<号外>免疫が効きにくい変異ウイルス、国内で変異が発生した可能、慶応大(臨床遺伝学)チームが分析

 

ワクチンが効きにくい恐れがある新型コロナの変異ウイルスが、国内からもすでに発生していた可能性について、慶応大の小崎健次郎教授(臨床遺伝学)らの研究チームの分析で明らかになりました。

 

この研究チームは、国内の変異ウイルスを追跡してきました。そして国立感染症研究所が解析し、3日に国際的なデータベース「GISAID」に登録した新型コロナウイルスの遺伝情報などを分析しました。
  

その結果、感染研のデータのうち、昨年8月と12月に採取され、蛋白質の一部が変化して「E484K」となったウイルスと、7月と12月に採取されて慶応大が解析したウイルスで、遺伝情報の特徴が極めて近いことがわかりました。

 

一般に、これまで蔓延していた新型コロナに感染しても、実際に感染したり、それに対する特異的なワクチンを打ったりすれば免疫ができます。しかし、この変異ウイルスに関しては、感染しても、ワクチンを接種しても、いずれの場合でも免疫が十分効かなくなる可能性が指摘されています。
 

この変異ウイルスはこれまで、海外から流入したとみられていましたが、この研究チームが今回分析したウイルスの特徴から判明したことは、これまでに南アフリカやブラジルで発見され、その後日本でも見つかっていたE484Kの変異ウイルスとは異なっているということでした。
 

このため、慶應大のチームは今回分析したウイルスについて、「海外から流入したのとは別に、国内で以前から広まっていたウイルスにE484K変異が入った可能性が高い」と判断しました。
 

新型コロナウイルスは、変異しやすい一本鎖のRNAウイルスであり、15日に1つほどのペースで塩基が別の塩基と入れかわっています。「塩基」という化学物質は、遺伝情報であって、4種類の略号文字(A,G,C,U)であらわされる塩基の組み合わせで約3万個に及びます。
 

 

さてRNAとは、リボ核酸(英: ribonucleic acid)の略号であり、リボヌクレオチドがホスホジエステル結合で鎖状に繋がった核酸です。
 

核酸といえば、痛風の臨床とも関係が深いです。私は、国内55名の『認定痛風医』 の一人ですが、この資格を認定している医学会の正式名称は、一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会といいます。

 

参照:日本痛風・尿酸核酸学会認定痛風医名簿

 

密接に免疫機構と係る専門医としてのアレルギー科・リウマチ科を標榜しているだけでなく、認定痛風医であることもあって、新型コロナウイルスやワクチンについては毎日、私の頭から離れることがありません。

 

RNAはリボース、リン酸、塩基を材料とするヌクレオチドで構成されます。この核酸の塩基は4種類で、それらがアデニン (A)、グアニン (G)、シトシン (C)、ウラシル (U) です。RNAは生体内でタンパク質合成を行う際に必要なリボソームの活性中心部位を構成しています。生体内での挙動や構造により、伝令RNA(メッセンジャーRNA、mRNA)、運搬RNA(トランスファーRNA、tRNA)、リボソームRNA (rRNA)、ノンコーディングRNA (ncRNA)、リボザイム、二重鎖RNA(dsRNA) 等の様々な分類がなされていますが、ファイザー社などのワクチンは、これらのうち伝令RNA(メッセンジャーRNA、mRNA)を使用しています。
 

これまでに国内で見つかった、ワクチンの効果を弱める恐れがある変異を持つウイルスは、何らかの形で海外から流入したものと推定されています。しかし、国内からも発生したとすれば、今後も同様の変異ウイルスが生まれる可能性があります。
そして小崎先生は「国内における変異ウイルスの監視をさらに強めていく必要があるのではないか」とコメントしています。