7月3日(金)
新型コロナ流行で困っている人が増えています。マスクをしていても咳をしているだけで周囲から露骨に冷たい視線を浴びせかけられたり、明らかに大げさに回避されたりすることもあるようです。
咳喘息は、慢性咳嗽の原因疾患の中でわが国では最も頻度が高いものです。しかも、特にアレルギー体質の人に多く発症すると報告されており、近年患者さんの数は増加しています。女性に多い傾向があり、しばしば再発を繰り返すこともあります。
咳喘息は、慢性的にせきのみが続く気管および気管支の病気です。
咳喘息はアレルギーによって起こる病気です。
アレルギーによって起こる咳は気管支喘息がありますが、気管支喘息のようにヒューヒュー、ゼーゼーや呼吸困難をともなわない、咳だけの喘息が咳喘息です。
ただし、喘息と同じでさまざまな刺激に対して過敏に気管・気管支が反応して狭くなり、炎症やせき発作が引き起こされてしまいます。
その要因としては、ハウスダスト、カビ、ペットの毛、花粉、冷たい・暖かい風、タバコの煙、会話、運動、飲酒、精神的緊張などが挙げられます。
このような症状は咳喘息を疑います
2週間以上咳が続く:
風邪と一緒に起こることが多く、風邪をひいたあとに2~3週間以上せきが続くことがあれば、発症した可能性があります。
かぜや花粉症の時に咳が続く:
発熱や痰などの風邪症状が治まったにもかかわらず、咳だけが全く治まらないといった症状が8週間以上続いている場合は、咳喘息の可能性が高いです。
ある季節になると咳が続く
空気の変化やたばこの煙、飲酒、会話などでせきがでる
夜に咳がひどくなりせきで眠れない
ヒューヒュー、ゼーゼーや呼吸困難をともなわない
夜に咳がひどくなり眠れない
小児喘息であった
診断について
気管支結核や肺癌による気道狭窄、気道異物、胃食道逆流症による咳嗽などの鑑別を十分行います。そのうえで気管支拡張薬にて鎮咳傾向が得られれば、咳喘息と診断することができます。
治療について
咳喘息は風邪と間違われ、風邪薬、抗菌薬(抗生剤)、咳止めは、咳喘息には効きません。治療としては、気管支拡張薬(気管支を拡張させて通気をよくし、呼吸を楽にする薬)や吸入ステロイドを中心に行います。
咳喘息では気管支喘息と同様に気道の過敏性が亢進し、気管支が狭くなっているため気管支拡張剤が速効的に効きます。
ただし、気管支拡張剤で咳は止まりますが、治療はこれだけでは不十分です。咳喘息の病態はアレルギー性の気道の炎症だからです。
吸入ステロイドに関しては、内服薬のステロイドと異なり、気管・気管支に直接作用するために全身的な副作用が少なく、局所の炎症を抑える効果があります。
現在、吸入ステロイドと気管支拡張薬が一つになった吸入薬も発売されており、治療として用いられています。
薬物療法以外にも有効な治療法があります。それは、咳発作の引き金となる要因の除去もしくは軽減をはかることです。そして、そのような環境で有酸素運動をして、呼吸機能をはじめとする体力の向上と、過敏性体質の改善を図ることです。
室内の温水プールの環境では、ハウスダスト、カビ、ペットの毛、花粉、冷たい・暖かい風、タバコの煙など、いずれからも守られた環境であるといえます。
また、健全で豊かな文化的生活を営む上では、会話、運動、適度な飲酒、精神的緊張などは回避ばかりしていても解決には繋がりません。
水氣道®で継続的かつ計画的に心身を鍛えることによって他の喘息と同様に咳喘息を克服できた方は、20年間の活動で凡そ300名程度です。
水氣道である程度鍛錬した後に聖楽院での呼吸法・ボイストレーニング・歌唱レッスンに進むことができれば、陸上でも「咳」から解放された日常生活を送ることができるようになっていきます。
予後について
気管支拡張剤で咳は止まっても、喘息と同様に気道の炎症をおさえないと、再度風邪やアレルギーで刺激を受けるとすぐに再発をします。
炎症を繰り返すうちに5年以内に3,4割の患者さんが気管支喘息に移行します。
この流れを防ぐには早い時期から吸入ステロイド剤を使って気道の炎症を抑える必要があります。 咳症状が治まったからといって治療をすぐに止めてしまうと再発する可能性があるので、咳が止まっても気道の炎症をしっかり抑えるために、吸入ステロド剤を少なくとも数ヶ月は使用する必要があります。
また、自然に症状が治まることもありますが、約30%が喘息に移行すると言われています。喘息への移行を予防するためにも、早い段階から吸入ステロイドによる治療と継続的なケアが必要とされています。水氣道®の継続によって、まず内服薬を終了し、次いで吸入ステロイドを徐々に減らすことができます。
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