第2週:感染症・アレルギー・膠原病 Covid-19の原因と治療を最新の腸管理論から考えるNo1

 

・・・腸管免疫を強化すれば新型コロナで死なずに済むわけ!

 

新型コロナウイルス(Coronavirus SARS-CoV-2)による感染症(Covid-19)の予防、治療、重症化阻止、ワクチン開発において免疫の考え方は重要です。近年、全身の免疫、肺の免疫に対して消化管の果たす役割が明かになってきました。さらにはCovid-19研究の結果、消化管と肺との相互作用も明らかになり腸⁻肺枢軸といった考えも提唱されています。これは腸から肺の一方向ではなく、肺から腸へと向かうシグナルが存在することを示唆するものです。

 

Covid-19も一般的なウイルス感染症と同様の免疫応答が起きている

 

Covid-19感染症においても、一般的なウイルス感染症、特にインフルエンザ感染でみられるものと類似した免疫反応が起きることが確認されました。この事実はとても重要な点であり、SARS-CoV-2ウイルスに対する予防策、治療、重症化予防、ワクチン療法を考慮した場合に、SARS-CoV-2ウイルスに特殊な新規作戦で臨むのではなく、これまでのインフルエンザ感染やSARS,MERSで得た知見を応用していくことが可能であることが示されました。

 

感染防御の最前線は粘膜バリア機構

 

消化管の粘液層は宿主(生体)要因や環境要因の影響を受けます。抗生物質、プロトンポンプ阻害剤などの薬剤、食物繊維不足、高脂肪食、糖尿病などでは、明かに粘液層が減少します。その結果、抗菌ペプチド、粘膜の免疫グロブリンIgAの低下もあり、ディス・バイオーシス(腸内に共存する微生物叢環境の乱れによる悪玉最近の増加)、バリア機能の低下を来します。このような因子の多くがCovid-19感染症の重症化因子です。
 
 

SARS-CoV-2ウイルスの初期感染病巣は、上皮を被う粘膜です。血液中の主要な免疫グロブリンであるIgGは粘液中には存在しないため注意を要します。ですから、粘膜においては粘液中にある分泌型IgAが感染防御においてもっとも重要です。IgA抗体の産生・分泌の主要な部位は腸管、気道上皮、授乳期乳房、唾液腺、涙腺などの外分泌腺です。IgA抗体は細菌やウイルスの上皮細胞への接着や毒素の取り込みを阻止します。それによって多様な病原体に対する防御の第一線を担っています。IgA抗体はさらに、腸内細菌叢を制御する作用が明かになっています。

 

そしてSARS-CoV-2ウイルスの感染に対してもっとも弱点となるのが肺胞上皮細胞と小腸上皮細胞であるといえます。

 

 

 

Covid-19の死亡原因はサイトカインの嵐

 

Covid-19の発祥地である中国では、新型冠状病毒肺炎と命名したこともあり、新型コロナ感染症といえば肺炎、肺炎の場は「肺」すなわち「呼吸器系」というイメージが定着しているようにみられます。しかし、Covid-19の死亡原因はウイルス性肺炎でも、合併する細菌性肺炎でもありません。それは突然襲ってくる免疫の暴走、サイトカインの嵐(ストーム)です。このサイトカインストームは、IL-6/Th17系の過剰反応であるとされます。Th17細胞は繊維芽細胞に存在するIL-6増幅ループを活性化することで自己免疫疾患を誘導するためウイルス感染が直接的な原因とは考えにくいと考えられます。それよりもむしろ、腸管バリア機能の破綻が関連することが明らかになってきました。

 

この10年間の腸内マイクロバイオーム(ヒトの腸管に共存する微生物叢)研究は、全身で生じる難治性炎症性疾患(多発性硬化症、糖尿病、関節リウマチなど)に腸内マイクロバイオームの異常、腸内バリア機能の破綻が関与することが明らかになってきました。また、インフルエンザを含むウイルス感染で腸内細菌叢のディス・バイオーシスが生じていることも報告されています。

 

Covid-19では、症状に関係なく、腸管内感染が高頻度です。以前から、腸内細菌叢のディス・バイオーシスが種々の免疫応答に影響することは知られていました。そして、Covid-19の原因は、SARS-CoV-2ウイルスが直接的に、あるいは腸管上皮に感染し、上皮のバリア機能が低下した結果として間接的に腸内細菌叢にディス・バイオーシスを誘導する可能性が明かになりつつあります。

 

 

SARS-CoV-2は消化管にも感染し、高頻度に消化器症状を引き起こし、便中RNAウイルスは長期間陽性となる

 

Covid-19感染症は消化器症状を呈することが約半数あり、呼吸器症状のない下痢で発症することもあることに注意が必要です。ですから、発熱がみられないからといってCovid-19感染症でないとは言えないということになります。

 

消化器症状の主なものは、食欲不振(78%)、下痢(34%)、嘔吐(4%)、腹痛(2%)です。

 

さらに重要なことは、SARS-CoV-2が消化管上皮細胞に感染することにより、局所的な腸内環境の異常、腸内マイクロバイオームの異常をきたす可能性があることと、感染した上皮で増殖したSARS-CoV-2ウイルスが消化管管腔に分泌され、糞便として排出されることです。

 

香港のCovid-19(59名)の糞便を試料にPCRを実施したところ、48.1%で陽性となったことが報告され、消化器症状のない患者でも陽性になることが示され、さらに20日以上も糞便PCR陽性が持続する症例についても報告されています。そこで、トイレを介した感染拡大、糞便処理をするスタッフの手口感染などに注意する必要があると考えることができます。
 
 

そこで、杉並国際クリニックでは、入り口の消毒用エタノール、トイレ内の(一般消毒液、プラズマクラスター発生電灯)に加えて、トイレを出た所にも消毒用エタノールを設置し、しかもこれらはすべて自動噴霧器として、直接容器に触れずに使用できるように整備しているのです。