『水氣道』週報

 

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水氣道実践の五原理・・・集団性の原理(転論)

(教習不岐・環境創造の原則)

 

 

水氣道の<環境創造の原則>の発展的運用の実際

 

今回は、まず水氣道の環境創造の原則とは何かについて簡単に説明することから始めてみたいと思います。

 

これは、端的に言えば、水氣道の稽古場である道場の環境を創造していくことを意味しています。

水氣道道場というのは、物的な施設環境だけではなく、精神的な人間関係や共同体としての組織制度の在り方をも含んでいます。つまり、水氣道の組織創りや、稽古の在り方などを含めた道場の「場」の在り方に係るすべての要素を包含して水氣道の環境としています。水氣道の集団性の原理の上に、教習不岐の原則や環境創造の原則が派生している根拠はそこにあるのです。

 

水氣道の稽古場、すなわち道場は、諸般の事情により、現在では専ら屋内の温水プール施設を活用しています。しかし、プール施設は、屋内でなくてはならないという必然性はなく、水温その他の諸条件が満足できるものであれば、屋外のプールも利用可能です。

 

プール水に関しては、水質基準が設定されています。不特定の多人数が利用する遊泳用プールについては、厚生労働省が「遊泳用プールの衛生基準(平成19年健発第0528003号)」により、都道府県、政令市及び特別区において、プールの管理者等に対する指導の指針として定めています。

なお、学校における水泳プールは、文部科学省が「学校環境衛生基準(平成21年文部科学省告示第60号)で定めています。いずれも同様の基準ですが、学校における水泳プール等で毎授業日に行う水質検査は、以下の3項目です。

 

これらのうち、透明度については、官能試験ともいうべき、直接の身体感覚によって評価することができる項目であり、pH値は簡便なリトマス試験紙により半定量判定することができます。また、遊離残留塩素については、天然水においてはそもそも検査の必要性は生じません。

 


遊離残留塩素
どの部分でも0.4mg/L以上(1.0mg/L以下が望ましい)

プールの使用前及び使用中1時間ごとに1回以上計測


pH値
5.8以上8.6以下
使用前に1回計測

 


透明度
水中で3m離れた位置からプールの壁面が明確に見える程度

常に留意する

 

 

水氣道の道場として必要とされる水質条件についても上記の基準に準拠することになります。水氣道の水条件について、さらにいえば、プールのような人工的に整備された施設下で人為的に管理された水でなくてはならないということでもありません。天然の清浄な鉱泉水や温泉水であれば、pH値が5.8以上8.6以下であれば運動浴となる水氣道稽古に適した条件になります。この基準は温泉医学的には、おおむね中性泉(pH6.0以上7.5未満)、弱アルカリ性泉(pH7.5以上8.5未満)に相当しますが、この範囲より若干の酸性あるいはアルカリ性に傾く水質でも適合することがわかります。

 

以上のような背景から水氣道の稽古場環境の可能性としては、季節や天候や水温・水質などの条件や安全性などが担保されれば湖水などの自然環境での稽古も可能であるということになります。私は、いずれ、鉱泉水や温泉水での水氣道稽古や、たとえ年に1度だけでも、湖岸に近い安全な場所を道場とした水氣道稽古が実現することを祈念しています。そして、こうした方向性を意識することが、水氣道の環境創造に繋がるのです。

 

東京を中心とする限られた現状での活動拠点で満足するのではなく、国内外において水氣道の活動を展開していくことへの集団としての意欲の結集があってこそ、人類の生存と健全な繁栄のために不可欠な自然界の「水」と「大気」を保護に貢献することができます。そこに水氣道の大義があります。こうした水氣道の環境創造の原則は、人間同士の創造的な関係性を育む教習不岐の原則と相まって、水氣道の根本的な支柱である「集団性の原理」を実現していくことが、水氣道の本質である「融通無碍の人類愛」に繋がるのです。個々の一般人が独力で世界を救うことは不可能です。しかし、水氣道に参加して、仲間と共に楽しく稽古を続けていくことさえできれば、それは実現できます。


すなわち、<水氣道は世界を救う>ことができるのです。