骨粗鬆症の予防と効果的な治療の指針となる骨代謝マーカーについて(続入門編)
前回は、丈夫な骨のためには骨量の他に骨質が大切であることを説明しました。
次に骨粗鬆症は、骨形成が低下し、骨吸収が亢進すると生じるということを説明しました。
さらに、骨代謝マーカーとは、骨代謝の結果作られる物質であり、骨代謝の程度の指標となる物質である、ということでした。
骨代謝マーカーの中でも骨形成マーカーや骨吸収マーカーを調べることで、骨粗鬆症になるリクスや骨折リスクを知ることができます。また、その他の骨代謝マーカーに骨質マーカーもあり、骨質を評価することもできるのです。
骨代謝マーカーには以下の3つの群があります。
① 骨形成マーカー
骨形成で中心的な働きをする骨芽細胞と呼ばれる細胞が作り出す物質です。
代表的なものに、BAP、P1NP、OC と呼ばれる物質があります。
当クリニックではBAPを採用しています。
② 骨吸収マーカー
骨吸収で中心的な働きをする破骨細胞と呼ばれる細胞が作り出す物質、もしくは破骨細胞が骨を破壊するときに作り出される物質です。
代表的なものに、NTX 、TRACP-5b、と呼ばれる物質があります。
当クリニックではNTX を採用しています。
③ 骨質マーカー
骨の強さには、骨密度だけでなく骨質も関係しています。特にビタミンKの欠乏は骨質に悪影響を与え、その結果、低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)という物質の血中濃度が上がります。
オステオカルシン(OC)は、ビタミンKの作用により骨芽細胞で産生される蛋白で骨形成に関与します。骨中でビタミンKが欠乏すると低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)が生成されます。このucOCは,ビタミンK欠乏を伴う骨粗鬆症で増加するため、その病態診断や治療効果を判定する際に利用されます。
低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)は、骨粗鬆症におけるビタミンK2剤の治療選択目的で行った場合または治療経過観察を行った場合に保険診療で検査可能です。
ただし、保険が効くのは治療開始前においては1回、その後は6月以内に1回に限り、という制約があります。
骨質の評価に関しても骨代謝マーカーの中で骨質マーカーを調べることが有用なのですが、これまで杉並国際クリニックでは実施していませんでした。令和4年を迎えて、新たに骨質マーカーとして低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)を採用する予定です。
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