特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』感染者 実名で証言 その思い ⑥

6月28日(日)

 

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症例12(その6)


第6節:実名証言 もう1つの理由 


僕はお店を経営しているんですけども、そこのSNSに実名と感染の事実を書いているので。あと、保育園の関係で、感染しましたというのを先生からプリントで公表してもらって、それに対して親御さんたちからうわさみたいなのが出ているというのは聞いています。


なんか僕の感覚では、ひぼう中傷したりとかは感じられなくて、やっぱりみんな保身なんじゃないかなと思っていて、友達とか連絡もらうときも「感染経路わかったの?」とか「濃厚接触者いるの?」とか早々に聞いてくる人が結構な人数いて、やっぱり自分はかかりたくないというのがいちばんに来ているのかなとは思います。本当に優しい励ましをくれる人とかもいるから、みんながみんな嫌がっているわけではないんですけど。やっぱり自分の保身なのかなというところはあります。


僕がいちばん危惧していたのは、うわさとか作られた事実じゃない話が拡散してしまうというのがいちばん怖かったので、これ以上広げないために何かできないかなと思って公表した部分もあります。


かかっていても言い出せない人がいっぱいいるんじゃないかなと思います。でも誰もが悪い人じゃないですし、かかったらみんな治していくほうに変えられないかなとは思います。

 

有名な方というのは、仕事を飛ばしてしまったこととか、心配をかけたことに対して謝罪することはいいと思うんですね。立場とかもあるし。でもあんまりむやみに謝るのは、みんなにごめんなさいというのは、違うのかなと思っていて。遊んでいたからかかるわけではないですしね。真面目に仕事をしていてもかかるし、ちゃんと感染予防したってかかると思うので、本当に誰がかかるか分からないですよね。かかっている人に罪はないと思います。

 

今後、新型コロナウイルスに感染した人に対して、差別とか悪い発言とか、SNSとかありますし、そういうのが増えると思うんですね。それ、理由としては自分の身近な人がかかっていないというのもあるだろうし、リアリティーが持てていないんじゃないかなとも思います。自分だけよければいいという気持ちではなくて、もうちょっとこう、社会全体とか世界で新型コロナウイルスがなくなるように考えてもらえないかなと、僕はちょっと思います。


だから、みんなでちょっとずつ我慢して、ちょっとずつ感染を減らしていくのを考えたほうがいいんじゃないかなと思っています。


(4月21日取材 さいたま放送局 古市駿)


コメント

証言者の小島さん、取材者の古市さん、とても貴重な資料を残してくださってありがとうございます。あなた方のような働きをしてくださる人々が元気でいてくださる限り、皆が明日に向けての希望を失わずに生きていけるというものです。

 

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