緊急報告:統合医療(東洋医学・心身医学) 心療内科指導専門医による診療の実際(その1)新型コロナ、軽症例でも脳損傷の恐れあり

7月11日(土)



統合医療(東洋医学・心身医学) のコラムで緊急報告をすることは、今回が初めてです。そこで、緊急対策:新型コロナウイルス感染予防対策<杉並国際クリニックの秘策>資料がお手元にある皆様は、資料をご参照の上、以下の情報をお読みください。

そのあと、資料全体を再読してご確認いただきたいと思います。

 

すでに、新型コロナ感染による血栓症予防のための「地竜」の活用法については、説明いたしておりますが、この「地竜」を、より早めに使用していただくことになる可能性があります。


私が「地竜」に期待しているのは、その有効成分であるルンブロキナーゼです。

 

ルンブロキナーゼ(lumbrokinase)は、元宮崎医科大学副学長(現宮崎医科大学名誉教授)美原恒が発見したタンパク質分解酵素の名称です。

名称の由来は、ルンブルクスルベルスという食用赤ミミズから抽出された物質であることによるもので、ミミズ酵素、みみず酵素とも呼ばれています。

現在、ルンブロキナーゼ(を含むとされるミミズの乾燥粉末)が健康食品として開発され発売されていて、国内は元より、海外でも関連商品が出回っています。


ミミズは古来より漢方薬として用いられていたため、血栓症の治療に使えるのではないかと考えた美原の研究により、ルンブルクスルベルスの内臓などから線溶活性を持つルンブロキナーゼ群が発見されました。

美原・須見がルンブロキナーゼについて学会報告をしたのは、1989年に東京で開催された国際血栓止血学会が最初です。


ルンブロキナーゼのフィブリン平板法の実験では、治療に使われるウロキナーゼよりもフィブリン溶解活性が強いという結果が示されています。

また、ヒト試験でも、ルンブルクスルベルス自身が持つ線溶酵素が線溶を行う(外因性の線溶活性)ことに加えて、被験者の持つ線溶活性酵素を分泌させる(内因性の線溶活性)ことが実験結果から推測されています。

 

これらのことから、ルンブロキナーゼには抗血栓作用があることが示されました。糖尿病、高血圧症、バージャー病などの患者にこの酵素を服用させた結果、それぞれの患者の病状が改善したという報告があります。

 

これらは、中医学あるいは漢方では、概ね血瘀または瘀血という病態に相当し、「地竜」は駆瘀血剤(瘀血を治す薬)であり、通経絡(「経絡」というエネルギーの流れの滞りを改善する薬)と考えることができます。


私は「地竜」によってCovid-19による脳血栓を予防することは、脳炎の予防や増悪を阻止するうえでも有意義である可能性があると考えています。また、「地竜」に限らず、一般に漢方生薬は抗アレルギー作用を持つものが多いことも強みであると考えています。


その理由については、以下に述べます。

 

 

英国の最新研究から


ウイルス感染によって小児で脳の炎症が引き起こされることがありますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者にも神経系の合併症リスクがあることは知られています。

COVID-19では、軽症の成人においても脳炎の有病率が増加しているようである、と英国の科学者たちは述べています。


英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の医学研究チームは8日、

せん妄や神経系の損傷、脳卒中など命の危険がある合併症は決してまれではなく、当初考えられていたよりも一般的で、軽症の患者にも深刻な問題を引き起こす恐れがあると警鐘を鳴らしました。

 


学術誌「ブレイン(Brain)」に発表された論文によると、

COVID-19と診断された入院患者と感染疑いの患者合わせて43人の神経系の症状を調べたところ、一時的な脳機能障害が10例、脳炎が12例、脳卒中が8例、神経系の損傷が8例見つかった。

 

この調査結果に基づいて、研究者は、臨床医が早期診断を行い、患者の転帰を改善するために、可能性のある神経学的影響を認識する必要があることを指摘しています。

 

本研究の上席著者であるUCLクイーン・スクエア神経学研究所とユニバーシティ・カレッジ・ロンドン病院NHS財団信託のマイケル・ザンディ博士は、次のように述べています。

我々は、脳の炎症などの神経学的疾患を持つ人の数が予想以上に多く、呼吸器症状の重症度とは必ずしも相関がないことを確認しました。」
「我々はCOVID-19に感染した人々の脳の合併症を警戒し、注意を払う必要があります。」

 

研究チームはまた、せん妄や脳卒中、神経損傷などの他の神経生物学的合併症も、この病気に関連していることを発見した。研究チームによると、研究対象となった43人の患者のうち、呼吸器症状が出なかった患者も含まれていました
 

脳炎が確認された患者のほとんどは、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)と診断されました。

そして、神経系の症状がみられた患者はいずれも、脳脊髄液から新型コロナウイルスは検出されず、ウイルスが脳を直接攻撃していないことが示唆されます。

 

そこで研究チームは「COVID-19の神経学的合併症のいくつかは、ウイルス自体ではなく、免疫反応から来るかもしれないことを示唆している」病気に対する免疫反応によって引き起こされた脳の炎症の証拠を発見したとの見解を付け加えました。
 

Covid-19は中国語では「新型冠状病毒素肺炎」と表記されますが、肺炎ばかりでなく脳炎を警戒する必要があることが明らかになってきました。

とりわけ、急性散在性脳脊髄炎という中枢神経系を散在性に急性かつ単相性に侵す炎症性脱髄性疾患は、麻疹、風疹、水痘などの主としてウイルス性感染症の発症に続いて起ことが以前より知られていました。

Covid-19の原因ウイルスであるSARS-V2も例外ではなかったということです。
 

この急性散在性脳脊髄炎は、また遅延型アレルギーの機序によって発症し、病理学的には中枢神経白質の静脈周囲の小脱髄巣と細胞浸潤がみられます。

発症は急性で、発熱、頭痛、嘔吐に始まり、項部硬直、せん妄、嗜眠状態、痙攣、麻痺(肩麻痺、四肢麻痺)、膀胱・直腸障害を来します。

これまででは水痘、麻疹、上気道感染後(3~7日)に発症することが多く、症状は数日で極期となり、一般的には数週間から2カ月で改善するとされてきました。

ステロイドパルス療法、血漿交換療法、大量免疫グロブリン療法などによって通常1~6カ月で回復し70~90%が予後良好とされています。


しかし、SARS-V2によるCovid-19では急性出血性白質脳炎といって、劇症型で発熱・髄膜刺激徴候が強く神経学的徴候も強いタイプである可能性もあります。

その場合、壊死性血管炎、高度の浮腫などがみられるため、意識障害、けいれん、四肢麻痺が出現し急速に進行するため、死亡率が高いことが予測されます。
 

そこで、当クリニック御通院中の皆様にとっては、すでにご周知のこととは存じますが、セルフメディケーション漢方セットを、予防の段階から、ガイダンス解説書を参考に、最大限に有効にご活用願えたらと存じます。