新型コロナワクチンによるアナフィラキシーに対する指針公開(No.2)

 

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コロナワクチン接種の実施のために、日本アレルギー学会が作成

 

 

<指針の内容・構成>
 

SARS-CoV-2ワクチンによるアナフィラキシーの症状と対処自体は他の原因によるものと変わらず、適切な対処により回復することが報告されています。

 

同学会の指針はこのワクチンを国内の医療現場で適切に使用してもらうことを目的として作成されたものです。

 

内容は以下の5項目による構成になっています。

 

① はじめに

 

② 副反応の種類と頻度

 

③ 副反応の機序

④ ワクチン接種の対象

 

⑤ アレルギー反応/アナフィラキシー対策
 

国内で使用されているSARS-CoV-2ワクチンであるファイザー社のコミナティ接種によるアナフィラキシーは、接種開始から3月11日までに37例報告され、接種100万回当たり204例(37件/18万1,184回接種)にのぼりました。これは、同期間の接種10万人当たりでみますと20.4人に相当するものです。およそ5000人に1人が新型コロナワクチン接種後にアナフィラキシーを起こした計算になります。

 

これまでの海外の報告では、

・4.7件/100万回接種(アメリカ)

・18.6件/100万回接種(イギリス)

となっており、日本の比率をそのまま当てはめると204件/100万回接種となり、アメリカやイギリスと比べて10〜40倍以上アナフィラキシーが多いことになります。なぜ日本ではこんなにアナフィラキシーの報告が多いのでしょうか?

 

それには海外とは単純な比較が難しい状況にあることが指摘されています。まずアナフィラキシーの定義の違いがあります。

 

そこで、実際に3月12日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、アナフィラキシーの国際基準(定義)『ブライトン分類』に基づき、同月9日までに報告されたアナフィラキシー発現例17例について評価したところ、7例がアナフィラキシーと判断され41.2%になりました。

 

参考のため、アナフィラキシーの国際基準(定義)『ブライトン分類』とは、どのようなものかを簡単に言えば、

 

ワクチン接種後に、

 

・皮膚症状(蕁麻疹などの発疹)

 

・循環器症状(血圧低下、意識障害、頻脈など)

 

・呼吸器症状(気道閉塞、頻呼吸など)

 

・消化器症状(下痢、嘔吐など)

 

の症状が2つ以上の臓器にまたがってみられた場合にアナフィラキシーと定義するということです。

 

これに対して、従来の日本のアナフィラキシーの報告はどうかといいますと、こうした定義を満たしているかどうかについては問われていません。予防接種法及び医薬品医療機器等法に基づき「新型コロナワクチン接種に関連したアナフィラキシー」と判断された事例について医療機関が「副反応疑い報告」として報告しています。

 

私見:

日本でのアナフィラキシー発生率が異常に高い理由について、3月12日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、アナフィラキシー発現例17例について評価したところ、7例がアナフィラキシーと判断され41.2%になりました。

 

しかし、それで改めて計算しても204×0.412=84ですから、英米と同じ基準によって検討しても、わが国ではアメリカやイギリスと比べて4.5~17.8倍程度アナフィラキシーが多いことになります。その理由については十分に検討されていません。