遷延する症状で苦しむ方のために

 

前回はこちら

 

遷延する症状を訴える方に対応する診療体制の構築について

 

本日のタイトルは、厚生労働省健康局健康課長が各都道府県衛生主管部(局)に向

 

けて発せられた通知をそのまま引用したものです。

 

ただし、下線部に関しては私が施したものです。

 

最後にコメントを加えました。

 

 


健健発 0324 第 11 号

令和4年3月24日

各都道府県 衛生主管部(局) 御中

厚生労働省健康局健康課長

(公 印 省 略)

 

遷延する症状を訴える方に対応する診療体制の構築について

 

予防接種法(昭和 23 年法律第 68 号)附則第7条第1項の規定に基づく新型コロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種に用いることとなったワクチン(以下「新型コロナワクチン」という。)接種後の副反応を疑う症状に対する診療体制については、「新型コロナウイルスワクチン接種後の副反応を疑う症状に対する診療体制の構築について」(令和3年2月1日付け健健発 0201 第2号厚生労働省
健康局健康課長通知。

 

以下「令和3年2月通知」という。)において、身近な医療機関が新型コロナワクチン接種後に副反応を疑う症状を認めた場合、必要に応じて専門的な医療機関に円滑に受診できるよう、専門的な医療機関への協力依頼を行うこと等についてお願いしたところです。

 

今般、新型コロナワクチン接種後に遷延する症状を訴える方が存在すること、また、そのような症状の相談先や受診先について悩んでいる方が存在すること等について指摘がなされていることを踏まえ、当該症状とワクチンとの因果関係の有無にかかわらず、受診を希望される方が必要な医療機関を受診できるよう、令和3年2月通知に基づき各都道府県が構築した診療体制について、下記のとおり状況の確認等を行っていただくようお願いします。

 

なお、公益社団法人日本医師会に対し、本件に関する協力を依頼していることを申し添えます。

 

 

1. 各都道府県にあっては、令和3年2月通知に基づき構築した診療体制について、次に掲げる事項を改めて確認するとともに、必要に応じ、体制の見直し等について検討すること。


新型コロナワクチン接種後に遷延する症状を訴える方からの  
相談について、対応が可能な窓口体制が確保されていること。

 

新型コロナワクチン接種後に遷延する症状を訴える方につい 
て、対応が可能な医療提供体制が確保されていること(遷延する症状に対応できる医療機関の新規追加や、既存の専門的な医療機関における役割の追加を含む。)

 

新型コロナワクチン接種後に遷延する症状を訴える方に対応するための関係機関の連携体制が構築されていること。

 

なお、上の①~③に基づき見直し等に伴って必要となる医療体制の確保のための経費についても、従前のとおり新型コロナワクチン接種体制確保事業(都道府県実施分)の対象となること。

 

 

2. 各都道府県において1による確認や見直し等を行った結果、遷延する症状に対応可能な診療体制が確保された場合には、各都道府県にあっては、受診を希望される方が必要な医療機関を受診できるよう、住民や各都道府県内の関係者に対し、相談窓口の連絡先や受診の方法について適切に周知すること。

 

 

3. 各都道府県における1に掲げる①~③に係る対応状況等については、追って確認させていただく場合があるので留意すること。

 

コメント 

今回の厚労省課長通知(令和4年3月24日)は前回の関連通知(令和3年2月1日)より1年以上を経過しての通知であることを念頭に置いて検討すべき文書です。厚労省は昨年の段階で、「新型コロナワクチン接種後に遷延する症状を訴える方が存在すること」を認知していたことは文書内容より明らかです。

すなわち、『新型コロナウイルスワクチン接種後に、副反応を疑う症状を認めた場合、当該被接種者は、まずは、身近な医療機関を受診』云々と表記されています。

 

これに対して、今回は、微妙に言い方を変えていることに気が付かされます。『新型コロナワクチン接種後に遷延する症状を訴える方が存在すること、また、そのような症状の相談先や受診先について悩んでいる方が存在すること等について指摘がなされていることを踏まえ、当該症状とワクチンとの因果関係の有無にかかわらず、受診を希望される方が必要な医療機関を受診』とあります。

 

診療以前に、「新型コロナワクチン接種後に遷延する症状を訴える方」の諸症状が「ワクチンとの因果関係があるかどうか」を判断することはほぼ不可能であるばかりでなく、診療したとしても医師が因果関係の証明は困難を極めることは周知のとおりです。ですから、「ワクチンとの因果関係があるかどうか」という挿入句の意図を理解することは困難です。


厚生労働省は昨年の立場から後退して、患者がワクチン後遺症を訴えるのは自由だし、医療機関を受診する機会は確保するが、基本的にワクチン接種による遷延する副作用の存在は認めない、という立場に接近している可能性は否定できないのではないかと、私は危惧しています。