遷延する症状で苦しむ方のために

 

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認定内科医、認定痛風医

アレルギー専門医、リウマチ専門医、漢方専門医

 

飯嶋正広

 

 

なぜ病気が長引くのか…発作性の症状対策

 

<痛風発作編その5>

 

・・・ふだんからの血清尿酸血のコントロールが決め手・・・

 

尿酸はプリン塩基(アデニン、グアニン)分解の最終産物です。
高尿酸血症を4大分類すると、

 

1) 腎負荷型(尿酸産生過剰型あるいは腎外排泄低下型)
尿酸合成阻害薬:主にキサンチンオキシドレダクターゼ(XOR)の阻害による酸化ストレスの低下、臓器障害の予防効果あり

 

2) 尿酸排泄低下型

 

3) 腎外排泄

 

4) 腎外排泄型

 

となります。

 

尿酸産生過剰の原因は、①食事からのプリン摂取過剰、②内因性のプリン酸性の増加、③プリン体の分解亢進などが考えられます。

 

特殊な病態としては、レッシューナイハン症候群といって、プリンサルベージ酵素(HGPRT)の完全欠損症では、プリン体産生が増加し、高尿酸血症となります。

 

また、癌化学療法時にも腫瘍細胞内のプリン体が多量に放出されるために高尿酸血症を来すことが知られています。とりわけ、腫瘍崩壊症候群といって、癌化学療法に伴う急激な高度の高尿酸血症も知られています。

 

 

痛風の治療も副作用管理が重要です。

・キサンチンオキシダーゼ阻害薬:メルカプトプリン、テオフィリンの血中濃度が上昇するため

 

・ベンズブロマロン:劇症肝炎の報告があり、投与開始後6カ月は定期的に肝機能検査を実施します。

 

・ラスブリカーゼ:主に肝障害、アナフィラキシー、溶血性貧血(G6PD欠損症など赤血球酵素異常による)があります。

 

 

<腎障害時の注意点>

通常では中等度以上の腎障害例や尿路結石保有例ないし既往例などでは尿酸生成抑制薬を用いることが多いです。アロプリノール(ザイロリック®)が多く使用されています。しかし、腎不全では、代謝産物であるオキシプリノールが増加し、副作用が重篤化することがあります。そこで中等度の腎障害まで投与量の調整は不要な、フェブキソスタット(フェブリク®)が使いやすいです。

 

また、血中尿酸濃度低下が最も強力な尿酸排泄促進薬(ユリノーム®)を使用する場合には、尿路結石を予防するために、尿アルカリ化薬である重曹(ウラリット®)を併用し、尿pHを6.0~7.0に維持します。また、選択的尿酸再吸収阻害薬であるドチラヌラド(ユリス®)が承認され、肝障害や薬物相互作用の懸念が少ない薬剤として期待されています。