『水氣道』週報

 

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水氣道実践の五原理・・・統合性の原理(序論)

(心身統合・心技体の原則)

 


統合とは、一般的には、社会の成員の間に高い相互作用があり、その成員が共通の社会規範や価値を抱き、共通の権威に対し忠誠を有している状態を意味します。

 

組織の世界では、統合がとりわけ重要な意味をもつことになります。対立する意見や利益を調整し、協力せしめて、一つの社会としてまとめ、社会に安定や秩序をつくりだすことは、組織の維持や発展のために必須となる重要な機能だからです。

 

水氣道の組織と団体活動における統合は、(1)全人的健康の維持、(2)広範な多目的能力の獲得、(3)特定の目的の達成、(4)新たなイメージや役割の獲得、をねらいとして形成されます。

 

またその際には、(1)会員間に相互関係性があること、(2)相互反応性があること、(3)共通の価値と利得がもたらされること、(4)共通の一体感や奉仕の心が育まれていること、などの条件が必要になります。
 

組織内の統合は、団体的価値を共有している領域が少なくなったり、組織規範や規則を守っていただくためのルールが過度に必要になったり、我流に走るメンバーが出現したり、孤立・分離・独立の風潮や機運が高まったりする場合、失敗といわれます。

 

失敗をもたらす原因としては、革命などの社会変動、組織外の一般社会からの威圧・介入、社会成員の要求充足の失敗、理論や技法を巡る対立などが考えられます。
 

幸いなことに、平成12年(2000年)末に組織の基礎が定まり、公に対する団体登録が整い、平成28年(2016年)に登録商標を獲得し、団体運営が安定し、財政的にも収支の均衡がとれるようになってきました。
 

ただし、上記のことは、水氣道においては団体性の原理に係る事項になります。水氣道の統合性の原理とは、こうした組織団体の進歩と調和を支える原理ではなく、<自己超越と自然回帰>という水氣道の三徳を支える本質的な考え方なのです。

 

これについては、いずれ改めてご紹介いたします。

以下に、水氣道の理念についての一覧を掲示します。

 

 

<融通無碍(ゆうずうむげ)の人類愛>

水氣道の三徳

 

分析と企画(特異性の原理) 

 

進歩と調和(過負荷・集団性の原理)

 

自己超越と自然回帰(統合性・可逆性の原理)

 

 

 

水氣道実践の五原理

〇 統合性の原理(心身統合・心技体の原則)

 

〇 集団性の原理(教学不岐・環境創造の原則)

 

〇 過負荷の原理(漸進性・全面性・反復性の原則)

 

〇 可逆性の原理(周期性の原則)

 

〇 特異性の原理(意識性・個別性・弱点優先・専門性の原則)

 

 

 

水氣道稽古の12原則

 

心身統合の原則/ 心技体の原則/ 教修不岐の原則

 

環境創造の原則/ 漸進性の原則/ 全面性の原則

 

反復性の原則/ 周期性の原則/ 意識性の原則

 

個別性の原則/ 弱点優先の原則/ 専門性の原則

 

 

超高齢社会を迎えて、自分が健常者あるいは健康だと信じている人たちは多いです。

しかし、そうした方々の多くは、実際に健康なのではなく、そのように思い込んでいるだけであるとか、そのように信じていたいだけなのかもしれません。

というのは心と身体のアンバランスに悩ませられている方が多いのが現実だからです。

 

つまり、それだけ、自力では心身の不統合は気づかれにくい、気づきにくい課題だということです。このアンバランスは日常生活の中では十分に意識化されにくいようです。そのために、有効なケアや予防的な訓練が行われないまま放置されてしまいがちです。

 

水氣道®で実践している心身統合アプローチは、心理学的理論と運動生理学的理論を行動実践で統合します。これは、水氣道の心・技・体の原則と共に水氣道実践の五原則の一つである、「統合性の原理」を構成します。
 

とは言え、水氣道の会員にとって馴染みにくいのは、どちらかといえば水氣道の稽古体系に自然に取り入れられているメンタルトレーニングとしての要素ではないかと思われます。