厚労省にコロナ対策を助言する専門家組織の座長である脇田隆字・国立感染症研究所(感染研)所長は18日の会見で、今のところは「散発的な感染」という見方を示しました。脇田氏は今の段階では、「変異株のスクリーニング(検査による選別)を強化し、感染経路を特定し、拡大を防いでいく必要がある」と言っています。
つまり、感染者の周囲にいる濃厚接触者を追跡して隔離し、感染の広がりを防ぐ「クラスター対策」が重要な局面だということです。
一方で、専門家組織のメンバーの他の一人は「国内でかなり広がっている可能性もあり、相当警戒している」と話しています。
いずれの見解に立つにせよ、対策を取るためには、
第一に、変異株に感染したのかどうかを可能な限り迅速に見極めることです。この課題の解決が不可欠です。しかし、これまでは感染者の検体を各地の自治体から感染研に送り、ゲノム解析を実施していたために、結果が出るまでに2週間近くかかっていました。
そこで感染研は1月、ゲノム解析より簡便なPCR検査で変異株が判定できるように、特殊な試薬や検査手順を全国の地方衛生研究所(地衛研)に伝達しました。最終的な確定には感染研でのゲノム解析が必要になりますが、自治体で早ければ数日で判定できるようになったことは朗報です。
第二の課題は検査の件数を増やすことです。日本は比較的、変異株の検査件数が多い方ですが、それでも感染確認された人の1割に満たず、また地域差も大きいのが目下の現状です。
そこで厚労省は、地衛研に対し、立場上、感染確認された人の5~10%をめどに変異株であるかどうかを調べるように求めています。
しかし、ある地衛研の関係者が漏らしているように「通常の検査で精いっぱいで、やれと言われても余裕がある範囲でしかできない」というのが実情ではないかと思われます。
人的資源・物的資源・財源支援という資源のいずれもが欠乏している現実の背景を考慮するならば、「原則入院」となる変異株による感染流行は医療逼迫のみならず医療崩壊につながる恐れが少なくないことを覚悟すべきだということになりそうです。
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