水氣道稽古の12の原則(11)意識性の原則(その1)

 

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今回の記事は高齢者や心身虚弱者、あるいは慢性的な基礎疾患を抱えている方など、運動量を最小限に抑えつつ、最大限の成果を得たいと願う皆様を想定して準備しました。

 

その他にも、トレーニングで求める結果を出したい方、より小さな運動量で効率よく成果を挙げたい方、さらにはトレーニング指導で意識の面からアドバイスをしたい方(水氣道では、ファシリテータ、インストラクタ、トレーナーなどの方)にも読んでおいていただきたいと思います。
 

 

日常的な、身近な習慣を変えるだけで心身の状態をコントロールすることができます。

 

無意識的で不健康な習慣を意識的に健康的な習慣に置き換えていくのが水氣道です。

 

心身医学の専門医としては、身体の状態が脳や心の状態に関わっていることや、逆に意識が身体に与える作用について探求することは中心的な課題です。また、同様の関心をもつ心理学には身体心理学という分野があるようです。

 

心や精神と身体の繋がりは今改めて注目されています。生理学のおける古典的な基本法則として、ルー(Roux)3原則 が知られています。

 

「身体(筋肉)の機能は適度に使うと発達し、使わなければ委縮(退化)し、過度に使えば障害をおこす」という法則です。

 

ここで、身体機能の使い方は、意識によって調節されることに注目したいと思います。身体作りをする上でトレーニング、食事、休養は「ルーの三原則」の三大要素にとなっています。ルーの三原則は、現代のスポーツのトレーニングに用いられている「トレーニングの三大原理」にそのまま対応しています。

 

 

 

意識性の原則

 

意識性の原則とは、トレーニングの効果を高める理論上の五原則の一つです。

どのような意識でトレーニングに臨むべきかを示すものです。

 

具体的にはトレーニングの目的、方法、効果などについてよく理解し、常に目的意識と向上心を持って積極的にトレーニングに取り組むこと、そうした意識の持ち方によって高いトレーニング効果を期待できるという原則です。

 

そのため「積極性の原則」と呼ぶことも可能かもしれません。それは、行おうとしている練習やトレーニングの目的はなにかを意識することです。たとえば、どこの部位を鍛えているのか意識しながら行うとトレーニング効果がアップします。
 

意識性の原則に基づき、目的を明確にしてトレーニングを行うことの意義は、多くのトレーニング指導者の共通理解であると思います。

この場合の「意識性」とは、トレーニングの内容、意味、ターゲットの部位や理想のイメージ像を持つことを意味します。また「原則」とは、トレーニングの 効率、効果を高めるための条件という意味でもあります。

 

 

実際に運動をする際、動かしている筋肉や目的に意識を集中すると、パフォーマンスや成果が変化していきます。

 

『意識性の原則』に関わる研究は多く、たくさんの学術論文があります。次回は、そのような研究の中から、水氣道の稽古で実際に応用しているものを紹介したいと思います。