新型コロナ感染症の罹患者に対するワクチン接種について

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Q5.

私は気管支喘息、アレルギー性副鼻腔炎、通年性の花粉症(アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎)、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー(小麦、甲殻類など)で高円寺南診療所の頃から10年以上、先生の御世話になっています。

 

それまでは、眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科・呼吸器内科のすべての科を受診し、そのストレスのせいか蕁麻疹で眠れなくなりメンタル科も受診していました。

 

友人の紹介でこちらでお世話になってからは、こちらの受診に一本化することができたため、アレルギー疾患の総合商社のような私も社会復帰を果たし、文字通り外資系総合商社で活躍できるまで元気になりました。

 

先生が準備して勧めてくださった<漢方レシピ>による養生を実践し、お陰様で、風邪一つひくことなく、また抗アレルギー薬の減量にも成功しました。

 

しかし、最近仕事の都合で、どうしてもワクチンを接種しなければならない立場になりました。

そこで、家族の生活を守るためにもワクチンの接種を決断しました。ただし、家族が副反応をとても心配しています。

 

実は、私自身も不安でいたたまれない気持ちで怯えています。アレルギー専門医である先生のご助言ををいただくことはできるでしょうか。

 

 

A5. 

すでに同様の御質問を多数受けているからです。あなたのご心配はよくわかります。

 

ワクチン接種を決断されたとのこと承りました。

 

日曜日(9月5日)の記事をお読みになってもその決意が変わらないのでしたら、あなたの決断を尊重すべきだと考えます。以下それを前提としてコメントしたいと思います。

 

まず安心していただきたいのは、複数のアレルギー疾患の患者でも、ほとんどは新型コロナワクチンを接種することは可能だとされているということです。

 

あなたが、しっかりと治療を継続して安定期を迎えていることは、私がよく存じ上げています。

 

禁煙にも成功され、他の患者さんと比較して特別なリスクはありません。

 

さて当クリニックの患者さんは、アレルギーの患者さんにもインフルエンザワクチンを接種していただいておりますが、30年以上、安全に実施してきました。

 

むしろ、アレルギーの治療をしっかりと行っている方の副反応は、新型コロナワクチンについても、軽く済んでいるくらいです。ましてアナフィラキシー・ショックなどの重篤な副反応の報告は、まだ一例もありません。

 

 

 

ちょうど、最近、私が所属する日本アレルギー学会からの声明が発表されましたのでご紹介しておきましょう。
 

日本アレルギー学会は、ようやくアレルギー疾患を有する一般向けに、新型コロナワクチンの接種に関する声明文を発表しました。

 

アレルギー疾患の患者について、「ほとんどの方でワクチン接種は可能」とし、学会としてワクチン接種を「推奨する」との姿勢を示しています。
 

 

声明では、気管支ぜんそくの他、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのぜんそく以外のアレルギー疾患がある場合であっても、「接種するワクチン成分以外のものに対してアレルギーを持つ方も接種は可能」との見解を示しています。

 

ワクチン接種を慎重に判断する必要がある対象者については具体的に言及しました。加えて、「ワクチン接種後に軽いぜんそく発作を起こすとする報告があるため、医師から処方された薬剤の吸入・内服を日頃から確実に行い、接種前に体調を整えておくことを薦める」など、注意も促しています。
 

 

原文を添付いたします。

COVID-19ワクチン接種に関する学会声明について Ver.2 0823

 

明日9月7日(火)は、

「Dr.飯嶋の昨年の予測と今年の現状との比較」

を掲載予定です。