武蔵野音大別科生の手記

 

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聖楽院主宰 テノール 飯嶋正広

 

武蔵野音楽大学について

 

昨年度まで「聖楽院だより」というタイトルでしたが、この4月から1年間、私は武蔵野音大の学生となるため、「武蔵野音大別科生の手記」に改題することにしました。

 

4月1日は、その入学式とオリエンテーションがあります。そこで、この際に、改めて武蔵野音大についての公式情報を集めて、概要を把握しておくことにしました。

 

武蔵野音楽大学は、東京都練馬区羽沢1-13-1に本部を置き、新制大学発足の1949年に日本で初めて音楽大学としての認可を受けた私立大学です。

 

創設者は福井直秋(ふくい なおあき1877年10月17日 - 1963年12月12日)。

 

• 福井直秋略歴:

作曲家、作詞家。富山県中新川郡上市町出身。浄誓寺住職・福井智拓の五男として誕生。

1899年に東京音楽学校へ進学し授業補助をしていた瀧廉太郎と出会う。声楽指導法や歌曲集編纂に尽力する。歌曲、器楽曲の創作に意欲を燃やして約1000曲の音楽作品を遺した。

1904年長野師範学校教諭、1929年に武蔵野音楽大学の前身である武蔵野音楽学校を創設し、1949年に新制大学の武蔵野音楽大学の初代学長に就任した。作曲作品は多数に上り、ラジオ体操行進曲、ラジオ体操第一(初代)の他、都内から全国にかけての効果も作曲している。

私は個人的には、郷里の茨城県水戸市立五軒小学校校歌(作詞:葛原しげる)も手掛けていることに興味がひかれた。

 

• 現学長はピアノ科教授の福井直昭氏で、同氏は1993年慶應義塾大学経済学部卒業、1995年武蔵野音楽大学大学院修士課程器楽専攻修了。

更に1998~2000年の間、ミュンヘン音楽大学にて研鑽を積む。修士(音楽)、学士(経済学)。創設者一族は音大卒以上に多くが慶應義塾大学出身者で占められている。

 

私立音楽大学としては歴史も古く、音楽教員も数多く輩出しています。

声楽家だけでも、故エレナ・オブラスツォワ(ソ連・レニングラード:現、ロシア・サンクトペテルブルク出身、メゾソプラノ)、佐藤美枝子(ソプラノ)、堀内康雄(バリトン)、松本美和子(ソプラノ)の各氏が名を連ねています。

     
2012年から2017年にかけて江古田キャンパスの建替が行われ、ベートーヴェンホールを除く全建物が建て替えられました。2012年以前は大学2年までは入間、3年以降江古田で授業を行っていたが、2017年より大学の授業は原則として全て江古田に集約されました。

 

 

キャンパス(江古田)

音楽学部(1~4年次)、大学院、附属江古田音楽教室。ベートーヴェンホール(ホール棟)、ブラームスホール(ホール棟)、モーツァルトホール(N棟)、武蔵野音楽学園記念室(E棟)、図書館(C棟)、楽器博物館(S棟)がある。今年の別科の入学実技試験はモーツアルトホールで行われました。

 

別科

平成23年度より再開した「別科」は、器楽、声楽、作曲、指揮の4つの実技科目より一つを選択し、その選択した実技レッスン(週1回60分の個人レッスン)と、音楽理論、西洋音楽史の学科目(50分のクラス授業) を受けることができるコースです。
 週2回の通学ですが、実技レッスンは毎週火曜日(12:40~13:40)なので、診療の昼休みを活用でき、座学の授業は毎週土曜日ですが、新型コロナ感染症対策のため、当面の間はオンライン授業となり、私にとっては大助かりです。

 

以下は、武蔵野音楽大学別科についてのオフィシャルサイトからの抜粋です。

 

21世紀は、知識基盤社会であるといわれます。そこでは、誰でもが、いつでも自ら選んで学べる機会(ユニバーサル・アクセス)が必要です。そのために、大学は18才の世代のみならず、幅広い年齢層や異なる経歴、また、さまざまな学修の目的を持つ人たちを受け入れ、広く学びの場を提供することが求められています。
 

武蔵野音楽大学別科は、この社会的なニーズに応えて開設しているものであり、修業年限は1年ですが、法令に定められた大学の教育です。従って、入学生は正規の大学生と認められます。
 

短期間ではありますが、それぞれが持つ目的に従い、音楽の学修を強く望む人たちに最適のコースです。
 

私は武蔵野音大で集中的にロシア声楽の研修を受けることになるのですが、かつてロシアの歌手がここで教えていたことに驚きました。次回は、ロシア語のウィキペディアから検索できた故エレナ・オブラスツォワ先生の情報を、ロシア語の勉強を兼ねてご紹介させていただく予定です。