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杉並国際クリニック版 抜毛症診療マニュアル

(令和3年3月9日初版)

 

 

第7回:標準的治療法の限界を克服する独自の治療体系

 

杉並国際クリニック独自の試み:鍼灸療法と水氣道®

 

現在のところ、抜毛症治療の第一選択とされる行動療法、とりわけ、習慣逆転法にはしばしば限界があり、また、薬物療法を併用する場合、効果が発現するまで投与量を増やすことになりがちであることは大きな問題であると考えます。

 

そのような場合に心身に害を及ぼすことなく安全に継続することができ、しかも治療薬を漸減・中止することができる自然療法があれば、それに越したことはありません。

 

その一つが長い歴史と実績をもつ伝統的治療法としての鍼灸療法です。当クリニックでは、鍼灸療法は運動器疾患のみに限定することなく、これを心身医学療法として多くの慢性疾患や、他に有効な治療法を見いだせない難病に対して実績を挙げてきました。

 

また1996年頃から数年の実践を踏まえて基礎が作られた組織的水中有酸素運動は、平成12年(2000年)に水氣道と命名され、その後も実践を継続し、平成28年(2016年)9月9日に商標登録されました。

 

この水氣道®は、新しい心身医学療法としての可能性を拡大しつつ現在に至っています。抜毛症で苦しむ方のための治療応用も例外ではありません。

 

病気の治療に関しては、一般に薬物療法を続けている限りにおいては症状コントロールといい、この場合の治療は対症療法です。

 

これに対して、薬物療法なしに症状をコントロールすることができるようになれば、いわゆる自然治癒力が働いていることになり、より原因療法に接近できると考えることができます。当クリニックにおいて、鍼灸療法や水氣道は、新進医学療法として位置づけ、こうした目的で積極的に臨床応用しています。

 

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第6回:標準的治療法の限界と薬物療法による補助

 

標準的治療法(行動療法:習慣逆転法)の限界と問題点

 

習慣逆転法の問題点:

1) そもそもの限界と問題点は、癖は無意識に行われることにあります。

 

2) 習慣逆転法をはじめるには、自分が癖をしていることに気づく必要があ 
ります。しかし、気付きを得ることが困難なため習慣逆転法を始めることを難しくしています。

 

3) そのため、癖をしていると指摘してくれる人が必要となってきます。

 

4) しかし、協力者がずっとあなたを監視することは困難です。

 

5) 協力者なしで習慣逆転法を行ったとすると本当は癖行為をしているの 
に気づかない場面が多くみられると考えられます。

 

6) その分、治療機会を失うため、治療効率が落ちてしまうことになりがち  
です。

 

個別の病態に応じた補助的療法としての薬物療法

 

抜毛症の治療には、抜毛症の初期であればSSRIなどの抗うつ薬が有効とされる報告も多く、患者の皆様お一人お一人の状況に応じて、行動療法や精神療法などの働きかけも併せた治療も大切です。

 

 皮膚の自覚症状を伴う場合:

皮膚に対する、抗ヒスタミン薬やステロイド薬も症状緩和としても有効となる場合があります。

 

 強迫症を背景とする場合:

SSRIの単独投与から開始します。我が国で強迫症に適応がある薬物は、フルボキサミン(ルボックス®・デプロメール®)とパロキセチン(パキシル®)の2剤です。

 

• 薬の量と期間については、うつ病に用いるよりも、より高用量でより長期間の投与が必要です。

 

• 効果が十分でない場合には、SSRIの種類の変更、強力なセロトニン作動性の効果を有する三環系抗うつ薬であるクロミプラミン(アナフラニール®)への変更、増強療法を行います。

 

• 我が国では強迫症に対する保険適応がない薬剤であっても、すべてのSSRI、SNRIのベンラファキシン(イフェクサー®)、三環系のクロミプラミン(アナフラニール®)が強迫症に有効であると言われています。

 

• SSRIのエスシタロプラム(レクサプロ®)と三環系のクロミプラミン(アナフラニール®)を用いる場合には、心電図検査でQT延長という所見が現れていないかのチェックが必要です。

 

• 増強療法としては、SSRIに少量のクロミプラミン(アナフラニール®)を加える方法と、抗精神病薬を加える方法があります。

 

• 増強療法に用いる抗精神病薬としては、リスペリドン(リスパダール®)、ハロペリドール(セレネース®)、ピモジド(オーラップ®)の有効性が高いとされています。なお、オーラップ®はQT延長に特に注意が必要な薬剤です。また併用にも注意が必要で、パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、エスシタロプラムとは併用禁忌となっています。

 

 うつ病または不安症群が併存する場合:

SSRIまたはクロミプラミン(アナフラニール®)が特に有用となります。

当クリニックでは、重症度に応じてアナフラニール漸増法を用いることがあります。

例)使用薬剤:

クロミプラミン(アナフラニール®)10㎎錠と25㎎錠を組み合わせて投与量を調整

 

・軽症:10~50㎎、10㎎⇒20㎎⇒25㎎⇒30㎎⇒35㎎⇒40㎎⇒45㎎⇒50㎎

 

・中等症:50~75㎎、50㎎⇒55㎎⇒60㎎⇒65㎎⇒70㎎⇒75㎎

 

・重症:75~100㎎、75㎎⇒80㎎⇒85㎎⇒90㎎⇒95㎎⇒100㎎

 

 

 抜毛行為については、デシプラミン(ノルアドレナリンの再取り込みを阻害する三環系抗うつ薬)よりもクロミプラミン(アナフラニール®)の方が効果的なようです。またオランザピン(ジプレキサ®2.5㎎⇒5㎎⇒7.5㎎⇒10㎎と漸増)も役立つことがあります。さらにN-アセチルシステイン(グルタミン酸受容体部分作動薬)が効果的であることを示唆するエビデンスもあります。なお、低用量のドパミン受容体遮断薬(ガナトン®)が効果的であるとした限定的なエビデンスもあるが、リスク-ベネフィット比を注意深く評価する必要があり、そのため、当クリニックでは、ガナトン®50㎎錠、1日1回帰宅直後投与から開始することがあります。

 

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第5回:治療方法の背景と標準的治療法

 

治療

 

抜毛症の治療とは

 

病態的には、脳内セロトニンの欠乏と、それに起因するドパミンの過剰が推定されています。そこで治療にはSSRIを中心とした薬物療法と、認知行動療法が有効です。

 

標準的治療法:

抜毛症治療の第一選択(行動療法:習慣逆転法)

抜毛症の具体的な症状に合わせて個別化した認知行動療法が、現時点で第1選択の心身医学療法です。

 

抜毛症に焦点を合わせた認知行動療法を行うことで、症状が軽減することもあります。その中で最もよく用いられる認知行動療法は習慣逆転法です。この治療法では、対象者は次のことを教わります。

 

例えば,主に行動療法である習慣逆転法を用いることができる。

 

① 症状への気づき訓練(自分がしている行為に対する自覚を高めること―例,セルフモニタリング,問題行動の誘因や引き金となる状況の同定・特定)

 

② 刺激統制(抜毛を開始する可能性を低下させるために状況を変更すること—例,誘因の回避)

 

③ 競合反応訓練(抜毛をやめるのに役立つ対処法の実践-例、抜毛の代替に他の行動を用いる)、毛を抜く行為を別の行為(こぶしを握りしめる、編み物をする、手の上に座るなど)に置き換えるなど。

 

 

習慣逆転法の原理と実践法

習慣逆転法とは、悪い習慣をコントロールする行動療法の1つです。これは治療者が癖をした時に、具体的な行動目標を繰り返し実行することで自分をコントロールする力を身に着けていく方法です。

 

その基本は、病的な癖を意識し、癖に対して拮抗する行動を取り、記録をする、という流れで継続することです。

 

習慣逆転法は細かく分けて3ないし4つの段階から成り立ちます。

 

① 意識下練習・・・「癖行為をしようとしたこと」を記録にとどめる

 

② 拮抗反応の学習・・・「癖行為をしたいという気持ちになった時」に、
「癖行為を行う事を身体的に妨げる行動をとるよう自分 に強制すること」

 

③ リラックス・・・腹式呼吸(丹田式)、水氣道®などでリラックスする
  以上の3段階のみでも習慣逆転法の簡略版として有用なことがあります。

 

④ 偶然性の管理と汎化練習・・・これは習慣逆転法(簡略版)をサポートする意味合いの強い項目です。

 

・偶然性の管理は、褒美を与えて習慣逆転法を継続させようという考え方。

 

・汎化練習は、まず「衝動を感じる場合のリストを作る」、

そして「その状況下で習慣逆転法が成功する様子をイメージする」、
ということを繰り返し実践します。

<はじめに>

 

 

前回は「尺沢」のツボを紹介しました。

 

 

「尺沢」は手のひらを上に向け、肘の横しわの親指側の凹んだところにあり、

 

 

咳、鼻水、鼻詰まり、口の乾きなどの呼吸器系の症状に効果的であるというお話でした。

 

 

今回は「血海(けっかい)」を紹介しましょう。

 

 

 

<血海>

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血海は膝のお皿の内上角から、指3本分上にあります。

 

 

このツボは月経不順や月経痛に効果的なツボです。

 

 

現在の女性は人類の歴史上、月経経験回数が最も多いそうです。

 

 

(江戸時代の女性は100回ほどで、現代女性は450回ほど)

 

 

そんな現代女性に一番必要とされているツボであるように思います。

 

 

月経痛に悩んでいる方はぜひ指圧やお灸で刺激してみてください。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

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第4回:個別化医療のための医学的配慮と質疑応答

 

 

脱毛パターン

イ)一部分の毛髪が完全に喪失

 

ロ)睫毛および/または眉毛のみが喪失

 

ハ)毛が薄くなるだけ 

 

 

 

脱毛行動のタイプ:脱毛行為に伴う様々な儀式的行動

 

引き抜く対象とする特定の種類の毛髪を入念に探す

 

毛を必ず特定の方法で引き抜こうとする

 

毛を抜いた後に,指に挟んで転がしたり,毛の房を歯に挟んで引っ張ったり,毛を噛んだりすることがある。

 

毛を飲み込む。

 

皮膚をむしる,爪を噛むなど,他の身体集中反復行動も認められる。

 

他者またはペットの毛を引き抜いたり,線維性の物体(例,衣服,毛布)の線維を引き抜いたりする。

 

 

 

背景心理と随伴行動のタイプ

背景心理:自分の外見に当惑したり,恥ずかしく感じたりする。

 

随伴行動:脱毛を隠そうとする。

脱毛部位を覆う(例,かつらやスカーフを着用する)タイプ

広範にわたる部位から毛を引き抜くタイプ

 

他者から脱毛を見られる可能性のある状況を避けるタイプ

 

典型的には,家族以外の他者の前で毛を引き抜くことはない。

 

 

 

病態のタイプ

 

Q1. 抜毛症をどうして繰り返してしまうのでしょうか?

 

DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では、抜毛症と皮膚むしり症も強迫症の関連障害としてまとめられました。抜毛症は、繰り返す抜毛と、それを減らそう・やめようと試みるものです。また、皮膚むしり症は、皮膚の損傷につながる皮膚むしり行為の繰り返しと、それを減らそう・やめようと試みるものです。

 

 

Q2.強迫症とはどのような障害なのでしょうか?

 

自分の意志に反して、ある考えが繰り返し浮かんできたり、ある行為をやめることができなかったりする障害が、強迫症(強迫性障害)です。
また、そのように浮かんでくる考えを強迫観念、行動を強迫行為といいます。そして、強迫観念とは、何度も繰り返して生じる思考や衝動やイメージで、自分にとって望ましくないものとして体験されます。
一方、強迫行為とは、強迫観念に従って(もしくは守らなければならない決まりとして)繰り返される行動または心の中の行為です。

 

 

Q3.強迫症にはどのような症状がみられるのでしょうか?

 

強迫症に共通してみられる症状に、洗浄、対称、禁断的思考、加害があります。
洗浄は、汚染に対する強迫観念と洗浄に関する強迫行為です。女性に多く見られる傾向があります。

対称は、対称性に対する強迫観念と、繰り返し、配列、数かぞえなどの強迫行為です。男性に多く見られる傾向があります。

禁断的思考は、攻撃や性的、宗教的な強迫観念と、それに関連した強迫行為です。男性に多く見られる傾向があります。

加害は、自分もしくは他者を傷つけることへの恐れと、それに関連した確認行為です。

男性は女性よりも発症年齢が若く、チックの併発が多いと言われます。

 

 

Q4.抜毛行為にはどのような心理が働くのでしょうか?

 

抜毛症では、心理というよりも髪の毛を抜く「直前」と抜いた「後」の感覚の変化に注目されることがあります。

 

当クリニックでは、独自に以下の3つのタイプに分類しています。

 

タイプA: 抜毛症の患者様の多くの方のタイプ
髪を抜くというその瞬間に際して「緊張感の高まり」を経験し、実際に髪の毛を抜いた瞬間に「満足感と開放感」を得ることが特徴です。

 

タイプB:皮膚の違和感やかゆみなどを感じて抜いてしまうタイプ
抜毛症の方の中には、かゆみやうまく表現することができないような皮膚の違和感を感じてしまい、抜毛を起こしてしまうことが特徴です。このような違和感が誘発因子となり、更に抜毛症の症状が継続・悪化してしまうことがあります。

 

タイプC: 無意識のうちに、髪の毛を抜いてしまうタイプ
上記のような感覚とは別に、無意識の行動であるがゆえに、繰り返しに歯止めが効かずに悩まれている方もいらっしゃいます。

 

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第3回:診断までの流れ

 

心理検査

必要に応じて心理検査を受けていただきます。

※心理検査はない場合もあります。

 

検査は主に筆記または口頭での検査となります。
患者さんにご自宅にお持ち帰りいただき、回答を次回持参していただくこともあります。

 

知能検査

発達検査

人格検査(YGテスト、SCIテストなど)

心理テスト(POMS、SDS、STAIなど)

心身医学的テスト(CMI、KKSIなど)

 

※上記の各心理検査は保険適用です。

 

なおクリニック内で行う構造化された心理面接では1~3時間ほど時間がかかる検査に関しては、保険適応外となるものがありますが、その場合は、予めご了承を戴いた場合のみ実施いたします。

 

 

診断

臨床基準:典型的には,診断基準は以下の通りです。

 

A.毛を引き抜く行為が認められる

・繰り返し体毛を抜き、その結果体毛を喪失する。

 

B.毛を引き抜くのをやめようと繰り返し試みている

・または体毛を抜くことを減らそう繰り返し試みる。

 

C.本行動により著しい苦痛または障害を経験している

・体毛を抜くことで、臨床的に意味のある苦痛、
または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能 の障害を引き起こしている。

苦痛には当惑感または恥辱感(例,自分の行動をコントロールできないことに対して,脱毛による美容上の結果に対して)を含めてもよい。

 

ただし、

D.体毛を抜くこと、または脱毛は、他の医学的疾患(例:皮膚科学的状態)に起因するものではない。

 

E.体毛を抜くことは、他の精神疾患の症状(例:醜形恐怖症における本人に認識された外見上の血管や傷を改善する試み)によってうまく説明されない。

 

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第2回:受診に至るまでの手続き

 

 

受付:杉並国際クリニックは、完全予約制です。

 

受付ではお持ちいただいた健康保険証、紹介状やお薬手帳などをご提示ください。

 

予診

診察に先立ち、以下の事項についてお伺いします。

 

現在一番困っていらっしゃることは何ですか。

 

当クリニックを知るきっかけは何でしたか。

 

お困りの症状がいつごろから始まり、どのように経過しましたか。

治療の経過について

(当クリニックの前にかかっていた病院がある場合は、次の情報がわかると 診療に役立ちます。投薬内容前医の診察券、お薬手帳がありましたらご持参ください)

 

・医療機関名:

・受診年月日:

 

家族構成、同居者の有無。

 

ご家族の精神科通院歴の有無など。

 

ご自身の性格

とくに「第三者(ご家族やご友人など)から見てあなたはどのようなお人柄か」という客観的情報を聞くことができましたら、記録してご持参ください。
付き添いの方がいらっしゃればお話を伺う場合もあります。

 

既往歴(今までにかかった病気、薬のアレルギーなど)。

 

 

 

診察

予診の情報を参考にして診察していきます。

あなたの現在の状態をしっかりと見極め、適切な治療方法を探っていきます。
まずは、標準的な治療を行いますが、治療効果を高めるために、当クリニック独自の方法を併用することも、ご相談の上、選択的に行なっています。

 

第1回:抜毛症とは何か

 

はじめに:

抜毛症と脱毛症とを混同している方のために

 

脱毛症とは異なり、抜毛症は、自己の毛髪を強迫的に抜去する疾患です。
抜毛症の患者さんは、頭髪の他、眉毛、睫毛、腋毛、恥毛などを抜去することがあります。学童期後半~思春期前半にみられ、女性に多い疾患です。

 

一言で言えば、行動の異常ですが、抜毛の他の異常行動としては、毛かみ、爪かみ、夜尿、チックを合併することがあります。

身体玩弄癖・自傷の延長にあると考えられています。

 

 

疾患の特徴と概要 

抜毛症は、自身の毛髪を抜くこと繰り返し、それによって毛髪が喪失することにより特徴づけられます。

 

抜毛症の患者さんは,美容以外の理由で毛髪を繰り返し引っ張ったり,引き抜いたりします。最も多いのは頭皮,眉,および/または眼瞼からの抜毛ですが,あらゆる部位の体毛が対象となりえます。

 

また抜毛の部位は時間の経過とともに変化することがあります。
この行動を若干自動的に(すなわち,十分に意識することなく)行う方もいれば,この行動をより意識している方もいます。

 

抜毛は強迫観念または外見に関する悩みに誘発されるものではないとされてきましたが,緊張感または不安感が先行して,それが抜毛により軽減することがあり,しばしばその後に満足感を覚えることがあります。

 

典型例では,抜毛は思春期の直前または直後に始まります。本疾患の時点有病率は約1~2%で、約90%は女性です。

 

 

症状の経過

無治療の場合は、通常、抜毛は慢性に経過し、症状は一進一退を繰り返します。これは背景となることが多い強迫症と同様の経過であり、治療しなければ慢性的な経過を取り、増悪と軽快を繰り返します。

 


漢方薬というより民間薬として知られる「地竜」に抗血栓作用があることが認められているため、杉並国際クリニックでは、新型コロナ対策セットの1つとして推奨しています。なぜならば、新型コロナウイルス感染症では血栓症や凝固障害により重篤化し、死亡のリスクを高めることが知られているからです。いまのところ、安全に使用できる材料として「地竜」以外の候補はありません。

 

ところで、オーストリアでワクチン接種により、2例の悲惨な結果がもたらされたことが報道されました。この2例はいずれも女性看護師で、アナフィラキシーショックのように、ワクチンの種類とは関係なく発生する副反応によるものではありません。

 

凝固障害や肺血栓症というのは相互に関連性のある疾患であることもあり、有害反応というよりは、明らかな副反応として認識することが妥当だと私は考えます。

 

しかし、記事には明らかな因果関係は明らかではないような書きぶりであり、接種の中止は、何らかの事故予防のための暫定措置に過ぎないような印象を与えています。
しっかりとした調査を継続し、詳細な医学的情報の公開を望みたいところです。
以下に、記事の原文と、私の訳文を掲載します。

 

記事原文

 

Cocid-19 Österreich stoppt Impfung mit Astrazeneca-Charge nach Todesfall –
Cocid-19オーストリア、死亡例を受けて、アストラゼネカのワクチン接種を停止

 

7. März 2021
2021年3月7日

 


Symbolbild eines Corona-Impfstoffs mit dem Logo des Pharmakonzerns AstraZeneca (Imago)
製薬会社アストラゼネカ(イメージ)のロゴ入りコロナワクチンのシンボリックイメージ

 

 

Österreich hat Impfungen mit einer Charge des Astrazeneca-Impfstoffs nach einem Todes- und einem Krankheitsfall vorsichtshalber gestoppt.

オーストリアは、死亡1例と発病1例の発生を受けて、予防措置としてアストラゼネカワクチンの接種を中止した。

 

 

Das Bundesamt für Sicherheit im Gesundheitswesen teilte mit, es gebe zwei Meldungen in zeitlichem Zusammenhang mit einer Impfung aus derselben Charge des Vakzins. Aktuell liege kein Hinweis auf einen kausalen Zusammenhang vor. Der Stopp sei eine Vorsichtsmaßnahme.

オーストリア連邦医療安全局によると、同一バッチのワクチン接種に関連した2件の相次ぐ報告があったという。現在のところ、因果関係を示唆するものはない。停止は予防措置としてのものである。

 

 

Im Landesklinikum Zwettl im Bundesland Niederösterreich war eine Krankenschwester an den Folgen schwerer Gerinnungsstörungen gestorben, eine weitere erlitt eine Lungenembolie. Astrazeneca erklärte laut der Nachrichtenagentur APA, mit den Behörden im Kontakt zu stehen und die Untersuchungen voll zu unterstützen.

ニーダーエスターライヒ州ツヴェトルの地方病院では、重度の凝固障害のために看護師が死亡し、別の看護師が肺塞栓症に苦しんでいた。APA通信によると、アストラゼネカは当局と連絡を取り合っており、調査を全面的に支援していると述べた。

 

 

Diese Nachricht wurde am 07.03.2021 im Programm Deutschlandfunk gesendet.

このニュースは07.03.2021年に放送された番組「Deutschlandfunk」で放送されました。

 

ワクチンが効きにくい恐れがある新型コロナの変異ウイルスが、国内からもすでに発生していた可能性について、慶応大の小崎健次郎教授(臨床遺伝学)らの研究チームの分析で明らかになりました。

 

この研究チームは、国内の変異ウイルスを追跡してきました。そして国立感染症研究所が解析し、3日に国際的なデータベース「GISAID」に登録した新型コロナウイルスの遺伝情報などを分析しました。
  

その結果、感染研のデータのうち、昨年8月と12月に採取され、蛋白質の一部が変化して「E484K」となったウイルスと、7月と12月に採取されて慶応大が解析したウイルスで、遺伝情報の特徴が極めて近いことがわかりました。

 

一般に、これまで蔓延していた新型コロナに感染しても、実際に感染したり、それに対する特異的なワクチンを打ったりすれば免疫ができます。しかし、この変異ウイルスに関しては、感染しても、ワクチンを接種しても、いずれの場合でも免疫が十分効かなくなる可能性が指摘されています。
 

この変異ウイルスはこれまで、海外から流入したとみられていましたが、この研究チームが今回分析したウイルスの特徴から判明したことは、これまでに南アフリカやブラジルで発見され、その後日本でも見つかっていたE484Kの変異ウイルスとは異なっているということでした。
 

このため、慶應大のチームは今回分析したウイルスについて、「海外から流入したのとは別に、国内で以前から広まっていたウイルスにE484K変異が入った可能性が高い」と判断しました。
 

新型コロナウイルスは、変異しやすい一本鎖のRNAウイルスであり、15日に1つほどのペースで塩基が別の塩基と入れかわっています。「塩基」という化学物質は、遺伝情報であって、4種類の略号文字(A,G,C,U)であらわされる塩基の組み合わせで約3万個に及びます。
 

 

さてRNAとは、リボ核酸(英: ribonucleic acid)の略号であり、リボヌクレオチドがホスホジエステル結合で鎖状に繋がった核酸です。
 

核酸といえば、痛風の臨床とも関係が深いです。私は、国内55名の『認定痛風医』 の一人ですが、この資格を認定している医学会の正式名称は、一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会といいます。

 

参照:日本痛風・尿酸核酸学会認定痛風医名簿

 

密接に免疫機構と係る専門医としてのアレルギー科・リウマチ科を標榜しているだけでなく、認定痛風医であることもあって、新型コロナウイルスやワクチンについては毎日、私の頭から離れることがありません。

 

RNAはリボース、リン酸、塩基を材料とするヌクレオチドで構成されます。この核酸の塩基は4種類で、それらがアデニン (A)、グアニン (G)、シトシン (C)、ウラシル (U) です。RNAは生体内でタンパク質合成を行う際に必要なリボソームの活性中心部位を構成しています。生体内での挙動や構造により、伝令RNA(メッセンジャーRNA、mRNA)、運搬RNA(トランスファーRNA、tRNA)、リボソームRNA (rRNA)、ノンコーディングRNA (ncRNA)、リボザイム、二重鎖RNA(dsRNA) 等の様々な分類がなされていますが、ファイザー社などのワクチンは、これらのうち伝令RNA(メッセンジャーRNA、mRNA)を使用しています。
 

これまでに国内で見つかった、ワクチンの効果を弱める恐れがある変異を持つウイルスは、何らかの形で海外から流入したものと推定されています。しかし、国内からも発生したとすれば、今後も同様の変異ウイルスが生まれる可能性があります。
そして小崎先生は「国内における変異ウイルスの監視をさらに強めていく必要があるのではないか」とコメントしています。