好な血糖コントロールを達成し、その状態を維持することができれば、長期予後の改善が期待できます。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病の治療目標を達成する目安としての血糖コントロールの目標は、年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定します。

その理由は、血糖のコントロールを急激に、あるいは厳格に行い過ぎると、ときに重篤な低血糖、細小血管症の増悪、突然死などを起こし得るからです。

 

とりわけ、管理を寛容なものとする必要があるのは、高齢者、罹病期間が長い、重篤な併存疾患や血管合併がある、低血糖のリスクが高い、サポート体制が整っていない、などの場合です。

 

いずれにせよ糖尿病は未治療で放置すると細小血管症や大血管症などの血管障害を招きます。

 

細小血管症を抑制するためには空腹時血糖値および血糖値の平均値の指標であるHbA1cの是正が重要です。

 

大血管症を抑制するためには、以上に加えて食後高血糖の是正も必要です。

 

まずは、血糖コントロールの目標を何に置くかがポイントになります。

 

 

①血糖正常化を目指す場合:HbA1c<6.0%

細小血管症・大血管症ともに発症のリスクを低下させることができます。

適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、

薬物療法中であっても低血糖などの副作用が無く達成可能な場合

罹病期間の短い、心血管系に異常のない若年者において目標となる数値

 

(対応する血糖値:空腹時血糖値<110mg/dL)

 

 

②合併症予防を目指す場合:HbA1c<7.0%

細小血管症の出現の可能性は少ないとされます。

 

(対応する血糖値:空腹時血糖値<130mg/dL,

食後2時間血糖値<180mg/dL)

 

 

③治療強化が困難な際の目標:HbA1c<8.0%

この値を超えると網膜症のリスク増加の傾きが大きくなります。

 

(低血糖などの副作用や、虚弱高齢者や余命5年以下と推定される高齢者であるなどの理由で治療強化が難しい場合)

 

以上とは別に、妊娠に際しては厳格な血糖コントロールが必要です。

 

  

高円寺南診療所時代に基礎を完成させた水氣道は、緩徐に血糖を低下させることができるために、安全かつ効果的な有酸素運動療法です。

 

杉並国際クリニックの時代に入り、これをさらに発展させて、現在の水氣道会員の中から多くの水氣道指導者を誕生させることによって、インスリンその他、血糖降下薬になるべく頼らないで済む糖尿病管理の、より確かなメソッドを確立させたいと願っています。

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

Q2-2 

糖尿病の基本的治療方針はどう考えるべきですか?

 

【要点】

 

●糖尿病の基本的治療方針は、糖尿病の病型、病態、年齢、代謝障害や合併症の程度などにより異なります。

 

 

●インスリン治療の適応

 

①インスリン依存状態

 

②インスリン非依存状態においても、

1)妊娠時、全身管理が必要な外科手術、重篤な感染症の際

 

2)経口血糖降下薬やGLP-1(glucagon-like peptide 1)受容体作動薬によっても目標の血糖コントロールが得られない場合

 

 

●インスリン非依存状態での治療方針

 

十分な食事療法、運動療法を2~3カ月間行っても良好な血糖コントロールが得られない場合:経口血糖降下薬やGLP-1受容体作動薬により治療します。ただし、代謝障害の程度によっては、食事療法、運動療法に加えて、最初から経口血糖降下薬やインスリンなどの薬物療法を開始します。

 

糖尿病は慢性疾患であり、合併症の発症、増悪を防ぐには、継続的治療が必須です。チーム医療による糖尿病教育は糖尿病治療の根幹を成すものです。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病でインスリン治療が直ちに必要なのは、まず

①インスリン依存状態です。多くの1型糖尿病はこの状態にあります。

 

② インスリン非依存状態にある2型糖尿病でも、代謝障害が中等度以上(随時血糖値250~300mg/dL程度またはそれ以上)であれば、食事療法、運動療法に加えて、最初から経口血糖降下薬やインスリンやGLP-1受容体作動薬による薬物療法を行います。

 

高円寺南診療所時代に基礎を確立した水氣道は、糖尿病の患者さんのためにも理想的な運動療法プログラムを具体的に提供して実践を続けてきました。杉並国際クリニックの時代に入って、水氣道のもつ生活習慣改善効果を一層引き出すための取り組みを展開しつつあります。

 

2型糖尿病でも、急性代謝障害を認めない代謝障害が中等度以下(随時血糖値250~300mg/dL程度またはそれ以下で尿ケトン体陰性)、まず、患者の病態を十分に解析して、適切な食事療法と運動療法を行います。この場合、生活習慣改善に向けて糖尿病教育を十分に行い、患者さんが治療に向けての意識を高められるようにすることが大切です。

 

こうした治療を2~3か月程度続けても、なお、目標の血糖値(HbA1c 7.0%未満)を達成できない場合には、経口血糖降下薬またはインスリンやGLP-1受容体作動薬などを用いられます。この場合、血糖のコントロール目標は、患者の年齢や病態などを考慮して患者ごとに設定するといった個別臨床的立場で決定します。

 

ただし、体重の減量や生活習慣の改善により、代謝状態が改善し、薬物の投与量の減少~中止が可能になってくることがあります。こうした効果は、食生活を含む生活習慣改善指導とともに水氣道を続けている糖尿病の患者さんにとっては、顕著な傾向であり、とくに、年間を通して水氣道の稽古に励んでいる会員でインスリンを使用している方はゼロになりました。

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

 

糖尿病治療の目標と指針

 

Q2-1 

糖尿病の治療の目標は?

 

【要点】

糖尿病治療の目標は、

 

① 高血糖に起因する代謝異常を改善すること、に加え

 

② 糖尿病に特徴的な合併症、および糖尿病に併発し易い合併症の発症、 増悪を防ぐこと、さらには

 

③ 健康人と変わらない生活の質(quality of life: QOL)を保つこと、

 

④最終的には、健康人と変わらない寿命を全うすることにあります。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

言うは易く、行うは難し。それは、糖尿病治療の目標達成も例外ではありません。この難題を解決するにあたっては、まず、その理由を分析することが大切だと思います。

 

治療目標①:高血糖に起因する代謝異常を改善すること

高血糖に起因する代謝異常は、その程度が軽度であれば、ほとんど自覚症状として気づかれることはありません。気づきがなければ、認識がかわらないので、生活習慣態度や健康行動に向けての行動変容は期待できません。

 

糖尿病はインスリン作用の不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝性疾患であるため、インスリンの作用不足に気づくための工夫が必要であるということになります。気づかないために、長期間放置されることがあります。

 

そうなると、治療目標 ② 糖尿病に特徴的な合併症、および糖尿病に併発し易い合併症の発症、増悪を防ぐこと、を達成することは困難になってしまいます。代謝障害が軽度でも長く続けば特徴的な慢性合併症(網膜症、腎症、神経障害)を発症するリスクが高くなるからです。

 

さらに、糖尿病では全身の動脈硬化症が促進され、これが心筋梗塞、脳梗塞、下肢の閉塞性動脈硬化症の原因となります。また、細菌感染に対する抵抗力の低下をもたらします。

 

この状態になると、治療目標 ③ 健康人と変わらない生活の質(quality of life: QOL)を保つこと、は望むべくもありません。

 

また、血糖値が著しく高くなる代謝状態では口渇、多飲、多尿、体重減少がみられるようになります。さらに急速に進行すると、急性合併症として意識障害や昏睡に陥り、効果的な治療が行われなければ死に至ることもあります。

 

治療目標 ④ 健康人と変わらない寿命を全うすること、

この目標を達成するためには、早期に治療目標①:高血糖に起因する代謝異常を改善すること、この目標を達成することが大前提であるということがわかるはずです。

 

気づきにくい病状に気づくためには、自覚症状のみを唯一の健康尺度にしている多くの人々の意識を変革する大胆な手立てが必要です。

 

とはいっても、それは必ずしも難しいことではなく、定期的な住民健診や職場健診を積極的に活用し、健診の結果に基づいて、適切な対応をすることだけでも十分な解決策であると思います。

 

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

 

Q1-6 

1型・Ⅱ型糖尿病以外の特定の機序、疾患による糖尿病をどのように診断するのですか?

 

【要点】

単一遺伝子異常が糖尿病の原因となることがあります。これらは①膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常、②インスリン作用機構にかかわる遺伝子異常に大別されます。

種々の疾患、症候群や病態の一部として糖尿病状態を伴う場合があります。膵疾患、内分泌疾患、肝疾患、薬物使用、化学物質への暴露、ウイルス感染、種々の遺伝的症候群に伴う糖尿病です。

 

GDMといって、妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常があります。

 

診断には種々の臨床的情報を参照する必要があります。

①家族歴、遺伝形式、

②糖尿病の発症年齢と経過、

③他の身体的特徴、

④膵島関連自己抗体など種々の臨床的情報を参照する必要がある。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病など、内科医であれば誰でも診ているようなありふれた病気であると世間では認識されているようです。このような病気にまで、なぜ専門医制度が必要なのか、という疑問をもつ方がいらしても不思議はありません。

しかし、一口に糖尿病といっても、それほど単純ではありません。「糖尿病は生活習慣病です」などと単純に割り切って語る人は、素人もどきであり、少なくとも資格を持った内科医ではないといえるでしょう。単一遺伝子異常が原因となる糖尿病は生活

習慣病とは明確に区別されなければなりません。種々の疾患、症候群や病態の一部として糖尿病状態を伴う場

合であっても、薬物使用、化学物質への暴露、ウイルス感染、種々の遺伝的症候群に伴う糖尿病などは、生活習慣病ではありません。

 

 成因論的な病型分類を行うためには、

Ⅰ型糖尿病の診断のためには、GAD抗体、IA-2(insulinoma-associated protein-2)抗体、インスリン自己抗体(insulin autoantibody:IAA,インスリン使用前から存在)、ICA,ZnT8(zinc transporter 8)抗体などの膵島関連自己抗体を調べること、いずれかの抗体が陽性であれば、1型糖尿病を示唆する根拠となります。

 

日本糖尿病学会ホームページから

 

Q1-5 

1型糖尿病は、どのように診断するのですか?

 

【要点】

1型糖尿病は成因別に、(A)自己免疫性、(B)特発性に分類され、発症 様式別に、急性発症、緩徐進行、劇症の3つに分類されます。

 

急性発症1型糖尿病では、一般的に高血糖症状出現後3か月以内にケトーシスやケトアシドーシスに陥り、直ちにインスリン療法を必要とします。

 

緩徐進行(slowly progressive insulin-dependent diabetes mellitus:SPIDDM)1型糖尿病では、抗GAD抗体もしくは膵島細胞抗体(islet cell antibody:ICA)が陽性であるものの、診断されてもケトーシスやケトアシドーシスには至らず、直ちにはインスリン療法を必要としません。⇐ 膵島細胞抗体は、GAD抗体、IA-2抗体、インスリン自己抗体、ZnT8抗体とともに膵島関連自己抗体とされます。

 

劇症では、高血糖症状出現後1週間前後以内でケトーシスやケトアシドーシスに陥るため、血糖値に比しHbA1cが比較的低値であることが特徴であり、直ちにインスリン療法を必要といます。

⇐ケトーシスとは、尿ケトン体陽性、血中ケトン体上昇のいずれかを認める場合に診断されます。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病の多くは生活習慣病とされる2型糖尿病であり、診断は容易に行われています。

 

しかし、注意を要するのは生活習慣病でない1型糖尿病です。1型糖尿病の診断は、必ずしも容易ではありません。その理由は、成因が原因不明なもの(特発性)、自己免疫性など一様でなく、また発症様式も、急性発症、緩徐進行、劇症に3分類され、とりわけ緩徐進行1型糖尿病の臨床像は報告によりばらつきがあり、明らかな診断基準が明示されていないからです。

 

大多数を占める2型糖尿病は、治療開始に至らない、あるいは治療を中断する症例が就労世代に多いことが問題になっていますが、1型糖尿病である場合は、診断の遅れは、さらに深刻な事態になりかねません。糖尿病患者は1型・2型を問わず医療ケアとの継続的な繋がりを維持していくことが重要であることは、広く啓発していかなければなら無い課題です。

 

通常、

① 急性発症では何らかの膵島関連自己抗体が陽性であることが多く、大半が自己免疫性に分類されます。1型糖尿病は、免疫学的な理解が必要であり、したがって、アレルギー学やリウマチ学を専攻するアレルギー専門医、リウマチ専門医としては、その専門性からも強い関心をもつ領域です。

 

② 緩徐進行(SPIDDM)1型糖尿病は、定義上GAD抗体あるいはACAの陽性が前提であるため自己免疫性に分類されます。ただし、臨床上は報告によりばらつきがあり、明らかな診断基準は明示されていません。糖尿病発症または診断時にケトーシスおよびケトアシドーシスはないこと、多くの症例で経過中に膵島関連自己抗体が陰性化すること、自己抗体の値によらず、内因性インスリン分泌が低下しない例もあること、などから、診断が遅れがちになる可能性があります。

 

③劇症の多くは自己免疫の関与が不明であり、通常では特発性に分類されます

 

Q1-4 

糖尿病は1種類ではなく、複数の病型があると聞きました。病型の分類はどのように行うのですか?

 

【要点】

  • 糖尿病の成因分類は、糖尿病の他に糖代謝異常を含めた分類です。
  • 糖尿病と糖代謝異常の成因は、大きく分けて、(Ⅰ)1型、(Ⅱ)2型、(Ⅲ)その他の特定の機序・疾患によるもの、(Ⅳ)妊娠糖尿病の4つに分類します。なお、現時点でどれにも分類できないものを分類不能とします。
  • 糖尿病の分類は、原因による分類(成因分類)が主体です。ただし、インスリン作用不足の程度に基づく病態(病期)を併記します。
  • 成因分類にあたっては、家族歴、発症年齢と経過、身体的特徴、膵島関連自己抗体、ヒト白血球抗体(human leukocyte antigen : HLA),インスリン分泌能/インスリン抵抗性の程度、遺伝子検査など、種々の臨床的情報を総合して判断します。
  • 一人の患者が複数の成因を持つことがあります。

 

 

Q1-4-1 

糖尿病は、すべてが生活習慣病ではない、というのは本当ですか?

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病患者の大多数を占めるのが2型糖尿病です。その成因には多因子遺伝が想定されています。

 

これらはインスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす複数の遺伝因子です。

 

こうした遺伝要因に加えて、過食(特に高脂肪食)・運動不足などの生活習慣、およびその結果としての肥満が環境因子として加わると2型糖尿病を発症し易くなります。糖負荷後の早期のインスリン分泌低下が特徴です。

 

しかし、インスリンが枯渇し、病期がインスリン依存状態まで進む割合は限られています。

Q1-2 高血糖をどのように判定するか?

 

【要点】

  • 空腹時血糖値、75gOGTT2時間値の組み合わせにより、正常、境界型、糖尿病型のいずれかを判定する。

 

  • 空腹時血糖100~109mg/dLの場合、正常域の中で正常高値とする。

 

  • 糖尿病疑い、境界型、空腹時血糖が正常高値、HbA1c5.6%以上の患者や、

肥満や脂質異常症の患者、家族歴が濃厚な患者に対しては、積極的にOGTTの施行を検討する。

 

  • POCT(point of care testing)機器によるHbA1cの測定値は、現時点で診断に用いないものとする。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

このガイドラインは、理論的には参考すべきですが、実際的ではありません。

 

空腹時血糖値の測定だけならまだしも、75gOGTT2時間値の測定などは、なかなか日常的に行えるものではないからです。

 

そもそも75gOGTTとは、75gのブドウ糖を摂取して血糖値等を検査する負荷試験です。実施のためには患者さんがルールを順守してくださることが前提ですが、それがなかなか難しいのです。その理由は以下の手順を読んでいただければわかると思います。下線部は脱落しやすいルールです。

 

実施の手順として

①糖質を150g以上含む食事を3日以上摂取、

②10~14時間の絶食、

③採血して血糖値(空腹時血糖値)を測定する

④早朝空腹時に75gブドウ糖を含む250~350mLの溶液を5分以内で服用、

⑤服用後30~60分おきに採血して血糖値を測定する。検査中は禁煙とする。

 

あなたは、これらをすべてクリアできる自信がありますか。

これができるような方は、糖尿病タイプの方には少ないと思います。

 

なおガイドラインは

<空腹時と2時間値の測定は必須で、臨床の場では途中時点の血糖値や尿糖も調べるのが望ましい。>

<可能であれば空腹時と30分後のインスリン値を測定して、初期インスリン反応を調べる。>

としていますが、患者さんに以上のような負担を掛けておいて、それを調べないのは理不尽な話です。

 

しかし、実際にそこまで検査すると保険請求で却下され、医療機関にとっても大きな痛手となります。