B型肝炎訴訟と給付金(No2)

 

前回はこちら

 



法務省の公式サイトから

 

B型肝炎訴訟から給付金の交付に至る過程を知るうえで貴重な情報が法務省から提供されています。とくに興味を引く記事ではないかもしれませんが、裁判は時間が掛かるので、被害者を迅速に救済するためには、裁判所が提案する「和解」が現実的な解決方法の一つになりうるという具体的事例を知っておいても良いかもしれません。

 

なお、文書中で下線を施した部分、太字の部分に関しては、読者の皆様に注意を喚起する目的で、当方(飯嶋正広)の判断で施しました。

 

 

B型肝炎訴訟

 

訴訟の概要
 

本件は,幼少期に受けた集団予防接種等予防接種又はツベルクリン反応検査)の際の注射器の連続使用(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間にかかるもの)によってB型肝炎ウイルスに持続感染したとする感染被害者及びその遺族の方々が,国に対し,損害賠償を求めている事案です。

 

 平成18年6月16日,最高裁判所は,原告5名の幼少期に受けた集団予防接種等とB型肝炎ウイルス感染との間の因果関係を肯定し,国の責任を認める判断を示しました。その後,平成20年3月以降,先行訴訟の原告と同様の状況にあるとして,全国の感染被害者及びその遺族の方々によって本件訴訟が提起されました。


   平成22年3月,札幌地方裁判所等から和解勧告が示されたことを受け,同年5月から,裁判所の仲介の下,和解による解決に向けた協議が進められました。
   その後,平成23年1月及び同年4月に札幌地方裁判所から示された所見(基本合意書(案))を当事者双方が受諾したことを受け,同年6月28日,国(厚生労働大臣)と全国B型肝炎訴訟原告団・同弁護団の間で,和解に関する基本合意書が締結されました。
 

また,平成24年1月13日に,被害の迅速かつ全体的な解決を図るため,国との間で和解が成立した方々に対して給付金等を支給することとする「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」(以下「特措法」という。)が施行されました。
 

さらに平成27年3月に,20年の除斥期間が経過した死亡,肝がん,肝硬変(重度及び軽度)の方々との和解に関して基本合意書(その2)が締結されました。
 

平成28年8月1日に,給付金の請求期限を5年間延長するとともに,発症等から20年を経過した方に対しても給付金の支給を行うこと等とした特措法改正法が施行されました。
 

 

  特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法全文[PDF] 

 

  特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律[PDF] 

 

基本合意書[PDF]

 

基本合意書(その2)[PDF]  

 

 

B型肝炎ウイルスの感染経路は,集団予防接種等における注射器の連続使用以外にも様々なものが考えられます。このため,裁判所の仲介の下での和解協議の中で,集団予防接種等における注射器の連続使用が原因でB型肝炎ウイルスに持続感染したことの確認が必要です。
  

こうして和解等が成立し,因果関係が認められた方には,病態の認定を経て,特措法に基づき,病態に応じた給付金等が支給されることになります。

 

 

和解の手続

和解の手続はこちら 

(厚生労働省ホームページ)

 

 

訴訟の状況
 

令和2年1月31日現在,原告数は累計で74,801名であり,国は,証拠資料を提出した原告の方について給付金等を支給するための要件を確認し,そのうち57,779名の原告の方と和解が成立しています。

 

 

係属裁判所
 

最高裁判所,大阪高等裁判所,東京地方裁判所ほか38地方裁判所,37地方裁判所支部,21簡易裁判所(令和2年1月31日現在)