『嘱託臨床産業医』の相談箱

 

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臨床産業医オフィス

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

飯嶋正広

 

 

私は平成元年7月に、当クリニックの前身の高円寺南診療所を開設し、臨床実務に携わる中で<法律の素人>であり続けることの危険性に気づきました。臨床医は科学者として医学を研究する修養することだけでは事足りないということは、医療のもつ社会性から考えても当然であったわけです。

 

そこで医業の傍ら、法律の基礎を学ぶために慶應義塾大学に学士入学(通信制)し、平成12年に卒業しました。

 

同16年に産業医資格取得、同19年に労働衛生コンサルタント国家試験合格などを経て、博士号(医学)取得は平成22年でしたが、全く悔いは残っていません。高円寺南診療所としての平成の30年間は、令和の杉並国際クリニック誕生までの成長の歴史であったものと振り返っています。

 

そして、現在でも私はなお<法律の素人>のままであることには変わりありませんが、まがりなりにも医学理論と実社会の仕組みの両方に馴染んできたことによって、社会的存在であるはずの患者さんの抱える様々な問題を立体的に把握することに役立ってきたという実感を持っています。

 

そこで、現役世代の皆様に密接にかかわる働き方改革関連法案について、今年の注目のポイントをご紹介させていただこうと思います。

 

 

2022年の重要改正3項目

 

2022年には、雇用保険や健康保険法、育児・介護休業法、厚生年金保険法等を中心にいくつかの改正が予定されています。すでに打刻ファーストで解説済みのテーマではありますが、企業が特に重視すべき3つの改正項目を改めてまとめます。

 

○ パワハラ防止措置の義務付け

(中小企業で2022年4月1日から※大企業で2020年6月より施行)

 

○ 改正育児・介護休業法  

(すべての企業で2022年4月1日及び10月1日から)

 

○ 短時間労働者への社会保険適用拡大

(従業員数101~500名規模の企業で2022年10月1日から)

 

 

そこで、今月は、働き方改革関連法案の変更点と産業医の役割をテーマとして、次週から4回に分けて解説していきたいと思います。