『嘱託産業医』の相談箱

 

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臨床産業医オフィス

 

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

 

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

 

飯嶋正広

 

 

<今月から、当面の間、職場の健康診断をテーマとして、産業医紹介エージェント企業各社が提供しているコラムを材料として採りあげ、私なりにコメントを加えてみることにしています。>

 

産業医紹介サービス企業各社が提供する<健康診断>コラム

 

No1.エムスリーキャリア提供資料から(その2)

 

 

健康診断の種類

 

健康診断には、いくつかの種類があります。ここでは、従業員を雇い入れたときに行う雇入れ時健康診断と、年1回のペースで行う定期健康診断について詳しく紹介していきます。

 

 

従業員を雇い入れたときの健康診断

 

対象となる労働者を雇い入れる直前か直後のタイミングで、健康診断を実施する必要があります。これが、従業員を雇い入れたときの健康診断です。
 

対象者が入社前3カ月以内に必須の診断項目を受けていて、その結果を会社に提出する場合には、この健康診断を省略することが可能です。対象となる労働者とは、常時使用する労働者と呼称されます。

 

具体的には、1年以上使用する予定で、週の労働時間が正社員の4分の3以上と定められています。よって、その対象は正社員に限りません。
 

さらに、週の労働時間が2分の1以上であっても企業には努力義務が課せられています。ほかにも、派遣社員は派遣元で実施する義務があるなど、いくつかの線引きがされています。

 

 

定期健康診断と特定業務従事者健康診断

 

企業はまた、対象となる労働者に対して、1年に1回のペースで定期的な健康診断を行う義務もあります。対象となるのは、雇い入れたときに実施する健康診断と同じく、常時使用する労働者です。
 

ただし、特定の化学物質を扱う職種など、厚生労働大臣が定める特定業務従事者については、この対象者に当てはまりません。6カ月以内に1回のペースで行う、特定業務従事者健康診断を実施することになります。実施する項目については、定期健康診断と同じです。

 

 

コメント

『特定業務に従事する労働者に対して実施される特定業務従事者の健康診断』とは、一般健康診断の一つであり、労働安全規則第13条第1項第2号に掲げる業務に従事する労働者に対して行われるものです。

業務への配置替えの際、6月以内ごとに1回健康診断を実施する事が必要とされています。

 

特定業務とは・・・以下のリストを眺めただけでも、世間で業務には、いろいろなご苦労が伴なうことを改めて知ることができることでしょう。

このような業務に就いている労働者の一人一人の方こそが、社会における真の英雄なのだと思います。社会に貢献している、そうした英雄の皆様を、産業医として、少しでも支援していきたいと願っております。

 

1 多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所における業務

 

2 多量の低温物体を取り扱う業務および著しく寒冷な場所における業務

 

3 ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務

 

4 土石、獣毛等の塵埃または粉末を著しく飛散する場所における業務

 

5 異常気圧下における業務

 

6 削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

 

7 重量物の取り扱い等重激な業務

 

8 ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

 

9 坑内における業務

 

10 深夜業を含む業務

 

11 水銀、ヒ素、黄リン、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アル 
カリ、石炭酸、その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

 

12 鉛、水銀、クロム、ヒ素、黄リン、フッ化水素、塩素、塩酸、硝酸,亜硫 
酸,硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸,ベンゼン、アニリンその他こ
れらに準ずる有害物のガス、蒸気または粉塵を発散する場所における業

 

13 病原体によって汚染のおそれが著しい業務

 

14 その他労働大臣が定める業務