『水氣道』週報

 

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水氣道実践の五原理・・・集団性の原理(承論)

(教習不岐・環境創造の原則)

 

水氣道の<教習不岐の原則>の基本的運用の実際

 

通常の段級位制における級位は、1級を上限とし、初段の1つ下が1級、1級の1つ下が2級であり、級位の下限はカテゴリーによって異なります。

 

水氣道の級位も1級を上限とし、7級を下限としていますが、入門してしばらくの期間は「級外」として、稽古の場では「体験生」という呼称を用いています。この制度の理由は、水氣道が世間一般に広く認知されている健康活動団体として十分に認知されていないため、言葉による説明ではなく、実体験により慣れ親しんでいただくための最初期の期間を設定することが欠かせないためです。

 

やむを得ないことであるとはいえ、水氣道の入門者にとっては、あたかも行先不明の電車に乗り込むときのような勇気が必要になることでしょう。広く世界に周知されていない水氣道には信頼関係のみで入門していただくことにならざるを得ません。

 

頻度の多寡はあるにせよ、定期的、計画的に稽古に参加することができてはじめて稽古にふさわしい活動が開始されるといえるので、「体験生」には、いわば試験的に気楽に参加していただくことになっています。やがて、稽古習慣が身に着いた頃合いに、「級外」に区分された「体験生」は、はじめて入級して「7級」を得ます。

ただし、この段階は、まだ体験生の延長とみなすため、稽古の場においては「特別体験生」(略称、特待生)と呼び、懇切丁寧な稽古指導を受けることが可能となるような配慮を受けることができるようにしています。7級(特別体験生)を経て、小審査で合格すれば、6級(初等訓練生)に昇級することができます。

 

なお、小審査とは、水氣道3カ月に1回、定期的に実施している体験生や訓練生のための昇級審査です。訓練生とは、6級(初等訓練生)を皮切りに、5級(中等訓練生)、4級(高等訓練生)までの稽古者の呼称です。そして、5級(中等訓練生)になると、水氣道の技法である、各種の航法を順次修得して、一定の成果が得られればそれぞれの航法のファシリテータ(促進員)として認定され、認定証が授与されます。

 

水氣道の<教習不岐の原則>とは、教育者と学習者とを二分割しないという水氣道独自の哲学に基づく原理であることは前回述べましたが、この原則が本格的に活かされてくるのが5級(中等訓練生)あたりからです。

 

ファシリテータである訓練生は、体験生(特別体験生を含む)の日常の稽古が滞りなく勧めて行けるように促進する役割を担うことになります。それを可能とするためには、6級(初等訓練生)の段階で、ファシリテータの役割と機能について、稽古中にしっかりと見習っておく必要があるといえるでしょう。

 

そのような意味において、体験生と訓練生との違いは、稽古に自主的に参加して、あとは専ら受け身で指導を受ければ足りるのが体験生(特別体験生を含む)、<教習不岐の原則>に則って、上級者からの指導を受け、自らも意識的に稽古を継続する他、水氣道の各航法を習得し、体験生(特別体験生を含む)を導くのが訓練生であるということができます。