水氣道実践の五原理・・・集団性の原理(結論)その3
(教学不岐・環境創造の原則)
水氣道の「教習不岐」の原則と集団の中で個として「生きる態度」
多くの武道や競技ゲームにおいて、能力(勝率)などが上がれば昇級し、下がれば降級する制度の場合(例えば将棋の奨励会など)、段級位は現在の実力の目安といえます。
しかし、多くの段級位制はタイトル奪取、大会優勝、試験合格、経験年数、勝数、授与者の裁量などで昇級しますが、例えば将棋のプロ棋士の段位などは、能力が衰えても基本的に降級しません。
この場合は、段級位は現在の実力というより、過去の実績や、その世界での序列を示すものとして理解することが可能だと思います。過去の実績は、個人の対戦能力の評価だけではなく、対戦相手に対する貢献の積み重ねであるともいえるのが、将棋における感想戦の伝統です。
将棋が発祥となった将棋用語の一つに感想戦があります。
これは対局後に開始から終局まで、またはその一部を再現し、対局中の着手の善悪や、その局面における最善手などを検討することです。
これは「局後の検討」です。プロの公式戦では感想戦はほとんどの場合に行われ、アマチュアでも高段者、上級者の対局では感想戦が行われることが多いです。この感想戦の目的は、一局を客観的に見直すことによって、相互の棋力の向上につなげることにあります。
しかも感想戦は、勝者が敗者に対して、一方的に施すものではありません。対局直後という好機を逃さず、共に学び合うという互角の、互いに対する敬愛を伴う教育・学習行動であるともいえましょう。
そこでは、自我意識が消えて、すべきことに極度に集中しているような心理状態を獲得しやすいだけでなく、自己にとらわれない行為を志向する「生きる態度」を育みやすい条件が揃っています。そこに水氣道の「教習不岐」の原則に通じるものを見出すことは困難ではありません。
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