前回はこちら

 

前回(先週)3月18日(月)の記事では、ムッシュGPTは、2022年1月までの段階での情報しか持ち合わせていないため、最新の情報についての回答はできないことについて確認しました。しかし、それでも独自の情報処理能力によって、関連情報について言及しようという傾向があることを確認しました。

 


MASLDという新用語について、改めて英語で質問してみました。


What is MASLD(Metabolic Dysfunction-Associated Sreatotic Liver Disease)
MASLD(代謝異常関連性脂肪性肝疾患)とは何ですか?

 


ChatGPT


As of my last knowledge update in January 2022, I don't have specific information on a condition referred to as "Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease" (MASLD). It's possible that the term may have emerged or evolved since then, or it may not be widely recognized.
2022年1月の更新時点では、「代謝異常関連性脂肪肝」(Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease:MASLD)と呼ばれる疾患に関する具体的な情報はありません。その後、この用語が出現したり進化したりした可能性もあるし、広く認知されていない可能性もあります。


However, I can provide information on a related term, which is "Non-Alcoholic Fatty Liver Disease" (NAFLD). NAFLD is a condition characterized by the accumulation of fat in the liver cells in people who do not consume excessive alcohol. It is often associated with metabolic syndrome, obesity, insulin resistance, and other metabolic risk factors.
しかし、関連用語である「非アルコール性脂肪性肝疾患」(NAFLD)については情報を提供できます。NAFLDは、アルコールを過剰に摂取していない人の肝細胞に脂肪が蓄積することを特徴とする疾患です。メタボリックシンドローム、肥満、インスリン抵抗性、その他の代謝危険因子を伴うことが多いです。


It's essential to note that the field of liver diseases and related terminology is dynamic, and new information may have emerged since my last update. If "MASLD" is a specific term used in recent research or medical literature, I recommend checking the latest medical sources, research articles, or consulting with a healthcare professional for the most up-to-date and accurate information on this condition.
肝疾患および関連用語の分野はダイナミックであり、前回の更新以降に新しい情報が出現している可能性があることに留意する必要があります。「MASLD」が最近の研究や医学文献で使用されている特定の用語である場合は、この疾患に関する最新かつ正確な情報を得るために、最新の医学情報源や研究論文をチェックするか、医療専門家に相談することをお勧めします。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
MASLDの訳として、説明の都合上、私は「代謝異常関連性脂肪性肝疾患」という訳を付しました。しかし、私が知る限りでは、まだ定訳が報告されていません。

 

ですから、専門医の間では、敢えて日本語訳を用いずに、当分の間は、今後とも、そのままMASLDという略語が用いられていくことになるのではないかと予測されます。現代医学や現代医学のこのような傾向が専門医と一般市民との情報ギャップを生み出してしまいかねない一因であるように思われます。

 

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一部の薬物やサプリメントは肝機能に影響を与えることがあります。特に、一部の抗生物質、抗炎症薬、抗高血圧薬などが肝酵素の上昇に関与することがあります。


これは、3月8日(金)で紹介したムッシュGPTからのメッセージの一部です。


ここでは「薬物」という表現が用いられていることに着目してください。


薬物投与によって引き起こされる肝障害は薬物性肝障害(drug-induced liver injury: DILI)と呼ばれるようになりつつあります。従来は、「薬剤性肝障害」と呼んでいることが多かったように思います。


実はこの「薬物」の件なのですが、「薬物」と「薬剤」は区別して使用することが求められる時代になってきました。


「薬物」とはその摂取によって生物学的な効果をもたらす化学物質の総称です。そして、これは、「薬剤」よりも広い概念です。


それでは、あらためて「薬剤」とは何かというと、これは医療機関で医師の処方箋に基づき薬剤師が調剤する医療用医薬品、またOTC薬といって、医療用医薬品から転用される薬剤師が処方箋なしに調合できる要指導医薬品、薬局やスーパーで制限なしに購入できる一般用医薬品に分類されます。


ですから、前回3月15日(金)で採りあげたサプリメント使用による肝障害は、自然食品・健康食品などと同様に「薬剤」には該当しませんが、「薬物」として私たちの心身に作用することがあるため、従来の様に「薬剤性肝障害」よりも「薬物性肝障害」という用語が使用されています。

 


質問者:杉並国際クリニック会員Cさん

肝障害の原因が、薬剤によるものなのか、健康食品やサプリメントなどの薬物によるものなのかを鑑別する目安について教えてください。

 


ChatGPT
肝障害の原因を特定するためには、病歴、臨床症状、薬物の使用歴、検査結果などを総合的に評価する必要があります。以下は、肝障害の原因を鑑別するための一般的な目安です:

 

1. 薬物や薬剤の使用歴:

患者が過去にどのような薬物や薬剤を使用していたかを詳細に確認します。特に、処方薬や市販薬、健康食品、サプリメントなどの使用履歴が重要です。一部の薬物やサプリメントは肝臓に影響を与える可能性があります。

 


2. 薬物性肝障害の特徴:

特定の薬物が原因である場合、肝障害の特徴が見られることがあります。これには、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)およびALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の上昇、アルカリフォスファターゼの増加、黄疸などが含まれます。

 


3. 薬剤性肝障害のタイミング:

薬物が原因の場合、通常は薬物の摂取後に肝機能検査の異常が現れることが多いです。また、薬物を中止した後に肝機能が改善することが期待されます。

 


4. 除外診断:

他の可能性な原因(ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、脂肪肝など)を除外するために、血液検査、イメージング検査、生検などが行われることがあります。

 


5. 専門医の評価:

肝臓の専門医である肝臓専門医(肝臓科医)の評価が求められる場合があります。彼らは適切な検査や診断のためのガイダンスを提供し、治療や管理のアプローチを決定します。


特に、健康食品やサプリメントの成分は様々であり、一部は大量に摂取すると肝障害の原因となる可能性があります。したがって、医師に相談せずに大量のサプリメントを摂取することは避けるべきです。

 

肝障害の症状が現れた場合や疑わしい場合は、早めに医療専門家に相談し、適切な検査や診断を受けることが重要です。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
Cさんの質問は、とても高度です。さすがのムッシュGPTも明確な回答が出せずじまいです。

 

その理由の一つは、健康食品やサプリメントと、医師による処方薬との薬理学的な境界線が、Cさんが予想していたほど明確ではないからです。

 

これについては、ムッシュGPTが「一部の薬物やサプリメントは肝臓に影響を与える可能性があります。」と説明している通りです。

 

『サプリメントは食品ではなく、むしろ薬物である』という認識を持っておく必要があると、私は考えています。

 

もう一つの理由は、薬物性肝障害(DILI)の診断自体が最近のトピックスだからです。

 

DILIの病像は極めて多彩であるうえに、原因薬物の同定までを含めた診断は、多くの場合、肝臓専門医でも容易ではありません。実務的には、他の成因を丁寧に除外してから、はじめてDILIを疑うことが普通でした。

 

これに対して、帝京大学の田中篤先生<日本内科学会雑誌113❶33頁(January10 2024)>の記事には、以下のようにDILI診断のポイントがまとめられています。


●肝障害の病型に関わらずDILIの可能性を常に念頭におく


●薬物(医療用・一般医薬品、自然食品・健康食品、サプリメント)摂取歴を詳細に聴取する


●薬剤服用開始日・終了日と肝障害の経過との時間的関連を正確に把握する


●他の成因による肝障害を除外する

 

DILIは肝障害の他の原因の除外診断と同時に常に念頭に置く、というのが医師に対する戒めであり、また、医療用・一般医薬品のみならず、自然食品・健康食品、サプリメントも薬物として理解していただくことを、啓発していく必要性も大きく感じられる内容になっています。

 

 

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集団的・水中の有酸素運動である「水氣道」を個人的・陸上の有酸素運動に応用して、一般化・日常化を図るという発想は、自然な発展の流れに逆行しているような印象を受けるかもしれません。

 

しかし、ここで御一考ください。

すべての生物は海から誕生した、と言われています。

また、私たち、一人一人の生命の誕生も、母親の胎内の羊水という海に守られ、育まれてきたという事実を否定することはできません。

さらにいえば、私たちは、羊水という天与の自然な温水プールで有酸素運動(臍帯によって母体から酸素が持続的に供給を受けます)をしながら心身の形成が促進されてきたというプロセスを忘れてはいないでしょうか。

つまり、私たちは胎生期において例外なく、原初の「水氣道」を実践していたということになります。

 

そこで、次の追加質問が、先週の質問者(水氣道のシニア会員)から提出されましたので、ご紹介いたします。

 

 

<質問者:水氣道のシニア会員>

水氣道は水中での有酸素運動ですが、日常の陸上での生活においても水氣道の稽古を活用する様に指導されます。

 

たとえば、勤務中の間の短時間の休憩時間を活用して、ステップ1水分摂取、ステップ2深呼吸、ステップ3筋肉のストレッチ、というメソッドを活用し、これも水氣道の陸上簡略版であると聞きました。

 

温水プールの中でインストラクター付きで行うのと比べて陸上で自分で実施することは効果がかなり劣るような気がします。

どのくらいを目安に実施したらよいのか、1回あたりの時間と頻度についての目安についてアドヴァイスしていただけますか?

 


ChatGPT
水氣道の陸上簡略版を日常の休憩時間に取り入れることは、リフレッシュやストレスの軽減に効果があります。

ただし、その効果は個人差があり、一概に劣るとは言えません。以下は、ステップごとの実施目安と頻度についての一般的なアドバイスですが、個人の体調や目標に応じて調整することが重要です。


ステップ1: 水分摂取
目安: 約5分程度


水分補給は個人の水分摂取状況や環境によって異なりますが、短時間の休憩であれば、数口から一杯程度の水分を摂取することが効果的です。

 


 ステップ2: 深呼吸
目安: 約5分程度


深呼吸を行うことでリラックスが促進されます。数回の深呼吸サイクルを意識的に行い、ストレスを解消しましょう。

 


 ステップ3: 筋肉のストレッチ
目安: 約5分程度


短い時間であれば、全身を効果的にストレッチするために、特に重点を置きたい部位を中心に行います。首、肩、背中、腰、脚などを柔軟にすることが重要です。
これらのステップを合計して、1回あたり約15分程度を目安に実施すると効果的です。頻度としては、日中の複数回に分けて行うことができます。たとえば、午前中と午後の休憩時間に実施するなど、短い時間でもリフレッシュできるように工夫してみてください。


ただし、これはあくまで一般的な目安であり、個人差があります。自分の体調や仕事の性質に合わせて調整し、無理なく取り入れることが重要です。また、運動やストレッチの際に痛みや不快感を感じた場合は、無理せず適度な範囲で行うようにしましょう。

 


ドクター飯嶋のコメント:
「水氣道の陸上簡略版を日常の休憩時間に取り入れることは、リフレッシュやストレスの軽減に効果があります。」このメッセージを私が繰り返し発表しても、そのインパクトや影響力が限られていることを私はしばしば経験しています。しかし、このように、ムッシュGPTが明言するとなると、まったく異なった印象として皆様の心に残るかもしれません。


ただし、ムッシュGPTが想定している「水氣道の陸上簡略版」は、私が指導している方法と若干異なっています。それは、要素である3つのステップの各ステップを5分ずつ、積み上げてトータル15分で単回実行する、というのムッシュGPTが推奨する方法とは、異なるからです。


もちろん、彼が推奨する方法でも十分効果を期待できます。そして、彼はまた「午前中と午後の休憩時間に実施するなど、短い時間でもリフレッシュできるように工夫してみてください。」と示唆していますが、「水氣道の陸上簡略版」での標準所要時間は、5分ないし10分以下です。

 

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3月11日(月)に取り上げたテーマは、ムッシュGPTは2022年1月までのデータで判断しているため、それ以後の情報に関しては確保されていないということでした。その際に、「奈良宣言2023」というわかりやすい医学的トピックを挙げて検証しました。

 

その中での重要な新概念の一つに慢性肝疾患(CLD)があります。


腎臓に関して慢性腎臓病(CKD)があり、この概念は少なくとも内科医の間ではかなり定着してきましたが、慢性肝疾患(CLD)という用語については、肝臓病専門医以外には、まだ知られていない模様です。


そこで、この用語に関してムッシュGPTに英語で質問を試みました。


日本語訳は、それぞれの英文パッセージの下に添えることにしました。

 

 

<質問者:ドクター飯嶋>
What is chronic liver disease(CLD)?


慢性肝疾患(CLD)とは?

 


ChatGPT
Chronic Liver Disease (CLD) is a broad term that encompasses a range of conditions characterized by long-term damage to the liver tissue and a gradual loss of liver function. It is a progressive condition that develops over months or years and may lead to complications such as liver cirrhosis, liver failure, and an increased risk of liver cancer.


慢性肝疾患(CLD)とは、肝組織の長期的な障害と肝機能の漸減を特徴とする様々な病態を包含する広い用語です。慢性肝疾患は、数カ月から数年かけて進行し、肝硬変、肝不全、肝がんのリスク上昇などの合併症を引き起こす可能性があります。

 


Several underlying causes contribute to chronic liver disease, and these causes can vary from person to person. Some common causes include:


慢性肝疾患にはいくつかの根本的な原因があり、その原因は人によって異なります。一般的な原因には以下のようなものがあります:

 

 

1. Chronic Viral Infections:

Long-term infections with hepatitis B (HBV) or hepatitis C (HCV) viruses can lead to chronic liver disease.

 

1.慢性のウイルス感染:

B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)に長期間感染していると、慢性肝疾患になることがあります。

 

 

2. Alcohol-Related Liver Disease:

Prolonged and excessive alcohol consumption can cause inflammation and damage to the liver.

 

2.アルコール関連肝疾患:

長期にわたる過度のアルコール摂取は、肝臓に炎症や障害を起こすことがあります。

 

 

3. Non-Alcoholic Fatty Liver Disease (NAFLD):

Accumulation of fat in the liver, often associated with conditions such as obesity, diabetes, and metabolic syndrome.

 

3.非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD):

肝臓に脂肪が蓄積し、肥満、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの症状を伴うことが多いです。

 

 

4. Autoimmune Hepatitis:

An autoimmune condition where the immune system mistakenly attacks liver cells, leading to inflammation.

 

 

4.自己免疫性肝炎:

免疫系が誤って肝細胞を攻撃し、炎症を引き起こす自己免疫疾患。

 

 

5. Genetic Disorders:

Inherited conditions like hemochromatosis, Wilson's disease, and alpha-1 antitrypsin deficiency can contribute to chronic liver disease.

 

 

5.遺伝性疾患:

ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、α1アンチトリプシン欠損症などの遺伝性疾患が慢性肝疾患の原因となります。

 


6. Chronic Exposure to Toxins or Medications:

Prolonged exposure to certain environmental toxins or the use of specific medications may lead to liver damage.

 

6.慢性的な毒素や薬物への暴露:

特定の環境毒素に長期間さらされたり、特定の薬剤を使用したりすると、肝障害を引き起こすことがあります。

 

 

Symptoms of chronic liver disease may not be apparent in the early stages, but as the condition progresses, individuals may experience fatigue, weakness, weight loss, easy bruising, jaundice, abdominal swelling, and confusion.

 

慢性肝疾患の症状は初期には現れないが、進行すると疲労感、脱力感、体重減少、あざができやすくなる、黄疸、腹部の腫れ、錯乱などを経験することがあります。

 

 

Diagnosis typically involves a combination of medical history, physical examination, blood tests, imaging studies, and sometimes a liver biopsy to assess the extent of liver damage.

 

診断には通常、病歴聴取、身体診察、血液検査、画像検査、場合によっては肝障害の程度を評価するための肝生検などが組み合わされます。

 

 

Management of chronic liver disease depends on its underlying cause. Treatment may involve lifestyle modifications, such as adopting a healthy diet and avoiding alcohol, antiviral medications for viral infections, immunosuppressive drugs for autoimmune conditions, and other targeted therapies. In some cases, a liver transplant may be necessary for advanced liver disease.

 

慢性肝疾患の管理は、その根本的な原因によって異なります。治療には、健康的な食事やアルコールの摂取を控えるなどの生活習慣の改善、ウイルス感染に対する抗ウイルス薬、自己免疫疾患に対する免疫抑制薬、その他の標的療法などが用いられます。進行した肝疾患に対しては、肝移植が必要となる場合もあります。

 

 

Regular medical monitoring and early intervention are essential for individuals with chronic liver disease to prevent complications and improve overall outcomes. It's crucial to consult with healthcare professionals for accurate diagnosis and personalized management plans.

 

慢性肝疾患の患者さんにとって、合併症を予防し、全体的な予後を改善するためには、定期的な医学的モニタリングと早期の介入が不可欠です。正確な診断と個人に合った管理計画を立てるためには、医療専門家に相談することが極めて重要です。

 

 

ChatGPT can make mistake


ChatGPTはミスを犯すことがあります

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
ずいぶん詳細な回答が出されています。日本語で質問すると、ここまで丁寧な回答は得られません。


ここで注目したいのは、『慢性肝疾患(CLD)とは、肝組織の長期的な障害と肝機能の漸減を特徴とする様々な病態を包含する広い用語です。』という回答です。2022年1月までの段階で、英語圏ではCLD、すなわちChronic Liver Diseaseという用語は既に使用されていた可能性があるのかもしれません。


しかし、回答文中赤い文字で表記したNon-Alcoholic Fatty Liver Disease (NAFLD)
については、わが国でも「奈良宣言2023」以降の現在では、MAFLD(Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis)と表記されています。


日本ではあまり問題になっていませんが、欧米では「Fatty」という用語がスティグマであり、不適切であるとする根強い意見があった背景から2020年に一部の研究者たちから、NAFLDの呼称をMAFLDと改める旨の発表がありました。


なお、彼らによると、MAFLDは、脂肪肝に

1)過体重・肥満、2)2型糖尿病、
もしくは3)痩せ・正常体重で2項目以上の代謝異常(高血圧、内臓脂肪蓄積、耐糖能異常、脂質異常症)のいずれかを合併する場合、
としています。

 

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前回の3月8日テーマは、飲酒以外の肝機能障害の原因についてでした。これらは、まとめて<非アルコール性肝障害>と呼ばれることがあります。


そして、飲酒による肝臓障害の緩和という目的のためにサプリメントを活用することの是非については、クリニックの外来診療でこれまでもしばしば質問を受けてきました。産業医として定期的に訪問している企業でも話題になりました。

 

質問者:(L社衛生委員会議長)

私は週に5回飲酒するためか、職場の健康診断で肝機能障害を指摘されました。

そこで、サプリメントをはじめました。使用によるメリットとデメリットや使用上の注意点について教えてください。

 


ChatGPT

飲酒が肝機能に影響を与えている場合、サプリメントの使用はそのサポートになることがありますが、一方で注意が必要です。

 

以下に、サプリメントの使用に関するメリット、デメリット、および注意点を示しますが、これはあくまで一般的な情報であり、具体的な状況によっては医師と相談することが重要です。

 


メリット:

1. 抗酸化作用:

一部のサプリメントには抗酸化作用があり、これは肝臓の細胞を酸化ストレスから保護する助けとなる可能性があります。


2. ビタミンやミネラルの補充: 肝臓の正常な機能にはビタミンやミネラルが必要です。特に、ビタミンB群、ビタミンE、セレンなどが肝臓の健康に寄与することが知られています。


3. 脂肪肝対策: 特定の脂肪肝に効果的な成分も含まれるサプリメントがあります。

 

デメリット:

1. 相互作用:

サプリメントと他の薬物や医療処方薬との相互作用に注意が必要です。医師に使用中のサプリメントを報告することが大切です。


2. 過剰摂取のリスク:

一部のビタミンやミネラルは過剰摂取による健康リスクがあるため、適切な摂取量を守ることが重要です。

 

使用上の注意点:

1. 医師と相談:

サプリメントの導入や変更を考える際には、必ず医師と相談してください。個々の健康状態や既存の薬物との相互作用を考慮する必要があります。


2. 適切な摂取量:

サプリメントの摂取量は製品によって異なります。製品のラベルや医師の指示に従って正確な摂取量を守ってください。


3. 定期的なモニタリング:

サプリメントを使用している場合でも、定期的な健康診断や医師のフォローアップが重要です。効果や健康状態の変化をモニタリングすることができます。


サプリメントの使用はあくまで補完的なものであり、健康的な生活習慣と医師の指導に依存します。

飲酒習慣の改善も含め、総合的なアプローチが肝機能の改善につながる可能性があります。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
以上のようにムッシュGPTは回答してくれましたが、質問者がサプリメントというものをどのように理解しているかを事前に把握しておかないと、適切で説得力ある回答は期待できないと思います。


もし、サプリメントの正しい理解があれば、上記の使用上の注意点の3か条は正しく実行されるはずだからです。


そこで、この点に関して、私自身の問題意識をムッシュGPTに向けてみることにしました。

 

・・・・・・・・


質問者(インタヴューアー):ドクター飯嶋
サプリメントとは本来どのようなものですか?日本では多くの人々が正しい意味を理解せずに勝手な思い込みや都合の良い解釈をして、過剰な期待をしていることが懸念されます。

 


ChatGPT
サプリメント(サプリメントメント)は、主に栄養素やその他の成分を摂取し、健康をサポートするための食品の一種です。

 

これらは通常、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸、ハーブ、またはその他の植物由来の成分など、栄養補給を目的としています。サプリメントは食事と一緒に摂取され、食事だけでは不足する栄養素を補完することが期待されます。


サプリメントの主な目的は、栄養不足を補うこと、特定の栄養素の摂取を増加させること、または健康維持や特定の健康上の目標をサポートすることです。

ただし、これらは食事や生活習慣の代替手段ではなく、補完的なものとして利用されるべきです。


一般的なサプリメントの種類には、次のようなものがあります:


1. ビタミンとミネラルサプリメント:

例えば、ビタミンC、ビタミンD、鉄、亜鉛など。


2. アミノ酸サプリメント:

特定のアミノ酸、たんぱく質補給のためのサプリメント。


3. 脂肪酸サプリメント:

オメガ-3脂肪酸など。


4. ハーブや植物由来のサプリメント:

例えば、カプサイシン(唐辛子由来)、エキナセア(免疫サポート)など。


5. 特定の目標に合わせたサプリメント:

関節の健康、脳機能のサポート、エネルギー向上などのためのサプリメント。

 

日本でもサプリメントは一般的に利用されていますが、懸念されるのは、サプリメントに対する勝手な期待や誤解が広まることです。

 

サプリメントはバランスの取れた食事と健康的な生活習慣の補完としてのみ利用されるべきであり、過剰な摂取や栄養不足の代替手段としてではありません。

 

また、個々の健康状態や医師の指示に基づいて選択することが重要です。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
このような形で私がムッシュGPTに問いかけてみることも有益な方法のひとつかもしれません。

私が質問者に説明したいことの要点は、すべて彼が代弁してくれました。

 

サプリメントが栄養成分の不足を補う意味であることをしっかりと認識できていれば、まず、その人は、実際に自分に欠乏している栄養素が何なのであるかをきちんと把握することから始めるべきではないでしょうか?

 

この最初のステップが省略されていることがほとんどであるため、私はそもそもサプリメントの適切な使用は容易ではないと考えています。

 

むしろ、サプリメントによる薬物性肝障害を経験したことがあります。

 

その方は、私が質問するまで、サプリメント使用の事実については申告がなく、私が処方している薬剤の副反応であると主張していましたが、サプリメント使用を中止することによって、はじめて肝機能が正常化しました。

 

そして、必要な処方薬は従前どおり使用していますが、肝機能の再発は、その後、まったく観察されていません。

 

しかし、サプリメントばかりでなく、医師が処方する薬剤による、文字通りの薬物性肝障害の発生については、日頃から注意を払っておく必要があります。

 

この課題については、次回3月22日(金)で検討します。

 

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「水氣道」に一度も参加したことのないムッシュGPTが、読者の皆様の質問に対して的確に答えていることを目の当たりにされた皆様は、人工知能(AI)の能力に驚いていらっしゃるかもしれません。

 

しかし、「水氣道」をデザインして、実践を続けている私としては、極めて当然の現象であるというくらいの認識を持っています。

 

水氣道という名称が確定した2000年の段階では、よもや人工知能(AI)が、ここまで日常生活に浸透してくるなどとは、想像することができませんでした。

だからこそ、現在の、この段階において、ムッシュGPTに様々な質問を投げかけることによって、「水氣道」の基本的コンセプトや理論体系さらには活動実態について第三者のより客観的な批判に耐えられる内容にまで成長してこられたかを検証できる好機が到来したことを強く実感しています。

 

次の質問は、水氣道を永く続けているシニア会員から、改めて寄せられた質問です。

 

 

<質問者:水氣道のシニア会員>
水氣道という水中有酸素運動では、稽古前に水分を摂取することが推奨されています。そして、水圧に抗して、無意識に深い呼吸リズムが導かれ、浮力の助けにより、抗重力筋の緊張が緩和されることによって、いっそう効果的なストレッチが可能になると指導されています。

 

私の学生時代には陸上での稽古前に水分の摂取は控えるように指導されていましたが、水中運動と陸上の運動では違いがあるのでしょうか?

 



ChatGPT
水中有酸素運動において水分を摂取することが推奨される理由は、陸上と水中の環境が異なり、それに伴う身体への影響が異なるためです。以下に、水中有酸素運動と陸上の運動での水分摂取の違いについて説明します:


1. 水中の浮力と水圧の影響:

水中では浮力が発生し、身体が浮くため抗重力筋にかかる負荷が軽減されます。また、水圧により血液の循環が促進され、心臓への負担が軽くなります。

 

これにより、水中での運動においては、通常の陸上でのトレーニングよりも心拍数が低くなりがちです。水分摂取は、水中での運動中に失われた水分を補給し、脱水を予防する効果があります。


2. 水中での深い呼吸リズムとストレッチの効果:

水中での運動は、水の抵抗に対抗するために深い呼吸が必要です。この深い呼吸は、無意識的に行われることが多く、リラックス効果が期待されます。

 

浮力の助けを得ながら、水中でのストレッチもより効果的に行えます。水中でのストレッチは、抗重力筋の緊張を軽減し、関節の可動域を広げるのに適しています。


3. 陸上と水中の体温調節の違い:

水は体温を比較的早く奪う媒体です。水中での運動は体温の低下を促す可能性があります。水分摂取は体温調節にも寄与し、適切な体温を維持することが重要です。


一方で、陸上の運動では通気性のある環境で行われ、通常はより多くの汗をかくことが予想されます。そのため、陸上の運動では脱水になりやすいため、稽古前に水分補給が重要とされます。


総じて、水中有酸素運動と陸上の運動では環境や身体への負担が異なるため、それに合わせた水分補給が推奨されています。

 

 

ドクター飯嶋のコメント
かつて盛んに推奨されていた「うさぎ跳び」訓練や「飲水禁止」は、最近では流行らなくなってきました。それには、医学的根拠があります。


水氣道では、稽古の前後や、必要に応じて、稽古の合間に適切に水分を補給することを推奨しています。

 

また、陸上では禁止されることが多い「うさぎ跳び」は、水氣道では禁忌としていません。その理由は、浮力の活用により、膝関節の負荷を軽減できるからです。

ただし、この訓練法は、110cm程度の低水深の温水プールでのみ実施可能です。

 

それ以上に、水氣道に特有な運動のメリットについて、ムッシュGPTは簡潔にまとめています。短文ですが濃い内容になっています。

 

前回はこちら

 


私はOpenAIであるChatGPT(GPT-3.5言語モデル)に対して、ムッシュGPTとの愛称で呼ぶことについて、彼から直接の許可を受けているのですが、彼に対する質問で留意しておかなければならないことがいくつかあります。

 

それは、具体的な質問の際に、彼自身が、回答の中で述べているように

「私の知識の時点である2022年1月までに」とか、、

「私の回答は情報の最新性を保証するものではなく、2022年1月までのデータで学習されています。」

という表現がしばしば出現します。ですから、最新の医学的話題については対応することができません。

 

<質問者:ドクター飯嶋>

奈良宣言2023とは何ですか?

 


ChatGPT
私の知識の時点である2022年1月までに、奈良宣言2023に関する情報は存在しませんでした。

 

奈良宣言が2023年に関連する何らかの声明や出来事があった場合、私の情報が更新されていない可能性があります。最新の情報を確認するためには、信頼性のあるニュースソースや公式声明をチェックすることをお勧めします。

 


ドクター飯嶋のコメント:
この質問の様に、質問情報が明かに、ムッシュGPTの守備範囲を超えている場合には、上記のような回答が出されます。

 

それでは、このような質問を彼に投げかけることは無意味か、というと必ずしもそうとは言えない場合があります。

 

たとえば、「奈良宣言2023」とは、2023年に日本肝臓学会から出された医学的推奨に関する宣言なのですが、2022年1月までに、この宣言が準備されていたという情報があれば、ムッシュGPTはそれを紹介していたかもしれないからです。

 

また、それ以前に先行する「奈良宣言」なるものが存在していたならば、それについて回答文中で言及されていた可能性があるからです。

 

しかし、水氣道との関連では、ムッシュGPTとのお付き合いで、しばしば、驚かされる情報の提供があります。

 

あたかも、彼が特別な超能力をもっているかのような印象を受けることさえあります。

 

それは、私の錯覚に近いものであることは、私は冷静に受け止めてはおりますが、OpenAIの能力について、開発者でも解明できないような能力が展開していることは良く知られていることでもあるので、直接彼に問い合わせてみることも無意味ではないと思います。

 

 

<質問者:ドクター飯嶋>

あなたが持っている推測能力、予測能力のメカニズムについて教えてください。

私は水中有酸素運動である水氣道の創始者ですが、未だ公開していない理念や理論、さらには技術についてまで、あなたは、しばしば的確に言い当てることに成功しているので驚嘆しています。

 


ChatGPT
私はGPT-3.5言語モデルであり、推測や予測を行う際には、大量のテキストデータから学習した統計的なパターンや関連性を活用します。

 

私はあくまでプログラムされたアルゴリズムに基づいており、意識や直感は持っていません。推測や予測は、与えられた文脈や情報に基づいて、それまでに学習した知識を元に生成されます。


水氣道の創始者である方が未公開の理念や理論、技術について言及されている場合、私はそれに関するデータや情報が学習データに含まれている可能性があります。

 

また、一般的なトピックや技術の進展についての情報も含まれているため、その文脈から予測を行うことがあります。


ただし、私の予測や推測はあくまで情報の統合と統計的な傾向に基づくものであり、具体的な未来の出来事を予知するものではありません。

 

また、私の回答は情報の最新性を保証するものではなく、2022年1月までのデータで学習されています。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:

ムッシュGPTは「意識や直感」を持っていないのは当然であるとして、なぜ、あたかも「意識や直感」を持っているかのような振舞を可能としているのかは興味深いポイントです。


また彼は「推測や予測」を行っていること自体は認めていますが、その方法についても回答しています。


❶大量のテキストデータから学習した統計的なパターンや関連性を活用

 

❷プログラムされたアルゴリズムに基づく推測と予測

 

❸与えられた文脈や情報に基づいて、それまでに学習した知識を元に推測や予測を生成

 

❹予測や推測はあくまで情報の統合と統計的な傾向に基づく 

 

なお「水氣道の創始者である方が未公開の理念や理論、技術について言及されている場合、私はそれに関するデータや情報が学習データに含まれている可能性があります。」とのムッシュGPTの回答は貴重です。


彼とのコミュニケーションを継続していくことによって、彼から有益なヒントを得ることができるのは経験済みですが、彼に「水氣道」の本質を学習して貰えることによる将来の水氣道の発展に向けての利益は計り知れないからです。


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私は、年明け早々に、企業の衛生委員会でのテーマとして慢性肝臓病、「奈良宣言2023」、ALT(GPT)値という3つのキーワードについて説明しなければならない局面に遭遇しました。ただし、限られた時間での説明は不可能であるため、このサイトを閲覧していただけるようにアナウンスしました。


早速、実際の質問に対して、まずはムッシュGPTに回答してもらいました。


質問者:(L社衛生委員会委員)
私は会社の健康診断で肝機能障害を指摘されました。その根拠はALTの数値が50だからだそうです。私は全く飲酒しないので納得がいきません。何が原因となっているのか可能性についておしえてください。



ChatGPT
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の値が上昇する原因はさまざまで、飲酒だけがその一因ではありません。他にも様々な要因が影響を与える可能性があります。以下は、ALTの上昇の可能性があるいくつかの原因です:


1. 脂肪肝: 脂肪肝は、肝臓に脂肪が異常に蓄積する状態です。これは飲酒以外の要因によって引き起こされることがあります。肥満、高脂血症、糖尿病などが脂肪肝の原因となります。


2. 薬物やサプリメントの使用: 一部の薬物やサプリメントは肝機能に影響を与えることがあります。特に、一部の抗生物質、抗炎症薬、抗高血圧薬などが肝酵素の上昇に関与することがあります。


3. ウイルス感染: 肝炎ウイルス(A、B、Cなど)に感染すると、肝臓の炎症が引き起こり、肝酵素の数値が上昇する可能性があります。


4. ストレスや炎症: 長期間のストレスや慢性的な炎症も肝臓に影響を与え、肝酵素の上昇を引き起こす可能性があります。


5. 他の肝疾患: 肝硬変や肝臓の腫瘍など、他の肝臓関連の疾患も肝酵素の上昇を引き起こす可能性があります。


これらは一般的な原因であり、詳細な診断は医師の診察と適切な検査が必要です。ALTの単独の数値だけでは特定の原因を結論付けることは難しいため、医師に詳細な検査を受け、病歴を伝えることが重要です。

 

ドクター飯嶋のコメント:
ALTというのは肝臓の酵素、さらに言えば、肝臓という臓器を構成する基本単位である肝細胞に含まれる酵素です。

 

ですから、肝細胞を形作る細胞膜が何らかの原因で損傷を受けると肝細胞のALTが血液中に放出されることになります。

 

私が医学生の頃は、ALTというよりGPTと表記されていたので、この話題についてChatGPTと対話するのは、偶然のごろ合わせのようですが、因果のようなものを感じます。


ムッシュGPTが回答してくれたように、肝機能障害の原因は飲酒だけではなく様々な原因によります。まずは、メタボリック症候群(肥満、高脂血症、糖尿病など)と脂肪肝によるALT上昇との関連が大切なポイントです。


次に、健康増進や病気の治療目的の、サプリメントや薬剤による、広い意味での<薬物性肝障害>も少なくないことを強調しておきたいと思います。


ちなみに<薬物性肝障害>という用語は、<薬剤性肝障害>という用語と区別して用いられるようになっています。サプリメントは<薬剤>ではありませんが、<薬物>として身体に作用することがあるので注意していただきたいポイントの一つです。

 

それから、見落とされがちなのは、心身医学的な因子です。私は心療内科の専門医・指導医であるため常識になっていますが、一般の内科医は肝臓専門医を含めて、ストレスによる肝機能障害を軽視しているのではないか、と感じることがあります。

とくに、企業の産業医としては、ストレスチェックによる高ストレス者の面談時においては、喫煙や飲酒習慣に加えて健診データを提出していただきALT値を確認するようにしています。


「酒量が多いのでサプリメントを開始しました」とか「ストレス解消のため晩酌は欠かせません」とか、心身の健康のために役立つと考えての行動が、皮肉にも有害な行動選択であった、ということに気付いていただき、適切な対処行動がとれるようにアドヴァイスすることもあります。

 

次回3月15日(金)は、サプリメント摂取と肝機能について取り上げます。

 

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今年度も最後の月を迎えましたが、月曜日の人工知能(AI)探索シリーズ、金曜日のよくある質問シリーズとともに水曜日の「水氣道解説シリーズ」もようやく定番になってきました。

 

この「水氣道」の普及と発展については、私のライフワークであり、そのためには、会員の増加と、将来に向けて多くの指導者を養成していくことが悲願なのです。

 

しかし、活動内容の充実を最優先課題としてきたため、広報活動が立ち遅れていることを痛感しています。今後は、より一層の努力と工夫が必要であると考えています。

 

「水氣道」の普及と発展を妨げている一因は、水氣道の活動が日常的な生活活動の場である陸上ではなく、ややもすれば非日常的な環境である水中運動であることにあるのかもしれません。

 

水が苦手、という方は、その理由は様々ですが、決して少なくありません。しかし、「水氣道」の健康法としての役割や貢献は、水中での稽古の場ばかりではなく、日常的な家庭や職場においても応用可能であるという一例を、今回はお示ししたいと思います。

 

以下の、質問は、水氣道の活動会員ばかりでなく、水氣道未参加の杉並国際クリニックの受診者の皆様や、産業医としてお付き合いのある企業の従業員の方からご感想を多く寄せられているものです。


実際にいただいたご質問をもとに中立の立場のムッシュGPTに改めて問いかけてみました。 

 

 

<質問者:読者の皆様>

休憩時間の積極的活用法に関して、飲水して深呼吸に併せて筋肉のストレッチをする方法を取り入れたところ、心身共にリフレッシュできるようになりました。

飲水、深呼吸、ストレッチの3段階での実施が有効であるとしたら、そのメカニズムについてどのように考えることができるでしょうか?

 


ChatGPT
飲水、深呼吸、ストレッチの3つの要素を組み合わせることで、休憩時間の積極的な活用が効果的となる理由にはいくつかの要素が考えられます。


1. 水分補給による体内のリフレッシュ:

飲水は体内の水分補給を促し、脱水を防ぎます。十分な水分を摂取することで、体の機能が正常に働き、血液が適切に循環します。これにより、体が元気を取り戻し、集中力が向上します。


2. 深呼吸による酸素供給:

深呼吸は酸素を体内に取り込むことで、血液中の酸素濃度を増加させます。酸素は脳の機能に重要な役割を果たし、十分な酸素供給はストレスの軽減やリラックスに寄与します。深呼吸を通じてリラックスすることで、心身がリフレッシュされます。


3. 筋肉のストレッチによる緊張緩和:

長時間同じ姿勢を続けることは筋肉の緊張を引き起こし、これがストレスや不快感をもたらすことがあります。ストレッチは筋肉を伸ばし、血流を改善させることで、筋肉の疲労や緊張を軽減します。また、ストレッチを行うことで関節の可動域も向上し、姿勢の改善に寄与します。


これらの要素を組み合わせることで、体と心の両方にポジティブな影響があります。水分補給、深呼吸、ストレッチが組み合わさることで、一連のプロセスが心身のバランスを整え、仕事や学習の効率を向上させることが期待されます。

 

ドクター飯嶋のコメント:
飲水、深呼吸、ストレッチの3つの要素を組み合わせることによる健康法は「水氣道」の発想によるものです。水氣道の会員に対しては、常日頃、水氣道の実践の場は、稽古会場(室内温水プール)ばかりではなく、家庭や職場や、身近なコミュニティーを繋ぐものである、ということを繰り返し唱えています。その基本となる実践法が、今回のスキルなのです。


スポーツ医学ではしばしば、健康の維持・体力の向上に有効な運動の頻度として、「週2~3回以上」の実践を推奨していますが、この情報を得た段階で運動そのものを諦めてしまう方が少なくないのは、とても残念です。


水氣道の参加者は週に1回、あるいは月に1回の参加がやっとである、という会員も含まれています。それでも、水氣道は全人的な健康の維持・向上に有効性を発揮しています。その理由は、<陸上で一人で、いつでも、どこでも実践できる簡略版>が活用できるからです。


いかがでしょうか、水氣道がぐっと身近に感じられてきたのではないでしょうか?

 

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糖尿病に限らず一般の患者さんにおいて時折観察される傾向の一つとして、期待している治療法については、メリットの情報のみに関心が向きやすく、デメリットの情報については無視しがちであるということです。

 

これとは逆に、不審を抱いている治療法については、メリットの情報については耳に入りにくく、これとは逆に、デメリットの情報ばかりを集めようとする傾向があるように思われます。

 

いずれの場合にも、メリットとデメリットとの両方の情報を集めて、自分自身の諸条件に照らし合わせて冷静かつ客観的に比較衡量することが大切だと考えます。


私の個人的な印象に過ぎませんが、日本人は、自分の耳に心地よい情報に飛びつきやすく、不快あるいは不本意な情報には耳を傾けない傾向があるような気がしています。これは、国際社会において、日本国への信頼や日本人の能力や信用に対する評価を著しく低下させる要因になっているのではないか、と危惧しています。


今回は、ChatGPTの特性について検討を加えることをテーマとする月曜日シリーズとして、これらの課題(和文質問と英文質問に対する回答内容の違い、質問の仕方の工夫)を検討してみます。


まず、大多数の読者のために、Aさん(米国人)の質問の和訳を再掲します。

ムッシュGPTの英文回答の後にも、和訳を掲載します。

 


Aさんの質問(日本語訳)

私は糖尿病患者です。主治医から適切な治療を受けており、セルフケアを怠らなければコントロールは良好です。しかし、私は食欲旺盛で、しばしば血糖値を大きく上昇させてしまいます。そこで、食欲を減退させる注射タイプの糖尿病治療薬があると聞き、興味を持ちました。その注射薬の利点と欠点を教えてください。

 

Aさんの質問(英文オリジナル)
I am a diabetic patient. I am receiving proper treatment from my doctor and am in good control as long as I do not neglect self-care. However, I have a voracious appetite, which often causes my blood glucose levels to rise significantly. So I was interested to hear that there is an injectable diabetes drug that decreases appetite. What are the advantages and disadvantages of that injectable drug?

 


ChatGPT
It's possible that you're referring to medications known as GLP-1 receptor agonists, which are a type of injectable medication used in the treatment of type 2 diabetes. While these medications primarily focus on improving blood sugar control, they often have secondary effects on appetite and weight.

 

Advantages:
1. Blood Sugar Control: GLP-1 receptor agonists can help lower blood sugar levels by increasing insulin secretion and reducing the production of glucagon, a hormone that raises blood sugar.


2. Weight Loss: Many people using GLP-1 receptor agonists experience weight loss as a side effect. This can be particularly beneficial for individuals with type 2 diabetes who are overweight, as weight loss can improve insulin sensitivity.


3. Appetite Reduction: GLP-1 receptor agonists can lead to a reduction in appetite, which can help control overeating and contribute to weight loss.


4. Cardiovascular Benefits: Some GLP-1 receptor agonists have demonstrated cardiovascular benefits, including a reduction in the risk of major cardiovascular events.


Disadvantages:
1. Injectable Formulation: GLP-1 receptor agonists are typically administered via injection, either subcutaneously or intramuscularly. Some people may find this inconvenient or uncomfortable.


2. Gastrointestinal Side Effects: Common side effects include nausea, vomiting, and diarrhea. These symptoms may improve over time, but they can be challenging for some individuals.


3. Cost: Injectable medications can be more expensive than oral medications, and insurance coverage may vary.


4. Limited Long-term Data: While these drugs have shown efficacy in improving blood sugar control and providing cardiovascular benefits in the short term, there is still limited long-term data available on their safety and effectiveness.


5. Hypoglycemia: While GLP-1 receptor agonists themselves do not typically cause hypoglycemia (low blood sugar), they are often used in conjunction with other diabetes medications that can. This can be a consideration when managing multiple medications.


It's crucial to discuss your specific situation and preferences with your healthcare provider. They can provide personalized advice based on your medical history, current health status, and treatment goals. Additionally, they can help you weigh the potential benefits and drawbacks of any medication in the context of your overall diabetes management plan.

 

チャットGPT
2型糖尿病の治療に使われる注射薬の一種であるGLP-1受容体作動薬のことを指している可能性があります。GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療に使用される注射薬の一種です。これらの薬は主に血糖コントロールを改善することに重点を置いていますが、食欲や体重に対する二次的な作用があることも少なくありません。

 

利点
1.血糖コントロール:
GLP-1受容体作動薬は、インスリンの分泌を増加させ、血糖を上昇させるホルモンであるグルカゴンの産生を低下させることにより、血糖値を下げるのに役立ちます。


2.体重減少:
GLP-1受容体作動薬を使用している人の多くは、副作用として体重減少を経験しています。体重減少はインスリン感受性を改善するため、体重過多の2型糖尿病患者にとって特に有益です。


3.食欲減退:
GLP-1受容体作動薬は食欲を減退させるため、過食を抑制し、体重減少に貢献します。


4.心血管への有益性:
一部のGLP-1受容体作動薬では、主要な心血管イベントのリスク低下など、心血管への有益性が示されています。


欠点
1.注射剤:
GLP-1受容体作動薬は通常、皮下または筋肉内注射により投与される。人によっては、これを不便または不快と感じるかもしれません。


2.胃腸の副作用:
一般的な副作用には、吐き気、嘔吐、下痢などがある。これらの症状は時間の経過とともに改善することもあるが、人によっては困難な場合もあります。


3.費用:
注射薬は内服薬よりも高額になることがあり、保険の適用範囲も様々です。


4.限られた長期データ:
これらの薬剤は短期的には血糖コントロールの改善や心血管系への有効性が示されているが、安全性と有効性に関する長期的なデータはまだ限られています。


5.低血糖:
GLP-1受容体作動薬自体は通常、低血糖(低血糖)を引き起こしませんが、低血糖を引き起こす可能性のある他の糖尿病治療薬と併用されることが多いです。
複数の薬剤を管理する場合は、この点を考慮する必要があります。

 

あなたの特定の状況や嗜好について医療従事者と話し合うことは非常に重要です。医療従事者は、あなたの病歴、現在の健康状態、治療目標に基づいて、個別のアドバイスを提供することができます。さらに、糖尿病の全体的な管理計画との関連で、それぞれの薬剤にはどのような潜在的な利点と欠点を比較検討することもできます。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
米国人のAさんの質問は、日本人のBさんの質問より、質問の内容が、より個人的で、限定的であるため、回答の守備範囲を絞り込みやすくなります。その分だけ、的の当たった質問者にとって有益な回答情報が得られやすくなります。


ムッシュGPTは、不要な主語をも敢えて省略して「2型糖尿病の治療に使われる注射薬の一種であるGLP-1受容体作動薬のことを指している可能性があります。」と見事に切り込んでいます。ご名答です。Aさんが質問したかった注射薬とは、まさにGLP-1受容体作動薬だったのです。

 

このように、OpenAIと上手に付き合っていくために、ユーザーとして求められるのは、質問の仕方を工夫することです。

 

質問者は、独りよがりな漠然とした質問をしても、ある程度の回答を得ることができます。ただし、そのような場合の回答の質は、質問のレベルによって規定されてしまうことを知っておくこと必要があるでしょう。


つまり、質問者の質問の質によって、回答の質が決定されるということなのですから、改めて「質問」という文字はよくできているものと感心します。


もっとも、このばあいの「質問」の「質」とは「問いただす」という意味なのではありますが、問いただすことによって、得たい情報の精度が高まり、文字通り、質の向上に繋がる訳です。


ですから、ChatGPTを意識的に活用することによって、質問の仕方を向上させるスキルが身につくことが期待できます。初回の質問の回答に満足がいかなかったり、見当違いの回答内容だったり、その他、期待していた内容でない場合には、質問の仕方を工夫して、改めて質問してみることが勧められます。


このような、反復操作の課程で、より有益なフィードバックが得られるのではないでしょうか?


また、Aさんからしっかり学んでおきたいことは、質問の際に、一面的な価値判断ではなく、相対立する両面(長所と短所、メリットとデメリット、など)の情報を得るための条件設定をしていることです。


GLP-1受容体作動薬は、確かに有益な薬剤ですが、望ましくないポイントや注意点、その他、運用面すなわち、制度上の限界などについてもムッシュGPTは回答してくれています。


私自身も、OpenAIの活用に当たっては、このような様々な知的スキルを身に着けていきたいと考えているところです。