常陸國住人 飯嶋正広
常陸国飯嶋氏のルーツ探訪(その1)
飯嶋家は、常陸國の領主としては外様である水戸徳川家(徳川家は三河・愛知県が発祥)より古く、それ以前の領主であった佐竹氏さらには江戸(那珂)氏との関わりをもつ土着の一族です。
私は、水戸⇒水戸黄門(徳川光圀)だけではない、茨城の風土や県民性を理解する上で、より古く豊かな手掛かりを求めています。
中央政治史に焦点を当てる日本史では見落とされてしまいがちな、真実の日本人の歴史の貴重な一側面を、自分のルーツを地道に辿っていくことを通して、郷土の歴史の再発見の中から光を当ててみたいと思います。
さて、皆様は、放送や芸能の業界では古くから有名な、稽古用の早口言葉で、「飯島石七郎(いいじまいししちろう)の言い分(いいぶん)に偽(いつわ)りがある
のをご存じでしょうか。
この早口言葉のルーツも調べてみたいところなのですが、今のところ手がかりがありません。ただし、飯島七郎と名乗る実在の人物がいて、それも代々受け継がれていた通字であった可能性が歴史的文献で見出すことができます。また、逆に、それが飯嶋家のルーツをたどる上でのヒントになっている可能性に気が付きました。
飯嶋(飯島)という姓の発祥は、1388年以降1391以前の成立か?
飯嶋氏は、『新編国志』によれば常陸国那珂郡飯島村より起こるとあります。
参照:太田亮著、上田萬年、三上参次監修『姓氏家系大辞典 第1巻』(角川書店、1934年)553頁参照。
明徳2年(1391年)12月2日の熊野山参詣願文(熊野那智大社文書?)に
飯島七郎光忠、宗忠の名が見えます。
○ 郡郷考三、
熊野参詣願文(明徳二年秘月初二日判)に「常陸国笠間郡住人、職原常陸介朝宗、
飯島七郎光忠(中西)子息七郎宗忠、安藤四郎園守(石井)平六三郎国安(黒柄郷)加茂
介宗賞」と連署す、接艦原今なし、士人相停、闘戸、田上の漫と三ひ、常時の土豪と見ゆ
父子ともに飯島七郎を称しているので、飯島七郎は特定の個人名ではなく,七郎は飯島氏の通字であると考えて良さそうです。
しかし、飯島の姓の更なる由来は不明です。姓(飯島氏)が先か、地名(飯島村)が先か?が未解決だからです。
江戸時代以降は、飯嶋村⇒上中村妻村⇒水戸市飯島町、と変遷しています。
そこで、地名に対応する地域の歴史的遺跡を遡ると古墳時代にまでさかのぼることができますが、そこに氏族としての飯嶋のルーツを見出すことは無意味といえるでしょう。
引用:「角川日本地名大辞典(旧地名編)
JLogosID : 7271259
平安期に見える郷名「和名抄」常陸国那賀郡二十二郷の1つ那珂川の支流桜川の流域に位置する「洗井」は「隠井」の誤りという説が有力(新編常陸など)「隠井」とは,山かげや草むらに隠れて路傍には見えない井をいう(新編常陸)水戸市見川町に古墳時代の見川遺跡,同市見和町に古墳時代の横西遺跡,同市加倉井町に加倉井古墳群,同市飯島町に古墳時代の飯島遺跡,同市金谷町に古墳時代の金谷遺跡,同市大塚町に北原古墳群,同市河和田町に街道端古墳群,同市赤塚町に古墳時代の宮西遺跡,同市中丸町に古墳時代の北原遺跡などがある那賀郡衙については,水戸市飯富町に比定する説(地名辞書),同市渡里町の長者山付近とする説(水戸市史など),同市堀町の堂地内とする説などがあるが,当郷内の現在の水戸市河和田町あたりに比定する説が多い(郡郷考・新編常陸)「新編常陸」によれば,那賀国造は,はじめは那珂郷を拠点としたが,西北の僻地で不便なので,のちに那賀郡が成立した時に郡の中央に位置し大道が通る当郷に郡衙が移されたという現在の水戸市の西部に比定される。
飯嶋という姓の発祥の契機は、1388年以降ではなく、遅くとも1336年まで遡ることが可能か?
1337年南朝方、那珂通辰、入野七郎次郎助房(那賀郡入野郷:和名類聚抄)、瓜連城の戦いて敗れ自刃。那珂通泰、飯島信晟(飯島七郎?)、切り逃げる。飯島信晟は、那珂通泰の側近か?
飯嶋家本家は、東茨城郡城里町上入野にあり、私の本籍もそこにあります。近世に至って同郡内にも入野という地名があるため、区別のため、それぞれ上入野(現、城里町)、下入野(現、水戸市)と改称されています。
瓜連城の戦いとは、延元元年(建武3年,1336年)に瓜連城を中心として行われた南北朝の戦いです。 楠木正成は常陸北朝方の佐竹氏を討つために,楠木正家を代官として派遣して瓜連に築城させました。 建武3年2月佐竹貞義が広橋経泰・小田治久などの南朝方に対して攻撃を加えました。
このように飯島(七郎?)信晟は、楠木正家の南朝方に属して、北朝方の佐竹氏と戦った記録があるようです。その後、歴史の空白を経て、飯嶋氏は勝倉城主(現、ひたちなか市)としての記録がありますが、次回の話題に回したいと思います。
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