ドイツ語旅行、いまだからこそ<クナイプ自然療法>

8月5日(水)

 

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セバスチャン・クナイプの生涯と業績(その2)

そんな彼の生涯を簡単にご紹介します。

クナイプは25歳のとき、当時、不治の病とされていた肺結核を患います。病気と闘いながら神父になるための勉強を続けていたのですが、1849年春、ついに病に倒れてしまいます。このときクナイプは、偶然見つけた修道院の蔵書に刺激され、水の力を身体の治療に応用することを考えました。

 

1849年11月、クナイプは自分自身を対象に大胆な実験を行い、それが彼の人生に転機をもたらします。彼は息を切らせながら全速力で走ってドナウ川に向かうと、衣服をはぎ取り、ほてった身体を川の氷のように冷たい水に首まで浸して3秒数えました。それから土手に上がって服を着ると、また家まで全速力で駆け戻りました。その結果は驚異的でした。活き活きとより健康になったと感じたのです。

 

こうして、最初に運動で身体を温め、それから冷水で短時間刺激し、身体を拭かずに、直ぐに再び運動して身体を温めるという、クナイプの水治療が誕生しました。温水と冷水の温度差を利用したり、水圧をかけたりすることで「人が本来もっている力を発揮できる」ことを発見したのです。

 

完全に健康を回復し新たな活力を得たクナイプは、当時の修道院で盛んに行われていた薬草(ハーブ)の研究も含め、「自然はすべてを与えてくれる」という哲学のもと、神父としてバード・ヴェリスホーフェンに着任した後も研究をつづけ、人々を助けました。

 

いつしか「人を健康にする神父がいる」ということが国内の話題になりました。その神父こそクナイプなのです。当時の写真を見ると、クナイプ神父を頼ってやってくる人々の数が百人や千人では収まらないことが分かります。

 

その後クナイプは、クナイプ療法の体系化、「5本の柱」の提唱などを行い、著述家や講演者としてもヨーロッパ中に名声を轟かせました。

 

晩年、クナイプの精神と信頼を守るため、彼と同じ信念をいだく薬剤師レオナルド・オーバーホイザーに、クナイプの名前と顔のイメージを使用した製品の販売を許可しました。それが1891年に創業したクナイプ社です。

 

製品は当時から自然で高品質のものにこだわりました。現在、クナイプ社で扱っているハーブには、クナイプ神父が研究したものと、その時代にはまだ効能がわからなかったものもありますが、製品は、昔も今もすべて原料から厳格な品質管理をしています。

 

1897年にクナイプ神父は天国に召されました。しかし、その志を受けつごうとする運動がおこるなど、創業以来、クナイプ神父の精神は現在に受けつがれています。