新型コロナワクチン接種済みの人々の間で感染爆発が起こる例が、世界各地で報告されはじめています。

 

 

2021年5月、米疾病予防管理センター(CDC)は、ワクチン接種を終えた米国人にマスクを外してもよいとの許可を出していました。しかも、2回のワクチン接種を終えた米国人は、大抵の状況において、マスクなしで、社会的距離を保たなくても生活できるという勧告の内容だったはずです。しかし、7月27日に方針を180度転換し、ワクチンを接種していても屋内の公共の場所でのマスク着用を求める通達を出しました。

 

 

なお、以下の注目すべき勧告がなされています。
「ウイルス量の多さは感染リスクの大きさを示唆するものです。他の変異種とは違い、デルタ株に感染すると、ワクチンを接種している人でも他人を新型コロナウイルスに感染させる恐れがあります」。

 

 

最近の数週間で報告されているこれらの例は、ほぼ全員が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を終えている集団でも新型コロナウイルス感染症が広がり、しかも、クラスター感染の一部になり、さらに「スーパースプレッダー」の状況が起こり得ることを示しています。

 

 

CDCのロシェル・ワレンスキー所長は7月30日の声明で、CDCの方針転換の背景となったのはマサチューセッツ州のケープコッドにある海辺の町「プロビンスタウン」で発生した集団感染です。その分析の結果、デルタ株に感染したワクチン接種済みの人の体内には、接種していない人と同じだけのウイルスがあるように思える、という「極めて重大な発見」があったと述べました。


プロビンスタウンの感染爆発を引き起こしたのはいわゆる「デルタ株」で、米国の現在の感染例の大部分を占めています。

 

 

わが国と米国でもっとも広く使用されているファイザー製のワクチンは、当初の研究では、新型コロナウイルス感染症の防止に90%以上の効果があるとの結果が喧伝されてきました。しかし、実際には、そこまでの効果は到底見られず、むしろ半数に発熱などの症状が報告されています。

 

 

デルタ株が他の変異種と異なる点は感染力の高さにあります。研究者らによると、デルタ株が以前の免疫を「回避している」ことがそのひとつの要因となっているといるらしいです。ワクチンを接種した人々の間で感染爆発が起こっている理由もそれで説明がつく可能性があります。また、新型コロナウイルスに一度感染した人でも再度感染する確率が高くなるということも意味します。英国とインドの研究チームは、デルタ株に感染すると自然免疫力(自然の抵抗力)が半分近くも低下することがあると推定しています。

 

 

米国の主力メディアの一つであるワシントン・ポスト紙も、「プロビンスタウンの事例はCDCに危機意識をもたらした。ほとんどの感染者がワクチンを接種していたにもかかわらず、ワクチンがヒトとヒトとの間の広範な感染を防いでいないように思えたからだ」と報じました。
 
 

 

なお、同紙が、デルタ株に水痘(水ぼうそう)と同程度の感染力があるとするCDCの内部文書を入手したことはすでに報道されています。そこで、プロビンスタウンで発生したクラスターの患者200人に実施したPCR検査からは、別の重要な手がかりが得られました。患者たちの気道のウイルス量(つまり、咳やくしゃみをする度に放出される量)が、ワクチン接種の有無にかかわらず同じくらいだったのです。

 

 

なお、米国の感染者数の推移は、ワクチン接種が進む中にあっても6月に最低を記録してから急速に増え始め、現在は6倍以上になっています。

 

 

 

杉並国際クリニックの見解・対策

 

以上の事柄は、ワクチンを2回接種済みの方であっても、これまで通り、マスク着用や社会的距離(ソーシャルディスタンス)、三密のすべてを守るなどの複合的な対策をすぐに復活させる必要性を示しています。しかし、これだけでは不十分であることは、ほぼ明らかなようです。

 

つまり、ワクチンを接種しても、しなくとも、同様の対策が必要になってきます。獲得免疫を期待して接種するワクチンの効果は限定的であることを冷静に受け止めるべき段階に入ったものと考えます。感染のみならずワクチン接種によっても、自然免疫力(自然の抵抗力)が低下する可能性が皆無ではないと考え、これまでのような楽観視は禁物であり、一層の警戒が必要ではないでしょうか。

 

また、「正しく恐れる」ことが大切だ、と言われますが、「正しく恐れる」ことができるようになるためには、より説得力のある対策を講じておくことが必要であると考えております。それは何かといいますと、自然免疫力の強化です。

 

その前提として役立つ方略・方術としては、

 

1)日常の健康管理を、積極的な予防や健康増進を含めてこれまで以上に安定的に継続すること

 

医学的検査のみならず全身のフィットネス評価(3カ月に1回、体組成・体力検査を実施することによって、医学データに変化が生じる以前の早期の段階での、身体の変調を発見することが可能)を定期的に実施すること

 

 

2)自然志向のライフスタイルを確立すること

 

杉並国際来るニックが自然志向であるということは、免疫力でいえば、獲得免疫のみならず自然免疫力の強化を尊重(徹底した禁煙指導、生活リズムの是正、臨床栄養学的には、豊富なビタミンCの摂取の励行、血中の亜鉛、活性化ビタミンDなどの測定による免疫力低下状態の早期発見と補充、玉屏風散、生脈散など継続服用可能な上質の漢方薬の活用、水氣道®の励行など)

 


)健康インテリジェンスを錬磨すること

 

国際的影響力を組織が喧伝するグローバル・スタンダードや主力メディア、政府見解を盲信せず、独自に関連情報を収集して分析し、実践できるように日常外来診療での主治医との対話の中で訓練すること。

 

付記:

当クリニックの継続受診者の中でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を疑うPCR検査陽性者が数名発生しました。しかし、その全員が「玉屏風散、生脈散」など、当クリニックが昨年から推奨し、指導してきた漢方薬は服用されていませんでした。   

 
逆に、これらの漢方薬を毎日服用している皆様の中での陽性者は令和3年8月6日現在ではゼロを維持しています。家族内での発生例も5例報告を受けましたが、推奨漢方の服用の有無が発症及び検査陽性の明暗を分けました。


これだけのデータだけでは、まだエビデンスがあるとまでは言えません。しかし、重要な結果であると考えておりますので、一例でも例外が発生すれば今後、直ちに速報いたします。

 

デルタ株が増えています。新型コロナウイルスの従来株と比較して感染力が強いことが世界的な脅威になっています。

 

米CNNテレビの報道で、米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長は、新型コロナウイルスでインド由来のデルタ株が「これまで知られた中で最も感染力の強いウイルスの一つ」との見解を示しました。その感染力は、水痘(水ぼうそう)に匹敵するとの見方を示しました。

 

CDCの内部文書では、水痘(水ぼうそう)に匹敵する感染力を具体的に示し、感染者1人当たり8~9人程度に感染させるとしました。そして、デルタ株は中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、季節性インフルエンザなどより感染力が大幅に強いことを指摘しています。
 

この感染力は、基本再生産数(R₀)という指標であらわされます。これは、その病原体に免疫を持っている人がまったくいない集団において、1人の感染者が何人に感染させるかという数値です。つまり、数が大きいほど感染力が強いということになります。

 

これまで、新型コロナウイルスの基本再生産数(R₀)は従来株で2.5ぐらい、デルタ株は5~8ぐらいだとされていましたが、実際には水痘(水ぼうそう)と同等だとすれば8~10に改訂されたことになります。それだけデルタ変異株は感染力が強く、これまでの見解を訂正して、明確に空気感染するということを意味します。

 

しかし、実際の再生産数は2021年7月下旬の時点での東京では1.3程度でした。ただし、この場合の「再生産数」とは基本再生産数(R₀)ではなく、実効再生産数(Rt)の数値なのです。この違いは、基本再生産数(R₀)はまったくノーガードで、一切の感染防御対策を実施しなかった場合に最大限にどれぐらい感染者数が増えるかを示すのに対し、実効再生産数(Rt)は現実の世界で実際にどうだったのかを示すものだからです。

 

基本再生産数(R₀)と実効再生産数(Rt)の数値のギャップは、現実の世界では、人流抑制やマスク着用などの感染対策が取られているからです。また既感染やワクチンによって免疫を持っている人が一定数存在するからです。

 

政府コロナ分科会の尾身茂会長は5月21日の記者会見で、変異ウイルスによる感染拡大について「新しいデータが出てくれば訂正する必要があるが、こんな風に考えるといまのことが説明できるのではないのか」と前置きしたうえでではありますが、感染者が呼気から出すウイルスの排出量が多くなっており「いままでよりも感染しやすくなっていることはほぼ間違いないと思う」と語っていました。一方で、空気感染については「ちょっとすれ違って感染する、そういうことが私は起きていないと思う。それが起きているなら、いまこんな感染の状況では絶対にない」と語っていました。

 

しかし、この見解は、基本再生産数(R₀)と実効再生産数(Rt)の違いを御存じのはずの尾身先生としては、いささか政治的配慮に傾いた見解を述べてしまったのではないか、と思われてなりません。

 

実効再生産数(Rt)が1以上で続くのは、感染者数が指数関数的に増加することを意味し、きわめて危険な状態です。これまでは緊急事態宣言や、感染者数が増加して不安になった人たちの自粛によって、実効再生産数は低下しました。ただ、東京は7月12日から4回目の緊急事態宣言が発令され、ワクチン接種も始まっているにもかかわらず効果が表れていません。日本ではすでに約35%の方が少なくとも1回目のワクチン接種を受けていますが、緊急事態宣言も不安からの自粛もどちらも慣れが生じてしまうことは問題です。残念ながら東京オリンピックに伴う「お祭りムード」は感染対策にはマイナスの影響を与えます。ワクチンだけに頼って実効再生産数が1以下になることは、当面の間は期待できず、別の新たな対策が必要です。

 

実効再生産数(Rt)が1より大きいか小さいはきわめて重要です。

今後、最悪のシナリオが展開されたとしても感染者数は無限には増えません。対策を行わなくてもどこかで自然に減少します。爆発的に感染が拡大し、多くの人が(ときには後遺症を残しつつ)治癒するか死亡して免疫がない人が減れば、実効再生産数は自然に低下していくからです。これは、パンデミック初期の武漢や北イタリア、最近ではインドやインドネシアで起こった医療崩壊です。医療崩壊を避けるためには実効再生産数を下げる必要があります。

 

感染者数や重症者数の発表以上のみならず、死亡者数をはじめ後遺症患者数、実効再生産数(Rt)にも注目する必要があります。重症者数や死亡数は感染者数のピークから遅れて上昇するからです。実効再生産数(Rt)が1以上であれば何かしら有効な対策を追加すべきです。日本の感染者数が「自然に」減少する前に、なるべく早期に実効再生産数(Rt)が1未満となるような積極的に免疫力を増強させる予防法や積極的なセルフケア法の推進など有効な対策を推進していく道筋が見いだせることを願います。

 


新型コロナ感染症対策に関する菅首相の最近の発言(詳細は省略)に対して、当クリニック外来受診者の多くの皆様から懸念の声があがってきました。

 

それは、ご自分自身の健康問題というよりも、むしろ日本社会全体の健康課題についてです。

 

なぜならば、当クリニックの継続受診者の皆様は、自身については、すでに、総合的な健康管理を実践され、かつ、予防に努めていらっしゃるからです。

 

それでは、日本社会全体の健康課題とは何かといいますと、

 

1)新型コロナワクチン接種による長期的なリスクへの懸念、および

 

2)COVID-19後遺症に悩む友人・知人からの相談、


などです。

 

実際に、COVID-19が身体面および精神面に長期的な問題を引き起こすことを示す科学的・実証的証拠が相次いで報告されています。最近COVID-19罹患による長期的な後遺症は「ロングCOVID」と呼ばれるようになりました。これが今後の医療システムにおいて次第に大きな問題となりつつあります。


これに対して、今後の医療供給側の最大の問題点としては、真の意味でのCOVID-19診療に関する臨床専門医が存在しないということではないかと言うことです。残念ながら1)新型コロナワクチン接種による長期的なリスクへの懸念、および2)COVID-19後遺症に関しては皆無であるといっても過言ではないのではないでしょうか。

 

それでは、どのような臨床医が対応することが望まれるのでしょうか。

 

それは、従来の細分化された領域の専門医ではなさそうです。

 

身体的後遺症や精神的後遺症について統合的に対応可能な臨床医であることが望まれます。

 

身体的側面に関しては、複数の基礎疾患や併存疾患に対応可能な一般内科・総合内科の医師をはじめ臨床免疫学に造詣が深いアレルギー科やリウマチ膠原病科の医師、精神的側面に関しては、精神科や心療内科の医師が適任ということがいえるような気がします。

 

また、従来の現代西洋医学的アプローチではカバーしきれない諸問題があるため、東洋医学(漢方・鍼灸)などに詳しい医師も活躍することができるのではないかと考えております。

 

しかし、現実の問題点としては、これらの複数の臨床領域ごとの専門医を受診していただくことは、実際上、困難であるということです。継続可能で、無駄や重複が少ない効率的な医療を受けるには、統合的診療の経験と実績がある一人もしくは少数の主治医による全人的に対応することが望まれます。

 

こうした統合的診療が効力を発揮することは、当クリニックの「線維筋痛症」外来や「脱毛症・抜毛症」外来での臨床経験から多くのヒントを得ることができます。

 

以上のような考えを深めていくにつれ、杉並国際クリニックは、今後、COVID-19後遺症診療<ロングCOVID>外来を準備していく必要があるのではないかと想いに至った次第です。

 

ただし、具体的なプランは現時点では策定できていないことは、予めお断りいたしておきます。

 

 

 

それでは、ここで、当クリニックが注目している最近の臨床報告について、ご紹介いたします。

 

チューリッヒ大学(スイス)のMilo Puhan氏らによる「ロングCOVID」に関する調査研究結果が、「PLOS ONE」に7月12日掲載されました。

 

 

今回のPuhan氏らの調査・研究概要は以下の通りです。

 

対象:

COVID-19の罹患者/スイスのチューリッヒで2020年2月27日から8月5日の間にPCR検査で新型コロナウイルス陽性が判明した18歳以上の成人431人(平均年齢47歳、女性50%)。

 

方法:

感染から6〜8カ月が経過した時点での、患者の回復状態や、身体的後遺症(倦怠感、息切れ)および精神的後遺症(抑うつ)の有無について調べた。対象者は、対象者は研究登録後に、年齢や性別などの人口統計学的属性、併存疾患や新型コロナウイルス感染にまつわる詳細、現在の健康状態などに関するオンライン調査に回答した。

 

 

結果:

① 対象者は、研究登録時においてCOVID-19の診断から中央値で7.2カ月が経過していた。

 

② 対象者の89%(385人)はCOVID-19の診断時に症状があった。 

 

③  19%(81人)は診断時に入院していた。

 

④ 診断から6〜8カ月時点で、26%(111人)が「完全に回復していない」と回答した。

 

⑤ 回復が完全ではないことを報告した人の割合は、女性の方が男性より、また、診断時に入院した患者の方が入院しなかった患者よりも高かった。

 

⑥ 感染当初から症状のあった385人を対象にした多変量解析では、重症〜非常に重症な急性期の症状と併存疾患の存在が、完全ではない回復と関連していた。

 

⑦ 後遺症としては、対象者の55%(233人)に倦怠感、25%(96人)に息切れ、26%(111人)に抑うつの症状が認められた。

 

⑧ 40%(170人)の患者が、長引くCOVID-19の症状を理由に、一般医の診察を1回以上受けたと回答した。

 

⑨ 診断時に入院した患者の10%(8/81人)は再入院していた。
⑩ 多変量解析では、回復が完全でないこと、倦怠感や息切れ、抑うつ症状と、医療機関の受診との間に関連が認められた。

 

 

結語:

Puhan氏は、「この研究結果は、COVID-19の後遺症に苦しめられている患者のニーズに合わせて、医療リソースの配分を計画し、サービスを提供する必要があることを明確に示すものだ」と主張している。

 

(HealthDay News 2021年7月16日)

 

抄録と全文


COVID-19診療手引き(最新版)、デルタ株や後遺症など追記/厚労省


 
 

厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」について、最新の知見を踏まえて更新した「第5.1版」を作成し、6月5日付で都道府県などに周知しました。


最新版では、懸念される変異株の概要を更新し、インドで最初に検出された「デルタ株」について、推定される感染性や重篤度、ワクチンへの影響などが詳しく記載されました。


また、症状の遷延(いわゆる後遺症)について、日本国内の複数の調査(厚生労働科学特別研究事業)の中間集計報告が追記されています。
 

 

診療の手引き・第5.1版の主な改訂ポイントを以下に紹介します。

 

1【病原体・疫学】

・変異株について更新、WHOの意向を受けて、感染・伝播性が懸念される変異株(VOC:Variants of Concern)の呼称にギリシャ文字を使用

 

・主要な変異株(VOC)の概要を更新し、B.1.617.2系統の変異株(デルタ株)をVOCとして追加


・国内発生状況を更新 →2021年6月29日までのデータを追記

 

 

 

2【臨床像】

・重症化マーカーとしてTARC(CCL17)低値を追加

 

・症状の遷延(いわゆる後遺症)について:

 

厚生労働科学特別研究事業の中間集計報告を追加⇒

日本国内の複数の調査(厚生労働科学特別研究事業)では、中等症以上の患者512名において、退院後3カ月の時点で肺機能低下(特に肺拡散能)が遷延していた。

 

また、 軽症者を含む525名において、診断後6カ月の時点で約80%は罹患前の健康状態に戻ったと自覚していたが一部の症状が遷延すると、生活の質の低下,不安や抑うつ,睡眠障害の傾向が強まることがわかった。

 

嗅覚・味覚障害を認めた119名において、退院後1カ月までの改善率は嗅覚障害60%、味覚障害84%であった。

 

(第39回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料2021.6.16)

 

 

 

<杉並国際クリニックからのコメント>

 

『診断後6カ月の時点で約80%は罹患前の健康状態に戻ったと自覚していた』、また『嗅覚・味覚障を認めた119名において、退院後1カ月までの改善率は嗅覚障害60%、味覚障害84%であった』と記載されています。

これは、『診断後6カ月の時点で約20%は罹患前の健康状態に戻らなかった』こと、そして『退院後1カ月までに改善しなかった方の率は嗅覚障害40%,味覚障害16%であった』ことを意味します。

 

なお、この手引きには、これまでも感染者の後遺症についての報告はありましたが、ワクチン接種後の副反応との比較についての言及はありません。

 

生活の質の低下、不安や抑うつ,睡眠障害の傾向については、ワクチン接種後の患者さんの訴えとも共通する症状のように観察されます。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


3【症例定義・診断・届出】

 

・病原体診断について更新

 

 

 

4【重症度分類とマネジメント】

 

・ECMO、血液浄化療法について更新

 

・ワクチン接種後に生じる血小板減少症を伴う血栓症(TTS)について追加(参考)

 

⇒【参考】ワクチン接種後に生じる血小板減少症を伴う血栓症

(TTS : thrombosis with thrombocytopenia syndrome)
アデノウイルスベクターSARS−CoV2ワクチン (アストラゼネカ製, ヤンセン製)の接種後(4~28日)、 きわめてまれ(10万人接種あたり1〜11名)に重篤な血栓症の発生が報告されている、女性に多く(約80%)、脳静脈や内臓静脈などに血栓が生じることが特徴である。

 

血液検査では血小板減少, Dダイマー高値,抗血小板第4因子抗体(ELISA)陽性(国内未承認)を認める。このため、血小板減少症を伴う血栓(TTS)と記載されることが多いが、本症の医学的な名称は統一されていない。

 

自己免疫性ヘパリン起因性血小板減少症との類似が指摘されている一方、ヘパリン類は使用を避けることが望ましく、 アルガトロバン、直接作用型経口抗凝固薬(適応外使用)などの使用が想定される。

詳細は日本脳卒中学会・日本血栓止血学会『アストラゼネカ社COVID-19ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症診断と治療の手引き第2版(2021.6)を参照すること。

 


 <杉並国際クリニックからのコメント>


重篤な血栓症が10万人接種あたり1〜11名発生するとした場合、仮に日本人の50%がこのワクチンを接種したと仮定した場合:


日本の人口を1憶5千200万人(152×10万人)とすれば、

 

152×0.5×(1~11)=76~836人


これは重篤な方のみの予測値ですので、「きわめてまれ」とはいえ、中等症や軽症を含めれば「まれ」であるとは言い難いのではないかと考えることも可能でしょう。

しかも血栓症は中等症であっても、生命予後や生活の質(QOL)に大きな影響を与える病態であることにも注意を要します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・患者急増の際の入院優先度判断の考え方について追加(参考)

 

5【薬物療法】

・有効性を認めなかった薬剤に蛋白分解酵素阻害薬カモスタット(フォイパン®)を追加

 

・抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(アビガン®)を妊娠する可能性のある婦人に投与する場合の注意喚起を更新

 

・蛋白分解酵素阻害薬ナファモスタット吸入薬(フサン®)の開発中止について記載

 

・企業治験中のAT-527(ポリメラーゼ阻害薬)、GSK3196165IV(抗GM-CSF抗体)、GSK4182136(モノクローナル抗体)、REGN-COV2(中和抗体薬)を追加

 

 

6【院内感染対策】

・環境整備について更新

 

 

7【退院基準・解除基準】

・期間計算のイメージ図を更新

 

参考文献・参考サイト:

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.1版