『嘱託臨床産業医』の相談箱

 

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臨床産業医オフィス
<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

 

飯嶋正広

 

 

いろいろな産業医面談

 

個人面談のための事前ガイダンス資料(その2)

 

企業の嘱託産業医をお引き受けすると、産業医として企業に定期訪問するだけでなく、スポットでの相談に乗らなくてはならない事例が発生します。その多くは、いわゆる総合臨床専門医としての相談です。広くかつ深い臨床経験がなければ、企業から信頼される産業医として活躍を続けることは、ますます難しくなってきています。

 

前回から、特定の企業名や個人名を伏せる形で、実際のやりとりを紹介しております。この間にも、相談者や職場からの貴重な情報が次々と到着し、対応に追われています。

 

以下は事前ガイダンスの続きです。

 

ステップ3【自分の痛みをわかりやすく人に伝える工夫をしてみましょう!】

 

伝える時は、相手にわかりやすく伝える工夫をしてみましょう。痛みのために、日常生活上で支障がある場合は、そのことも具体的に伝えましょう。
 

痛みがあることで、生活上困っていることを整理してみましょう!

具体例)家事ができない、食事が取りにくい、洗濯物を干すのが大変、布団を上げられない、パソコンを長い間打てない、体をひねると痛い、重いものが持てない、書き物がしにくい、など
 

長く続く痛みに対処するためには、毎日の生活の中で、痛みを和らげるための自分なりの工夫を取り入れることが有効的な場合もあります。
 

そのためには、

◎どのような時に痛みが楽になったり痛みを忘れたりするときがあるのか

◎どのような姿勢のとき、痛みが楽なのか

 

など『痛みの日記』をつけてみるのもよいでしょう。

 

 

 

ステップ4【痛みの状況の整理と人への伝え方のコツ】

 

以上のステップを踏むことによって、ご自分の痛みについてよく知ることができるようになります。そうすれば、医師や他周囲の人々などにも理解してもらえるような情報が整理されていきます。それに加えて、人にわかりやすく伝えるという、伝える時の工夫も必要です。
 

同じ痛みでも人によってその苦痛は異なります。また痛みに伴うさまざまな生活の支障(動くと痛いので、あまり動きたくない、体をひねると痛いので動作が制限される、手を使うと痛みがひびく、痛みのせいで集中して仕事ができない、など)なども、よく整理して確認したうえで医師に伝えましょう。

 

 

 

ステップ5【痛みのセルフケアをはじめてみる】

 

ステップ4までの過程で気づくことができた経験から、ご自分なりの工夫で痛みをやわらげられることもあります。自分の痛みと生活の過ごし方について、いろいろ検討し、よいと思われることは、生活の中に取り入れてみましょう。
 

具体的な方法は、痛みがやわらぐ状況は、時間帯、そのときしている活動、取っている姿勢など、人によっていろいろなきっかけがあります。『痛みの日記』をつけることで、“痛いところを温めたら楽になった”、“○○さんとしゃべっている時は痛みを忘れていた”、“よく眠った次の日には痛みが減った”、“お風呂で湯船に浸かり、十分温まったあとは楽だった”など、自分自身の痛みがやわらぐきっかけに気づくことができます。その中から、自分にとってよかった対処法を、日常生活に取り入れてみましょう。

 

それではお大事にお過ごしくださいますように。