脂質異常症とは?その3

 

―脂質異常症のリスク区分と脂質管理目標についてー

脂質異常症の中には、原発性の脂質異常症の他に、続発性(二次性)高脂血症が含まれています。具体的な疾患としては、ネフローゼ症候群、閉塞性肝・胆道疾患などの他、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、先端肥大症などの内分泌疾患です。

これらの続発性(二次性)高脂血症の場合は、原疾患の治療を優先させます。しかし、改善が認められず高脂血症が長期化する場合は薬物療法を考慮しなくてはなりません。

 

原発性の脂質異常症の管理においては、まず生活習慣の管理を行い、血清脂質の推移を観察した後、薬剤の使用を検討することになります。

ただし、脂質異常症のすべてが生活習慣病ではなく、家族性高脂血症といって遺伝性の脂質異常症があるので注意が必要です。とくにヘテロ型家族性高脂血症は日常診療でしばしば遭遇します。

いずれの場合でも薬剤選択の基本は「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017」に準じて行います。

 

下に示すリスクカテゴリーの分類に応じて脂質管理目標値を目指します。特にLDL-Cのデータを参考にすることが重要です。LDL-Cの低下のためにはスタチンを用いますが、二次予防あるいは低下させるべきLDL-C量の落差が30㎎/dL以上の場合は強力なスタチンが必要になることが多いです。


高TG血症単独ないし500㎎/dLを超える重度高TG血症の場合には、急性膵炎予防のためフィブラートを積極的に検討します。
高LDL-Cと高TGが併存する場合には、まずスタチンを優先し、non-HDL-Cを指標にフォローします。それでもTGがコントロール困難な場合は、フィブラートを注意深く、慎重に併用します。
いずれの治療も目標は動脈硬化症の予防であるため、筋障害(筋痛、筋力低下)、肝障害、血清クレアチニン・カイネ‐ス上昇などの副作用に注意します。
 

脂質3

 

杉並国際クリニックでは、水氣道の実践を通して、脂質管理に対する非薬物療法に力を注いでいます。

水氣道の実践は関連薬剤の処方数や量を減らすことに役立っています。

また水氣道会員を中心に、季節ごと(3か月に1回)に行なっているフィットネスチェックによる健康指標モニタリングにより、早期に病気を発見したり、万が一の薬剤の副作用なども的確に早期に発見したりして、より安全かつ有効な治療計画作成を可能としています。

抗菌薬関連腸炎

日本化学療法学会/日本感染症学会合同で作成されたClostridioides(Clostridium)difficile (CD)感染症診療ガイドラインが2018年10月に発表されています。

Clostridium difficileの学術名はClostridioides difficileに変更されました。CDは芽胞を形成するグラム陽性偏性嫌気性桿菌で、抗菌薬投与で正常な腸内細菌叢が抑制され、CD毒性産生株が異常増殖することにより腸炎・下痢症を発症させ抗菌薬関連腸炎の主要な原因菌です。

とくに偽膜性大腸炎の起炎菌として知られますが、偽膜を形成しない場合もあるため、近年ではCD感染症(CDI)と呼ばれます。CDの芽胞は熱、消毒薬への抵抗性が強く、アルコールは無効であり、院内感染が問題となっています。

 

 

CD関連腸炎のリスク因子は、抗菌薬投与、プロトンポンプ阻害薬投与、高齢者、重篤な基礎疾患、免疫抑制状態、手術後、炎症性腸疾患、長期入院などである。 

本邦で増加を続ける医療費が考慮され、海外と本邦で治療に関しての推奨が異なっています。原因抗菌薬を中止するのは共通で、わが国でもCD関連腸炎の再発率が高いことも共通です。わが国では10~20%です。

 

日本では無症状の保菌者も多く、また、軽症例では原因抗菌薬の中止で軽快することもあるため、CD検出症例のすべてが抗菌薬治療の適応となるわけではありません。

バンコマイシンまたはメトロニダゾールの経口投与が基本であり、非重症の初発CDI患者にはメトロニダゾールが推奨されています。塩酸バンコマイシンは通常、0.5~2.0g/日、分4にて1~2週間経口投与します。これらの薬剤は海外では推奨されていません。

なお、欧米では初発CDI 患者の初期治療薬として日本では推奨されていないフィダキソマイシンが推奨されています。欧米では強毒株によるCDIが問題になっていて、また、抗菌薬治療中止後の再発率が高いことも大きな課題です。

近年、難治性CDIに対する糞便移植の高い奏効率が報告され注目されています。

抗不安薬の特徴

 

抗不安薬と睡眠薬は、異なる薬に思われていますが、これらの薬のいずれもが、実はほとんどベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動薬という同一カテゴリーにいます。
これらの化合物の中で抗不安効果のより強いものが抗不安薬、催眠効果の強いものが睡眠薬と呼ばれています。
 

 

ベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動薬は情動と関係する大脳辺縁系をはじめ全身に分布する神経活動を抑制し、作用をもたらします。
 

抗不安薬は、神経症性障害を中心として基本的に不安を伴うすべての病態に適応があります。

また、アルコール離脱の予防や身体的な疾患でその発症や経過に心理的因子が密接に関連している場合、すなわちストレス関連性身体疾患や心身症に使用されます。

アルコール依存の離脱予防には、肝機能保護も同時に考慮すべきなので、ロラゼパム(ワイパックス®)を処方しています。その理由は抗不安薬のうち、ロラゼパムはP450という肝臓の酵素に関与しないので、その分、身体疾患(特に肝疾患)や、多くの身体治療を服薬している患者さんや高齢者など、あらゆるケースに使用しやすい薬剤です。

またベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動薬の中でも、クロナゼパム(リボトリール®)などは抗てんかん薬としても用いられています。パニック発作が強い場合や過活動型の線維筋痛症で処方しています。

 

ストレス関連性身体疾患や心身症は心療内科の専門領域であるため、私共、心療内科専門医にとって以上の抗不安薬は診療に不可欠な薬剤ということになります。
ただし、抗不安薬はベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動薬以外の薬剤もあります。それらを一括して非ベンゾジアゼピン系といいます。

 

まずセロトニン1A受容体作動薬タンドスピロン(セディール®)はBZD受容体作動薬とは異なり、全身に作用せず、不安、抑うつに関与する大脳辺縁系の1A受容体を中心に刺激します。

そのためBZD受容体作動薬とは異なり、筋弛緩、依存性、記憶障害などの有害事象が少なく、長期の投与や高齢者に相応しいとされます。しかし、効果発現が2週間近くかかるうえ、効き目が弱いため、即効性を期待しがちな傾向がある不安症の方には、最初の2週間のみBZD受容体作動薬を併用しなければならないことがあります。

次に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、抗不安・パニック効果があること、強迫症や社交不安症などに適応があるため、心療内科ではよく用いられます。

しかし、効果が発現するまでに3週間ほどかかることや、屯用使用には向かないため、初期にはBZD受容体作動薬を併用し、安定期に入ってからSSRIを基軸とした治療を行うことが多いです。

 

杉並国際クリニックでは、筋緊張型頭痛や肩こりの相談が多いため、あえて筋弛緩効果が強いとされるエチゾラム(デパス®)を処方することがあります。

<はじめに>

 

 

前回は「脾経」のお話をしました。

 

 

「血海」は膝蓋骨の内側から指3本分上にあり、

 

 

「生理痛」「生理不順」「不正出血」「膝の痛み」に効果のあるツボです。

 

 

「三陰交」はうちくるぶしの一番高いところから指4本上にあり、

 

 

「生理不順」「生理痛」「腹部膨満感」「下痢」に効果のあるというお話でした。

 

 

今回は「心経(しんけい)」のお話です。

 

 

<心経>

5心経

 

 

「心経」は脇から小指までつながっています。

 

 

9個のツボがあります。

 

 

では9個のツボを挙げていきましょう。

 

 

1. 極泉(きょくせん)

 

2.青霊(せいれい)

 

3.少海(しょうかい)

 

4.霊道(れいどう)

 

5.通里(つうり)

 

6.陰郄(いんげき)

 

7.神門(しんもん)

 

8.少府(しょうふ)

 

9.少衝(しょうしょう)

 

 

になります。

 

 

今回は「神門」を 紹介しましょう。

 

 

<神門>

2019-07-10 16-42

 

 

「神門」は手首のシワの小指側の窪んだところに あります。 

 

 

「精神的な緊張」「イライラ」「不安感」に効果のあるツボです。

 

 

  昔の人も不安になることが多かったのだと思います。

 

 

  このツボを押しながら深呼吸をしてみて下さい。

 

 

  気持ちが落ち着きますよ。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

独法国立相模原病院・アレルギー科VS杉並国際クリニック・アレルギー科(その5)

 

杉並国際クリニックのアレルギー科が行っているアレルギー専門外来診療の守備範囲を説明する目的で、我が国におけるアレルギー診療の最先端の医療センターである相模原病院との比較してみました。

情報源は、同病院のホームページです。

 


Q.化学物質過敏症やシックハウス症候群の検査はできますか?

 

A.環境医学センタ-およびシックハウス外来は閉鎖いたしました。新規の患者さまの診療は行っておりません。

 

シックハウス(化学物質過敏症)に関するよくある質問

10年以上にわたり環境医学センタ-およびシックハウス外来の利用をいただきました。

診療の特殊性もあり、平成28年3月末を持ちまして閉鎖させていただきました。
ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解とご了承の程よろしくお願いいたします。

 

 

<杉並国際クリニックからの視点>

Q.

化学物質過敏症やシックハウス症候群の検査は、杉並国際クリニックではできますか?

 

A.

詳細な問診や採血などでの総合的な身体評価にて診断をしています。化学物質過敏症やシックハウス症候群の診療には特殊性もあります。シックハウス症候群が疑われる場合には、事前に、ホルムアルデヒド・VOC(トルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物)など、室内空気環境測定をして、受診日に結果をお持ちいただくようご協力をお願いいたします。

室内空気環境の測定業者などの情報につきましては、お近くの保健所などにお問い合わせください。

 

 当外来では、以下の項目につきましては検査しておりませんのでご注意ください。

 

• 症状悪化の原因となる化学物質の特定や体内の残留化学物質の測定

 

• 種々の化学物質のアレルギー検査や薬剤のアレルギー検査

 

• 歯科治療における金属や麻酔薬、抗生剤などのアレルギー検査

 

また、近年問い合わせが多い電磁波に対する過敏症状については、電磁波負荷検査および確定診断をしておりませんのでご注意ください。

 

 

※来院皆様へのお願い

診察室には、空気清浄機など特別な装置は設置していません。

 

ただし、不快と感じるにおいには個人差がございますので、受診される方は診察室内の空気清浄度維持のために可能な限り、におい対策(化粧品、香水、整髪剤、喫煙などを控える)にご協力ください。

 

 

Q.

化学物質過敏症やシックハウス症候群に対して、杉並国際クリニックではどのような治療をしていますか?

 

A

治療はおもに生活環境改善や生活習慣改善のための指導や栄養指導、運動指導です。
   

なお、シックハウス症候群や化学物質過敏症では、衝動性眼球運動の成分である階段状波形が高頻度に検出されることがわかっています。

そこで、中枢神経機能評価方法のひとつで滑動性眼球追従運動検査(眼球電位図)が有用です。これは、測定専用のゴーグルをつけてパソコン画面上の動く目標物を追従する検査です。当クリニックでは実施していないため、一定期間内に治療効果が挙がらない場合には、専門施設をご紹介いたします。

関節リウマチ診療ガイドライン2014(RA診療GL2014)に準拠した診療の課題

 

 

私はリウマチ専門医の一人としてRA診療ガイドラインに準拠して、関節リウマチの厳格なコントロールを適切な薬剤で行うことが、関節および生命予後の改善につながることを期待しています。しかし、実臨床においては、いろいろな未解決出悩ましい課題が残されています。

 

課題1:

いまだに治療が満足できない場合があること

 

杉並国際クリニックでは、早期の関節リウマチを診断して、即座にガイドラインに沿った治療を開始できる実績をもっています。

しかし、せっかく早期発見・早期治療の開始ができても、多くの薬剤にアレルギー反応が出る方がいらっしゃいます。

抗体製剤にアレルギーがある場合は、有効性の判定の前に、その薬剤の使用することができなくなります。あるいは、最初はスムーズに治療が進んだかに見えて、しばらくすると効果不十分になる難治性の関節リウマチもあります。

これは、関節リウマチが一様な疾患ではなく、患者さんの間でも互いに異なる多様な体質的背景をもつ疾患だからです。つまり、患者ごとの病態に関連するサイトカインや免疫細胞が異なり、多くの患者で原因治療が行えていないことに起因しています。

 

 

課題2:

合併症の多い長期罹患の関節リウマチ

 

生物学的DMARDなどの今日では広く用いられている薬物の恩恵を受けられるようになったのは21世紀に入ってからです。

したがって、今から20年以上前から治療を続けている方は、こうした薬剤の恩恵を受けられず、すでに関節変形が進行してしまっている患者さん、ステロイドの合併症が至る所に表れている患者さん、あるいは肺合併症を有する患者さんでは、強力な免疫抑制療法を行ないにくくなります。

この場合は、治療目標を臨床的寛解ではなく低疾患活動性とすることが多くなります。しかし、患者さんはどうしても痛みや機能障害を訴えることが多いために生活の質は著しく低下することを余儀なくされます。

このような患者さんを、今後増やさないようにするため、早期診断と早期治療は重要です。なお高齢の関節リウマチ患者さんに関しては認知機能の低下が加わると生活の質は一層低下することになるので悩ましい課題であるといえます。

 

 

課題3:

妊娠希望の女性の関節リウマチ

 

関節リウマチ(RA)患者は女性が多く、発症時点で見るとほぼ半数が妊娠可能な年代です。妊娠は計画的に行うことが必要です。妊娠の希望を伝えること、すぐに希望がないとしてもお付き合いしていて妊娠の可能性がある場合は、妊娠可能な薬で治療しているか、避妊が必要かについて、予めリウマチ専門医や産科医と相談し理解を深めておくことも重要でしょう。

妊娠を計画したら、病状が安定しており、寛解(病気の活動性がないこと)や低い活動性で安定した状態を継続していることが重要です。病気の活動性が高いと妊娠しにくくなり、不妊症の率が高くなります。

また、関節リウマチの病状は、6〜7割の患者さんで妊娠期間中に次第に良くなる傾向がありますが、妊娠した時に病気の活動性が高いと良くならない場合も多く、妊娠中に患者さん自身の関節症状が進んでしまったり、妊娠を継続するのが難しくなったりすることもありえます。

炎症の時に上昇する蛋白が胎盤を通って胎児の発達に影響する可能性もあります。 病気を進行させないため早く良くするために、流産や先天異常を起こしやすい薬を一時的に必要とする場合があります。

その場合は、有効性の高い方法で避妊することが必要です。病状が安定して妊娠を計画したら、妊娠に安全な薬で病気をコントロールします。全ての薬を中止してしまって病状が悪くなれば、かえって妊娠しにくい状況になってしまいます。

結婚を目前に控えた女性である場合、精神的に不安定になりやすく、それが関節リウマチの病態をさらに悪化させ生活の質を低下させがちになります。そこでの心理面でのサポートは極めて重要で、特別な配慮が」必要になることが多いです。

 

 

課題4:

医療費の問題

 

生物学的製剤(bDMARD)が使用できるようになってから、関節リウマチ患者の医療費は大きく増大しました。この高価な生物学的製剤をいつまで続けるか、ということに関しては回答が出ていません。

今後、臨床的寛解あるいは低疾患活動性が達成されたら、コストの低い従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)を中心に維持療法を行なうなどといった2段階に分けた関節リウマチ治療が提案される可能性がありますが、容易に解決できる課題ではないと思われます。

脂質異常症とは?その2

 

―脂質異常症のスクリーニングとリスク区分についてー
今回の改訂で、絶対リスク評価ツールが 2012 年版で用いられた NIPPON DATE80 から吹田スコアに変更されました。 この理由として、脳血管疾患を含まない冠動脈疾患をエンドポイントとしているこ と、死亡率ではなく発症率を評価していること、脂質の指標として HDL-C と LDL-C の両方を評価していること、 などが挙げられます。

 

吹田スコアは次の図 2 に基づいて計算します。

脂質異常症スクリーニング

☆管理目標値 冠動脈疾患発症のリスクから設定された、脂質異常症の管理目標値が表2です。

 

 

 

 

※今回の改訂で、100mg/dL 未満とされた冠動脈疾患既往(二次予防)例のうち、表 3 に挙げられる高リスク病態では 70mg/dL 未満とさらに厳格な値が推奨されました。

表3

☆新作用機序の脂質異常症治療薬 本ガイドラインでは、薬物療法の項に新たに PCSK9 阻害薬や MTP 阻害薬が盛り込まれ、家族性高コレステロール血症 (FH)治療におけるこれらの位置づけが明確に示されました。

 

FH は先天的に LDL-R やそれに関連する遺伝子に変異が生じているため、LDL を細胞内に取り込むことができず、血液 中の LDL-C が異常に高くなってしまう疾患です。

 

PCSK9 阻害薬や MTP 阻害薬の登場により、これまで血中 LDL-C 値を十分に下げられなかった FH における治療選択肢が一気に増えました。

 

【PCSK9 阻害薬】 PCSK9阻害薬はPCSK9(※1)を阻害することにより、LDL受容体(LDL-R) の分解を抑制します。

それにより、肝細胞表面の LDL-R の数が増え、より多くの血中 LDL-C を 肝細胞内に取り込めるようになるため、血中の LDL-C を減らします。

 

これまで、スタチンの投与量を増やしても LDL コレステロールがなかな か下がらないといったジレンマがありました。これは、スタチンが肝細胞 内のコレステロール生合成を抑制すると、転写因子の SREBP(※2)が活 性化し、LDL-R を増加させるとともに PCSK9の合成を促進するためです。

 

このスタチンの弱みを補完し相乗効果を発揮 することを狙って、PCSK9 阻害薬は、基本的にはスタチン系薬との併用で用いられます。

 

※1 PCSK9:LDL受容体(LDL-R)の分解に関わるタンパク質

※2 SREBP:HMG-CoA 還元酵素刺激、LDL-R 産生刺激、PCSK9 分泌に働く細胞内センサー

 

慢性腎臓病(CKD)診療の課題と対策

 

慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全に至るリスク因子で、患者数は増加しています。2011年当時で、日本では成人人口の約13%、1,330万人がCKD患者と言われております。CKD発症の背景因子として、糖尿病、高血圧などの生活習慣病が挙げられます。CKDは末期腎不全や心血管疾患のリスクが高く、国民の健康を脅かしています。

 

以上の現状を踏まえ、杉並国際クリニックは、定期通院患者の皆様の腎機能の保護に取り組み、慢性腎臓病(CKD)には腎機能は血清クレアチニン値を用いたGFR推算式によって算出したeGFR値で評価しており、eGFR値と尿蛋白量でCKDの重症度を決めています。

 

しかし、血清クレアチニンは筋肉量に影響を受けやすいし、推算式そのものもあくまで推定で患者ごとに腎機能を正しく評価するには課題があると指摘されています。そもそも腎機能評価には、推定値であるeGFRではなく本来は糸球体濾過率(GFR)そのものを使うべきなのだが、これにはイヌリンクリアランスという検査が必要になります。この検査は煩雑で、患者、医療従事者に大きな負担を強いるため、実臨床ではほとんど用いられていません。

 

 

さて、慢性腎臓病(CKD)診療の課題は3つあるといわれます。それは、

(1)予後予測法がないこと、

(2)早期診断法がないこと、

(3)治療法がないこと

 

1つ目は、腎障害患者の腎予後を予測する方法がないことに関して、血圧や血糖値などは腎障害のリスク因子ですが、直接的に腎予後を予測する因子としては弱いです。

 

しかし、関連記事:D-アミノ酸はCKDの腎予後予測に有用であり、推定腎機能(eGFR)高値の患者は低値の患者に比べてD-セリンの血中濃度が高まっていること、透析導入までの期間を検討したところD-セリンの血中濃度が高いほど透析導入が早いことを明らかにされました。

 

 

2つ目の早期診断法につながる、より正確に腎機能を評価できるバイオマーカーとして注目されつつあるのもD-セリンです。GFR値が低いほど血中D-セリン濃度が高いだけでなく、腎障害が進行していると考えられる患者ほど、尿中D-セリン排泄量が高まっていることが明らかとなりました。

とりわけ尿中D-セリン排出量が高まることは、腎機能ではなく腎障害と相関すると考えられる結果が得られたことは注目に値します。

 

例えば、糖尿病性腎症の早期段階では、GFRで示される腎機能は低下していないのに、尿蛋白(微量アルブミン尿)が出始めている病態があります。こうした症例を早期段階で拾い上げようとしてもGFRのみでは難しいです。

しかし、最近、腎障害と腎機能低下が相関しない段階であっても、血中D-セリン濃度は健常人と変わらないが、尿中D-セリン排泄量が高まっていることが明らかになりました。

つまり尿中D-セリン排泄量は、腎障害の早期段階を検出できるバイオマーカーとして有望だと考えられる結果です。

 

D-セリンは大量投与すると腎毒性があることも明らかになってきました。

1検体のD-セリンの測定には、最近開発された液体クロマトグラフィー(HPLC)用のカラムを用いることにより、測定自体は5分で完了できるようになり、血液および尿中のD-セリンを測定することによる臨床検査が保険適応になることが期待されています。

 

 

ただし、3つ目の、慢性腎臓病(CKD)の治療法がないことは相変わらず大きな課題です。

現状では、CKDの予防に力を注ぎ、病気を進行させないことが賢明です。そのため肥満症、糖尿病、高血圧をはじめリスク因子となる生活習慣病のコントロールに際には、可能な限り一般尿検査による尿蛋白のチェックと擬陽性・陽性者には尿蛋白(糖尿病ではアルブミン)定量の重要性を強調していきたいと考えております。

アルコール性肝障害

アルコール性肝障害は、常習飲酒家(エタノール60g/日以上)に発生する肝障害です。これは日本酒換算で3合/日に相当します。わが国の肝硬変の18%を占めます。

男性に多いが、女性はより少量(男性の2/3)で短期間の飲酒で重症化し、肝硬変への進展も早いことが知られています。

 

なおC型慢性肝炎の患者は少量の飲酒でも肝障害が進展しやすくなります。


飲酒に伴う低栄養だけでなく、肥満もアルコール性肝障害進展の危険因子であるため、過栄養に対する注意が必要です。

重症アルコール性肝炎は、連続飲酒発作など過度の飲酒をきっかけに発症し致死率は70%と高率です。

 

アルコールによる肝障害の原因の一つに、アルコールの代謝産物である、肝毒性をもつアセトアルデヒドの蓄積があります。

アセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)により酸化されて無害な酢酸になりますが、日本人の約40%は代謝能の弱いALDH2*2の遺伝子多型を持っています。

この遺伝子をもつひとは、代謝能の高いALDH2*1/*1ホモと比較すると、より少ない飲酒量でも肝障害を呈します。

 

アルコール代謝酵素であるアルコール脱水素酵素(ADH)、チトクロームP450(CYP)2E1は、このALDHとともに、いずれも肝小葉の中心部(Zone3)に優位に存在するため、この領域での肝障害が強く現れます。

この領域は、元来、低酸素状態になりやすいため、微小循環障害や酸素消費の増大によって障害が起こりやすいことが知られています。

 

なお、アルコール性肝障害では、肝臓に過剰な鉄沈着がみられます。その機序は、トランスフェリン受容体の発現亢進およびヘプシジンの発現低下によると考えられています。

血清鉄の結合蛋白であるトランスフェリンとへプシジンは、いずれも肝臓で合成されます。トランスフェリンはトランスフェリン受容体を介して、肝細胞内に鉄を供給、蓄積する一方、へプシジンは腸管細胞における鉄取り込み蛋白であるフェロボルチンの発現を低下させることによって鉄蓄積には抑制的に作用するため、へプシジンの発現低下が鉄蓄積を促進する作用を強めることになります。

 

肝病変のそれぞれの段階に対する治療はウイルス性肝炎の治療と違いはありません。ただし、断酒を含めた生活指導を最優先にします。

不安症の種類

以前は神経症というカテゴリーでしたが、WHOが作成したICD-11(国際疾患分類第11版)では、不安または恐怖関連症候群、強迫症、ストレス関連症、解離症群などに分かれました。

 

不安または恐怖関連症候群やストレス関連症と同様に、精神科医に限らず、一般内科医を受診しているケースが多いです。その理由は、身体疾患を伴っていたり、身体症状が前面に表れてきたりすることが少なくないからです。こうした広い意味での心身症をより専門的に扱うのが心療内科専門医です。

 

つまり、総じて心理的要因によって心身の症状が引き起こされた状態を指し、パニック症、身体症状症、また適応反応症なども該当します。

 

身体症状症とは、器質的に異常がないのに身体症状が出現するものであり、また適応反応症とは大きなストレスに適応できないため不調となるものです。

心身医学に精通している心療内科専門医こそが、しっかりとした対応をすべき責任があるものと考えています。
 

 

不安の診療に心療内科医が活躍できる背景としては、例えば、社交不安症(社交不安障害)を例として説明できるかもしれません。
社交不安症の愁訴としては、公衆の面前や人と関わる状況において、不安、緊張、恐怖、羞恥、無力感などとともに、これらの感情に関連する身体反応として赤面、震戦、発汗、顔のこわばり、声の震えなどが出現すること、あるいはそのような心身の反応が起こることへの強い予期恐怖が一般的です。

こうした社交不安症に特異的な検査は存在しないので、類似の症状を呈する身体疾患との鑑別疾患が大切になります。これは日常診療において身体疾患を診ている内科医にとっては難しいことではありません。

 

甲状腺機能亢進症などとの鑑別のためには血液検査が必要ですし、またパーキンソン病との鑑別のためには神経学的検査を実施することが望ましいとされます。内科医としての経験と基礎資格があることを前提としている心療内科専門医は、こうしたケースに対しても的確に鑑別診断手続きを取ることができるという点で強みを持っていると自負しています。