号外!変異株、国内でクラスターも発生No3

 

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Q1.変異株が広がると今後どうなるのでしょうか。

 

厚労省の担当者は「今後変異株の感染者が大きく増えれば、病床の逼迫(ひっぱく)につながりうる」と話していました。ただ、ゲノム解析で変異株と確認された段階で既に回復している人もいるため、現状では病床に大きな影響を与えるには至っていないとのことです。

 

ただし、こうしたいつも通りの甘い見通しは如何なものでしょうか。なぜならば厚労省は現在、変異株の感染者は原則、入院措置としており、無症状の人も対象になるからです。そして感染者が増えてくれば「原則入院」との方針にどこかで見切りをつけないと、かえって医療を圧迫するとの見方も出ていることを無視できないことは、多くの識者の共通の見解です。

 

 

Q2.どのような変異株が国内で流行しはじめているのでしょうか。
 

世界的に感染拡大が懸念される変異株は英国、南アフリカ、ブラジルから報告があった3種類です。
 

国内では21日時点で、国内では英国株156人、南アフリカ株11人、ブラジル株6人の計173人を確認。今のところ日本国内での変異株は約9割が英国タイプで占められています。この英国型は、欧州では検査できる全ての国で報告されています。
  

欧州疾病予防管理センター(ECDC)の2月中旬の報告書によると、各国でゲノム解析されたウイルスに占める英国型の割合は、アイルランドで75%、ポルトガルで45%でした。これらの解析対象や時期が異なるため国ごとの数値を単純な比較は困難ですが、参考データとして、先進国のドイツで5・6%、フランスで13・2%など、流行状況に差があるということは言えそうです。

 

英国など3カ国から報告された変異株は、ウイルス表面に突き出たスパイクたんぱく質に「N501Y」という変異があり、感染しやすくなっていると考えられています。各国で見つかる英国型の割合は「毎週ほぼ倍増しているように見える」と報告書は指摘し、さらに、これまで流行していた株と入れ替わりつつあるといいます。

 

英国の3地域の感染状況を数値解析した査読前の論文では、従来の流行株より56%感染性が高いと推定しています。実際に1人の感染者から新たに感染する平均人数を示す実効再生産数が、1を超えて1・35倍になったとする研究もあります。