武蔵野音大別科生の手記

 

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聖楽院主宰 テノール 

飯嶋正広

 

今回は、音大での第3回目(4月26日)の報告です。

 

 第3回レッスン

 

通学も3回目になると、通学もスムーズになってきます。音大への入構手続きの煩わしさや構内での移動に要する時間的・精神的なロスも減ってきました。レッスン室は4階ですが、いつも早めに到着して、予め学内食堂インテルメッツォで昼食を摂るリズムも確立してきました。若い音大生の食欲は旺盛で、とても明るく、溌溂とした若さのエネルギーの御相伴をさせていただいております。

 

12:40開始のレッスンも概ね10分前に到着可能ですが、岸本先生はすでに在室されています。その10分間で、ご挨拶やレッスンのご報告、簡単な世間話などで、効率的なレッスンがスタートします。

 

いつ、どのようにして稽古を続けているのか等、心配してくださった上で、ささやかな努力をねぎらい励ましていただきました。

 

今回は、先生から3種類のCDを紹介していただきました。そのうちの1つは、直ちに購入させていただけましたが、後の2つは、在庫僅少のため、後日、先生から郵送していただいたものを特別にコピーを取らせていただく許可をいただきました。

60分のレッスンの最初に発声練習で歌唱の準備が整います。
 

 

今回のレッスン予定曲は、

#1.歌曲「отчего?...(何故?)」の歌唱

#2.歌曲「Cредь шумного бала.(騒がしい舞踏会の中で...)」の歌唱

#3.歌曲「Cеренада дон-жуана(ドン・ファンのセレナード)」の歌詞の発音チェック
 

 

#1.歌曲「отчего?(何故?)」の歌唱は、王さんのピアノ伴奏に助けられて、一応の形が整い、先生の見極めをいただくことができました。
 

#2.歌曲「Cредь шумного бала.(騒がしい舞踏会の中で)」の歌唱は、まだ歌詞が滑らかに繋がらない箇所が数カ所あり、レガートに歌えるようになるのには根気が必要です。来週までに心して稽古を重ねなければなりません。
 

#3.歌曲「Cеренада дон-жуана(ドン・ファンのセレナード)」の歌詞読みがスムーズに流れるようにするためには、日々のロシア語学習を並行して続けていく必要がありそうです。王さんは、初見曲であっても、短時間で伴奏をこなしてくれるので、とても素晴らしいレッスン環境にあります。

 

#4.歌劇「エフゲニー・オネーギン」第2幕から、「レンスキーのアリア(青春は遠く過ぎ去り)」
    

チャイコフスキー作曲のこのオペラ・アリアの楽譜はニューヨークの楽譜出版社から数年前に取り寄せたものを、コピーして使っていたのですが、原本を喪失して、複写譜も読みにくくなっていました。この楽譜は原本からして複写版らしく、歌詞のキリル文字が潰れて判読困難な部分の多いものでした。岸本先生に指摘されるまでは誤って発音していたところが相当ありました。幸いなことに、岸本先生のお師匠である小野光子先生編集の楽譜の写しをいただくことができました。この楽譜はとても読みやすく編集されているため稽古が捗りそうです。
    

楽譜を新たに一曲を通して歌いましたが、岸本先生のアドバイスによると、この曲はオペラ・アリアではあっても、歌曲を丁寧にレガートに歌うように歌った方が良い、とのことでした。この曲を張った声ではなく、柔らかな声で歌えるようになるためには、相当な修行を要するのではないかと思いました。

 

 

 名盤CDの到着そして複製
   

間もなく、岸本先生から名盤CDが2枚届きました。

それらを紹介いたします。
  

 

#1.ドン・キホーテのセレナーデ
     

<岸本力 ロシア音楽シリーズNo.1>(全21曲)

ピアノ:塚田佳男

CDジャケットのたすきより、

<ロシア音楽の第一人者 岸本力 初のソロアルバム、海外の賞を総ナメにしたバス界の俊英が贈る珠玉の名曲集>


#2.シェイクスピアの10のソネット 

ロシア歌曲傑作集/ 岸本力バス・リサイタル

ピアノ:村上弦一郎/小笠原貞宗、ギター:毛塚功一

CDジャケットのたすきより、

<日本を代表するバス歌手・ロシア音楽の第一人者岸本力のライブ録音によるソロアルバム>

 

とても貴重なCDを郵送していただいたことに感謝です。そこで、さっそく、4月30日に音響の専門家であるオフィスアミーチの西松朝男氏によってコピーCDを作製していただきました。

 

実は、ここでも、いろいろな出会いと御縁があるのです。西松氏の今は亡き夫人は、アルト歌手の畑和子さんでした。畑さんは福島県出身で武蔵野音大のピアノ科を経て東京藝大の声楽科に入学されたときの同期に岸本夫人でソプラノ歌手の大倉由紀枝さんがいらしたとのこと、しかも大倉先生(国立音大特任教授)も福島県いわき市のご出身とのことで、かつてお二人はいわき市でのリサイタルにてしばしば共演されたとのことです。