<(鍼灸)東洋医学の話をしようー 経絡(2) 肺経 >

 

 

<はじめに>

 

 

前回経絡の種類と経穴の数についてお話しました。

 

 

今回から「経絡」と「経穴」の話をしていきましょう。

 

 

まずは「肺経」から見ていきましょう。

 

 

 

<肺経>

1肺経

 

 

 

「肺経」は胸部から始まり母指の爪の生え際までのびます。

 

 

11個の経穴があります。

 

 

11個の経穴は

 

1.中府(ちゅうふ)

 

2.  雲門(うんもん)

 

3.天府(てんぷ)

 

4.侠白(きょうはく)

 

5.尺沢(しゃくたく)

 

6.孔最(こうさい)

 

7.列缺(れっけつ)

 

8.  経渠(けいきょ)

 

9.太淵(たいえん)

 

10. 魚際(ぎょさい)

 

11. 少商(しょうしょう)

 

 

です。

 

 

主に、喘息、喉の痛み等、呼吸器系疾患によく使われます。

 

 

私がよく使う経穴は

 

 

「尺沢」「孔最」です。

 

 

「尺沢」は 「鼻炎」で鼻汁が出る、鼻閉、「喉の痛み」によく使います。

 

 

「孔最」は鼻炎の症状が更にひどいときによく使います。

 

 

とても効果があります。

 

 

 

また、「孔最」は「痔の痛み」によく効くそうです。

 

 

学生時代にM先生が話していました。

 

 

痔の痛みで座れなくなった妊婦に灸をして痛みを取ったそうです。

 

 

試してみたいのですが、その機会は訪れません(笑)。

 

 

 

最後に「尺沢」「孔最」の部位をお伝えしましょう。

 

2019-05-23 19-09

 

 

「尺沢」は上腕二頭筋(力コブの筋肉)の腱の親指側にあります。

 

 

「孔最」は「尺沢」から指4本(人差し指~小指)下にあります。

 

 

鼻炎でお困りの方ぜひ刺激してみてください。

 

 

楽になりますよ!

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

When bad humours afflict an individual with a rash on his entire body, one should wait awhile until the abscesses mature and the humours are discharged. When the skin between the abscesses turns red and begins to dry out, a suitable salve should be applied without delay. In this way, the skin will not become more painful through the infection and will not relapse into sepsis. (CC154,33)

 

悪い体液をもつ人は全身性の発疹に苦しみますが、そのひとは膿瘍が熟してその悪い体液が排出するまでのしばらくの間待たなければなりません。膿瘍間の皮膚が赤くなって乾燥すると、遅滞なく適切な膏薬を塗布すべきでしょう。このように、皮膚は感染によって痛みが増すことはないであろうし、敗血症にまで陥ることにはならないでしょう。

 

 

<解説> 

聖ヒルデガルトの皮膚を通しての治療理論は、現代にも通用するとても傑出した役割をもっています。聖ヒルデガルトが考えていた悪い体液とは何か、ということはとても興味深い内容を含んでいるように思われます。

 

聖ヒルデガルドの時代にはウイルスはおろか細菌を直接調べる顕微鏡などは開発されていなかったにもかかわらず、感染症の概念をもっていたことには驚かされます。

 

一般的にいって、膿瘍を形成するような発疹は感染性のものが主ですが、栄養関連の代謝毒、皮膚アレルギーを引き起こすアレルゲンなども悪い体液に含まれている可能性があります。なお、敗血症とは、細菌等が血流に乗って全身性に散布されておこる重篤な病態です。

 

聖ヒルデガルトは、こうした悪い体液により全身に発疹が出現しても、膿瘍形成という自然治癒の過程を待つことが大切であり、そのうえでタイミングよく適切な軟膏処置をすれば、悪い体液が血液中に流れこむことが防げると考えていたようです。

アレルギーの検査

 

アレルギー反応の概要をつかむための検査には、IgE抗体検査、皮膚テスト、血中好酸球数などがあります。

 

 

IgE抗体検査

IgE抗体は、即時型アレルギー反応を引き起こす抗体です。一般的な、血液検査でアレルゲンに特異的なIgE抗体を測定することができます。

 

血液中に存在するIgE抗体の総量を示すのが血清IgE抗体値、非特異的IgE抗体値とよばれるものです。そのIgE抗体がどのようなアレルゲンに対して反応するのかを測定するのが特異的IgE抗体測定です。

 

現在200種類以上のアレルゲンに対する特異IgE抗体を測定することができます。測定値は、クラスという段階的に量をわかりやすく示す方法でクラス0~6まで7段階で示す方法がとられています。値が高い方がその特異IgE抗体の量が多いことを示していますが、ここで気をつけなければいけないことは、この値が高いからと言って必ずしも臨床症状と相関しないということです。

特に、食物アレルゲンでは、特異IgE抗体がある程度高くてもそのアレルゲンを摂取しても症状がでないことがしばしば経験されます。

 

アレルゲンによる感作の状況を診ている検査で診断の参考にしていると考え頂くのがよいようです。

 

健康保険の範囲内で測定できるアレルゲン数は、測定方法によっても異なります。主治医とよく相談して相談するアレルゲンを選びましょう。

 

 

皮膚テスト

皮膚の直下にいるアレルギーに関連する細胞に皮膚表面から直接アレルゲンを接触させることで反応を見る検査です。

 

IgE抗体が結合しているマスト細胞に、皮膚表面からアレルゲンを接触させ局所での反応がプリックテスト、スクラッチテスト、皮内テストです。このテストは、即時型アレルギー反応によってマスト細胞から放出されたヒスタミンによって周囲の血管が拡張することで皮膚の赤み、血漿成分の漏出で皮膚の盛り上がり(膨疹)がおこります。

 

このテストは、間接的に特異的IgE抗体の存在を示しているものなので、血液の特異IgE抗体の検査と同様にアレルゲンによる感作の状況を見ている検査なのですぐには診断をしません。診断の参考にしていると思ってください。

 

具体的な方法は、アレルゲンのエキスを1滴前腕部などにたらして、専用のプリック針、スクラッチ針を使用して、皮膚の表面に傷をつけます。皮内テストの場合は、1mLのシリンジを用いて、皮膚のごく表面に水疱をつくるようにエキスを注射します。15分後に判定しますが、赤く腫れていれば陽性です。

 

遅発型アレルギー反応を見る検査がパッチテストです。皮膚表面に、アレルゲンエキスのついたシールを貼りつけて48時間まで観察します。48時間後に貼ったシール部分が腫れていれば陽性です。この反応は、Ⅳ型アレルギー反応を見る検査です。

 

 

<補足説明>

アレルギー専門医として毎日診療しているのですが、皮膚テストなどを実施しなければならない機会はほとんどありません。それどころか、大学病院の皮膚科で実施したパッチテストによる皮膚の湿疹がいつまでも治らず、痒みで眠れなくなったという方の相談にのったこともあります。

 

アレルギー専門医としては、確定診断をするために厳密な検査を実施しなければならないこともありますが、検査のために、患者さんを苦しめる結果を招かないよう、細心の注意を要することは言うまでもありません。

 

私自身、プリックテストを自分で実験したことがあります。アレルゲン試液でないコントロール用の塩酸ヒスタミン液によって膨疹が出現し、しばらくの間、痒みが持続した経験があります。それ以来、皮膚テストに対しては消極的になりました。

 

ましてやこうした検査はアナフィラキシー・ショックという致死的な副反応の可能性もあり、たった1件であってもこのような事故は起こしてはならないと考え、慎重な姿勢で臨んでいます。

今年の日本リウマチ学会総会・学術集会は、これまでの中で、もっとも大きな収穫がありました。それは、学術集会に先立つアニュアルレクチャーコースで最新の専門知識がアップデートできたこと、関節エコーライブ&ハンズオンセミナーといって、超音波検査の専門実習(参加者限定)で実践的なスキルアップができたこと、それに加えてMeet the Expertといって、特殊領域のエクスパートのレクチャーに続き、その講師を囲んで臨床に即した質疑応答(参加者限定)に参加でき、日常診療における専門的な課題の克服に大いに役立つ経験ができたからです。

 

そこで今月の木曜日のシリーズは4月14日(日)に開催された日本リウマチ学会総会2019アニュアルコースレクチャーの内容を、講義録のメモ〔講義録メモ〕をもとに要点を少しでもわかりやすく<まとめ>皆様にご紹介することにいたします。

 

アニュアルコースレクチャーは、2006年より、日本リウマチ学会の学術集会に併せて開催されています。リウマチ学会の中央教育研修会の中心となる7つの講演で、丸一日をかけて1年分のリウマチ医学の最新情報を得ようとするものです。

 

昔から難病とされてきた関節リウマチではありましたが、日進月歩の医学の発展により、関節リウマチの疾患活動性のコントロールも充分に可能な状況となりつつあります。そして、寛解状態を目指すことが現実的な治療ゴールになってきました。

 

とりわけ、関節リウマチの薬物療法の進歩は大学病院のみならずリウマチ専門医が勤務する地域のクリニックで高度な対応ができる時代になってきました。

しかし、そこで重要なことは、やはり、早期に診断し、速やかに治療を行うことです。

 

医師免許や博士号などの学位とは異なり、専門医のタイトルは、常にアップデートな情報に触れ、新しい知識を取得しておくことが必須の条件になっています。また、社会環境の変化も重要です。なぜなら、社会が医療に求める内容は、日々めまぐるしく変わって、より高度で有益で安全なものが求められていくからです。それについても、絶えずアップデートされた知識や技術が求められていることを実感しています。

 

 

〔講義録メモ〕 

<日本リウマチ学会総会2019アニュアルコースレクチャーのリポート④>

4月14日(日)

13:10~14:10am

ACL5:リウマチ性疾患におけるリハビリテーション治療

演者:酒井良忠(神戸大学リハビリテーション機能回復学)

 

 

<2015年リウマチ白書>

リウマチ患者の70.3%がリハビリテーション治療を受けていない。

 

患者も医師もリハビリテーションの導入方法を見失っている。

 

その理由は、介護保険へシフトさせる医療政策のため、外来でのリハビリテーションの保険医療が極端な不採算部門と化してしまったことによる影響が大きい。

 

外来診療が中心となる関節リウマチ患者においては、とくに外来リハビリテーションを受けることが困難になってしまった。このように、極めて厳しい環境となってしまったが、関節リウマチ患者にとってトータルマネージメントを行う上でとても重要であることには変わりがない。

 

 

<関節リウマチのリハビリテーション治療>

治療効果のエビデンス:

多数の研究があり、評価のエビデンスレベルは高い。

 

痛みについて、患者教育、関節保護指導、レーザー治療、パラフィン浴以外の温熱療法は効果なし。

運動療法、コンディショニングは効果あり⇔水氣道®は鎮痛効果あり。

 

機能改善について、患者教育は短期的機能改善がみられる。

長期的機能改善は不明確⇔水氣道®では機能改善の長期的効果が観察されている。

関節保護指導には高い保護効果あり

運動療法は効果あり

作業療法では、3か月の自宅での手指の動作訓練は、手指機能を向上する.

 

 

関節破壊・変形について

運動療法は関節破壊の進行には影響しない

理学療法(運動療法と物理療法)

作業療法

嚥下障害

装具治療

 

基本は有酸素運動療法や筋力訓練が推奨⇔水氣道®は有酸素運動かつ筋力訓練

 

筋力訓練と有酸素運動(持久力運動)の複合運動コンビネーションで週2回80分行えば、疼痛改善、一般健康状態改善、筋力・久力増加、体重・体脂肪減少がみられる。

 

2週間に3回程度の低頻度のトレーニングでも、筋力、歩行速度、最大酸素摂取量の改善を期待できる。

 

最近では、コンディショニングエクササイズが注目させる。

これは、筋力訓練、有酸素運動、プライオメトリクス、

柔軟、実生活動作をベースとした複合的なメニューである。

 

システマチックレビューが一つある

健康状態(AIMS-2)、痛みの改善に有効である。

 

 

<まとめ>

多くを解説する必要がないくらい、具体的で有益な情報が集まっています。

 

ただし、残念なことは、現在の日本の保険医療システムのもとで、これらの研究の成果を活用することが事実上不可能であるということです。これらの最新の医学的知見に適合し、かつリウマチ専門医自らが参加して20年の実績を積み重ねてきたリハビリテーションメソッドは、水氣道®をおいて他にないということを自負しております。水氣道®にどれだけの意義と価値があるのかについては、継続的に参加されている会員に直接お尋ねいただくのが何よりだと思います。

<ご相談希望の皆様へのお願い>

 

当院では電話での無料相談は実施しておりません。当院にお越しいただいた上で、予約手続きさせていただいております。

 

現在問い合わせの電話が殺到しております。

 

その中で相談にまで持ち込まれようとされる方が多数におよび日常業務に支障が出ております。

 

当方での治療を希望される方のみ、以下のメッセージをお読みください。

 

 

 

<線維筋痛症の皆様へ>

 

※このメッセージは当院に通院している線維筋痛症の皆様と共に作成いたしました。

 

 

線維筋痛症は、現在でも原因不明の病気で難治性の病気とされています。

 

しかし、実際は原因が徐々に解明されつつあります。

 

そして工夫次第では通常の快適な生活に戻ることも可能な疾患になっています。

 

本来なら、保険医療制度はあらゆる病気をカバーすべきです。

しかしながら現行の体制ではこの病気を救うことはできません。

当院では、専門の医師の診療の他に最先端のユニークな統合医療的アプローチを確立しました。

 

 

Q1

なぜ今までの医療では線維筋痛症の症状改善が難しかったのでしょうか?

 

 

A1

まず、医療者側の問題として以下が挙げられます。

 

①経験のある専門家が少ないことによる過剰な検査と不適切な治療

 

②必須の診断や効果的な治療に対する医療者側の労力に見合うコストが軽視されていること。

 

③治療効果が限定的な保険医療制度の枠のみに縛られすぎていること

 

当院では、専門の医師の診療の他に最先端のユニークな統合医療的アプローチを確立しました。

 

基本的な生活習慣見直しや鍼灸治療、水中有酸素運動(水氣道)、また必要に応じて心理療法を併用し效果をあげています。

 

 

また、患者様の側にも治療の効果があがらない要因があります。

 

その典型的多数例は、実際に足を運んで治療者と対面しようとしない方です

 

つまり電話のみで多岐にわたる症状を長々と訴えるタイプの方です。

 

残念ながらこのタイプの方が線維筋痛症医療の発展を阻んでいる最大の要因なのです。

 

「経過や症状を理解してもらいたい」というお気持ちはお察しします。

 

しかし電話での受け答えのみで済まそうとする行動そのものが内外の及ぼす悪影響を十分に振り省っていただきたく存じます。

 

その他に

①正確な病気の診断を受けていない

 

②病名だけを確定して欲しい(障害者手帳のみを希望する方)

 

③生活様式を変えたくない(病人として家族や社会に認知されたい)

 

④治療に踏み切らない(保険医療制度の欠点と限界が理解できない)

 

⑤保険医療制度の枠内での治療にこだわる

 

⑥効果を焦る(病気の種類や程度に応じて必要とされる時間があることを理解しない)

 

等があげられます。

 

 

Q2

線維筋痛症治療の効果を上げるにはどのようにすればよいのでしょうか?

 

A2

①まず、線維筋痛症治療経験のある医療機関に足を運ぶことです。通院できないことには病気の改善は望めません。

 

②自分自身の健やかで生産的な将来のために必要な初期投資をする勇気を持つことが大切です。

治療に要する費用は回復とともに徐々に少なくなります。

むしろ健康を取り戻すことで生産性や収入も増え、明るい将来に向けての見通しができていくことになるでしょう。

 

そのためには、短期間の結果に焦らず信念を持って治療を続けいくことが大切です。

 

計画的に、治療を受けた患者様は通例半年以内で顕著な改善を示し、通常の快適な生活に戻られています。

 

 

ここで、私共の経験を集約して率直に申し上げたいと思います。

 

①「保険診療にこだわるばかりで無意味な検査を繰り返し、効果の乏しい治療を漫然と続けることが浪費であること」に気づくこと。

 

②そこから本格的な治療に向けて方向転換できること。

 

この2点の重要性に気づいて実践された方が改善されております。

 

当診療所における実績です。

 

 

※高水準の治療を維持発展させる為に、お引き受けできる枠には限界があります。そのため「真剣に治療に取り組みたい」という方の御問い合わせのみをお待ちしております。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

電話:03ー3318ー1822

担当:野口 将成

 

 

以下に私が担当している患者様の個別のコメントを随時掲載していきます。

膵β細胞を休息させることでこの細胞を保護するための具体的な方法については、次回(5月22日)に解説する予定でしたが、新たな重要トピックが入ってきたため、延期といたします。

 

 

糖尿病患者の腎症進行の原因物質を同定、新たな治療法に(その1)

阿部高明:東北大学病態液性制御学分野教授のコメント

 

糖尿病性腎臓病(Diabetic Kidney Disease)の原因物質はフェニル硫酸。

Nature Communications電子版(4月23日号)に報告。

 

フェニル硫酸はDKD増悪の予測因子であり、さらにDKDの治療ターゲットになり得る。

 

慢性腎不全モデルマウスに便秘薬を投与すると腸内細菌叢が改善し、さらに慢性腎臓病(CKD)の進行抑制ができる可能性があることを報告しています。

 

腸内環境がCKDの進行に関わる

慢性腎不全モデルマウスに便秘薬であるルビプロストン(商品名アミティーザ)を投与すると腸内細菌叢が改善し、いわゆる善玉菌と言われるLactobacillusやPrevotellaなどの減少が改善していました。さらに、尿毒素の血中濃度の低下と腎機能の改善を確認しています。腸内細菌が関与する代謝物が体内を巡り、腎障害を引き起こしている可能性があることが分かりました。 どんな物質がどんな経路をたどって腎障害を引き起こすのか

そしてその物質の産生を抑えれば腎障害を治療できるのか

 

以前に同定していたヒト特異的有機アニオントランスポーター遺伝子(SLCO4C1)に着目しました。この有機アニオントランスポーターはヒトでは腎臓にだけ存在し、老廃物を体外に排出する役割を担っています。この遺伝子を導入し、尿毒素を含む代謝物を排出しやすくしたラットを作成し、DKDを人為的に起こしたときに普通のラットと比べてどの尿毒素に違いが出るのかを検討しました。

 

その結果、糖尿病を誘発すると、普通のラットではフェニル硫酸の血中濃度が高まり、病期が進行するほど血中濃度がより高まっていきます。一方、モデルラットではフェニル硫酸の血中濃度が低下して腎症が緩和されることが分かりました。尿毒素を排出しやすくしたモデルラットで血中濃度が低下する物質としてフェニル硫酸を見出し、普通のラットで血中濃度が高まっていて、それは腎障害の進行と比例していたということです。  

 

またフェニル硫酸は腎機能低下が始まる前から血中濃度が高まっており、ミトコンドリア障害を介して腎臓のポドサイトや基底膜を傷害する作用があることも分かりました。糖尿病モデル動物にフェニル硫酸を経口投与するとポドサイトや基底膜が傷害され、アルブミン尿が悪化したのです。

 

糖尿病患者を対象とした検討は、岡山大学腎・免疫・内分泌内科学教授の和田淳先生と共同で、362人の糖尿病患者を対象に、血中フェニル硫酸量と臨床データとの関係を検討しました。糖尿病患者で血中フェニル硫酸量は高まっており、アルブミン尿の値に比例していました。さらに微量アルブミン尿期の患者ではフェニル硫酸が2年後のアルブミン尿増悪を予測する独立した因子であることが分かりました。年齢や性、BMI、収縮期血圧、HbA1c、eGFR値は有意な予測因子ではありませんでした。

 

 

結果のまとめ

フェニル硫酸はDKDの原因物質であり、しかも微量アルブミン尿期にその後の腎障害の増悪を予測する因子になり得ます

 

微量アルブミン尿期はDKDの早期段階です。この段階で血中フェニル硫酸量が高ければ、その患者は腎障害が進行する可能性が高いと言えます。腎障害が進行する前に増悪リスクが高いことが分かれば、糖尿病などの治療を一生懸命取り組まなければいけないといった指導することができます。  

 

フェニル硫酸が体内で産生される機序ですが、まず食事中に含まれるチロシンが腸内細菌の作用によってフェノールに変換され、体内に吸収されます。フェノールは非常に毒性の高い物質ですから、すぐさま肝臓で解毒代謝酵素によって硫酸抱合され、フェノールよりは毒性の低いフェニル硫酸に変換されることが分かっています。  

 

腸内細菌がチロシンをフェノールに変換するのはチロシン・フェノールリアーゼという酵素です。これは腸内細菌のみが持ち、ヒトには存在しない酵素です。  

 

そこでこのチロシン・フェノールリアーゼの阻害薬を糖尿病モデルマウスに経口投与したところ、血中フェニル硫酸量が低下し、アルブミン尿が減少することを確認しました。さらに腎不全モデルマウスにこの阻害薬を投与すると、血中フェニル硫酸量が低下するとともに、血清クレアチニン値も低下しました。これは血中フェニル硫酸量を低下させると腎障害が改善する可能性を示唆する結果です。  

 

ですから、腎臓病を起こしやすい糖尿病患者において、フェニル硫酸を測定してリスクの程度を予測し、原因となるチロシンをあまり含まない食事にするといった食事指導をしたり、チロシン・フェノールリアーゼ阻害薬を投与してフェニル硫酸の産生量を減らすといった治療戦略が考えられます。  

 

これまでCKDやDKDを進行させないためには糖尿病や高血圧の治療、RA系阻害薬の投与をするしかありませんでした。今回明らかにしたフェニル硫酸を減らすことは、新しい治療コンセプトになると考えています。  

 

それでは、腎臓病を起こしやすい糖尿病患者において、原因となるチロシンをあまり含まない食事にするといった食事指導のためには、どのような基礎情報が必要なのでしょうか。

 

この点に関しては、次回、来週の水曜日5月29日に解説します。

第2・第3の狭心症とは何か?

 

第116回日本内科学会講演会は2019年4月26日(金)から28日(日)の3日間、名古屋で開催されました。未曽有の大型連休の前でもあるため、初日の26日(金)は出席せず、高円寺南診療所としての最終診療日としました。

 

しかし、4月26日(金)は、聞き逃したくない貴重な演題が目白押しでした。そこで、学会レジュメをもとに循環器の重要なトピックを紹介します。

 

 

教育講演4.冠攣縮性狭心症と微小血管狭心症

 

 一口に狭心症といっても、いろいろなタイプがあります。近年、安定狭心症の患者さんの中で非閉塞性冠動脈疾患を有する方が増加しているとのことです。これらの狭心症は、明らかな冠動脈硬化症などの形態異常は認めないが、機能異常を伴うものがあります。それらには、冠攣縮性狭心症や微小血管狭心症が関与している可能性が高いとされます。

 

冠攣縮性狭心症の分子機構は、血管平滑筋収縮の分子スイッチの役割を果たすRho-kinaseの活性化が主な原因であり、その成因として、冠動脈の炎症性変化(特に冠動脈外膜)が重要であるようです。

 

また、微小血管狭心症にもRho-kinaseの活性化が重要な関与をしていて微小冠動脈の攣縮や拡張不全を引き起こし、また冠攣縮性狭心症との併存例があることも明らかになってきました。

 

これらの非閉塞性狭心症が目立つようになってきた背景には、閉塞性冠動脈疾患については冠動脈インターベンション(PCI)やステントの技術が改良され成熟期してきたことも無関係ではなさそうです。しかし、それにもかかわらず、PCIを行った後も約4割の患者において胸部症状が消失しないPCI後の狭心症の問題が残っています。こうしたPCI後の狭心症にも、冠攣縮性狭心症や微小血管狭心症など第2・第3の狭心症が併存している可能性が考えられています。

 

変形性ひざ関節症」で困っている人は2530万人も!

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これは東大病院の鍼灸名医の粕谷先生の新刊本:ひざ痛は「お灸」で消える!

の第1章 あなたを苦しめるひざ痛が「お灸のチカラ」で消えるのはなぜなのか?

のSTEP1のタイトルです。

 

 

その粕谷大智先生と、先日(5月11日・12日)の岡山での学会で再会しました。

 

そこで、彼の本(光文社刊:2019年2月10日初版第1刷)をここでご紹介させていただきます。

 

 

岡山での学会というのは、「日本温泉気候物理医学会」という日本医学会の分科会の中でも古い歴史をもち昭和10年に設立されました。東京大学医学部物療内科(物理療法内科⇒現在はアレルギー・リウマチ科に改組)が母体となったものです。

 

私が東大の医学博士課程に在籍中には、すでにこの学会の評議員であったため、粕谷大智先生をこの正会員推挙をさせていただいたというご縁があります。

 

粕谷先生は、現在、東大病院のリハビリテーション部鍼灸部門の主任を務めていますが、その後、博士号(心身健康科学)を取得するなど、臨床面のみならず研究面においても輝かしい実績を残しております。宝塚医療大学客員教授となり、NHKの健康番組『東洋医学 ホントのチカラ』に出演され、脚光を浴びています。

 

粕谷先生は、ひざ痛を「お灸」で治していますが、杉並国際クリニックでは、この方法をさらに応用して「運動灸」という技法があります。

簡単に説明しますと、針治療には「運動針」という有効性の高い確立した技法がありますが、これを「お灸」に応用した杉並国際クリニックオリジナルの治療技法です。

 

 

ひざの痛みには「東大式温灸療法(杉並変法)」を‼

 

6月になると梅雨の季節がはじまり、冷房などによりひざの痛みを訴える方が増えてまいります。混雑が予測されますので、がまんせずに早めにご相談くださいますようお願い申し上げます。

第116回日本内科学会総会・講演会(ポートメッセ名古屋)

 

シンポジウム2:<GFR免疫チェックポイント>から

第2日目

2019年4月27日(土)9:00am~

 

2018年のノーベル医学生理学賞に、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名オプジーボ)の開発につながった京都大学の本庶佑名誉教授が選ばれ、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬に関心が集まっています。「夢の新薬」という言葉で形容されるケースさえ見受けられます。

 

ヒトの免疫システムには、免疫応答を活性化するアクセル(共刺激分子)と抑制するブレーキ(共抑制分子)が存在します。新しい抗がん剤として注目されている免疫チェックポイント阻害薬ですが、実際の奏効率は約20%です。そのため有効例を見分ける診断法や無効例に対する治療法の開発が急がれています。副作用の発生が問題になっていますが、副作用が発現する症例の方が、かえって抗腫瘍効果が得られやすい

というデータもあります。

 

1)

免疫チェックポイントの機能とがん治療への応用

 

CTLA-4やPD-1等の共抑制分子は「免疫チェックポイント」として機能し、自己への不適切な免疫応答や過剰な炎症反応を抑制します。

 

CTLA-4はT細胞活性化初期に働く免疫チェックポイント分子で、主にリンパ組織における抗原提示を抑制し、T細胞活性化を抑制します。

 

CTLA-4抗体は抗腫瘍効果を発揮し、T細胞のブレーキ解除によりがん治療が可能になり、悪性黒色腫の治療薬として承認されました。

 

しかし、CTLA-4抗体では治らない病気があり、副作用が大きいという問題があります。また、転移を抑制できなければ、抗腫瘍薬としては役に立たないと考えられます。

 

PD-1はT細胞活性化後期に働く免疫チェックポイント分子で、主に炎症局所でキラーT細胞が標的細胞を攻撃する場面で作用します。がん細胞が標的なのではなくキラーT細胞が標的であるため、がんが変異しても効果が持続するという利点があります。PD-1抗体は、がん転移を抑制して、CTLA-4抗体よりも強力な抗腫瘍効果を示し、副作用が小さいという特徴が観察された。

 

 

2)

消化器がんに対する免疫チェックポイント阻害薬

 

免疫感受性が低いという問題を抱えたまま臨床試験トライアル中です。

 

食道がん:

扁平上皮癌(乞食タイプ)、腺癌(ブルジョワタイプ)

日本人の扁平上皮癌への奏効率17%、PD-L1陽性例では奏効率が高くなります。

 

胃がん:

標準治療の確立が困難な状況です。ニボリズマブ(PD-1阻害薬)、ペムブロリズマブいずれも奏効率11%です。EBウイルス関連のマーカーが注目されています。

 

隠れた治療選択バイオマーカーの発見が胃がんの治療に重要であるようです。二剤、さらに三剤の併用療法も調査中です。

 

大腸がん:

遺伝子プロファイルによって分類されています。MSI-Hタイプでのペムブロニズマブ奏効率は高く62%です。さまざまな併用療法が良好な成績を上げています。これに対してMMSタイプの大腸がんでは有効性が否定されています。

 

オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬は、現在のところ多くは再発や転移がある、手術できない例の生存率改善目的に使用される薬です。ですから、切除可能ながんを診断された人が、「オプジーボだけで治しましょう」ということはまずあり得ないということを,ぜひ知っておいてください。

<今月の論点:リウマチ膠原病診療の盲点―心療内科指導医・専門医 兼 リウマチ専門医 の立場からー>

 

③NPSLEの類型について

米国リウマチ学会によるNPSLEの分類は、出現する精神症状は以下の4つの主要症候群に分類しています。①認知障害(せん妄および認知症)、②精神病性障害、③気分障害、④不安障害です。

 

次のステップの「病因診断」はSLE患者では苦慮することが多いとされます。

 

その理由は、

①NPSLEはSLE以外の要因による精神障害(例:ステロイド精神障害)と症候学的に区別不能

 

②NPSLEには診断に有用な疾患特異的な単一の指標がない

 

③SLEの全身性の疾患活動性と連動せずに症状が出現することがある

 

そこで、必要になるのはNPSLE以外の要因を除外することが重要であると、西村先生は指摘しています。このあたりが、精神科医の仕事と言いたいところなのでしょうが、優秀な精神科医でも困難極まりない仕事だと考えます。

 

なぜなら実際の診断は、総合的に行わざるをえないからです。すなわち、臨床症状、血液および髄液検査所見、脳波、脳イメージング、免疫学的マーカーなどが判断材料になります。

 

たとえば、脳波の特徴としては半数以上に全般性除波化が観察されます。また、SLEをはじめとする膠原病では自己抗体が産生されます。この自己抗体が脳血液関門(BBB)を通過し、神経細胞やグリア細胞に結合すると精神障害をきたしやすくなります。脳血液関門(BBB)の透過性の評価にはQ-albumin(髄液と血清のalbumin比)が用いられることがあります。

 

こうした総合判断を、リウマチ医と精神科医が協働して行ったとして、どれだけ整合性ある統合的結論に結びつくかははなはだ疑問です。複数の専門医が一人の患者さんの一つの病気に関与する場合は、身体症状に対するアプローチと神経精神症状に対するアプローチに対する理解を何とか総合することはできても、すっきりと一つのまとまりに統合することは、それぞれの専門医にとっても事実上不可能になります。

 

そのような難題の受容を医療の素人である患者さん自身に負わせていかなければならないことになります。心と体とがバラバラにされたままの再統合されないままの治療を余儀なくされた患者さんの苦しみは、たいていの医師の想像を超えたレベルに達しています。

 

それでも、目の前に患者さんが存在する以上、何らかの有効な現実的手立てが求められることになります。