特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』症例10:本当に治っているのか?不安は現実に… ③

6月17日(水)


症例10(その3)


第3節:1人きりの自宅療養


女性は4月13日に感染が確認され、軽症とされた。神奈川県は医療崩壊を防ぐため、軽症の人は原則、自宅か県が指定した宿泊施設で療養することになっている。女性は自宅で過ごすことを選んだ

 


主人は実家に行ってもらって、私は1人で家に残って過ごしていました。

これからどうしようという不安(註:不安な患者を孤立させるだけの隔離が、どれほど非人道的なものであるかを反省する必要があります。隔離政策をとる以上は、必要なケアを提供すべきであると考えます。単純な隔離は、患者に不安感だけでなく無力感や罪悪感を抱かせます。そして精神的な不健康のみならず体力の低下や免疫力の低下をもたらします。)だけ。

薬もまだできていない(註:狭い意味での特効薬はできていませんが、予防薬や悪化防止のためのレメディーは知る人は知っています。常備薬5点セットがどれだけ患者の支えになるか、行政もしっかりと目を覚ましてほしいものです。)ですし、私はまだ軽症者なので、そこまで苦しい思いはせずに過ごせたんですけど、治るのかなっていうのがただ不安でした。


ずっと自宅に1人でいる形なので、同じ気持ちを保てるわけではなく、その日その日で違う。元気なときは症状が落ち着いてるから、不幸中の幸いだなって前向きに思えたんですけど、やっぱり不安な気持ちが押し寄せることもあって、落ち込むこともあった。ニュースで、軽症の方が急変したとか、亡くなったとかいうのを見てしまう時間も多かったので、誰が助けてくれるんだろうなって。誰も分からない病気なのに、1人でいないといけないっていうのは不安でしかなかったですね。早く治って家族と会いたいなって思っていたけど、それよりも不安でした。

 

第4節:これで終わりですか?

健康観察期間は2週間。症状は治まり自宅療養も終わりが見えてきたが、女性はさらに不安を感じることになる

 

2週間たつ前に、主人が濃厚接触者だったので14日に検査を受けて、17日に陰性と判明した。その報告が保健所から来たんです。

そのときに「私は次にいつ検査を受けるんですか? 病院から来てくれっていう連絡があるんですか?」とお聞きしたら、「軽症の方は検査ありません」(註:プロ野球の選手は、軽症どころか無症状であるにもかかわらず、陽性反応を示したというだけで、陰性になるまで毎日PCR検査が受けられるという報道を聴かされたら、全国の発病者は素直にプロ野球を応援する気になれるでしょうか?米国のような明らかな人種差別がない日本にも事実上の差別や格差があります。欧米のような暴動が起きないのは日本人が大人しいからだと信じられています。)と言われてしまって。

さらに「保健所から手が離れているので、今後何かあれば自宅療養サポート窓口に連絡してください」と言われた。

 

2週間となる4月27日、自宅療養サポート窓口から電話が入った。「体調に問題がない」と答えるとー

「健康観察期間が終了しました」と、ただそれだけを元気よく言われて。「これで終わりですか?」という話しをしたら、「1か月程度はマスクをして過ごしてください」と、それだけです。本当にそれで終わりました。

家族にも会社にも報告しないといけないのに、治り方が分からないのに、本当にどうしたらいいんだろうというふうにしか思えなくって…。保健師さんに言っても、「私たちではどうすることもできません」と言われてしまって。検査を受けさせてもらえないので、私の最後の結果は陽性のままになってしまうので、混乱しかなかったです。

 

<明日へ続く>