新型コロナ感染症と免疫栄養療法(その1)


 
<はじめに>

 

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染を原因とするCOVID-19が、パンデミック(世界的大流行)となってすでに一年以上を経過しています。

 

日本ではいわゆる第4波の流行が発生し、第5波の本格的な到来も警戒されています。

 

 

COVID-19対策として

 

① 私たちの身体に本来備わっている自然免疫力を強化する。

 

② 原因ウイルス(SARS-CoV-2)への接触機会を減らす。

 

③ ワクチン接種(人工的獲得免疫)により原因ウイルス感染による重症化や 
死亡者数を減らす。

 

という3つが大切です。

 

 

 

①に関しては忘れられてきた感があります。国や厚生労働省、保健所に至るまで、もっとも基本となる指針を示してこなかったことは残念です。

 

医療崩壊の原因は、この①の不備にこそあるのではないか、と私は考えています。医療崩壊よりずっと前から保険医療制度が崩壊していたことを指摘する識者は非常に限られています。

 

予防が大切であることは国民の常識ですが、予防は保険給付の対象外であるため、国民の行動変容には繋がりにくかったのではないかと残念に思っています。

 

そのうえ、保険医療機関が圧倒的多数であるわが国において、不採算な予防活動に大きな力を注ぐことには限界があることも問題です。

 

 

 

杉並国際クリニックでは、前身の高円寺南診療所30年間に培った診療コンセプトを発展させ、

 

1)生活リズム、

2)栄養、

3)運動、

4)メンタルヘルスを基盤とする自然志向

 

をモットーとしてきました。

自然志向とはいっても、現代医学から全く離れるというのではなく、むしろ、それを最大限活用しています。

 

現代医学を最大限に生かすための条件が、水氣道®の開発・普及、漢方薬や鍼灸療法も含めた自然志向なのです。しかし、予防医学の実践には保険医療のサポートが得られていないことが悩みの種です。

 

 

昨年のPCR検査待ち、今年のワクチン接種まち、感染者の入院待ちなど、待たされ続けですが、その間の養生法についてほとんど納得のいく指針が示されてこなかったことも大問題です。

 

それは、わが国の医療が国民皆保険制度にしたがっているため、感染拡大を防止し、パンデミックを予防するための有効な対策を講じるうえで、かえって大きな障害となっていることを指摘しておきたいと思います。

 

 

 

②に関しては従来から続けられてきた3密対策や、飲食店の自粛などが実践されています。

 

国民も事業者も、すでに最大限の努力を強いられてきました。現実的に物事を考える習慣がついている人であれば、この方法にも限界があることは理解しているはずです。

 

諸外国ではロックダウンまで実施されましたが、成果はあがらず、不満とストレスが増えました。

 

 

人々の行動をいくら制限しても、①自然免疫力を低下させてしまうことに対する対策を講じなければ家庭内感染を増やしてしまうことになることを言及する声が少ないのは残念です。

 

集団発生は5人以上でクラスターとされますので、4人以下の家庭では全員が感染してもクラスター発生として計上されないことになります。わが国の標準家庭は、特に東京などの都市部では核家族化が進行しているため、事実上のクラスターのほとんどが注目されることがないことにも疑問を感じてきたところです。

 

 

適切なサポートなく孤立を余儀なくされた方たちが急速に免疫力を低下させ病状や生命予後を悪化させる可能性が大きいことを懸念する声が医師の側からもほとんど発せられていないことも残念なことです。

 

人間は「世間から見捨てられた、この世には絶望した」という精神状態になると短期間のうちに命を落としていく多数の事例があったことは、アウシュビッツ収容所の生き残りであるフランクル博士の証言や記録によって世界中に知られているはずです。

 

しかし、歴史から学ぶことのできるリーダーがほとんど活躍していないのが現実であり、とても残念です。

 

 

 

③に関しては現在急いで接種が急がれているワクチンが有効であるとされてきました。

 

しかし、現在のワクチン接種により感染そのものを防ぐことはできません。そのうえ現在優勢になっている変異ウイルスに対する有効性が低下していることは続々と発表されつつあります。

 

なお若年者までをワクチン接種の対象とすべきかは依然大きな疑問が残されたまま積極的に奨励されていることも問題です。

また、ワクチンを接種しない人も一定の割合で当然存在していますし、その人たちの意思も尊重されなければなりません。

 

ワクチンは万能ではなく、集団免疫の獲得も期待できません。

 

 

そこで、再度見直さなくてはならないことがあります。

 

ワクチン以外でもヒトの側でのウイルス感染への抵抗性を高める対策が大切です。具体的には、適切な食事・運動・睡眠で、免疫能を整えることです。

 

なお、当クリニック推奨の戦略的漢方レシピの服用者および水氣道®の継続実践者の中で感染者は一人も出ていないことはたびたび御報告してきたとおりです。

 

 

 

次回

週明けの月曜日(9月6日)に、

免疫栄養療法(その2)で微量元素の亜鉛(Zn)を取り上げます。

亜鉛による感染症予防のための理論と実践例について解説します。

 

 

参考文献

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と栄養・睡眠・運動

医療法人信岡会 菊池中央病院2020