厚生労働省:こころの耳Q&Aから学ぶNo1

ころの健康(身心医学)

 

厚生労働省は、
職場のメンタルヘルスに関するよくある質問と答えをまとめました
として、ホームページで、こころの健康に対してわかりやすいQ&Aを掲載しています。それに私が臨床の立場からCとしてコメントを加えてみました。

 

Q

うつ病はどうしてなるのでしょうか?

 

A

うつ病の原因は、医学的にも解明されていないことも多いのが現状です。      

また、うつ病の種類も、専門的に様々な考え方があります。 

ただ、働く人々のうつ病の発症の仕方(原因というより要因・誘因)は、3つほどに分類が可能と思います。

 

まずは「環境要因」です。

例えば、非常に重たい責務を任されている、長時間の残業が続いている、ということから脳や身体の疲労が蓄積して、うつ病に至ってしまうものです。 

この場合は、治療の過程で環境の調整がとても重要になります。

 

次に「性格的な要因」です。

専門的には<心因性>などと呼ばれています。 

気になることや心配なことを細かく考えすぎるなど、その人の思考パターンが脳の疲労に強く関係している場合です。    

治療では、精神療法やカウンセリングなどが重要になってきます。

 

 

そして「医学的な要因」。

専門的には<内因性>と呼ばれています。
体質と言ってもいいかもしれません。

はっきりした強い要因がなくてもうつ病を発症してしまうことがあります。
精神科以外の疾患でも、食生活や運動習慣に問題がなくても、高脂血症になってしまう、発がんしてしまう、という人がいるのと似たものです。
治療薬により効果が出やすいとも言われています。

うつ病の発症の仕方の分類は、きれいに境目があるのではなく、様々な要因が絡み合っていることがほとんどですので、治療を受ける際は専門家によく相談してください。

 

そして、とても大切なのは、原因や要因の排除ばかりに注力するのではなく、どのような治療や対処が有効かを、専門家や職場に相談しながら進めていくことだと思います。

 

 

 

C 

うつ病の発症要因を、環境因の他に、心因性、内因性にわけてシンプルに分かりやすく解説されています。

 

一般的には、器質性、心因性、内因性などに分類され、これらがうつ病の発症に最も重要な役割を演じた要因であると考えられてきました。しかし、うつ病をこれらの亜型に分類しても、臨床的には必ずしも明解に論じることができないことから、このような分類は次第に用いられなくなってきました。


実際の臨床で役に立つのはうつ病の2大分類法です。

抑うつ状態だけが起こるタイプの大うつ病性障害「単極性うつ病
と、抑うつ状態と躁(そう)状態の両方が起こる「双極性障害」の2種類です。

 

それぞれについて解説していきます。

 

大うつ病性障害(単極性うつ病)
大うつ病性障害は、うつ状態だけが続くうつ病です。
後ほど解説する双極性障害抑うつよりも患者の割合が多く、増えている病気です。
大うつ病性障害は、元気に仕事や日常生活を送っている方でも十分起こりえます。
日本の生涯有病率は7.5%と公表されており、これまでにうつ病を経験した人は約15人に1人という数字も示されているなど、決して珍しくはない身近な疾患です。

 

双極性障害抑うつ
以前は「躁うつ病」と称されていたうつ病です。
双極性障害抑うつは、気分良い状態と落ち込んだ状態、つまり躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気です。

躁状態(気分が高ぶり、誰かれ構わず話しかけたり、眠らずに動き回ったりと活動的な状態)と落ち込んだ状態(うつ状態)
日本では500人に1人という調査結果がありますが、はっきりしたことはわかっていません。