『嘱託臨床産業医』の相談箱

臨床産業医オフィス

 

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

 

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

飯嶋正広

 

 

 

NHKテキスト ラジオ ビジネス英語 10月号(2021 9.27-10.30)から学ぶ、

これからの労働衛生と産業医学

 

NHKテキスト ラジオ ビジネス英語 10月号(2021/9.27-10.30)より抜粋および編集

 

リンダ・グラットン*から学ぶ臨床産業医学の展望No1.

 

<3段階人生から多段階人生へ>

 

*リンダ・グラットン(ロンドン・ビジネススクール教授、人材論、組織論の世界的権威)

 

 

 

You know, if you think about a traditional life, it has three stages:

 

伝統的な人生を考えてみると、3つのステージがあります。

 

 

 

Full-time education, followed by full-time work, followed by full-time retirement.

 

フルタイムの教育期間、続いてフルタイムの仕事期間、それに続くフルタイムの引退期間です。

 

 

 

For many of us, we’re going to live longer,・・・and at the same time, enormous technological changes.

 

私たちの多くは、昔より長生きすることになります。・・・それと同時に、大きな技術の変化が起きています。

 

 

And so that becomes an impossible way of running a life.

 

そうすると、今までの3ステージの生き方は不可能になります。

 

 

And so what we suggest instead, is what we call the multi-stage life, where you have more stages, so you do more things.

 

私たちが代わりに提案するのは「マルチステージ(多段階)の人生」と私たちが呼ぶものです。

 

 

 

<臨床産業医からのコメント>

 

フルタイムの教育(full-time education)期間について言及されていますが、生涯学習の推進が推奨されています。私は、生涯学習の実践によって3段階人生を突破し、実りの多い多段階人生に向かうことができると考えています。

 

それから、フルタイムの仕事(full-time work)期間についてですが、家事や育児、豊かな趣味やボランティア活動などへの参画によって、豊かな多段階人生を構築できると思います。

 

最後に、フルタイムの引退(full-time retirement)期間は、定年をいつに定めるかによって多様性が生まれます。雇用延長や再雇用など、高齢者にとっても生産性を維持しつつ生涯現役を目指そうとする方も決して少なくはありません。その場合に決定的なのは生産性ですが、それを下支えするのが心身の健康ということになるのではないでしょうか。

 

高齢になっても健康であり続けるためには、これまでフルタイムの教育期間やフルタイムの仕事期間とみなされてきた人生の時期の過ごし方の見直しが必要になってくるのではないでしょうか。私たちの暮らしの場は家庭や学校のみならず職場も忘れてはなりません。それぞれの場において、健康に対する関心を持ち、積極的に学び、有益な時間の過ごし方を工夫していくことが大切だと思います。その場合、個人レベルでできることだけでなく、共同体あるいは組織体(企業体)として取り組んでいくことによって実現できる可能性が残されているのではないかと思います。