第116回日本内科学会総会・講演会(ポートメッセ名古屋)

 

シンポジウム2:<GFR免疫チェックポイント>から

第2日目

2019年4月27日(土)9:00am~

 

2018年のノーベル医学生理学賞に、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名オプジーボ)の開発につながった京都大学の本庶佑名誉教授が選ばれ、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬に関心が集まっています。「夢の新薬」という言葉で形容されるケースさえ見受けられます。

 

ヒトの免疫システムには、免疫応答を活性化するアクセル(共刺激分子)と抑制するブレーキ(共抑制分子)が存在します。新しい抗がん剤として注目されている免疫チェックポイント阻害薬ですが、実際の奏効率は約20%です。そのため有効例を見分ける診断法や無効例に対する治療法の開発が急がれています。副作用の発生が問題になっていますが、副作用が発現する症例の方が、かえって抗腫瘍効果が得られやすい

というデータもあります。

 

1)

免疫チェックポイントの機能とがん治療への応用

 

CTLA-4やPD-1等の共抑制分子は「免疫チェックポイント」として機能し、自己への不適切な免疫応答や過剰な炎症反応を抑制します。

 

CTLA-4はT細胞活性化初期に働く免疫チェックポイント分子で、主にリンパ組織における抗原提示を抑制し、T細胞活性化を抑制します。

 

CTLA-4抗体は抗腫瘍効果を発揮し、T細胞のブレーキ解除によりがん治療が可能になり、悪性黒色腫の治療薬として承認されました。

 

しかし、CTLA-4抗体では治らない病気があり、副作用が大きいという問題があります。また、転移を抑制できなければ、抗腫瘍薬としては役に立たないと考えられます。

 

PD-1はT細胞活性化後期に働く免疫チェックポイント分子で、主に炎症局所でキラーT細胞が標的細胞を攻撃する場面で作用します。がん細胞が標的なのではなくキラーT細胞が標的であるため、がんが変異しても効果が持続するという利点があります。PD-1抗体は、がん転移を抑制して、CTLA-4抗体よりも強力な抗腫瘍効果を示し、副作用が小さいという特徴が観察された。

 

 

2)

消化器がんに対する免疫チェックポイント阻害薬

 

免疫感受性が低いという問題を抱えたまま臨床試験トライアル中です。

 

食道がん:

扁平上皮癌(乞食タイプ)、腺癌(ブルジョワタイプ)

日本人の扁平上皮癌への奏効率17%、PD-L1陽性例では奏効率が高くなります。

 

胃がん:

標準治療の確立が困難な状況です。ニボリズマブ(PD-1阻害薬)、ペムブロリズマブいずれも奏効率11%です。EBウイルス関連のマーカーが注目されています。

 

隠れた治療選択バイオマーカーの発見が胃がんの治療に重要であるようです。二剤、さらに三剤の併用療法も調査中です。

 

大腸がん:

遺伝子プロファイルによって分類されています。MSI-Hタイプでのペムブロニズマブ奏効率は高く62%です。さまざまな併用療法が良好な成績を上げています。これに対してMMSタイプの大腸がんでは有効性が否定されています。

 

オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬は、現在のところ多くは再発や転移がある、手術できない例の生存率改善目的に使用される薬です。ですから、切除可能ながんを診断された人が、「オプジーボだけで治しましょう」ということはまずあり得ないということを,ぜひ知っておいてください。

ピロリ菌に感染したことのある胃のがん化に注意!

 

人間ドックなどの検査結果の相談で内視鏡検査で萎縮性胃炎を指摘される方からの質問が多いです。ただし、杉並国際クリニックが充分にカバーできていない重要な検査項目の一つに内視鏡検査があります。この検査が必要な方は、連携医療機関である東京警察病院等をご紹介いたしております。

 

胃がんはヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染と深く関わっています。逆にピロリ菌感染がない人は胃がんになることが少ないです。ピロリ菌に感染すると慢性胃炎から萎縮性胃炎になり、さらに腸上皮化生という変化が起こってくると胃がんになる危険性が高くなります。ピロリ除菌により胃がんの予防や感染の防止が期待されるため、ピロリ菌に感染している場合、除菌治療が推奨されています。

 

 

胃がんハイリスク検診(ABC検診)のご案内

令和という超高齢化時代は、日本人男性の2人にひとり、女性の3人にひとりががんになることが一般常識として定着する時代です。がんになることはもはや特別なことではありません。しかし早期に発見できれば内視鏡治療など低侵襲治療を受けられ、完治する可能性も高くなります。

 

胃がんの早期発見するためには検診を受ける必要があります。胃がんに現在なっているかどうかは胃レントゲン検査や内視鏡検査を受けなければ診断できません。しかし胃がんになりやすいかどうかは個々人で異なるので、予め自分が胃がんになるリスクが分かっていれば、内視鏡あるいは胃レントゲンなどの検診をどれくらいの間隔で受ければ良いのかの参考になります。

 

胃がんはヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染と深く関わっています。ピロリ菌感染がない人は胃がんになることが少なく、ピロリ菌に感染すると慢性胃炎から萎縮性胃炎になり、さらに腸上皮化生という変化が起こってくると胃がんになる危険性が高くなってくることが知られています。そこで簡単な血液検査でピロリ菌の感染の有無と胃粘膜萎縮の度合いを示すペプシノゲンを測定して胃がんになるリスクが高いかどうかを調べる検診(ABC検診)があります。

 

あなたも胃がんになるリスクを検査してみてはいかがでしょうか。

 

 

対象となる方

20歳以上の方(特に40歳以上の75歳未満の方にお勧めします)

 

 

対象外の方

1.明らかな上部消化器症状があり、胃や十二指腸の疾患が強く疑われる方

(保険適応ですので、消化器内科を受診してください)

 

2.食道・胃・十二指腸の疾患で治療中の方

 

3.胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬)服用中もしくは2ヶ月前以内に服用していた方

 

4.胃切除後の方

 

5.腎不全(目安:クレアチニン値が3mg/dl以上)の方

 

6.75歳以上の方

 

 

検診の受付・料金など

 

申し込み

担当者    申し込み受付事務担当:野口将成(事務次長)

 

検査・説明・指導担当:飯嶋正広(院長ドクター)

 

料金       (任意検診ですので全額自己負担です)

継続通院中の方:6,000(消費税別)のみ

 

初診の方:8,000円 (消費税別)<初診料、採血・検査費、報告書および再診料その他の手数料のすべて含む>

 

 

胃がんハイリスク検診(ABC検診)よくある質問と回答

 

Q.検診の申し込みは?

 

A.当院受付で「ABC検診」または「胃がんハイリスク検診」を希望する旨、申し出てください。

 

 

Q.検診方法は?

 

A.採血による簡単な血液検査です。院長ドクターみずから採血します。

 

 

Q.結果は?

 

A.2週間後に保険証をもって受診してください。

院長が直接対応いたします。

 

 

Q.内視鏡による胃がん検診を受けたい場合は?

 

A.郵送された検診結果と保険証を持って受診してください。ご希望であれば、当院の連携医療機関である東京警察病院での内視鏡検査の予約をいたします。費用は保険扱いとなります。

 

 

Q.ピロリ菌が陽性でした。除菌治療を受けたいのですが?

 

A.ピロリ除菌治療は保険診療になる場合と自費診療になる場合があります。

どちらになるかはご相談ください。どちらの場合も当院で対応いたします。

 

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、

NASH・NAFLDの診療ガイド2010、を採り上げることにしました。

 

そこで、Q&Aをご紹介した後、杉並国際クリニックの立場からにて、解説を加えてみます。

 

 

Q5

NAFLD/NASHはどのように診断しますか?

 

A5 

NAFLDは単なる脂肪肝(NAFL)ではなくNASHになっていてもまったく症状がないことが多いので、健康診断のときやかかりつけの先生から「脂肪肝の疑いがあります」といわれたら、一度は専門の医療機関を受診して、詳しい検査をうけていただくことをお勧めします。

 

NAFLDを正しく診断するためには、これまでの飲酒状況や体重の変化、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の有無、サプリメントを含めた普段服用しているお薬などの詳しい情報がとても重要です。さらに、血液検査や超音波・CT・MRIなどの画像検査で、肝障害を引き起こすほかの病気がないか、NASHの疑いがあるかを詳しく調べます。NASHであることをはっきりと確かめて(確定診断)、どの程度肝臓の病気が進行しているかを正確に把握するためには、肝臓の組織を調べる肝生検を受ける必要があります。肝生検を安全に行うためには、検査中だけでなく検査の後も安静にする必要があるので、通常は1~2泊の入院が必要です。

 

NAFLDあるいはNASHと診断された後も、定期的に採血や画像診断を受け手、しっかりと経過を追って対処することが大切です。

 

 

杉並国際クリニックの立場から

 

よくある言い回しで、このQ&Aでもうんざりさせられる一文があります。それは<健康診断のときやかかりつけの先生から「脂肪肝の疑いがあります」といわれたら、一度は専門の医療機関を受診して、詳しい検査をうけていただくことをお勧めします。>です。

 

かかりつけの先生に「脂肪肝の疑いがあります」といわれて、専門の医療機関を受診するためには、かかりつけの先生から「診療情報提供書」を書いて貰うことになるはずです。ですから、<かかりつけの先生に「専門の医療機関を受診したいので紹介状をお願いします」とお願いすることをお勧めします。>ということになります。

 

これは、きわめてナンセンスです。膨大な人数の脂肪肝の疑いのある患者さんをすべて肝臓病専門医がいる病院へ紹介したら、受け手の病院もすぐに対応困難に陥ることは明らかだからです。

 

かかりつけの先生が「脂肪肝の疑いがあります」といった場合には、何を根拠にしているのかを、今一度考えていただきたいところです。そもそもNAFLDのうち80~90%は長い経過をみても脂肪肝のままで、病気はほとんど進行しません。これをNAFLDの病気を意味する「D(Disease)」を除いてNAFL(ナッフル)といいます。

 

<NAFLDを正しく診断するためには、これまでの飲酒状況や体重の変化、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の有無、サプリメントを含めた普段服用しているお薬などの詳しい情報がとても重要です。>その通りですが、このあたりの詳しい情報を最も良く把握しているのが、初対面の肝臓専門医ではなく、かかりつけの先生なのではないでしょうか。

 

また<血液検査や超音波・CT・MRIなどの画像検査で、肝障害を引き起こすほかの病気がないか、NASHの疑いがあるかを詳しく調べます。>とありますが、これは診断の段階的プロセスを弁えない大雑把な説明だと思います。まず、血液検査を行えないかかりつけの先生は、日本のどこにいらっしゃるのでしょうか。次に超音波検査ですが、これはかかりつけ医でも実施できるところが増えています。詳しい病歴に加えて血液検査と超音波検査が実施できれば、その段階でNASHを疑う可能性の少ないNAFLDであるのかどうかの検討がつきます。NASHのリスクが高いケースのみを肝臓病専門医に紹介するのが、常識のあるかかりつけ医だと思います。

 

杉並国際クリニックの方針としては、「脂肪肝の疑いがある」と判断した段階で、上記のような基本的診察や検査を院内ですべて行ったうえで、早期に脂肪肝の傾向を緩和するための手立てを講じることにあると思います。脂肪肝という病態を解消することができればNAFLDやNASH予防にとってとても有用だからです。仮にボーダーラインのケースであっても、たとえば3か月後、あるいは半年後の経過観察や検査の再検の結果、悪化の兆しが見られた段階で肝臓専門医に精査目的で紹介することで十分な対応が可能であると考えています。

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

 

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、NASH・NAFLDの診療ガイド2010 を採り上げることにしました。

 

Q&Aをご紹介した後、杉並国際クリニックの立場からにて、解説を加えてみます。

 

 

Q4

NAFLD/NASHになるメカニズムは?

 

A4 

肝臓は、腸で消化・吸収したさまざまな栄養素を取り込んで分解したり新たに合成したりして、バランスよく全身に供給する大事な役割を担ってくれます。食事でとった糖分は、通常はグリコーゲンとして肝臓に一時的に貯蔵されますが、過剰な糖分は中性脂肪に変換されて肝臓にたまります。食事で余分にとった脂肪分はもちろんのこと、蛋白質が分解されてできるアミノ酸も過剰な分は脂質に変換されます。

 

食べ過ぎや運動不足などのために食事でとったカロリーが消費量を上回ると、肝臓で中性脂肪が多く作られ、脂肪肝となります。

 

また、肥満の人では血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなり(これを“インスリン抵抗性”といいます)、このことによっても肝臓で中性脂肪をたくさん作るように促されます。

 

一方、同じ食事や運動をきたしていても、太りやすい人とそうでない人がいるように、肝臓への脂肪のたまりやすさも体質によって異なります。最近の研究では、脂肪肝になり易い遺伝的素因として、「PNPLA3」などの遺伝子の型が関係していることがわかってきました。また、栄養障害による極度のやせや、医薬品の副作用などで生じる脂肪肝もあります。脂肪肝になると、過剰な栄養素を分解してエネルギーに変える(燃焼する)ときに、活性酸素などの有害な物質が多くできる“酸化ストレス”という状態を引き起こし、肝細胞が傷ついてしまいます。このため、NASHの患者さんでは、酸化ストレスを防ぐ抗酸化剤が治療に有効だと考えられています。

 

また、NASHには腸内細菌のバランスの変化や免疫系の反応なども影響しており、肝臓で炎症が強まって線維が増えることで肝硬変へと進行する過程だけでなく、肝癌を発症するステップにも重要な役割を果たしていることが明らかにされつつあります。

 

 

杉並国際クリニックの立場から

NAFLD/NASHとは、まず肝臓の病気であること、この病気は肝臓に中性脂肪が蓄積することによって起こる脂肪肝がスタートであることがポイントです。

そして脂肪肝になると、過剰な栄養素を分解してエネルギーに変える(燃焼する)ときに、活性酸素などの有害な物質が多くできる“酸化ストレス”という状態を引き起こし、肝細胞が傷ついてしまうことで病気が進展していきます。

 

ここで、脂肪肝について補足説明をします。脂肪肝には、肥満や糖尿病に伴う過栄養性とアルコール性があります。NAFLD/NASHは過栄養性の脂肪肝から発展したものです。脂肪肝の発症は、肝臓が発する生活習慣に対するイエローカードであり、動機付け面接法などを取り入れて患者教育と生活指導を十分に行うことが大切です。

 

なおNASHの患者さんの治療では食事と運動による体重の減量が基本なので、可能であれば水氣道®など医学的に適切に管理された有酸素運動をはじめることをお勧めします。このようなNASHの患者さんには酸化ストレスを防ぐ抗酸化剤が治療に有効なので、ビタミンEやウルソデオキシコール酸を処方して改善を図ることがあります。また、糖尿病を併発されている方には、インスリン抵抗性改善薬などの有効性が報告されています。

 

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

 

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、

NASH・NAFLDの診療ガイド2010

を採り上げることにしました。

 

 

Q&Aをご紹介した後、杉並国際クリニックの立場から、解説を加えてみます。

 

Q2

NAFLD/NASHの患者さんはどれくらいますか?

 

A2 

NAFLDの有病率は、日本では9~30%と報告されており、患者さんは全国で1,000万人以上いると考えられています。肥満の人やメタボリックシンドロームの患者さんの増加に伴って患者数は増えており、とくに肥満男性の増加が社会問題となるなかでNAFLDの男性も増えていることが懸念されています。また、日本におけるNAFLDの年齢分布は、男性は中年層、女性は高齢層に多い傾向であることが報告されています。

 

NASHの有病率は3~5%と推定されています。全国の肝硬変患者さん約33,000人の原因を調査した報告では、約3/4はウイルス性肝炎が原因で、NASHは2.1%でした。NASHの年齢分布については明確なデータはありません。

 

小児のNAFLDの有病率は少なくとも3%と報告されていますが、年齢の上昇とともにNAFLDの有病率は上昇します。小児のNASHの有病率については明確なデータはありません。

 

メタボリックシンドロームがあるとNAFLDやNASHを発症しやすく、とくに肥満(ウェスト周囲径の増大)はNAFLDやNASHの強い危険因子であり、また高血糖や脂質異常も主要な危険因子です。NAFLDの人がメタボリックシンドロームを合併している場合は、NAFLではなくNASHの可能性が高くなります。

 

 

杉並国際クリニックの立場から

NAFLD(あるいはNASH)とかNASHの略号が使われているので、とっつきにくく難しく感じられそうです。そこで、まずおさらいです。

 

イニシャルのNAは英語表記のnon alcoholicの頭文字で、“非アルコール性”を意味します。‘肝臓’という名詞は英語でLiver、形容詞である‘肝臓の’は英語でhepaticと表記するので、少し複雑ですが、要するに、お酒をあまり飲まない人に生じる肝臓病です。この肝臓病の原因は肝臓の組織に蓄積する脂肪です。‘脂肪’は英語でFatといいますが、‘脂肪の’という形容詞になるとfattyになり、さらに‘脂肪性肝炎’などの場合には、steatohepatitisという表現になり英語のネーティブでも難しい表現になります。ちなみにhepatitisとは肝炎を表します。

 

さて、ここで再確認しておきたいことは、お酒をあまりのまなくてもおこってしまう肝臓病であるNAFLDの患者さんが日本全国で1,000万人以上もいて、ざっと10人に1人がかかっている、いわば国民病であるということです。とくに肥満傾向の中年男性や高齢の女性に対しては、これまで以上に慎重に肝機能検査を実施したり、超音波検査で確認したりする必要があると思われます。

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

 

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、NASH・NAFLDの診療ガイド2010

 を採り上げることにしました。

 

Q&Aをご紹介した後、杉並国際クリニックの立場からにて、解説を加えてみます。

 

 

Q1

NAFLDやNASHってどんな病気ですか?

 

A1 

肝臓に脂肪が多くたまった状態が脂肪肝です。脂肪肝には、お酒を飲み過ぎた人がなるアルコール性脂肪肝と、お酒をあまり飲んでいないのに肝臓に脂肪がたまってしまう非アルコール性の脂肪肝があります。

 

お酒の飲み過ぎは脂肪肝に留まらず、肝炎や肝硬変になることがよく知られていますが、お酒をあまり飲んでいない非アルコール性の脂肪肝の人でも同じように肝臓の病気が進行してしまうことがあります。

 

このように非アルコール性の脂肪肝から脂肪肝炎や肝硬変に進行した状態までを含む一連の肝臓病のことを「非アルコール性脂肪性肝疾患」(英語表記non alcoholic fatty liver diseaseから「NAFLD(ナッフルディー)」)といいます。

 

つまり、NAFLDはアルコールを除くいろいろな原因で起こる脂肪肝の総称です。その多くは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴っていて、メタボリックシンドロームの肝臓病と考えられています。

 

“非アルコール性”とはいえ、一滴もお酒を飲まない人だけではなく、少量の飲酒をしている人にみられる脂肪肝もNAFLDに含まれます。1日あたり純エタノールとして男性で30g以上、女性では20g以上のお酒を毎日飲み続けるとアルコール性肝障害を起こすことがあるといわれており、これはビールならば男性で1日あたり750mL(大瓶1本強)、日本酒なら1合半、ワインはグラス2杯半、ウィスキーではダブルで1杯半に相当します。つまり、此れよりも1日の飲酒量が少ない人(女性ではその2/3より少ない人)にみられる脂肪肝がNAFLDということになります。

 

NAFLDのうち80~90%は長い経過をみても脂肪肝のままで、病気はほとんど進行しません。これをNAFLDの病気を意味する「D(Disease)」を除いてNAFL(ナッフル)といいます。しかし、残りの10~20%の人は徐々に悪化して、肝硬変に進行したり、なかには肝がんを発症したりすることもあります。

 

この脂肪肝から徐々に進行する肝臓病のことを「非アルコール性脂肪肝炎」(英語表記non alcoholic steatohepatitisから「NASH(ナッシュ)」といいます。

 

NAFLDは、非アルコール性で超音波検査やCT検査などの画像検査で脂肪肝の所見があって、他の肝臓の病気がないことを確認すれば、診断することができます。一方、NASHは肝臓の組織を調べる肝生検をしないと確実に診断することができません。

 

 

杉並国際クリニックの立場から

解り易い解説だったと思いますが、いかがでしょうか。

ポイントを列記して、コメントを述べます。

 

1)メタボリックシンドロームは肝臓病を引き起こすことがある

⇒メタボリックシンドロームでは肝機能検査や腹部超音波検査が有用です

 

2)お酒をあまり飲まない人でも脂肪肝や肝炎、肝硬変、肝癌になることがある ⇐ お酒をあまり飲まない方にとって、肝臓病は盲点です

 

3)女性では男性の3分の2のアルコール摂取量でアルコール性肝障害をおこすことがある ⇒ お酒の好きな女性は要注意です

 

4)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、非アルコール性であることを確認し、超音波検査などの画像検査で脂肪肝の所見があって、他の肝臓の病気がないことを確認すれば診断できる

⇒ 杉並国際クリニックで診断することができます。

 

5)非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝生検をしないと確定診断ができない ⇒ 杉並国際クリニックでは肝生検を実施していないので、確定診断が必要な場合は、肝臓病専門病院に紹介することになります。

 

しかし、高円寺南診療所時代の30年間では、ほとんどが脂肪肝どまりであり、例外的に肝硬変や肝癌を発見することがありました。脂肪肝の段階で原因となる飲酒習慣やメタボリックシンドロームの是正にむけての介入を行うことによって改善もしくは現状維持をはかることができました。肝生検をしなければならない状態まで放置しないことが肝要だと思います。

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

 

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、

NASH・NAFLDの診療ガイド2010

 

 を採り上げることにしました。

 

 

そこで、以下のメッセージが書かれていましたので、ご紹介した後、杉並国際クリニックの立場から、解説を加えてみます。

 

NASH・NAFLDの診療ガイド2010要約版の公開について

 

※    NASH・NAFLDの診療ガイド2010 

 

わが国の肝癌はC型肝炎などウイルス性肝疾患が大部分を占めていましたが,最近では非ウイルス性の症例が増加しており,その多くはNASHなど脂肪性肝炎に起因すると考えられています。

 

特に,2014年以降はC型肝炎に対するdirect-acting antiviral agent(DAA)が次々と登場する見込みで,肝癌対策におけるNASH,NAFLDの重要性が増しています。

 

日本肝臓学会は2010年に「NASH・NAFLDの診療ガイド」を発表し,今後はその改訂作業を進める予定です。そこで,同改訂版を発表するまでの期間,診療ガイド2010年の要約版を公開することにしました。日ごろの診療にご利用いただくとともに,改訂版の作成に向けて,ご意見をいただければ幸いです。

 

平成26年10月15日

 

 

 

杉並国際クリニックの立場から

NASH・NAFLDの診療ガイド2010要約版の公開についての巻頭文の主旨は、

<わが国の肝癌は・・・最近では非ウイルス性の症例が増加しており,その多くはNASHなど脂肪性肝炎に起因すると考えられています。>

ということと、

<肝癌対策におけるNASH,NAFLDの重要性が増しています。>

 

これを言い換えると、ウイルスではなく脂肪性肝炎に起因するNASH,NAFLDという疾病が増加していて、これが肝癌の原因になるため、肝癌の予防対策のために、日常の診療に役立つ、脂肪肝炎、NASH,NAFLDの対応のための診療ガイドを公表するということになるでしょう。

 

肝臓に脂肪が多くたまった状態が脂肪肝ですが、お酒をあまり飲んでいなくても脂肪肝は発生し、これが進行すると脂肪肝炎や肝硬変になります。この間の一連の肝臓病のことをNASHやNAFLDと呼びます。これらの病態からもウイルス性肝炎のように肝癌発生しやすくなるという事実があります。

 

次回から、しばらくの間、NASH・NAFLDの勉強を続けてみたいと思います。

日本消化器病学会ホームページ

 

を検索してみました。

すると、

患者さんとご家族のためのガイド

が公開されていますので、ご参考になさってください。

 

 

規定により直ちに転載できませんので、「消化性潰瘍」の概要を紹介し、コメントを加えることにしました。

 

Q10 

消化性潰瘍の予防は、どのようにするのでしょうか?

 

Q10-1

消化性潰瘍の予防は、どうするのでしょうか?

 

 

消化性潰瘍の多くは、ヘリコバクター・ピロリ菌感染症が原因です。

ですから、原因菌であるピロリ菌の除菌治療が再発予防のためには有効です。

除菌療法のメリットは、除菌に成功すれば、その後は長期間にわたる潰瘍治療の必要がなくなると考えられているからです。

 

 

Q10-2 

消化性潰瘍の再発を予防するには、どうしたらよいでしょうか?

  

脳卒中や心筋梗塞の再発予防のために少量のアスピリンを長期間処方されている患者さんの場合、以前に消化性潰瘍を発症したことのある人では、アスピリンによる潰瘍再発のリスクが高いといわれています。アスピリンは非ステロイド性抗炎症薬の一種です。このような人にもプロトンポンプ阻害薬もしくはP-CABを併用することが潰瘍の再発予防に有効とされています。

 

なお、変形性関節症や関節リウマチなどで非ステロイド性抗炎症薬の服用を続ける必要がある場合は、なるべくCOX-2選択的阻害薬に変更することを試みます。そして、酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬、P-CAB)により胃酸の分泌を抑えたり、プロスタグランディン製剤により粘膜を保護したりすることによって潰瘍の再発を予防します。

 

潰瘍発症の原因は、他に喫煙やストレスが依然として重要です。ヘリコバクター・ピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬ばかりが注目されていますが、禁煙指導は臨床医としては基本的任務であり、ストレス・マネジメントの重要性は軽視されてはならないものと認識すべきだと思います。

 

 

日本消化器病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、「患者さんとご家族のためのガイド」が公開されていますので、ご参考になさってください。

 

規定により直ちに転載できませんので、「消化性潰瘍」の概要を紹介し、コメントを加えることにしました。

 

 

Q7 

ピロリ菌の除菌治療は、どうするのでしょうか?

 

Q7-1

ピロリ菌の除菌治療は、どんなお薬を使うのですか?

 

A7-1

最初の治療は、胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬またはカルシウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と2種類の抗生物質(アモキシシリン、クラリスロマイシン)を7日間内服します。これらの3種類の薬がパックになった製剤があり、内服を忘れないために便利です。

 

ただし、除菌の成功率は70~90%程度で、失敗の理由としては、①きちんと薬を服用できていなかった場合、②抗生物質が効かない場合(近年では、クラリスロマイシンが効かない耐性菌が増えていることが懸念されています。)

 

なお、除菌治療がある程度成功したように自覚できる場合であっても、ピロリ菌が残っていると、いずれ潰瘍が再発するおそれがあります。そのため、除菌の成否を確認することが重要です。もっとも正確な除菌判定法は尿素呼気試験ですが、プロトンポンプ阻害薬の影響を受けるために、この方法での除菌判定は、プロトンポンプ阻害薬の内服終了から4週間以降に行います。

 

杉並国際クリニック(高円寺南診療所改め)では、ピロリ菌感染の診断には、プロトンポンプ阻害薬の影響を受けず、検査法も煩雑ではない血中抗体検査でピロリ菌除菌後の評価を行っています。検査の結果、1回目の治療で除菌できない場合は、お薬を少し変更して二次除菌を行います。

 

Q7-2

ピロリ菌の二次除菌とは、どんな治療ですか?

 

A7-2 

1回目の除菌が成功しなかった場合に、お薬を替えて行う2回目の除菌療法を二次除菌と呼びます。二次除菌は、プロトンポンプ阻害薬またはP-CAB・アモキシシリン・メトロニダゾールを7日間服用します。

 

二次除菌の際に気をつけるべきこととして、メトロニダゾールの服用時はお酒を飲むことが禁じられています。

 

二次除菌の成功率は約90%であるため、2回の除菌により約97%の人は除菌に成功します。

 

 

Q7-3

二次除菌に失敗した後にも治療できるのですか?

 

A7-3 

二次除菌に失敗しても三次除菌を行うことはできます。しかし、三次除菌は保険診療では行えないため、自費での治療となります。除菌治療による副作用の多くは軽い軟便程度ですが、薬疹や重い下痢が見られた場合は、速やかに主治医に相談するようにしましょう。一度、除菌が成功すれば、ピロリ菌の再感染はまれであり、除菌後にピロリ菌が再陽性となるのは、年間0~2%程度とされています。

日本消化器病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、「患者さんとご家族のためのガイド」が公開されていますので、ご参考になさってください。

 

規定により直ちに転載できませんので、「消化性潰瘍」の概要を紹介し、コメントを加えることにしました。

 

 

Q6 

消化性潰瘍の治療は、どうするのでしょうか?

 

Q6-1

消化性潰瘍は、お薬でなおせるのですか?

 

A6-1 

基本的には内服薬による治療を行います。

胃酸の分泌を抑える薬、胃粘膜の防御機能を高める薬など、

 

 

Q6-2 

消化性潰瘍は、治療をはじめてどのくらいの期間で治せますか?

 

A6-2

通常、薬を始めてから6~8週間で潰瘍は治癒します。

しかし、日常生活全般の改善を図らないと、再発します。

 

Q6-3 

消化性潰瘍は、再発することがあるとのことですが、再発を防ぐにはどのようなことに注意したらよいですか?

 

A6-3

暴飲暴食を避けるなどの食事上の注意や、喫煙やアルコールを控える、ストレス解消に努める、などはよく心がけてください。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していると消化性潰瘍がいったん治っても再発し易いこと、がんの原因になり易いことなどが知られています。

このため、ピロリ菌が見つかった場合には、適切なタイミングで除菌治療を受けることをお勧めします。

 

また、他の病気の治療のために投与される非ステロイド性抗炎症薬やアスピリンなどは、消化性潰瘍の原因になりえます。主治医とともに、なるべく、これらの薬物を減量できるような工夫をはじめましょう。

 

最近はかなり減りましたが、消化性潰瘍の合併症として穿孔(潰瘍が深くなって胃や十二指腸の壁に穴が開いてしまうことで、腹膜炎を発症します)や吐血などがあります。消化性潰瘍の再発防止はとても大切です。