統合医療(東洋医学・心身医学) 心療内科指導専門医による診療の実際No1

7月4日(土)


特定非営利活動法人 日本心療内科学会 について

 

本学会は、政令によって「心療内科」という診療科名の外部標榜が認められた1996年12月8日に設立されました。内科医およびプライマリ・ケア医(総合診療医、家庭医を含む)のための心身医学の臨床に重点をおいた学術団体として結成されたのが本学会です。

 

このことから明らかなように、心療内科医は内科医であって、精神科医ではありません。

 

この法人は、わが国における心療内科学の学術研究の発展を図るとともに、
心身医療に携わるものに対して心療内科学の教育研修に関する事業や
災害による被災者への医療支援などを行い、
学術文化の発展と国民の医療・福祉・災害支援に寄与することを目的とする、とあります。

 

実際に心療内科医の活躍する領域は

① プライマリ・ケア:

身近に生じる健康問題に対して、身体のみならず心理社会的観点からアプローチし、継続的な健康管理活動を行う医療活動。
わが国ではプライマリ・ケア医=内科系開業医という誤解や、救急医療との混同が少なくありません。

 

② 総合診療:

専門分科に対して統合化を目指している科であり、とくに心理社会的背景により身体症状化した患者にも対応できる心身医学的素養要求される医療です。

 

③ メンタルヘルス:

心の健康の保持増進を中心として、精神障害の予防を目的とする精神保健です。主として、ライフステージ(家庭・学校・職場・地域等の「場」)やライフサイクル(学童・思春・青年・成人・老年期などの「年代」)における精神保健が主たるテーマになります。

 

④ ストレス・マネージメント:

ストレス性疾患の治療や予防あるいは健康増進を目的とする種々のストレス対処法を総称したものです。具体的には、ライフスタイルの修正、体重コントロール、運動・栄養指導、環境調整、漸進的弛緩法、自律訓練法、認知行動療法などがあり、杉並国際クリニックでも積極的に取り組んでいます。

 

その他にも
⑤ 医学教育:

主に医学部による教育を指しますが、杉並国際クリニックでは、従業員向け
医学教育の他、患者向けの健康教育に力を注いでいます。

 

⑥ サイコオンコロジー:

癌医療における患者・家族・医療スタッフの心理・社会的ケアに    
焦点をあてる学問です。杉並国際クリニックでは在宅医療を行っていないため、癌発見時の患者に対する心理・社会的ケアが中心です。

 

⑦ 緩和医療 :

生命を脅かす疾患に起因した諸問題に直面している患者と家族の生活(人生)の質を改善するアプローチです。杉並国際クリニックでは、生命を脅かす疾患ではないが、線維筋痛症をはじめとする難治性疼痛性疾患患者を多数経験しています。

そうした患者に対するアプローチにも緩和医療の考え方が有用であるため、痛み、その他の身体的、心理的、スピリチュアルな諸問題の早期かつ確実な診断、早期の対応によって苦しみの予防と苦しみながらの解放を実現する緩和医療のメソッドを活用しています。


⑧ 災害医療:

災害(地震、火災、津波、豪雨水害・豪雪、火山噴火、または航空機事故などの大規模な事故)により、対応する側の医療能力を上回るほど多数の医療対象者が発生した際に行われる、災害時の急性期・初期医療のことを指します。ただし、杉並国際クリニックでは、災害医療に携わった経験はほとんどありません。

 

 

杉並国際クリニックでは、上記の①から④が中心です。職場のストレスによる健康障害の相談が多いため、産業医の上位資格である労働衛生コンサルタント(国家資格)を生かした外来サポートによる職場復帰(リワーク)プログラムを充実させてきました。水氣道®や聖楽院での活動も有意義な役割を発揮してきました。⑧の災害医療としては、これまで東日本大震災等でも主体的な役割を果たす機会は乏しいものでした。

しかし、災害の定義を拡張すれば、今年のCovid-19によるパンデミックはまさに災害に匹敵するものと考えます。この新たな災害を経験することによって、心療内科医としての災害医療への係りの大切さについて認識が深まりました。