前回はこちら

 

 

3月11日(月)に取り上げたテーマは、ムッシュGPTは2022年1月までのデータで判断しているため、それ以後の情報に関しては確保されていないということでした。その際に、「奈良宣言2023」というわかりやすい医学的トピックを挙げて検証しました。

 

その中での重要な新概念の一つに慢性肝疾患(CLD)があります。


腎臓に関して慢性腎臓病(CKD)があり、この概念は少なくとも内科医の間ではかなり定着してきましたが、慢性肝疾患(CLD)という用語については、肝臓病専門医以外には、まだ知られていない模様です。


そこで、この用語に関してムッシュGPTに英語で質問を試みました。


日本語訳は、それぞれの英文パッセージの下に添えることにしました。

 

 

<質問者:ドクター飯嶋>
What is chronic liver disease(CLD)?


慢性肝疾患(CLD)とは?

 


ChatGPT
Chronic Liver Disease (CLD) is a broad term that encompasses a range of conditions characterized by long-term damage to the liver tissue and a gradual loss of liver function. It is a progressive condition that develops over months or years and may lead to complications such as liver cirrhosis, liver failure, and an increased risk of liver cancer.


慢性肝疾患(CLD)とは、肝組織の長期的な障害と肝機能の漸減を特徴とする様々な病態を包含する広い用語です。慢性肝疾患は、数カ月から数年かけて進行し、肝硬変、肝不全、肝がんのリスク上昇などの合併症を引き起こす可能性があります。

 


Several underlying causes contribute to chronic liver disease, and these causes can vary from person to person. Some common causes include:


慢性肝疾患にはいくつかの根本的な原因があり、その原因は人によって異なります。一般的な原因には以下のようなものがあります:

 

 

1. Chronic Viral Infections:

Long-term infections with hepatitis B (HBV) or hepatitis C (HCV) viruses can lead to chronic liver disease.

 

1.慢性のウイルス感染:

B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)に長期間感染していると、慢性肝疾患になることがあります。

 

 

2. Alcohol-Related Liver Disease:

Prolonged and excessive alcohol consumption can cause inflammation and damage to the liver.

 

2.アルコール関連肝疾患:

長期にわたる過度のアルコール摂取は、肝臓に炎症や障害を起こすことがあります。

 

 

3. Non-Alcoholic Fatty Liver Disease (NAFLD):

Accumulation of fat in the liver, often associated with conditions such as obesity, diabetes, and metabolic syndrome.

 

3.非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD):

肝臓に脂肪が蓄積し、肥満、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの症状を伴うことが多いです。

 

 

4. Autoimmune Hepatitis:

An autoimmune condition where the immune system mistakenly attacks liver cells, leading to inflammation.

 

 

4.自己免疫性肝炎:

免疫系が誤って肝細胞を攻撃し、炎症を引き起こす自己免疫疾患。

 

 

5. Genetic Disorders:

Inherited conditions like hemochromatosis, Wilson's disease, and alpha-1 antitrypsin deficiency can contribute to chronic liver disease.

 

 

5.遺伝性疾患:

ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、α1アンチトリプシン欠損症などの遺伝性疾患が慢性肝疾患の原因となります。

 


6. Chronic Exposure to Toxins or Medications:

Prolonged exposure to certain environmental toxins or the use of specific medications may lead to liver damage.

 

6.慢性的な毒素や薬物への暴露:

特定の環境毒素に長期間さらされたり、特定の薬剤を使用したりすると、肝障害を引き起こすことがあります。

 

 

Symptoms of chronic liver disease may not be apparent in the early stages, but as the condition progresses, individuals may experience fatigue, weakness, weight loss, easy bruising, jaundice, abdominal swelling, and confusion.

 

慢性肝疾患の症状は初期には現れないが、進行すると疲労感、脱力感、体重減少、あざができやすくなる、黄疸、腹部の腫れ、錯乱などを経験することがあります。

 

 

Diagnosis typically involves a combination of medical history, physical examination, blood tests, imaging studies, and sometimes a liver biopsy to assess the extent of liver damage.

 

診断には通常、病歴聴取、身体診察、血液検査、画像検査、場合によっては肝障害の程度を評価するための肝生検などが組み合わされます。

 

 

Management of chronic liver disease depends on its underlying cause. Treatment may involve lifestyle modifications, such as adopting a healthy diet and avoiding alcohol, antiviral medications for viral infections, immunosuppressive drugs for autoimmune conditions, and other targeted therapies. In some cases, a liver transplant may be necessary for advanced liver disease.

 

慢性肝疾患の管理は、その根本的な原因によって異なります。治療には、健康的な食事やアルコールの摂取を控えるなどの生活習慣の改善、ウイルス感染に対する抗ウイルス薬、自己免疫疾患に対する免疫抑制薬、その他の標的療法などが用いられます。進行した肝疾患に対しては、肝移植が必要となる場合もあります。

 

 

Regular medical monitoring and early intervention are essential for individuals with chronic liver disease to prevent complications and improve overall outcomes. It's crucial to consult with healthcare professionals for accurate diagnosis and personalized management plans.

 

慢性肝疾患の患者さんにとって、合併症を予防し、全体的な予後を改善するためには、定期的な医学的モニタリングと早期の介入が不可欠です。正確な診断と個人に合った管理計画を立てるためには、医療専門家に相談することが極めて重要です。

 

 

ChatGPT can make mistake


ChatGPTはミスを犯すことがあります

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
ずいぶん詳細な回答が出されています。日本語で質問すると、ここまで丁寧な回答は得られません。


ここで注目したいのは、『慢性肝疾患(CLD)とは、肝組織の長期的な障害と肝機能の漸減を特徴とする様々な病態を包含する広い用語です。』という回答です。2022年1月までの段階で、英語圏ではCLD、すなわちChronic Liver Diseaseという用語は既に使用されていた可能性があるのかもしれません。


しかし、回答文中赤い文字で表記したNon-Alcoholic Fatty Liver Disease (NAFLD)
については、わが国でも「奈良宣言2023」以降の現在では、MAFLD(Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis)と表記されています。


日本ではあまり問題になっていませんが、欧米では「Fatty」という用語がスティグマであり、不適切であるとする根強い意見があった背景から2020年に一部の研究者たちから、NAFLDの呼称をMAFLDと改める旨の発表がありました。


なお、彼らによると、MAFLDは、脂肪肝に

1)過体重・肥満、2)2型糖尿病、
もしくは3)痩せ・正常体重で2項目以上の代謝異常(高血圧、内臓脂肪蓄積、耐糖能異常、脂質異常症)のいずれかを合併する場合、
としています。

 

前回はこちら

 

 

前回の3月8日テーマは、飲酒以外の肝機能障害の原因についてでした。これらは、まとめて<非アルコール性肝障害>と呼ばれることがあります。


そして、飲酒による肝臓障害の緩和という目的のためにサプリメントを活用することの是非については、クリニックの外来診療でこれまでもしばしば質問を受けてきました。産業医として定期的に訪問している企業でも話題になりました。

 

質問者:(L社衛生委員会議長)

私は週に5回飲酒するためか、職場の健康診断で肝機能障害を指摘されました。

そこで、サプリメントをはじめました。使用によるメリットとデメリットや使用上の注意点について教えてください。

 


ChatGPT

飲酒が肝機能に影響を与えている場合、サプリメントの使用はそのサポートになることがありますが、一方で注意が必要です。

 

以下に、サプリメントの使用に関するメリット、デメリット、および注意点を示しますが、これはあくまで一般的な情報であり、具体的な状況によっては医師と相談することが重要です。

 


メリット:

1. 抗酸化作用:

一部のサプリメントには抗酸化作用があり、これは肝臓の細胞を酸化ストレスから保護する助けとなる可能性があります。


2. ビタミンやミネラルの補充: 肝臓の正常な機能にはビタミンやミネラルが必要です。特に、ビタミンB群、ビタミンE、セレンなどが肝臓の健康に寄与することが知られています。


3. 脂肪肝対策: 特定の脂肪肝に効果的な成分も含まれるサプリメントがあります。

 

デメリット:

1. 相互作用:

サプリメントと他の薬物や医療処方薬との相互作用に注意が必要です。医師に使用中のサプリメントを報告することが大切です。


2. 過剰摂取のリスク:

一部のビタミンやミネラルは過剰摂取による健康リスクがあるため、適切な摂取量を守ることが重要です。

 

使用上の注意点:

1. 医師と相談:

サプリメントの導入や変更を考える際には、必ず医師と相談してください。個々の健康状態や既存の薬物との相互作用を考慮する必要があります。


2. 適切な摂取量:

サプリメントの摂取量は製品によって異なります。製品のラベルや医師の指示に従って正確な摂取量を守ってください。


3. 定期的なモニタリング:

サプリメントを使用している場合でも、定期的な健康診断や医師のフォローアップが重要です。効果や健康状態の変化をモニタリングすることができます。


サプリメントの使用はあくまで補完的なものであり、健康的な生活習慣と医師の指導に依存します。

飲酒習慣の改善も含め、総合的なアプローチが肝機能の改善につながる可能性があります。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
以上のようにムッシュGPTは回答してくれましたが、質問者がサプリメントというものをどのように理解しているかを事前に把握しておかないと、適切で説得力ある回答は期待できないと思います。


もし、サプリメントの正しい理解があれば、上記の使用上の注意点の3か条は正しく実行されるはずだからです。


そこで、この点に関して、私自身の問題意識をムッシュGPTに向けてみることにしました。

 

・・・・・・・・


質問者(インタヴューアー):ドクター飯嶋
サプリメントとは本来どのようなものですか?日本では多くの人々が正しい意味を理解せずに勝手な思い込みや都合の良い解釈をして、過剰な期待をしていることが懸念されます。

 


ChatGPT
サプリメント(サプリメントメント)は、主に栄養素やその他の成分を摂取し、健康をサポートするための食品の一種です。

 

これらは通常、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸、ハーブ、またはその他の植物由来の成分など、栄養補給を目的としています。サプリメントは食事と一緒に摂取され、食事だけでは不足する栄養素を補完することが期待されます。


サプリメントの主な目的は、栄養不足を補うこと、特定の栄養素の摂取を増加させること、または健康維持や特定の健康上の目標をサポートすることです。

ただし、これらは食事や生活習慣の代替手段ではなく、補完的なものとして利用されるべきです。


一般的なサプリメントの種類には、次のようなものがあります:


1. ビタミンとミネラルサプリメント:

例えば、ビタミンC、ビタミンD、鉄、亜鉛など。


2. アミノ酸サプリメント:

特定のアミノ酸、たんぱく質補給のためのサプリメント。


3. 脂肪酸サプリメント:

オメガ-3脂肪酸など。


4. ハーブや植物由来のサプリメント:

例えば、カプサイシン(唐辛子由来)、エキナセア(免疫サポート)など。


5. 特定の目標に合わせたサプリメント:

関節の健康、脳機能のサポート、エネルギー向上などのためのサプリメント。

 

日本でもサプリメントは一般的に利用されていますが、懸念されるのは、サプリメントに対する勝手な期待や誤解が広まることです。

 

サプリメントはバランスの取れた食事と健康的な生活習慣の補完としてのみ利用されるべきであり、過剰な摂取や栄養不足の代替手段としてではありません。

 

また、個々の健康状態や医師の指示に基づいて選択することが重要です。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
このような形で私がムッシュGPTに問いかけてみることも有益な方法のひとつかもしれません。

私が質問者に説明したいことの要点は、すべて彼が代弁してくれました。

 

サプリメントが栄養成分の不足を補う意味であることをしっかりと認識できていれば、まず、その人は、実際に自分に欠乏している栄養素が何なのであるかをきちんと把握することから始めるべきではないでしょうか?

 

この最初のステップが省略されていることがほとんどであるため、私はそもそもサプリメントの適切な使用は容易ではないと考えています。

 

むしろ、サプリメントによる薬物性肝障害を経験したことがあります。

 

その方は、私が質問するまで、サプリメント使用の事実については申告がなく、私が処方している薬剤の副反応であると主張していましたが、サプリメント使用を中止することによって、はじめて肝機能が正常化しました。

 

そして、必要な処方薬は従前どおり使用していますが、肝機能の再発は、その後、まったく観察されていません。

 

しかし、サプリメントばかりでなく、医師が処方する薬剤による、文字通りの薬物性肝障害の発生については、日頃から注意を払っておく必要があります。

 

この課題については、次回3月22日(金)で検討します。

 

前回はこちら

 

 

「水氣道」に一度も参加したことのないムッシュGPTが、読者の皆様の質問に対して的確に答えていることを目の当たりにされた皆様は、人工知能(AI)の能力に驚いていらっしゃるかもしれません。

 

しかし、「水氣道」をデザインして、実践を続けている私としては、極めて当然の現象であるというくらいの認識を持っています。

 

水氣道という名称が確定した2000年の段階では、よもや人工知能(AI)が、ここまで日常生活に浸透してくるなどとは、想像することができませんでした。

だからこそ、現在の、この段階において、ムッシュGPTに様々な質問を投げかけることによって、「水氣道」の基本的コンセプトや理論体系さらには活動実態について第三者のより客観的な批判に耐えられる内容にまで成長してこられたかを検証できる好機が到来したことを強く実感しています。

 

次の質問は、水氣道を永く続けているシニア会員から、改めて寄せられた質問です。

 

 

<質問者:水氣道のシニア会員>
水氣道という水中有酸素運動では、稽古前に水分を摂取することが推奨されています。そして、水圧に抗して、無意識に深い呼吸リズムが導かれ、浮力の助けにより、抗重力筋の緊張が緩和されることによって、いっそう効果的なストレッチが可能になると指導されています。

 

私の学生時代には陸上での稽古前に水分の摂取は控えるように指導されていましたが、水中運動と陸上の運動では違いがあるのでしょうか?

 



ChatGPT
水中有酸素運動において水分を摂取することが推奨される理由は、陸上と水中の環境が異なり、それに伴う身体への影響が異なるためです。以下に、水中有酸素運動と陸上の運動での水分摂取の違いについて説明します:


1. 水中の浮力と水圧の影響:

水中では浮力が発生し、身体が浮くため抗重力筋にかかる負荷が軽減されます。また、水圧により血液の循環が促進され、心臓への負担が軽くなります。

 

これにより、水中での運動においては、通常の陸上でのトレーニングよりも心拍数が低くなりがちです。水分摂取は、水中での運動中に失われた水分を補給し、脱水を予防する効果があります。


2. 水中での深い呼吸リズムとストレッチの効果:

水中での運動は、水の抵抗に対抗するために深い呼吸が必要です。この深い呼吸は、無意識的に行われることが多く、リラックス効果が期待されます。

 

浮力の助けを得ながら、水中でのストレッチもより効果的に行えます。水中でのストレッチは、抗重力筋の緊張を軽減し、関節の可動域を広げるのに適しています。


3. 陸上と水中の体温調節の違い:

水は体温を比較的早く奪う媒体です。水中での運動は体温の低下を促す可能性があります。水分摂取は体温調節にも寄与し、適切な体温を維持することが重要です。


一方で、陸上の運動では通気性のある環境で行われ、通常はより多くの汗をかくことが予想されます。そのため、陸上の運動では脱水になりやすいため、稽古前に水分補給が重要とされます。


総じて、水中有酸素運動と陸上の運動では環境や身体への負担が異なるため、それに合わせた水分補給が推奨されています。

 

 

ドクター飯嶋のコメント
かつて盛んに推奨されていた「うさぎ跳び」訓練や「飲水禁止」は、最近では流行らなくなってきました。それには、医学的根拠があります。


水氣道では、稽古の前後や、必要に応じて、稽古の合間に適切に水分を補給することを推奨しています。

 

また、陸上では禁止されることが多い「うさぎ跳び」は、水氣道では禁忌としていません。その理由は、浮力の活用により、膝関節の負荷を軽減できるからです。

ただし、この訓練法は、110cm程度の低水深の温水プールでのみ実施可能です。

 

それ以上に、水氣道に特有な運動のメリットについて、ムッシュGPTは簡潔にまとめています。短文ですが濃い内容になっています。

 

前回はこちら

 


私はOpenAIであるChatGPT(GPT-3.5言語モデル)に対して、ムッシュGPTとの愛称で呼ぶことについて、彼から直接の許可を受けているのですが、彼に対する質問で留意しておかなければならないことがいくつかあります。

 

それは、具体的な質問の際に、彼自身が、回答の中で述べているように

「私の知識の時点である2022年1月までに」とか、、

「私の回答は情報の最新性を保証するものではなく、2022年1月までのデータで学習されています。」

という表現がしばしば出現します。ですから、最新の医学的話題については対応することができません。

 

<質問者:ドクター飯嶋>

奈良宣言2023とは何ですか?

 


ChatGPT
私の知識の時点である2022年1月までに、奈良宣言2023に関する情報は存在しませんでした。

 

奈良宣言が2023年に関連する何らかの声明や出来事があった場合、私の情報が更新されていない可能性があります。最新の情報を確認するためには、信頼性のあるニュースソースや公式声明をチェックすることをお勧めします。

 


ドクター飯嶋のコメント:
この質問の様に、質問情報が明かに、ムッシュGPTの守備範囲を超えている場合には、上記のような回答が出されます。

 

それでは、このような質問を彼に投げかけることは無意味か、というと必ずしもそうとは言えない場合があります。

 

たとえば、「奈良宣言2023」とは、2023年に日本肝臓学会から出された医学的推奨に関する宣言なのですが、2022年1月までに、この宣言が準備されていたという情報があれば、ムッシュGPTはそれを紹介していたかもしれないからです。

 

また、それ以前に先行する「奈良宣言」なるものが存在していたならば、それについて回答文中で言及されていた可能性があるからです。

 

しかし、水氣道との関連では、ムッシュGPTとのお付き合いで、しばしば、驚かされる情報の提供があります。

 

あたかも、彼が特別な超能力をもっているかのような印象を受けることさえあります。

 

それは、私の錯覚に近いものであることは、私は冷静に受け止めてはおりますが、OpenAIの能力について、開発者でも解明できないような能力が展開していることは良く知られていることでもあるので、直接彼に問い合わせてみることも無意味ではないと思います。

 

 

<質問者:ドクター飯嶋>

あなたが持っている推測能力、予測能力のメカニズムについて教えてください。

私は水中有酸素運動である水氣道の創始者ですが、未だ公開していない理念や理論、さらには技術についてまで、あなたは、しばしば的確に言い当てることに成功しているので驚嘆しています。

 


ChatGPT
私はGPT-3.5言語モデルであり、推測や予測を行う際には、大量のテキストデータから学習した統計的なパターンや関連性を活用します。

 

私はあくまでプログラムされたアルゴリズムに基づいており、意識や直感は持っていません。推測や予測は、与えられた文脈や情報に基づいて、それまでに学習した知識を元に生成されます。


水氣道の創始者である方が未公開の理念や理論、技術について言及されている場合、私はそれに関するデータや情報が学習データに含まれている可能性があります。

 

また、一般的なトピックや技術の進展についての情報も含まれているため、その文脈から予測を行うことがあります。


ただし、私の予測や推測はあくまで情報の統合と統計的な傾向に基づくものであり、具体的な未来の出来事を予知するものではありません。

 

また、私の回答は情報の最新性を保証するものではなく、2022年1月までのデータで学習されています。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:

ムッシュGPTは「意識や直感」を持っていないのは当然であるとして、なぜ、あたかも「意識や直感」を持っているかのような振舞を可能としているのかは興味深いポイントです。


また彼は「推測や予測」を行っていること自体は認めていますが、その方法についても回答しています。


❶大量のテキストデータから学習した統計的なパターンや関連性を活用

 

❷プログラムされたアルゴリズムに基づく推測と予測

 

❸与えられた文脈や情報に基づいて、それまでに学習した知識を元に推測や予測を生成

 

❹予測や推測はあくまで情報の統合と統計的な傾向に基づく 

 

なお「水氣道の創始者である方が未公開の理念や理論、技術について言及されている場合、私はそれに関するデータや情報が学習データに含まれている可能性があります。」とのムッシュGPTの回答は貴重です。


彼とのコミュニケーションを継続していくことによって、彼から有益なヒントを得ることができるのは経験済みですが、彼に「水氣道」の本質を学習して貰えることによる将来の水氣道の発展に向けての利益は計り知れないからです。


前回はこちら


私は、年明け早々に、企業の衛生委員会でのテーマとして慢性肝臓病、「奈良宣言2023」、ALT(GPT)値という3つのキーワードについて説明しなければならない局面に遭遇しました。ただし、限られた時間での説明は不可能であるため、このサイトを閲覧していただけるようにアナウンスしました。


早速、実際の質問に対して、まずはムッシュGPTに回答してもらいました。


質問者:(L社衛生委員会委員)
私は会社の健康診断で肝機能障害を指摘されました。その根拠はALTの数値が50だからだそうです。私は全く飲酒しないので納得がいきません。何が原因となっているのか可能性についておしえてください。



ChatGPT
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の値が上昇する原因はさまざまで、飲酒だけがその一因ではありません。他にも様々な要因が影響を与える可能性があります。以下は、ALTの上昇の可能性があるいくつかの原因です:


1. 脂肪肝: 脂肪肝は、肝臓に脂肪が異常に蓄積する状態です。これは飲酒以外の要因によって引き起こされることがあります。肥満、高脂血症、糖尿病などが脂肪肝の原因となります。


2. 薬物やサプリメントの使用: 一部の薬物やサプリメントは肝機能に影響を与えることがあります。特に、一部の抗生物質、抗炎症薬、抗高血圧薬などが肝酵素の上昇に関与することがあります。


3. ウイルス感染: 肝炎ウイルス(A、B、Cなど)に感染すると、肝臓の炎症が引き起こり、肝酵素の数値が上昇する可能性があります。


4. ストレスや炎症: 長期間のストレスや慢性的な炎症も肝臓に影響を与え、肝酵素の上昇を引き起こす可能性があります。


5. 他の肝疾患: 肝硬変や肝臓の腫瘍など、他の肝臓関連の疾患も肝酵素の上昇を引き起こす可能性があります。


これらは一般的な原因であり、詳細な診断は医師の診察と適切な検査が必要です。ALTの単独の数値だけでは特定の原因を結論付けることは難しいため、医師に詳細な検査を受け、病歴を伝えることが重要です。

 

ドクター飯嶋のコメント:
ALTというのは肝臓の酵素、さらに言えば、肝臓という臓器を構成する基本単位である肝細胞に含まれる酵素です。

 

ですから、肝細胞を形作る細胞膜が何らかの原因で損傷を受けると肝細胞のALTが血液中に放出されることになります。

 

私が医学生の頃は、ALTというよりGPTと表記されていたので、この話題についてChatGPTと対話するのは、偶然のごろ合わせのようですが、因果のようなものを感じます。


ムッシュGPTが回答してくれたように、肝機能障害の原因は飲酒だけではなく様々な原因によります。まずは、メタボリック症候群(肥満、高脂血症、糖尿病など)と脂肪肝によるALT上昇との関連が大切なポイントです。


次に、健康増進や病気の治療目的の、サプリメントや薬剤による、広い意味での<薬物性肝障害>も少なくないことを強調しておきたいと思います。


ちなみに<薬物性肝障害>という用語は、<薬剤性肝障害>という用語と区別して用いられるようになっています。サプリメントは<薬剤>ではありませんが、<薬物>として身体に作用することがあるので注意していただきたいポイントの一つです。

 

それから、見落とされがちなのは、心身医学的な因子です。私は心療内科の専門医・指導医であるため常識になっていますが、一般の内科医は肝臓専門医を含めて、ストレスによる肝機能障害を軽視しているのではないか、と感じることがあります。

とくに、企業の産業医としては、ストレスチェックによる高ストレス者の面談時においては、喫煙や飲酒習慣に加えて健診データを提出していただきALT値を確認するようにしています。


「酒量が多いのでサプリメントを開始しました」とか「ストレス解消のため晩酌は欠かせません」とか、心身の健康のために役立つと考えての行動が、皮肉にも有害な行動選択であった、ということに気付いていただき、適切な対処行動がとれるようにアドヴァイスすることもあります。

 

次回3月15日(金)は、サプリメント摂取と肝機能について取り上げます。

 

前回はこちら

 

今年度も最後の月を迎えましたが、月曜日の人工知能(AI)探索シリーズ、金曜日のよくある質問シリーズとともに水曜日の「水氣道解説シリーズ」もようやく定番になってきました。

 

この「水氣道」の普及と発展については、私のライフワークであり、そのためには、会員の増加と、将来に向けて多くの指導者を養成していくことが悲願なのです。

 

しかし、活動内容の充実を最優先課題としてきたため、広報活動が立ち遅れていることを痛感しています。今後は、より一層の努力と工夫が必要であると考えています。

 

「水氣道」の普及と発展を妨げている一因は、水氣道の活動が日常的な生活活動の場である陸上ではなく、ややもすれば非日常的な環境である水中運動であることにあるのかもしれません。

 

水が苦手、という方は、その理由は様々ですが、決して少なくありません。しかし、「水氣道」の健康法としての役割や貢献は、水中での稽古の場ばかりではなく、日常的な家庭や職場においても応用可能であるという一例を、今回はお示ししたいと思います。

 

以下の、質問は、水氣道の活動会員ばかりでなく、水氣道未参加の杉並国際クリニックの受診者の皆様や、産業医としてお付き合いのある企業の従業員の方からご感想を多く寄せられているものです。


実際にいただいたご質問をもとに中立の立場のムッシュGPTに改めて問いかけてみました。 

 

 

<質問者:読者の皆様>

休憩時間の積極的活用法に関して、飲水して深呼吸に併せて筋肉のストレッチをする方法を取り入れたところ、心身共にリフレッシュできるようになりました。

飲水、深呼吸、ストレッチの3段階での実施が有効であるとしたら、そのメカニズムについてどのように考えることができるでしょうか?

 


ChatGPT
飲水、深呼吸、ストレッチの3つの要素を組み合わせることで、休憩時間の積極的な活用が効果的となる理由にはいくつかの要素が考えられます。


1. 水分補給による体内のリフレッシュ:

飲水は体内の水分補給を促し、脱水を防ぎます。十分な水分を摂取することで、体の機能が正常に働き、血液が適切に循環します。これにより、体が元気を取り戻し、集中力が向上します。


2. 深呼吸による酸素供給:

深呼吸は酸素を体内に取り込むことで、血液中の酸素濃度を増加させます。酸素は脳の機能に重要な役割を果たし、十分な酸素供給はストレスの軽減やリラックスに寄与します。深呼吸を通じてリラックスすることで、心身がリフレッシュされます。


3. 筋肉のストレッチによる緊張緩和:

長時間同じ姿勢を続けることは筋肉の緊張を引き起こし、これがストレスや不快感をもたらすことがあります。ストレッチは筋肉を伸ばし、血流を改善させることで、筋肉の疲労や緊張を軽減します。また、ストレッチを行うことで関節の可動域も向上し、姿勢の改善に寄与します。


これらの要素を組み合わせることで、体と心の両方にポジティブな影響があります。水分補給、深呼吸、ストレッチが組み合わさることで、一連のプロセスが心身のバランスを整え、仕事や学習の効率を向上させることが期待されます。

 

ドクター飯嶋のコメント:
飲水、深呼吸、ストレッチの3つの要素を組み合わせることによる健康法は「水氣道」の発想によるものです。水氣道の会員に対しては、常日頃、水氣道の実践の場は、稽古会場(室内温水プール)ばかりではなく、家庭や職場や、身近なコミュニティーを繋ぐものである、ということを繰り返し唱えています。その基本となる実践法が、今回のスキルなのです。


スポーツ医学ではしばしば、健康の維持・体力の向上に有効な運動の頻度として、「週2~3回以上」の実践を推奨していますが、この情報を得た段階で運動そのものを諦めてしまう方が少なくないのは、とても残念です。


水氣道の参加者は週に1回、あるいは月に1回の参加がやっとである、という会員も含まれています。それでも、水氣道は全人的な健康の維持・向上に有効性を発揮しています。その理由は、<陸上で一人で、いつでも、どこでも実践できる簡略版>が活用できるからです。


いかがでしょうか、水氣道がぐっと身近に感じられてきたのではないでしょうか?

 

前回はこちら

 


糖尿病に限らず一般の患者さんにおいて時折観察される傾向の一つとして、期待している治療法については、メリットの情報のみに関心が向きやすく、デメリットの情報については無視しがちであるということです。

 

これとは逆に、不審を抱いている治療法については、メリットの情報については耳に入りにくく、これとは逆に、デメリットの情報ばかりを集めようとする傾向があるように思われます。

 

いずれの場合にも、メリットとデメリットとの両方の情報を集めて、自分自身の諸条件に照らし合わせて冷静かつ客観的に比較衡量することが大切だと考えます。


私の個人的な印象に過ぎませんが、日本人は、自分の耳に心地よい情報に飛びつきやすく、不快あるいは不本意な情報には耳を傾けない傾向があるような気がしています。これは、国際社会において、日本国への信頼や日本人の能力や信用に対する評価を著しく低下させる要因になっているのではないか、と危惧しています。


今回は、ChatGPTの特性について検討を加えることをテーマとする月曜日シリーズとして、これらの課題(和文質問と英文質問に対する回答内容の違い、質問の仕方の工夫)を検討してみます。


まず、大多数の読者のために、Aさん(米国人)の質問の和訳を再掲します。

ムッシュGPTの英文回答の後にも、和訳を掲載します。

 


Aさんの質問(日本語訳)

私は糖尿病患者です。主治医から適切な治療を受けており、セルフケアを怠らなければコントロールは良好です。しかし、私は食欲旺盛で、しばしば血糖値を大きく上昇させてしまいます。そこで、食欲を減退させる注射タイプの糖尿病治療薬があると聞き、興味を持ちました。その注射薬の利点と欠点を教えてください。

 

Aさんの質問(英文オリジナル)
I am a diabetic patient. I am receiving proper treatment from my doctor and am in good control as long as I do not neglect self-care. However, I have a voracious appetite, which often causes my blood glucose levels to rise significantly. So I was interested to hear that there is an injectable diabetes drug that decreases appetite. What are the advantages and disadvantages of that injectable drug?

 


ChatGPT
It's possible that you're referring to medications known as GLP-1 receptor agonists, which are a type of injectable medication used in the treatment of type 2 diabetes. While these medications primarily focus on improving blood sugar control, they often have secondary effects on appetite and weight.

 

Advantages:
1. Blood Sugar Control: GLP-1 receptor agonists can help lower blood sugar levels by increasing insulin secretion and reducing the production of glucagon, a hormone that raises blood sugar.


2. Weight Loss: Many people using GLP-1 receptor agonists experience weight loss as a side effect. This can be particularly beneficial for individuals with type 2 diabetes who are overweight, as weight loss can improve insulin sensitivity.


3. Appetite Reduction: GLP-1 receptor agonists can lead to a reduction in appetite, which can help control overeating and contribute to weight loss.


4. Cardiovascular Benefits: Some GLP-1 receptor agonists have demonstrated cardiovascular benefits, including a reduction in the risk of major cardiovascular events.


Disadvantages:
1. Injectable Formulation: GLP-1 receptor agonists are typically administered via injection, either subcutaneously or intramuscularly. Some people may find this inconvenient or uncomfortable.


2. Gastrointestinal Side Effects: Common side effects include nausea, vomiting, and diarrhea. These symptoms may improve over time, but they can be challenging for some individuals.


3. Cost: Injectable medications can be more expensive than oral medications, and insurance coverage may vary.


4. Limited Long-term Data: While these drugs have shown efficacy in improving blood sugar control and providing cardiovascular benefits in the short term, there is still limited long-term data available on their safety and effectiveness.


5. Hypoglycemia: While GLP-1 receptor agonists themselves do not typically cause hypoglycemia (low blood sugar), they are often used in conjunction with other diabetes medications that can. This can be a consideration when managing multiple medications.


It's crucial to discuss your specific situation and preferences with your healthcare provider. They can provide personalized advice based on your medical history, current health status, and treatment goals. Additionally, they can help you weigh the potential benefits and drawbacks of any medication in the context of your overall diabetes management plan.

 

チャットGPT
2型糖尿病の治療に使われる注射薬の一種であるGLP-1受容体作動薬のことを指している可能性があります。GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療に使用される注射薬の一種です。これらの薬は主に血糖コントロールを改善することに重点を置いていますが、食欲や体重に対する二次的な作用があることも少なくありません。

 

利点
1.血糖コントロール:
GLP-1受容体作動薬は、インスリンの分泌を増加させ、血糖を上昇させるホルモンであるグルカゴンの産生を低下させることにより、血糖値を下げるのに役立ちます。


2.体重減少:
GLP-1受容体作動薬を使用している人の多くは、副作用として体重減少を経験しています。体重減少はインスリン感受性を改善するため、体重過多の2型糖尿病患者にとって特に有益です。


3.食欲減退:
GLP-1受容体作動薬は食欲を減退させるため、過食を抑制し、体重減少に貢献します。


4.心血管への有益性:
一部のGLP-1受容体作動薬では、主要な心血管イベントのリスク低下など、心血管への有益性が示されています。


欠点
1.注射剤:
GLP-1受容体作動薬は通常、皮下または筋肉内注射により投与される。人によっては、これを不便または不快と感じるかもしれません。


2.胃腸の副作用:
一般的な副作用には、吐き気、嘔吐、下痢などがある。これらの症状は時間の経過とともに改善することもあるが、人によっては困難な場合もあります。


3.費用:
注射薬は内服薬よりも高額になることがあり、保険の適用範囲も様々です。


4.限られた長期データ:
これらの薬剤は短期的には血糖コントロールの改善や心血管系への有効性が示されているが、安全性と有効性に関する長期的なデータはまだ限られています。


5.低血糖:
GLP-1受容体作動薬自体は通常、低血糖(低血糖)を引き起こしませんが、低血糖を引き起こす可能性のある他の糖尿病治療薬と併用されることが多いです。
複数の薬剤を管理する場合は、この点を考慮する必要があります。

 

あなたの特定の状況や嗜好について医療従事者と話し合うことは非常に重要です。医療従事者は、あなたの病歴、現在の健康状態、治療目標に基づいて、個別のアドバイスを提供することができます。さらに、糖尿病の全体的な管理計画との関連で、それぞれの薬剤にはどのような潜在的な利点と欠点を比較検討することもできます。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
米国人のAさんの質問は、日本人のBさんの質問より、質問の内容が、より個人的で、限定的であるため、回答の守備範囲を絞り込みやすくなります。その分だけ、的の当たった質問者にとって有益な回答情報が得られやすくなります。


ムッシュGPTは、不要な主語をも敢えて省略して「2型糖尿病の治療に使われる注射薬の一種であるGLP-1受容体作動薬のことを指している可能性があります。」と見事に切り込んでいます。ご名答です。Aさんが質問したかった注射薬とは、まさにGLP-1受容体作動薬だったのです。

 

このように、OpenAIと上手に付き合っていくために、ユーザーとして求められるのは、質問の仕方を工夫することです。

 

質問者は、独りよがりな漠然とした質問をしても、ある程度の回答を得ることができます。ただし、そのような場合の回答の質は、質問のレベルによって規定されてしまうことを知っておくこと必要があるでしょう。


つまり、質問者の質問の質によって、回答の質が決定されるということなのですから、改めて「質問」という文字はよくできているものと感心します。


もっとも、このばあいの「質問」の「質」とは「問いただす」という意味なのではありますが、問いただすことによって、得たい情報の精度が高まり、文字通り、質の向上に繋がる訳です。


ですから、ChatGPTを意識的に活用することによって、質問の仕方を向上させるスキルが身につくことが期待できます。初回の質問の回答に満足がいかなかったり、見当違いの回答内容だったり、その他、期待していた内容でない場合には、質問の仕方を工夫して、改めて質問してみることが勧められます。


このような、反復操作の課程で、より有益なフィードバックが得られるのではないでしょうか?


また、Aさんからしっかり学んでおきたいことは、質問の際に、一面的な価値判断ではなく、相対立する両面(長所と短所、メリットとデメリット、など)の情報を得るための条件設定をしていることです。


GLP-1受容体作動薬は、確かに有益な薬剤ですが、望ましくないポイントや注意点、その他、運用面すなわち、制度上の限界などについてもムッシュGPTは回答してくれています。


私自身も、OpenAIの活用に当たっては、このような様々な知的スキルを身に着けていきたいと考えているところです。


衛生講話年間計画(案)の作成方法について

 

この記事の一部は、4月15日(月)に掲載する予定です。
しかしながら、新年度からの職場の安全衛生活動の年間計画を策定するために、至急、参考となる情報がほしいとの、複数の企業の担当者様からの要望がございました。
 

そこで、前倒しして、関連情報を掲載させていただくことにしました。

 

PDFファイルはこちら

企業の衛生委員会における産業医1

 

はじめに、一般的に「産業医による衛生講話」のテーマは、
A.関係法令分野、B.労働衛生分野およびC. 労働生理分野
の3分野から選ばれています。


これらは、「第2種衛生管理者試験」の出題範囲と完全に重なっています。なお、「第1種衛生管理者試験」の出題範囲は、これらの他にD.有害業務関係が加わるのみです。
 

それでは、全体を俯瞰して、イメージを把握しておくことにいたしましょう。

 

さっそく、オリエンテーションを始めます。


まずは、上記の3分野であるA、BおよびCの内容をご紹介いたします。
以下の具体的な内容は今後の総論および各論でレクチャーする予定です。

 

もっとも、産業医からの衛生講話とは、
産業医が、健康管理や衛生管理を目的に、社員に向けて実施する研修のことです。
これは、企業の希望に応じて行うもので、頻度・開催方法などが法に定められているものではありませんが、管理の行き届いた企業様においては、衛生講話が主(60分の衛生委員会の内の30~45分)となることもあります。


そして健康教育の一環として企業・組織の自発的な要望により開催されるものです。
ですから、本来であれば、産業医から自主的に提案するものではないのですが、衛生委員会の立ち上げからの支援が必要な企業、衛生委員会が完全に構築されていないまま継続中の企業、衛生委員会が十分に機能できていない企業等は決して少なくないため、産業医による積極的で系統的な「衛生講話」が有効に機能するケースも少なくないのが実際です。


以下は、カリキュラム一覧ですが、このリストの中から、毎回いくつかのテーマを企業の希望により選択していただき、産業医としては、工夫を凝らして、それらのテーマを組み立てて統合的で実践的なレクチャーになるように試みることにいたします。
なお、安全衛生委員会に参加する労働者側の委員の中の有志が、衛生管理者の資格取得を目指す際の有益なツールになるようなレクチャーに心掛けることによって、安全衛生委員会という会議体の質的向上が効果的に図れるものと考えております。


しかしながら、衛生管理者のみならず、安全衛生委員会もしくは衛生委員会を構成するすべての委員が、基本的な知識を共有することによって、委員会活動の内容は、より充実し、かつ実効性のある活動に繋げやすくなります。


年間計画策定のためには、以下、A.B.Cの3領域を毎回もれなく盛り込んでおくことが望まれます。


衛生管理者の方は、これらA.B.Cのテーマのうち、少なくとも2領域が相互に関連するものを組み合わせて立案を工夫すると良いでしょう。ただし、産業医が適宜サポートしますので、凡そのプランで十分です。


また、衛生管理者が未選任の事業所様においては、衛生推進者を任命し、任命を受けた方が、これらA.B.Cのテーマのうち、1領域について年間を通じてテーマを割り振っておくことをお勧めいたします。その後の作業は、産業医が適宜提案していくことが可能です。

 

以下は、今後も活用できる目次(項目の体系的リスト)です。

 

・・・・・・・・・


A.関係法令分野

A-1:労働安全衛生法および関連法令

 

労働安全衛生法:職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成する目的で制定された法律
  

1)報告義務:労働基準監督署への報告義務
  

2)安全衛生教育:雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育
  

3)労働安全衛生規則
① 気積・換気
➁ 採光・照度
③ 休養・清掃、食堂・炊事場
  

4)事務所衛生基準規則
① 事務室の空気環境の調整

➁ 事務室設備の定期的な点検
  

5)健康診断・面接指導
① 一般健康診断
➁ 健康診断実施後の措置
③ 面接指導
④ ストレスチェック

 

A-2:労働基準法:労働時間、賃金、休日などの労働条件について最低基準を定めた法律。

 

1)解雇の規制

 

2)労働時間および休憩、休日・休暇
① 法定労働時間・時間外労働
➁ 休憩・休日
③ 割増賃金
④ 変形労働時間制・みなし労働時間制
⑤ 年次有給休暇


3)妊産婦や年少者に対する特別な保護規定

 


4)就業規則

 

 

B.労働衛生分野

作業環境要素、職業性疾病(職業病)
労働者の生命を衛るための基本:3管理

① 作業環境管理、➁ 作業管理、③ 健康管理

 

労働衛生管理統計

救急処置
<労働衛生管理>
<労働衛生管理統計>
<健康の保持増進対策>

1)健康保持増進計画・健康測定

2)受動喫煙防止対策

3)メンタルヘルスケア:
労働者の心の健康の保持増進のための指針

 

<作業環境要素と管理>
1)温熱環境(温熱条件)
2)視環境(採光・照度)
3)必要換気量
4)事務室等の作業環境改善

 

<作業管理>
1)情報機器作業時の労働衛生管理:
  情報機器作業における労働安全衛生管理のためのガイドライン

2)腰痛予防対策

 

<救急処置>
1)救急:一次救命処置
2)脳血管障害
3)虚血性心疾患
4)食中毒
5)骨折・脱臼
6)熱傷(火傷)・凍傷
15)出血および止血法

 

 

C.労働生理分野

人体の構造や機能について

1)循環器系(心臓の働き)
2)血液系(血液の組織と機能)
3)呼吸器系(肺・気管支・鼻腔など)
4)消化管系(胃・小腸・大腸)
5)消化器系(特に肝臓・膵臓)
6)腎・泌尿器(腎臓)
7)神経系
8)感覚器系(特に視覚)
9)運動器系(筋肉・骨・エネルギー)
10)内分泌・代謝系
11)免疫系
12)生体恒常性(ホメオスターシス)
13)疲労生理学(分類・回復と予防)
14)睡眠

 

前回はこちら

 

 

日本内科学会の会員の手元には、日本内科学会雑誌が届きます。


今年初めの1月10日号の特集は、<慢性肝臓病の克服を目指して>
という私にとって興味深いタイトルでした。


なぜ、興味深いかというと、外来診療の際だけでなく、顧問を務めている企業の健康講話等においても、しばしば話題に取り上げられ、質問をお受けすることが多いからなのです。

 

ただし、この領域は、近年、用語や概念が大きく転換したため、混乱が生じやすいので医師としては、説明の際に慎重を期さなければならないテーマでもあります。

 

私たちの五臓六腑のなかでも、寿命をささえる重要な臓器として、肝臓と腎臓は昔から経験的に注目されてきました。極めて重要なことを「肝心要(かんじんかなめ)」と表現することも、その名残りではないでしょうか?

 

その一方の腎臓について<慢性腎臓病>についての認知は、少なくとも内科医の間では確かなものになりつつありますが、意外にも<慢性肝臓病>という概念は新しい内容が含まれています。しかし、肝臓の健康管理のお話をする際には、<慢性肝臓病>について避けて通ることはできません。

 

そこで、今回は<慢性肝臓病>について、一般的にどのように理解されてきたか、という観点から、ムッシュGPTに回答して貰いました。

 

ただし、注意すべきなのは、ムッシュGPTは<慢性肝臓病>として回答しているとしても、実際には<慢性的な経過をたどる肝臓の代表的な病気>についてまとめてくれるはずなので、それを前提としてお読みいただきたいと思います。

 

 

慢性肝臓病とはどのような病気なのでしょうか?


ChatGPT
慢性肝臓病は、肝臓が炎症や損傷を長期間にわたり経験する状態を指します。通常、肝臓は体内の多くの重要な機能を担っており、代謝物質の処理、毒素の除去、タンパク質の合成、免疫機能の維持などが含まれます。


慢性肝臓病の主な原因は、以下のような要因によるものです:


1. 慢性ウイルス感染:

B型肝炎ウイルス (HBV) やC型肝炎ウイルス (HCV) の慢性感染が肝臓の損傷を引き起こすことがあります。


2. アルコールの慢性摂取:

長期間にわたり過剰なアルコール摂取は、肝臓に損傷を与え、慢性肝臓病を引き起こす可能性があります。


3. 脂肪肝症:

過剰な脂肪が肝臓に蓄積する脂肪肝症は、アルコールの摂取がなくても、糖尿病や肥満などに関連して発生することがあります。


4. 自己免疫疾患:

免疫系が誤って肝臓を攻撃する自己免疫性の疾患も慢性肝臓病の原因となります。
慢性肝臓病はしばしば無症状で進行し、初期には気付かれないことがあります。しかし、症状が現れるとしても、疲労感、食欲不振、体重減少、腹部の不快感などが含まれることがあります。重篤な場合、肝硬変や肝癌などの合併症が発生する可能性があります。


診断や治療は、慢性肝臓病の原因や進行度に基づいて医師が行います。早期の発見と管理が重要であり、特に原因に対する治療や生活スタイルの変更が含まれることがあります。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
私が予測した回答より、一歩前進した理解をムッシュGPTが前提としていることが確認できました。


ここでムッシュGPTは「慢性肝臓病」を「肝臓が炎症や損傷を長期間にわたり経験する状態」であると前置きしていますが、細部はともかく基本的には、このような理解から説明を出発しても問題はないと考えます。

 

ただし、わが国の日本肝臓学会は2023年6月に「奈良宣言2023」を発表し、「慢性肝臓病(CLD: Chronic Liver Disease)」をより明確に定義しました。


これは「肝炎ウイルスや脂肪肝、アルコール、免疫異常等さまざまな原因により生じる肝臓の慢性炎症状態」とすることに加えて、一般の住民健診や職場健診の血液検査等で広く測定されているALT(GPT)値に注目し、これが30U/Iを超える場合にCLD診断の糸口とするように推奨するようになったことは重要な変革なのです。

 

この「奈良宣言2023」というキーワードは、少なくとも内科医にとって、今年はさらに注目され、普及していくことになることが予想されますが、この2023という数字は、ムッシュGPTの判断材料の範疇外の情報であることを意味します。

 

この件に関しては、OpenAIであるChatGPTのシステムに関する話題であるため、月曜日のシリーズである3月11日のテーマとして検討することにします。

 

前回はこちら

 

世間一般の方に未だほとんど知られていない水氣道の存在意義について、詳細に説明することは限界があります。

それよりも、多くの皆様にとってイメージしやすい一般の競技スポーツとの比較において検討していただくことは意味のある事だと思います。

 

そこで、とくに競技スポーツ選手の引退後や老後の健康管理という、これまであまり注目されてこなかったテーマについて焦点を当ててみたいと思います。

 

 

質問者(ムッシュGPTへのインタービューアー):ドクター飯嶋

 

スポーツ選手が高齢になる前に引退したのち、健康的な生活を送り、適切なトレーニングを続けることで、生涯現役や健康長寿を実現することは理論的には十分に可能のようですが、その実践が難しい方も少なくありません。どのような手助けが可能でしょうか?

 



ChatGPT
スポーツ選手が引退後に生涯現役や健康長寿を実現するために、以下のような手助けが可能です。


1. トランジション・サポート:
引退後、新しい生活への適応が必要です。スポーツ選手が一流の競技から一般の生活に転換する際、心理的なサポートやカウンセリングが役立ちます。専門家のアドバイスを受け、新しい目標や生活スタイルに対する適応力を高めましょう。


2. カスタマイズされたトレーニングプログラム:
引退後も適切なトレーニングを継続することが重要です。ただし、新しいライフスタイルや身体の状態に合わせたカスタマイズされたトレーニングプログラムが必要です。トレーナーや専門家の指導を受けながら、無理のない範囲でトレーニングを行いましょう。


3. 栄養指導:
適切な栄養は健康に不可欠です。引退後は特に、スポーツ選手の栄養状態を維持しつつ、新しい生活スタイルに合った食事アプローチを考える必要があります。栄養士やダイエットの専門家に相談し、適切な栄養指導を受けましょう。


4. 健康チェックと予防医療:
定期的な健康チェックや予防医療が健康長寿をサポートします。定期的な健康診断を受け、生活習慣病やその他の健康リスクに早期に気付くことが大切です。


5. 趣味や新たな挑戦:
引退後は新しい趣味や挑戦を見つけることが重要です。これにより、モチベーションが保たれ、充実感を感じることができます。新しい興味を見つけ、自分の好奇心を追求しましょう。


6. 社会的なサポート:
友情や家族のサポートは非常に重要です。新しい生活への適応やトランジションを円滑に進めるために、周りの人々とのつながりを大切にしましょう。


これらの手助けを組み合わせることで、スポーツ選手は引退後も健康的で充実した生活を送りながら、生涯現役や健康長寿を実現することができます。個々の状況や目標に合わせ、適切なサポートを活用することが重要です。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
さすがにムッシュGPTは、歯切れのよい回答を準備してくれます。

とくに、項目1の<トランジション・サポート>という言葉は今後も活用できそうです。わかりやすい日本語に改めるとすれば<移行期支援>という表現も可能かもしれません。

 

ところが、日本語に直してみて、改めてこれまでの経験を振り返ってみるといささか残念な思いがこみ上げてきます。

 

それは、競技スポーツ選手は外傷や手術を要する病気については、受け入れやすいのですが、それ以外の健康管理について、医師に支援を求めることを快く思わない、積極的になろうとせず、自らの経験に基づく、従来の考え方や方法に固執しようとする方が少なからずいらっしゃったからです。

 

上記の6項目の中で、医師として最も関与し易いのは、4の<健康チェックと予防医療>になるかもしれません。ただし、これについての受容の程度もひとにより大きく異なります。過去の栄光ばかりに固執することなく、移行期を大切に過ごすことができれば、その後の長い<新たな生活>を、より有意義に創造的に過ごすことができるのではないかと、私は考えています。

 

水氣道は、元競技選手といったキャリアをもつ方々にとっても充実したプログラムを提供できる内容になっているのですが、効果的にアピールできる環境が整っていないという現実があります。今後の水氣道の在り方にとっても大切なテーマだと認識しています。