今年の日本リウマチ学会総会・学術集会は、これまでの中で、もっとも大きな収穫がありました。

それは、学術集会に先立つアニュアルレクチャーコースで最新の専門知識がアップデートできたこと、関節エコーライブ&ハンズオンセミナーといって、超音波検査の専門実習(参加者限定)で実践的なスキルアップができたこと、それに加えてMeet the Expertといって、特殊領域のエクスパートのレクチャーに続き、その講師を囲んで臨床に即した質疑応答(参加者限定)に参加でき、日常診療における専門的な課題の克服に大いに役立つ経験ができたからです。

 

そこで今月の木曜日のシリーズは4月14日(日)に開催された日本リウマチ学会総会2019アニュアルコースレクチャーの内容を、

講義録のメモ〔講義録メモ〕

をもとに要点を少しでもわかりやすく<まとめ>皆様にご紹介することにいたします。

 

 

アニュアルコースレクチャーは、2006年より、日本リウマチ学会の学術集会に併せて開催されています。リウマチ学会の中央教育研修会の中心となる7つの講演で、丸一日をかけて1年分のリウマチ医学の最新情報を得ようとするものです。

 

 

昔から難病とされてきた関節リウマチではありましたが、日進月歩の医学の発展により、関節リウマチの疾患活動性のコントロールも充分に可能な状況となりつつあります。そして、寛解状態を目指すことが現実的な治療ゴールになってきました。

 

とりわけ、関節リウマチの薬物療法の進歩は大学病院のみならずリウマチ専門医が勤務する地域のクリニックで高度な対応ができる時代になってきました。

 

しかし、そこで重要なことは、やはり、早期に診断し、速やかに治療を行うことです。

医師免許や博士号などの学位とは異なり、専門医のタイトルは、常にアップデートな情報に触れ、新しい知識を取得しておくことが必須の条件になっています。また、社会環境の変化も重要です。なぜなら、社会が医療に求める内容は、日々めまぐるしく変わって、より高度で有益で安全なものが求められていくからです。それについても、絶えずアップデートされた知識や技術が求められていることを実感しています。

 

 

 

<日本リウマチ学会総会2019アニュアルコースレクチャーのリポート①>

4月14日(日)9:35~10:35am

ACL2:

リウマチ性疾患の遺伝的背景と臨床応用

 

演者:

寺尾知可史 先生(理化学研究所生命医科学センター)

 

 

〔講義録メモ〕

リウマチ性疾患は複合性疾患である:遺伝要因と環境要因

関節リウマチの遺伝率は6割(日本人で推定58%)

ヒトゲノムプロジェクト完了⇒遺伝子多型地図完成⇒一塩基多型(SNP)関連ゲノム解析

影響の強い変異はヒト白血球型抗原(HLA)などに限られ、影響の弱い多型が非常に多く存在することが判明:一部は相互作用やエピスタシス効果を示すものがある。

疾患に関わる重要な分子ネットワークやパスウェイ、細胞が明かになってきた。

 

 

1  関節リウマチの遺伝率

 

Q

「母が関節リウマチなんですけど・・・私も関節リウマチになるのでしょうか?」

 

A

「関節リウマチ発症可能性は、普通の人とほとんど変わらないか、若干高くなる程度です。」

 

 

一塩基多型(SNP)の種類

SNPは数千万個ある

遺伝子変異がどのレベル(染色体、フラグメント、塩基)で長さの変化の有無・配列変化の有無をみる

染色体におけるSNPの組み合わせのことをハプロタイプという。

 

 

目の前の患者さんの遺伝子を調べるとすれば何を調べればよいか?

そこから何がわかるか?

 

関節リウマチの場合であれば、HLA-DRB1を調べると、もっとも多い情報を得ることができる(関節リウマチの50%の遺伝子要因を説明)

 

 

2  関節リウマチの疾患感受性の遺伝学

 <関節リウマチに成り易さの予測>

HLA(ヒト白血球抗原)領域:HLAは白血球の血液型である

HLA-DRB1はACPC(+)関節リウマチとACPC(-)関節リウマチで、関連性が大きく異なる

 

ACPC(-)関節リウマチに関連するHLA-DRB1アレルが存在し、RFの有無によって遺伝的に二群に分けられる。

CCP(-)関節リウマチはHLA(DRB1とB)で説明できる。

関節リウマチ関連遺伝子は100以上:PAD14,CCR6、AIRE

メタ解析による9つの関節リウマチの新規感受性遺伝子が同定された。

人類共通の遺伝因子(欧州人と日本人)が多数存在する。

 

 

3.関節リウマチの表現型の遺伝学

 合併症、治療反応性との関連性については良い結果がでていない

 関節所見・活動性・骨破壊

 遺伝性は45-58%の関節破壊を説明する

 

HLA-DRB1*0405はDAS28と独立して骨関節破壊に関連する

リウマチ因子の陽性と力価は関節リウマチ破壊の分布に関連する

抗体力価:リウマチ因子とCCP力価に関わる遺伝子は異なる

 

 

4.遺伝学が病態解明と治療開発とを結びつけることがある

遺伝子解析は疾患の原因を同定できる

遺伝率とは、遺伝要因が説明できる分散の割合を意味する

 

 

 

<まとめ>

医学の基礎研究の努力や結果のすべてが日常診療に直接役立つわけではありません。

 

しかし、研究を続けなければ医学は発展しないことは真理です。関節リウマチの基礎研究では、生まれながらの変異に着目することによって病気の原因を突き止め易くなってきました。そして、こうした研究によって、関節リウマチは、遺伝要因だけではなく環境要因が関与する複合性疾患であることが、よりわかってきました。

 

また、関節リウマチという同一の診断でも、それぞれ異なるタイプがあり、そのタイプを見極めることによって、より効果的で安全な治療戦略を組み立てることができるようになりつつあります。

 

それから日本人とはかけ離れているように思われがちなヨーロッパの人々と共通の遺伝因子が多数発見されたことは、医学の領域を超えて、とてもエクサイティングな発見です。

 

ですから、日本人を対象とする医学研究の成果は、欧州人にも役立ち、また欧州人を対象とする研究も日本人にとって貴重な情報になる、ということを意味します。

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

 

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Q13 

足がつるのはカルシウム不足や骨粗鬆症の危険信号?

 

私はよく足がつるのですが、カルシウム不足が原因でしょうか。

また、足がつるのは骨粗鬆症の注意信号ですか?

 

A

筋肉がつるのは、運動選手のように筋肉を使い過ぎたり、寝冷えや、筋肉の位置が変わってしまうのが主な原因で、まれにカルシウムやマグネシウム不足が関係する場合もあります。悪い夢をみて、うなされて過呼吸をすると血液がアルカリ性になり、一時的にイオン化カルシウムが減って筋肉がつる場合もあります。

 

カルシウム不足の状態が続くと骨粗鬆症の危険性も高くなります。ご心配でしたら検査を受けてみましょう。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

こむら返りになる原因は、はっきり解明されていません。しかし、誘因としては冷えやミネラル不足、筋肉の疲労、運動不足などが挙げられます。その他には、女性では妊娠中にもよく起こります。 寝ているときによく足がつる人で、膝の裏などの血管の凸凹が目立つ場合は、下肢静脈瘤の可能性も考えられ、足のむくみが関係していることもあります。

 

たしかにカルシウムやマグネシウム不足が関係する場合もありますが、まれです。むしろ水分やカリウム不足の影響が多いと思います。

 

特に水分は水氣道®の稽古中にも喪失するためか、しばしば稽古中に発生します。そこで、稽古前には水分補給に注意するように、折に触れて指導しています。稽古を継続して、体力が増すにつれて、足がつる頻度は減少し、いずれは起こらなくなります。

 

水を吸収するのにも時間か必要なので、 稽古の直前・直後だけでなく、朝起きた時からこまめに水分を補給する必要があります。それに加えてカリウム不足にならないようにします。生の果物や野菜に多く含まれている糖質やビタミンの補給もかねて朝食や稽古前の補食に100%の野菜ジュースを追加することもお勧めです。

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

 

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Q12 

カルシウムの摂取量が少なかった時代よりも、現代人の骨が弱いのはなぜ?

 

A

昔の日本人は、カルシウムを1日に400mg以下しか摂取していなかったとききましたが、現代人よりも骨は強かったはずです。カルシウムだけを摂取しても骨は強くならないと思いますが、いかがでしょうか。

 

また、カルシウムを摂取する場合、日本人は「乳糖不耐性」の人が多いため、牛乳を飲むよりも、昔から食べてきた大豆製品や、小魚、海藻類をとる方が安全ではないでしょうか。

 

昔と現在の日本人の骨の強さは正確に比べられませんので、「現代人の方が骨が弱い」と断定はできませんが、確かに、子供の骨折が増えているなどの報告はあります。骨の強さや骨折の危険度は、運動で養われる筋力や平衡機能などが関係しているので、運動不足や、栄養過剰による肥満が骨を弱くする原因になっている可能性もあります。

 

なお、カルシウムの吸収率は、総カロリーやタンパク質の摂取量が関係しています。タンパク質をとりすぎると、尿の中にカルシウムを排出するため、高カロリー、高タンパクの食事でカルシウムを大量に摂取しても、昔の一般的な食生活ほど吸収率は高くないかもしれません。

 

牛乳はタンパク質や、大量に摂取するとカルシウムの排出を妨げるリンを含んでいるため、理想的なカルシウム補給源とは言えない部分もありますが、カルシウムを手軽に摂取できる食品であることは確かです。例えば、大豆製品や小魚、海藻などは、単位重量あたりのカルシウム量は多くても、一度に大量に食べられないため、カルシウムの総摂取量を上げるためには、牛乳を含めたバランスの良い食事が欠かせません。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

公益財団法人骨粗鬆症財団が、このような思い込みと決めつけの甚だしい素人の質問を律儀に受けて、ホームページで誠実に回答しよう姿勢に学ぶことは少なくありません。このような質問を投げかけてくる患者さんに、納得がいくような説明をすることは容易ではありません。

 

それでは、この質問者が、昔の人より<現代人の骨が弱い>と確信するに至ったのには、理由があって、その過程を想定してみることも、ときには必要かもしれません。

 

子供の骨折が増えている報告がありますが、骨折が増えている原因を骨が弱いからだと決めつけるのは早計だと思います。部活動をしている子供の方が、しない子供より骨折が多いという報告があるからです。子供は部活動をすると骨が弱くなるということではなく、単に骨折する機会が増えるからと考えることも可能でしょう。そのように考えると、骨粗鬆症財団の回答は質問者に寄り添ってはいますが、それがかえってアダとなって的外れのコメントになっている可能性があることを指摘しておくべきでしょう。

 

質問者は、また<昔の日本人は、カルシウムを1日に400mg以下しか摂取していなかったとききましたが、現代人よりも骨は強かったはずです。>と、更なる断言を重ねています。<昔の日本人は、カルシウムを1日に400mg以下しか摂取していなかった>という不確かな伝聞情報をもとに、無理やり<昔の日本人は、現代人よりも骨は強かったはずです。>という結論に結び付けているようです。これも素人の患者さんにありがちな論理の飛躍です。

 

まず、昔の日本人とはいつの時代の日本人のことでしょうか。いずれにしても、<昔の日本人は、カルシウムを1日に400mg以下しか摂取していなかった>という表現には、現代の日本人は昔の人より豊富にカルシウムを摂取しているという思い込みがあるようです。

 

しかし、現在に至っても日本人は慢性的なカルシウム不足だと言われています。実は現代の日本人のカルシウム摂取量も1日に400mg程度です。『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版』では1日700〜800㎎のカルシウムの摂取を勧めていますのでカルシウムはほとんどの世代で不足しています。 それから、摂取すべき栄養量は性別や年齢によっても変わりますが、身長や体重などの体格にもよります。

 

たとえば日本人の平均身長推移は過去60年で、男女とも10cm以上伸びています。その分だけより多くのカルシウムの摂取が必要となってきます。骨粗鬆症財団の回答は、こうした基礎データを検討せずに安易にコメントしているので、質問者の素朴な疑問に対して、余りにも無責任であるといわざるをえません。

 

質問者自身の論理から導かれた疑問である<カルシウムだけを摂取しても骨は強くならないと思いますが、いかがでしょうか。>という問いの意図は、骨の強化に対するカルシウム摂取の必要性に対する疑念であることを、まず読み解かなければならないはずですが、現代人は体格に見合ったカルシウムを慢性的に摂取できていない事実から示してさしあげることが親切というものではないでしょうか。その前提を踏まえたうえで、カルシウム以外の栄養摂取の必要性や運動などの重要性についてお答えすることが大切だと思います。

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

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Q11

妊娠中の食生活について

 

いとこが妊娠しているのですが、つわりで気分が悪いため、食事が偏ってしまうようです。妊娠中は、子供にカルシウムが移行するので骨粗鬆症になりやすく、食生活で予防した方が良いときいたのですが、どんな食事を勧めれば良いのでしょうか

 

A

新生児の体内のカルシウム総量は約30gで、これは臍帯を通じて母体から胎児に移行したものです。

「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、妊娠・授乳中には700mg/日のカルシウム摂取が勧められています。20~39歳の女性のカルシウム摂取量は476mg/日しかありませんので、毎日の食事から十分な量のカルシウムを摂取する必要があります。食事からとれない場合は牛乳やバター・チーズなどの乳製品の利用を考えましょう。

 

ところで、「現在つわりが発現している」とのことですが、つわりは多くの妊婦(約 90%)が経験する症状で、おおよそ妊娠14~16週には消失し、その後少しずつ食欲が高まってきます。つわりの最中は食欲低下が生じることが多いため、無理をしないで、食べたいものを食べることが大切です。

 

妊娠期の栄養管理は、骨だけでなく、母胎や胎児の健康管理の面からもたいへん重要です。つわりの症状が軽減してきたら、体重管理などに注意を払いながら、不足しがちなカルシウムや鉄をはじめとする栄養素等の摂取に努めてください。

 

【つわりの際の健康管理のポイント】

1.起床時や空腹時には簡単に食べられる食品を用意しておく。

2.脂っこいものや刺激の強いものは避ける。

3.食欲がない場合には、酸味のあるもの、冷たいものを利用する。

4.水分の補給を行う。

5.便秘にならないように気をつける。野菜、果物、いも類、海草類など、繊維の多いものを食べるよう心がける。

6.食事の回数を多くして、一回の食事量は少な目にする。

7.周囲の人に、つわりは正常に妊娠が進行している証拠であることを理解してもらい、両親や夫の援助を受ける。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

この質問の相談者は、ご自分自身の相談ではなく、ご自分のいとこについての相談ということです。この相談者の年齢はともかく、妊娠中のいとこのかたは、生殖可能年齢であることになりますが、高齢出産なのでしょうか。

 

このように間接的な相談内容をQ&Aに掲載することは、あまり推奨すべきではないのではないかと思います。なるべく個別具体的でかつ、小児や障害のある方等でない限り、直接的な相談に応じることが臨床家の鉄則だと思います。

 

「妊娠中は、子供にカルシウムが移行するので骨粗鬆症になりやすく、食生活で予防した方が良いときいた」とのことですが、どなたから聞いたのでしょうか。このような一般的な質問であれば、アステラス製薬のHPのQ&Aがすっきりまとまっていますので紹介しておきます。

 

骨粗鬆症Q&A

妊娠すると骨粗鬆症になりやすいのでしょうか?

 

Answer

胎内の赤ちゃんの骨を作るのに必要なカルシウムを補うために、母親の骨からカルシウムが溶け出し、骨密度(骨量)が低くなることがあります。

 

妊娠中、赤ちゃんは胎盤をとおして母親の体から栄養をもらいます。赤ちゃんの骨が作られる時期になると、カルシウムなどの栄養がより多く必要になりますが、母親が食事からカルシウムを十分にとっていないと、母親の骨からカルシウムが溶け出してこれを補います。このような状態が続くと、母親の骨密度が減り続け、その結果、歯がもろくなったり、骨粗鬆症が起こることもあります。妊娠中はとくに、カルシウム不足にならないよう注意しましょう。

 

 つぎに、相談者が心配していることは、妊娠中のいとこが、「つわりで気分が悪いため、食事が偏ってしまう」ということのようです。相談者に対して責任をもって回答するためには、相談者からさらなる情報を収集することが欠かせません。つわり、妊婦にとって生理的な生体反応であることが多いのですが、妊娠悪阻(にんしんおそ)との鑑別が大切です。妊娠悪阻はつわりが重症化した状態なので、原因と発症時期はつわりと同じです。最初は軽いつわりから始まり、徐々に症状が悪化してきて妊娠悪阻の状態になっていきます。

 

妊娠悪阻の症状は、軽度の第1期から重症の第3期までの3段階にわけられます。

 

第1期(嘔吐期)

悪心(おしん)や嘔吐がひどく、食べられません。

悪心とは吐き気を感じたり、胸がムカムカしたりする症状です。

胃の中に食べ物がないのに嘔吐するため、胃液や血液を吐いてしまいます。

食べられない、もしくは食べても吐いてしまうため、体重減少が起こってきます。

水分さえも取れないと、身体が脱水状態になるため、「口の中が乾く」「だるくて仕方がない」「頭痛やめまいがする」といった症状が出ます。

脱水状態のため、尿量が減り、尿中タンパクが陽性になります。

人によっては、便秘になることがあるようです。

 

 

第2期(腎障害期)

第1期の症状が悪化し、尿検査でケトン体が陽性になり、代謝異常による中毒症状として血圧低下が起こります。

食べ物、飲み物さえも受け付けないため、ママの身体は飢餓状態になってきます。

飢餓状態になると、人間の身体は蓄えられている脂肪を分解して生命を維持しようとします。

ケトン体は脂肪を分解する過程で作られる物質です。

ケトン体が尿中に出てくることで、飢餓状態になっていると診断されます。

第2期になると、入院が必要になることがあります。

 

 

第3期(脳障害期)

幻覚、幻聴、意識障害などの脳神経症状があらわれます。

ここまで重症になると、母体、胎児ともに危険な状態です。

妊婦を継続することで母体の生命に危険がおよぶと医師が判断した場合は、人口妊娠中絶をしなければならないケースが出てきます。

妊娠悪阻は急に第3期の症状があらわれるのではなく、第1期から第2期、第3期へと症状が重症化していきます。

しかし、早い段階で病院を受診し、医師の治療を受ければ大事に至らなくてすむケースがほとんどです。

 

 

限られた情報の中で、相談者からの質問である「どんな食事を勧めれば良いのでしょうか」に答えるためには、少なくとも相談対象である妊婦の方の医学的プロフィールに加えて、つわりの重症度などを聴き取ったうえで、個別具体的になされるべきであると思われます。

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

 

Q9

カルシウムと各栄養素の摂取比率と安全量について

 

骨粗鬆症治療のために、薬と食品で毎日カルシウムを約2,000mgとっていますが、吸収率を上げるためにはマグネシウムなどの栄養素も必要とききました。各栄養素の摂取比率と、安全な摂取量について教えてください。

 

栄養素等摂取量やバランスについては、以下をご参照ください。

 

 

「食事摂取基準」によるミネラルの1日あたりの上限量

上限量:

「ほとんどすべての」人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない最大限の量

例)

カルシウム……2300mg(18-70歳)

 

鉄…………………40mg(15-49歳)

 

リン……………3500mg(18-70歳)

 

マグネシウム… 通常の食品以外からの摂取量の上限は350mg(成人)

 

 

ミネラルのバランス

例)

カルシウム/リン比………………0.5~2の範囲

 

カルシウム/マグネシウム比……2:1程度

 

カルシウム600mgに対してリンを1200mg以上摂取すると、カルシウムの腸管からの吸収阻害のリスクが増加します。

 

 

カルシウムの腸管からの吸収に関わる因子

 

 吸収促進因子:ビタミンD、乳糖、カゼインホスホペプチドなど

 

吸収阻害因子:リン、食塩、アルコール、カフェインの過剰摂取

 

 

[栄養素以外にも、喫煙、不動(運動不足)などを含みます]

骨粗鬆症の治療においては、充分な量のカルシウムやビタミンDの摂取は効果的に働くと考えられます。毎日の食事のエネルギー摂取量をはじめとして、たんぱく質、脂質、ミネラル、ビタミン類が過不足なく適正量摂取できるように注意を払ってください。

 

ただし、カルシウムやマグネシウムの摂取のみで骨粗鬆症は治りません。医療機関で適切な治療を受けてください。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

栄養学、とりわけ臨床栄養学とは各栄養素の摂取量と栄養素間のバランスや相互作用の学問であるともいえます。栄養素のバランスとは摂取栄養素間の比率といってもよいでしょう。ただし、それらの摂取量の算定には連立方程式を解くようなややこしさを伴いますが、なるべく優しく解説してみましょう。

 

カルシウムと各栄養素の摂取比率

カルシウム/リン比:0.5~2、カルシウム/マグネシウム比:2:1程度

 

<薬と食品で毎日カルシウムを2,000mg>をとっているとすれば、

カルシウムとの関係でリン、マグネシウムの摂取量は、それぞれ

リン1,000~4,000mg、マグネシウム1,000mg程度ということに、一応はなります。

 

 

カルシウムと各栄養素の安全量について

カルシウム2300mg(18-70歳)、リン3500mg(18-70歳)、

マグネシウム350mg(成人、通常の食品以外からの摂取)

 

<薬と食品で毎日カルシウムを2,000mg>をとっている人が18ないし70歳だと仮定するならば、カルシウムの摂取量は安全量の範囲です。そこで、この人のリン摂取量をカルシウム/リン比0.5~2に基づき単純に算定するとリン摂取量は1,000~4,000mgになります。しかし、この人がリンを4000mg摂ってしまうと3500mgの安全量を超えてしまうことになります。安全量を考えると、この人のカルシウム/リン比は2000mg/3500mgすなわち、0.571であることから、カルシウム/リン比は0.5~2でなく、0.58~2に修正されなければならないことになります。

 

世間では、商業主義に煽られて、サプリメントブームですが、各栄養素を必要以上摂取していればよい、というわけではありません。ミネラルやビタミンにはカロリーが無く、安全であるという先入観を持っている人が大多数のようですが、これが大きなピットホール(落とし穴)です。ミネラルやビタミン(とりわけ脂溶性ビタミンであるビタミンA,D,Eなど)は過剰に摂取すると種々の過剰症を生じます。また、上記の例でも説明したように栄養素間の摂取バランスを崩してしまうことにもなりかねません。

 

<骨粗鬆症の治療においては、充分な量のカルシウムやビタミンDの摂取は効果的に働くと考えられます。毎日の食事のエネルギー摂取量をはじめとして、たんぱく質、脂質、ミネラル、ビタミン類が過不足なく適正量摂取できるように注意を払ってください。>と解説している背景は、こうしたことを踏まえてのアドバイスであることを押さえておきましょう。

 

ただし、すでに骨粗鬆症の診断を受けている方は、

<カルシウムやマグネシウムの摂取のみでは治りません。医療機関で適切な治療を受けてください。>とありますが、その通りです。これからも、一緒に勉強を続けていきましょう。

 

りうまち

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

以下のHPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。

 

骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

 

Q

カルシウムのサプリメントの吸収率はどれくらいでしょうか。

また、サプリメントで骨粗鬆症は予防できますか

 

 

A

不足しがちなカルシウムを補給するためには、毎日3度の食事のバランスが重要です。しかし、どうしても補えない日があればサプリメントからの補給もやむを得ないでしょう。

 

サプリメントに含まれるカルシウムの吸収率は、第6次日本人の栄養所要量におけるカルシウム所要量の算定に適用されたデータによると、乳児は50%、1~11歳は40%、12~17歳は45%、18~29歳では35%、30歳以降は30%となっています。

 

生体内におけるカルシウム吸収は、カルシウム源の違いや、同時に摂取する食物の栄養因子や、さまざまな生体の内因性因子(生体のカルシウムに対する必要度、健康状態、年齢、身体活動量など)によって、その吸収率は異なります。なお、サプリメントを摂取するタイミングは、空腹時よりも食事時のほうが吸収率がよいことから、食事のときに補給しましょう。

 

普段の食事に加えて、サプリメントからカルシウムを補給した介入試験では、骨量が増加し、さらには骨折予防効果も示したとする結果が、国内外において数多く報告されています。

 

食品でいえば、たとえば、牛乳は、カルシウム供給源として含有量のみならず吸収率においても優れた食品です。ヒトを対象にした食品別カルシウム吸収に関する研究結果においても、カルシウム吸収率は、牛乳39.8%、小魚32.9%、野菜19.2%を示し、牛乳に含まれる乳糖およびCPP(カゼインホスホペプチド:牛乳のタンパク質の主成分であるカゼインが消化される過程で生成される代謝産物)がカルシウムの吸収を促進していると考えられます。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

カルシウムのサプリメントの吸収率が、乳児は50%、1~11歳は40%、12~17歳は45%、18~29歳では35%、30歳以降は30%となっているとのことです。

 

ここで、検討すべきは、30歳以降の吸収率が一律30%なのかどうか、ということです。また、その根拠を第6次日本人の栄養所要量におけるカルシウム所要量の算定に適用されたデータに求めていますが、摂取するサプリメントに含まれるカルシウム量と吸収率の積が重要な意味を持つはずです。

 

しかも、カルシウム吸収率は、平均値に過ぎません。また、空腹時より食事次の吸収率が高い、ということは、サプリメントは食事の代わりにはならないことを意味します。つまり、食事を補完するというサプリメントの本来の意味に立ち戻る必要があります。

 

サプリメントで骨粗鬆症は予防できるか、という問いに対しても、サプリメント単独で骨粗鬆症を予防できる証拠はありません骨量が増加し、さらには骨折予防効果も示したとする結果が、国内外において数多く報告されていますが、それは、あくまでも「普段の食事に加えて」ということが重要です。これらの介入試験では、「普段の食事に加えて」サプリメントからカルシウムを補給していることを改めて確認しておくべきでしょう。

りうまち

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

HPで確認することができます

 

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。

 

骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

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Q6

「骨粗鬆症にはビールが良い」というのは本当ですか

 

A

2002年7月19日から開催された「第56回日本栄養・食糧学会」(北海道大学)において、動物モデルを用いたビールの骨密度減少抑制作用に関する研究が報告されました。これによると、ビールに含まれるホップ成分に骨密度の減少を抑制する作用がある可能性を示し、ラットでの結果を人に換算したところ、ビールの適量摂取(体重60kgの成人で約100mLに相当)が、骨密度減少に効果的に働き、骨粗鬆症発症のリスクを低減する可能性が示されています。

 

アルコールは百薬の長と言われますが、適量を守り、週に1日は休肝日を設けて、健康維持に努めましょう。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

ビールが骨粗鬆症に良いとは直ちにはいえません。「骨粗鬆症にはビールが良い」というのは三重の拡大解釈であり、科学的見解とは程遠い、商業主義的キャッチに他なりません。

 

まず、第一に研究で用いられたのはビールではなくてホップ由来の苦味成分イソアルファ酸の還元体である、テトラヒドロイソアルファ酸です。第二に、骨粗鬆症とはいっても、対象はヒトの骨粗鬆症ではなく老年性骨粗しょう症モデルマウスです。第三に、骨粗鬆症の治療効果ではなく、あくまでも破骨細胞による骨吸収抑制です。

 

このキャッチの根拠は、サッポロビール(株)が、東京農業大学応用生物科学部栄養科学科と行ったかつての共同研究です。この研究によると、ホップ由来の苦味成分イソアルファ酸の還元体である、テトラヒドロイソアルファ酸(以下、THIAA)について、細胞実験および動物実験で骨粗しょう症予防効果を老年性骨粗しょう症モデルマウスで検証しました。その結果、THIAAの老年性骨粗しょう症予防効果が明らかになり、そのメカニズムは、破骨細胞による骨吸収の抑制に起因することが分かりました。

 

国際骨粗鬆症財団は、骨質を高め、骨折を防ぐために、次の6項目の生活スタイルを勧めています。多くは糖尿病の食事療法や運動療法と重なっています。糖尿病を改善するための生活スタイルは、骨粗鬆症の予防にも役立つことになります。

 

①過度のアルコール摂取に注意

適度な飲酒をしている人では、骨粗鬆症のリスクが低下するという報告もありますが、適量飲酒と自己判断している人の多くが過量飲酒者です。そして過度のアルコール摂取も骨粗鬆症のリスクを高めます。エタノール換算で1日に24g以上を摂取している人は、大腿骨近位部骨折のリスクが70%上昇します。 なお体重の少ないやせた女性ほど、アルコールの弊害を受けやすいので注意が必要です。 ホップが実験動物だけでなくヒトの骨粗鬆症予防に役立つとしても、過度のアルコール摂取となると、逆効果でさえあります。

 

 

 ②体重をコントロールする

肥満は骨粗鬆症の危険因子となるが、やせも骨粗鬆症の発症リスクを高めます。ダイエットをして体重が急激に減ると、骨粗鬆症のリスクが高まります。ダイエットで栄養が不足すると、必要なカルシウムの摂取量も減少するからです。 BMI(体格指数)が18.5以上25未満の標準体重を維持することが重要です。

 

ホップ自体にはカロリーはありませんが、ビールもアルコール飲料ですからカロリーは低くはありません。ノンアルコールビールにも麦芽を使用していますから飲み過ぎれば、ビール太りします。これに対してカロリーゼロのホップ飲料は肥満防止には有益かもしれません。もしビールを飲んで肥満になれば、ホップの効果が打ち消されてしまい、骨粗鬆症予防の目的を果たすことはできなくなることでしょう。

 

 

②バランスの良い食事

カルシウムと、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食品をとることが大切。ブロッコリーやホウレンソウ、納豆などに含まれるビタミンKにも、骨を作る働きを促す作用があります。 

 

 

③骨を強くする運動

骨を丈夫にするために、年齢を重ねるとともに運動がますます重要になります。ウォーキングなどの有酸素運動に筋力トレーニングを取り入れると、いっそう効果的です。

 

閉経を迎えた女性がウォーキングなどの運動をすると腰椎骨密度が上昇しますが、さらにジョギング、ダンス、ジャンプなどのより負荷の大きい運動をすると大腿骨近位部骨密度が上昇することが確かめられています。

 

水氣道は、ウォーキングより負荷の大きい水中運動です。しかもジョギング・ダンス・ジャンプなどのすべての要素を体系的に盛り込んでいるため、理論上、骨密度増加には理想的であり、参加者の個人データや集計データでも骨量増加が実証されています。

 

 

④たばこを吸わない

喫煙は骨粗鬆症のリスクを高め、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、大腿骨近位部骨折のリスクが2倍近く上昇することが明らかになっています。

 

 

⑥検査を定期的に受ける

40歳を過ぎたら、医師に骨の健康状態を評価してもらうことも必要です。

高円寺南診療所では、45歳以上を目安に骨量をチェックしてきましたが、

杉並国際クリニックでは、40歳以上を対象にする予定です。

 

 

りうまち

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

 

Q5

「炭酸飲料や酢を飲むと骨が溶ける」と聞きましたが本当ですか

 

A

炭酸飲料の飲用が直接骨に影響を及ぼすことはありません。しかし、1日に多量の炭酸飲料等を飲んでいると、糖分のとりすぎのほか、肝心な1日3度の食事がおろそかになりがちです。

 

また、毎日酢を飲んだとしても、骨は溶けません。食材としての酢は酸性で、料理などで、魚の骨を軟らかくするために酢を利用することはありますが、体の中ではカルシウムの吸収を助ける作用があります。食物に含まれるカルシウムは、胃に入ると胃液(胃酸)によって溶けて、吸収しやすい状態になりますが、酢は胃酸の分泌を促す効果もあり、カルシウムの吸収に効果的に働いていると考えられます。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

炭酸飲料や酢を飲んで溶けるのは骨ではなく歯です。

 

歯や骨はリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムが主な成分となっています。これらは酸に溶ける性質を持っており、酸を含んだ液体に長時間つけておくと溶け出すのは当然の現象なのです。コカ・コーラをはじめ清涼飲料水にも酸味料が含まれていますが、人間の骨に直接触れたりはしません。ですから、骨が直接溶けることはありません。

 

しかし、歯は炭酸飲料が直接口腔内で触れます。歯の表面のエナメル質はヒドロキシアパタイトという物質で、主成分はリン酸カルシウムです。pH5.5以下の酸性環境では脱灰といって、溶けてリン酸イオンやカルシウムイオンが漏れ出します。

 

たとえば、コーラのpHは2.2なので、歯を溶かすことになります。胃酸のpHが1〜2にたいし、レモン2.1、コーラ2.2、栄養ドリンク2.5、グレープフルーツ3.2、スポーツドリンク3.5、ヨーグルト4.1、ビール4.3、缶コーヒー6.2等々です。pH(ペーハー)とは酸性の強さを示し、この値が小さいほど強力な酸であり、7に近いほど中性であることを示しています。

 

コーラを飲んで歯が脱灰している時に歯磨きすると不可逆的に歯が削れてしまいます。だからコーラなどのpHの低いものを飲んだら30分以上は間をあけた方が良いという説があるようです。時間をあけるとなぜ良いのかという根拠は、時間が経過すると口腔内のpHが5.5以上に戻るので、度溶けたリン酸イオンやカルシウムイオンが再びエナメル質に取り込まれて再石灰化が起こり元の状態に戻るからです。

 

コーラだけでなく普通に食事をするとエナメル質の脱灰が起こるから食後すぐには歯磨きをしないほうが良い、もしくは水でよくすすいでから歯磨きしましょうということになりそうです。

 

りうまち

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

 

Q4

コーヒーやコーラはカルシウムの吸収を妨げてしまうのですか

 

A

コーヒーの中に含まれるカフェインには、尿を出す利尿作用があるので、あまりたくさんコーヒーを飲み過ぎると、尿と一緒にカルシウムも排出されてしまいます。1日にカップ5杯以上飲むと骨に影響が出るとも言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。たまにはミルクを入れてカフェオレにしたり、カルシウムの多い食品を食べるなど、カルシウムを補給しながら飲めば、骨への影響を最小限に抑えることができます。

 

なお、同じカフェインを含む飲み物でも、紅茶や緑茶は骨粗鬆症を予防する効果があるようです。

 

コーラにはリン酸が多く含まれており、カルシウムの吸収を妨げるので、 あまり大量には飲まない方が良いでしょう。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

日本コカ・コーラ株式会社が提供する飲料アカデミー

<カフェインと骨の健康の関連性>の記事が興味深い見解を公表しています。

 

まずは、上記の記事の抜粋をお読みください。皆さんはどのように理解されるでしょうか?

 

 

骨の健康と、リン酸およびカフェインを含む飲料との関係

 

疫学調査で、コーラ飲料を摂取した思春期の少女の骨の健康が悪化した、という結取により、骨吸収を促したり、あるいはカルシウム吸収が阻害され、骨形成が低下するのではないかと考えられるようになりました。

 

しかし、科学者および患者支援組織が過去15年間にわたり実施してきた研究では、カルシウム摂取が十分であれば、リン酸やカフェインを含む炭酸飲料を摂取することで、健康な人の骨が弱くなったり、骨粗鬆症を発症したりすることはないと結論づけられています。

 

2010年のカルシウムおよびビタミンDの推奨摂取量の改定に際して、米国医学研究所(U.S. National Academy of Sciences’ Institute of Medicine:IOM)は、体のカルシウムバランスに影響を与える可能性がある食事に関するレビューを発表しています。

 

その結果によると、カフェインはカルシウム排泄を適度に促進し、骨への吸収を阻害しますが、1日にコーヒー2~3杯程度のカフェイン摂取では、牛乳をあまり飲まないなどカルシウムの総摂取量が極端に少ない場合でなければ、骨量の減少は見られませんでした。

 

また、食品中のリン酸もカルシウム吸収に悪影響を及ぼさないことも明らかになりました。

 

なお、IOMはリン酸を多く含む炭酸飲料の消費量が骨量減少および骨折増加と関連することを示す複数の研究があるものの、「これはリンそのものが問題ではなく、牛乳の代わりに炭酸飲料を飲んだことによるカルシウム摂取不足が原因なのではないか」としています。

 

2006年に国際骨粗鬆症財団(International Osteoporosis Foundation:IOF)は、炭酸飲料、特にコーラ飲料の摂取による骨への影響を調査し、栄養と骨の健康に関するレビューを発表しました。

 

このレビューでは、「いくつかの観察的研究で、10代の青少年における多量の炭酸飲料の摂取が、骨密度(bone mineral density:BMD)の減少や骨折率の増加に関連しているとされている。しかし、これらの飲料の摂取が骨の健康に悪影響を及ぼすという根拠はない」と述べています。

 

要点:

カフェインやリン酸を含む炭酸飲料を飲んだとしても、骨が弱くなったり、骨粗鬆症の原因となったりすることはありません。骨の専門家は、強い骨を作り、維持するためには、バランスの良い食事で十分なカルシウムとビタミンDを摂取し、適度な運動を行うことを推奨しています。また、その他の栄養素、例えばビタミンK、ビタミンA、マグネシウム、亜鉛、タンパク質なども、健康な骨を作るのに重要な役割を果たしています。

 

 

如何でしたか。以上の記事を読んで、新たにコカ・コーラ(リン酸およびカフェインを含む飲料)を飲みはじめようという気持ちが湧いてきたでしょうか。皆さんが、この記事を読んでコカ・コーラのファンになるとすれば、日本コカ・コーラ株式会社の狙い以上の成果となるでしょう。

 

なぜならば、この記事を読んで安心するのは、これまでコカ・コーラのファンだった方で、健康問題に不安がある方が主体だろうと推測できるからです。日本コカ・コーラ株式会社は日本たばこ産業株式会社と同様に、守りの態勢に入っているように思われます。

 

なぜならば、まず第一に、コーラ飲料によるデメリットの可能性は完全に払拭されてはいないにもかかわらず、メリットには一切言及できていないからです。第二に、明らかに論点をすり替えています。米国医学研究所(IOM)は、むしろリン酸を多く含む炭酸飲料の消費量が骨量減少および骨折増加と関連することを示す複数の研究があることを強調し、むしろデメリットの証拠を列挙しています。

 

しかも「これはリンそのものが問題ではなく、牛乳の代わりに炭酸飲料を飲んだことによるカルシウム摂取不足が原因なのではないか」というIOMの考察は、炭酸飲料の愛飲者は、骨にとってメリットの大きい牛乳の摂取量が減少する可能性までをも示唆していることになります。

 

これは、ある意味、当然の帰結です。一日の水分摂取量は概ね一定しているとすれば、ある種の飲料の摂取が増えれば、他の種類の飲料の摂取は、その分、減少することになるからです。コーラの摂取量が増えれば、当然、牛乳の摂取量が減って骨が弱くなる可能性については否定できないはずです。

 

第3に肯定的な結論を導く論理的整合性がなく、ぼかしてあります。以下の情報を要点に掲載していますが、これは何を意味するのでしょうか。

 

 

骨の専門家は、強い骨を作り、維持するためには、バランスの良い食事で十分なカルシウムとビタミンDを摂取し、適度な運動を行うことを推奨しています。また、その他の栄養素、例えばビタミンK、ビタミンA、マグネシウム、亜鉛、タンパク質なども、健康な骨を作るのに重要な役割を果たしています。

 

いわんとすることは、つまり、コーラを飲み続けながら強い骨を作り、維持するためには、コーラを飲まない人よりも一層厳重な健康管理が必要である、という結論になるはずです。これは知性の劣る消費者層へ向けての印象操作です。賢者にとっては苦しい言い訳にすらなりません。

りうまち

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。

 

骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

Q3

カルシウムやマグネシウムをサプリメント(保険機能食品)からとるのは問題ない?

 

A

カルシウムやマグネシウムは食事からとることが良いでしょう。しかし、不足する場合は、補助としてサプリメントを使用することは問題ないでしょう。

 

しかし、骨粗鬆症予防や、健康の維持・増進のためには、やはり毎日3度の食事が最も大切です。

 

骨粗鬆症予防に関わる栄養因子は、カルシウムやマグネシウムだけでなく、エネルギー、タンパク質、リン、ビタミンA、B、C、Kなどのほか、とくにカルシウム吸収に深く関わる因子としてビタミンDも大切です。毎日の食事でいろいろな種類の食品を食べることによって、エネルギーや微量栄養素も含め、体や骨に必要な栄養素をバランスよく(過不足なく)とることができます。

 

マグネシウムを多く含む食品は、魚介類(まぐろ、かつお、牡蛎など)、肉類、ほうれん草やバナナ、ごま、落花生などです。ビタミンDを多く含む食品は、魚介類(いわし、かつお、まぐろなど)、きくらげ、干ししいたけなどのきのこ類があげられます。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

<Aである。しかしBである。しかしCである。補充説明D>という文章がおかしいので、<Aである。そしてCである。補充説明D。しかしBである。>という流れに直してから書き換えてみることにします。

 

カルシウムやマグネシウムは食事からとることが良いでしょう。そして骨粗鬆症予防や、健康の維持・増進のためには、やはり毎日3度の食事が最も大切です。毎日の食事でいろいろな種類の食品を食べることによって、エネルギーや微量栄養素も含め、体や骨に必要な栄養素をバランスよく(過不足なく)とることができます。しかし、不足する場合は、補助としてサプリメントを使用することは問題ないでしょう。

 

このような文章であれば、カルシウムやマグネシウムの摂取は原則として食事からとるべきであって、例外的に不足する場合に限っては、あくまでも補助的にサプリメント使用を考慮すべきである、ということが伝わり易くなると思います。

 

ただし、それでも問題がないわけではありません。カルシウムやマグネシウムが不足している場合には、まず原因究明が必要です。安易にサプリメント(保険機能食品)を使用して帳尻を合わせるというのは望ましくありません。辻褄(つじつま)を無理やり合わせようとしてもやがて付けが回ってくるだけです。

 

そもそも、何がどれだけ不足しているのかわかっている場合のみに不足分をサプリメントで補う意味が生じるはずだからです。それにもかかわらず、当て推量や思い込みで、あるいは不安だからという理由だけでサプリメント(保険機能食品)を無暗に使用している人が増えていることが気がかりです。そうしたタイプの人たちには、サプリメント摂取を口実にして、肝心の普段の食事を欠食したり、栄養のバランスを軽視したりして平気でいる人が目立ちます。

 

サプリメント(supplement)というカタカナ表記も問題です。カタカナ表記の言葉は多くの日本人に勝手なお得イメージをもたらし、各自の妄想を膨らませる副作用をもっているように思われます。サプリメント愛好者の多くはサプリメントの意味を正しく答えることができないのが現実です。

 

そもそもカルシウムやマグネシウムだけが顕著に欠乏しているのであれば、低カルシウム血症、低マグネシウム血症という病名が付されます。まずは、それらの原因を究明すべきでしょう。

 

低マグネシウム血症は,アルコール依存症患者,コントロール不良な糖尿病患者,および高カルシウム血症を有するかまたはループ利尿薬の使用している患者で生じる可能性があります。

 

そして、低マグネシウム血症が続くと副甲状腺ホルモンの分泌が低下することによって低カルシウムをもたらすことがあります。