聖楽院、オペラ『仮面舞踏会』より<永遠に君を失えば> 作曲 / Giuseppe Verdi

10月になり、すっかり秋めいてきました。
秋と言えば、芸術の秋、歌劇(オペラ)が恋しくなる季節です。

 

6年前に歌い、Video Duck の清水さんによって5年前にyoutubeに載せていただいた音源があります。今、改めて聴いてみると、「もっと頑張れ!」という気持ちと、「当時は、思い入れいっぱいで、怖いもの知らずだったな!」という気持ちが相半ばする感じです。

 

リッカルドの悩ましい思いと焦燥感を生き生きと自由に表現しようと意識して、意図的にピアノ伴奏より先走るように歌ったのですが、洗練された芸術的効果にまでは、なかなかとどきませんでした。とにかく音程と声量と響きを維持するための体力・スタミナを要する作品です。

 

ピアノ伴奏は中村達郎さん。一番長いお付き合いのピアニストなのですが、コロナ以降は残念ながら一度もお会いできていません。この当時が懐かしいですね。

 

 

さて、今日は、お耳治しに、同じ曲を歌った、今は亡き二人の巨匠の声をお楽しみいただきたいと思います。お二人をご紹介します。私自身は、バリトン(中声)からテノール(高声)に変化し、さらにカウンターテナー(男声アルト・メゾソプラノ)の演奏を楽しむようになったのですが、声域の変化というテーマにおいてカルロ・ベルゴンツィの歌唱法と生きる姿勢に関心を持っています。

 

サルヴァトーレ・リチートラ(Salvatore Licitra, 1968年8月10日 - 2011年9月5日)は、スイス生まれのイタリアのテノール歌手。ルチアーノ・パヴァロッティの代役を務めたことにより「新しいパヴァロッティ」として一躍スターダムにのし上がったが、悲しいことに交通事故により死去しました。

 

カルロ・ベルゴンツィ(Carlo Bergonzi, 1924年7月13日 - 2014年7月25日ミラノ)は、イタリアのテノール歌手。その美声を売り物として、特にヴェルディ作品の演奏を多く手がけたテノール歌手。 1948年バリトン歌手としてオペラでの活動を開始。しかし声の変化に気づき、改めて研鑚を積んで51年、パリでアンドレア・シェニエ(ジョルダーノ作曲、タイトル・ロール)を歌いテノールとして再デビューに成功。 同世代のフランコ・コレッリ(スピント系の力感ある歌唱で知られたテノール)と共にイタリア・オペラ人気を支えるスターとして、公演、録音で国際的に活躍。役柄への理解、自己管理等によって上演成功率の高さでも知られ、長く声の艶を保ち、21世紀に至ってもコンサート活動を続けた。

 

1967年以来数回来日もし、リッカルド(ヴェルディ作曲『仮面舞踏会』)等得意の役柄を歌いました。2000年5月にはニューヨーク、カーネギー・ホールにて、コンサート形式のヴェルディ『オテロ』タイトル・ロールに75歳という高齢で初挑戦し注目されたが、これは最後まで歌いきることができませんでした。しかし、2001年にも来日してリサイタルを開催、80歳近くとは思えぬ喉を披露しました。

 

 曲目解説 


ヴェルディ作曲 歌劇『仮面舞踏会』第3幕より

 

リッカルドのアリア 「永久に君を失えば」

 

ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)はイタリアを代表するオペラ作曲家。
歌劇『仮面舞踏会』は『運命の力』や『ドン・カルロ』と並ぶヴェルディ中期の名作で、1859年に初演されている。

 

ボストン知事リッカルド(原作ではスウェーデン国王グスターフ3世)は忠実な友レナートの妻アメーリアと惹かれ合うけれども、レナートへの友情のゆえにこの恋を諦め、夫妻を英国に帰す任命書に署名する。それを知らないまま、妻との密通を疑ったレナートは、仮面舞踏会のさ中に、リッカルドを刺し殺す。「彼女は潔白だ。君は帰国して栄転することになっていた」と任命書を差し出したリッカルドは、夫妻と民衆を祝福しつつ息絶える。ソンマの台本による。

 

「永久に君を失えば」は、舞踏会に先立って、逡巡の末この任命書にサインするリッカルドの心の葛藤を歌ったテノールの名アリアで、決意の苦しさと、舞踏会でアメリアと最後に会える喜びを歌う。

 

 

1) ヨセフ・飯嶋正広 版

歌劇 仮面舞踏会 永遠に君を失えば

 

こちらで視聴できます


演奏2014年8月20日 杉並公会堂小ホール

 

飯嶋正広(テノール)・中村達郎(ピアノ) 音の実験室 第1回公演より

 

•2015/01/21(1,388 回視聴;チャンネル登録者数 169人)

 

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だめだね(やめとけ)!12

 

コメント:

発表して5年間での視聴数が1,388回という数字をどう評価するかについて、私は十分満足しています。翌年公開のレチトーラが2,491回、翌々年のベルゴンツィが1,192回であるのと比較すれば立派な数字だと思います。二人の巨匠との決定的な違いは、チャンネル登録者数とだめだね(やめとけ)!の有無です。しかし、いいね!の数3件は応援票ということでしょうが感謝です。いずれにしてもオペラ愛好家による数字の意味は大切にしたいと思います。

 

 

 

2) サルヴァトーレ・リチートラ 版 

 

歌劇 仮面舞踏会 永遠にきみを失えば 

 

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•2016/01/18(2,491 回視聴; チャンネル登録者数1.64万人)

 

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3) カルロ・ベルゴンツィ 版

 

歌劇 仮面舞踏会 永遠に君を失えば 

 

こちらで視聴できます

 

•2017/03/30(1,192 回視聴;チャンネル登録者数1.64万人)

 

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