臨床産業医オフィス
<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>
産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者
飯嶋正広
パンデミック後の日本の医療のあるべき姿を展望して、これまでの私が辿ってきたステップの概略を振り返ってみました。
第1ステップ:
西洋医としての視点+自然療法医としての視点<平成元年~同18年>
⇒総合医を目指して
背景:
日常診療においては、体質病(冷え性、低血圧、アレルギー体質、慢性疲労など)での対応経験多数。単に「自律神経失調症」と診断されるのみで、適切なケアを受けられないで困っている人々の多さを認識する。
アトピー性皮膚炎を中心に複数のアレルギー疾患に苦しめられている人々を支援していたが、次第にパニック障害の相談が急増してきた。
新たな臨床的課題を発見した。それは、身体症状に囚われるあまり、「心の問題」への気づきが欠如している症例の多さであった。
また職場不適応の相談も徐々に増加していった。心療内科をはじめとする心身医学の必要性を痛感するに至る。また、保険診療制度の限界に直面するようになる。
成果:
内科認定医、アレルギー専門医、リウマチ専門医、漢方専門医、温泉療法専門医、
水氣道創始・活動開始、
慶應義塾大学法学部法律学科(通信制)卒業:
卒業論文テーマ『違法な行政指導に対する法的救済について-医師の裁量権と個別指導』
第2ステップ:
身体医としての視点+精神医としての視点<平成19年~同31年>
⇒心療内科指導医・専門医を目指して
背景:
日常診療においては、アトピー性皮膚炎やパニック障害の対応が一段落したあと、難治性の慢性疼痛性疾患(線維筋痛症)や慢性疲労症候群の相談が増加した。これらの疾患は、世界に冠たるわが国が誇る「国民皆保険制度」に基づく「健康保険制度」の弱点を突いてくるが如くでありました。
少なからざる症例は決し臨床的に難治性なのではなく、有効な治療手段があるにもかかわらず、「健康保険制度」によって提供できる医療サービスの枠組みから外れてしまうがため制度的難病として放置っされてしまうという不幸であった。
また、疾病により家庭や職場での活躍の場を失い、離婚や失業の憂き目に直面するケースも目立つようになってきた。この間、からだの健康管理から、こころの健康管理にまで専門性を拡張してきたが、労働などの社会的な健康管理という視点が不可欠であるという厳しい現実の壁に直面するようになった。
成果:
心療内科専門医、産業医・労働衛生コンサルタント
聖楽院創立・臨床聖楽法創始、外国語診療(主に英語)の本格化
旧体制(高円寺南診療所)の総括:自由アクセス制の終了
第3ステップ:
臨床医としての視点+産業医としての視点<令和元年~ >
⇒『臨床産業医』の開拓者を目指して
背景:
超高齢社会の到来に備えて、生涯現役を目指す皆様のための診療体制の確立が急がれる段階となった。
そのためには人々の居場所は家庭と医療・介護機関だけではなく、一日の活動時間の多くを過ごす職場における健康管理体制の充実に貢献すべきであると考えるに至った。
すなわち、外来診療と職場の健康管理指導の境界はなく、むしろ相互に補いつつ調和的に発展していくことが必要であることに思い至る。そこで、からだとこころの総合臨床専門医としての強みを生かしつつ、限られた時間を効率的に活用する必要が生じた。
その目的を果たすために、契約や連絡支援などを専門業務紹介エージェントに委ね、産業医固有の専門業務を集約的に実践するため『嘱託臨床産業医』モデルの提唱し、直ちに実践を開始し、徐々に展開し始めている。
成果:
新体制(杉並国際クリニック)の発足:
完全予約制・会員制への移行
心療内科指導医・日本心療内科学会評議員
『嘱託臨床産業医』モデルの提唱および実践、「新型コロナウイルス感染症に対する統合医学的アプローチ」の提唱および実践
総括:
我が国の「健康保険制度」について、より具体的に言えば、「健康保険証」という名称は、国民に謝ったメッセージを与え続けてきたように思います。
なぜなら、「健康」を守るためには、健康増進や予防が必要であるにもかかわらず、一切の保険給付がありません。
保険給付がないということは、保険医療機関は健康増進や予防活動を実施するためには不採算業務として覚悟しなければならないということになります。
ですから、「健康保険証」という名称は「疾病保険証」と改称するのが適切だと考えます。
新型コロナ感染対策に関して、全国の保険医療機関が、一定のノウハウを持ちながらも身動きが取りづらかった主な原因も、実は健康保険制度の制度的限界にあった、このことを指摘する声が聞こえてこないのも残念な話です。
もっとも、幸いなことに少子超高齢社会となったとはいえ日本は大きな潜在能力を保持しています。その資源を有効に活用するためには、定年制の延長、生涯現役を求める人々に対する手厚い支援であると考えます。
ですから、このような活動の拠点はこれまでのように医療機関から介護施設や在宅医療の方向にシフトし続けるのではなく、働く現役世代の健康水準を向上させるために、企業の職場に目を向けていくことが不可欠になっていくのではないかと考える次第なのです。
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