<統合医学(心身医学・漢方医学)カンファランス>


日本感染症学会特別寄稿

感染症に対する漢方治療の考え方

金沢大学附属病院漢方医学科 小川 恵子

 

 

はじめに

まだ抗生物質もワクチンもなかった時代、日本の伝統医学である漢方医学の主要な対象は感染症でした。しかし漢方薬が重篤な感染症にも有効であるという事実は広くは知られていないと思います。

漢方医学の専門家という立場から私見を言えば、漢方の現代医学とは異なった感染症へのアプローチは、今日でも役立ちます。

しかし筆者は、この COVID-19 のパンデミックへの漢方医学の貢献の可能性に関して積極的に発言するのを避けてきました。

なぜなら、エビデンスが確立していないからです。

 

また、中国と日本では、気候や体質が異なるため、異なった病態を示す可能性も多くあり、本来は漢方医学診断から処方を決めた方が効果が高いと推察されるからです。

しかし、数多くの呼吸器内科医や救急医の友人たちから、「患者さんに役立つならば是非効果のありそうな処方を知りたい」という要望があり、現状で分かっていることで、漢方が役立つ可能性を伝えるという視点から、主に中国の診療ガイドラインを参考に、現在までに分かっている漢方医学的・中医学的な知見を簡潔にまとめました。

しかし、日本の漢方医学にはいくつか中医学と異なる点があります。臨床的にみて最も大きな違いは、中国では生薬を組み合わせて煎じ薬を新たに創るのに対し、日本では保険診療で認可された、固定した処方のエキス製剤を使うことが多いことです。そのため、中国からの報告を日本での保険診療に役立てるには、中国の中医学的指針の単なる翻訳ではなく、適切な補説を伴った翻訳が必要と感じました。

 

実際の臨床に役立ち、重症化の防止や、重症化した患者さんの早期回復に役立てれば幸甚です。 また、記載内容について不十分な点もあるかと思います。ご意見がありましたら、是非ご連絡いただければと思います。

 

 

 

杉並国際クリニックからの追補

著者の小川恵子先生は、名古屋大学医学部出身の医学博士で、現在は金沢大学附属病院漢方医学科特任准教授です。

東洋医学会の漢方専門医の中には私以外にも同様の発想で国内向け処方案を考案する方がおられるだろうと予測していたところでした。

ただし、小川先生とは直接の面識はありません。先月の<統合医学(心身医学・漢方医学)カンファランス> にて毎週土曜日に連載しましたが、好評につき、さらにわかりやすくまとめてみることにします。

 

小川先生は『漢方医学の専門家という立場から私見を言えば、漢方の現代医学とは異なった感染症へのアプローチは、今日でも役立ちます。』と書いていますが、これは患者さん向けでなく、日本感染症学会会員の医師向けのメッセージであることが大切です。

 

日本感染症学会の専門医で漢方薬を使いこなせる方は少ないだけでなく、エビデンス病の患者が多いこともあり、そもそも漢方薬など効くはずがない、と思い込んでいる頭の固い方が少なくないからです。だからこそ小川先生「私見を言えば」と控えめな表現をとらなければならなかったのだということは私には良く理解できます。

 

新しい病気や未知の病気が蔓延したとき、西洋医学では早期の対応ができないことが多いです。原因やメカニズムがわかって診断がついても、治療方法やワクチンなどの予防法が確立するまでに時間がかかります。これに対して、漢方医学は、患者さんの確定診断が得られなくとも、折々の個々の病態に叶った個別的な治療対応が直ちにとれることが大きな強みだと思います。

週間<外国語>旅行

Sanidad:Crisis del coronavirus
健康:コロナウイルス危機No1

 

La realidad de la pandemia en las funerarias: "Hay muchos más muertos de los que dicen"
葬儀場でのパンデミックの現実:「彼らが言うよりも多くの死者がいる」

 

• VÍCTOR MONDELO
@VMondelo
Barcelona
Actualizado Sábado, 25 abril 2020 - 09:51

 

El sector funerario está convencido de que la mortandad por el coronavirus acabará superando, en mucho, lo que reflejan las estadísticas oficiales del Gobierno

葬儀業者は、コロナウイルスの死が政府の公式統計を大きく上回ると確信している

 

Dos operarios junto a un féretro en el tanatorio de San Juan de la Cruz, en Segovia. REUTERS

セゴビアのサンファン・デ・ラ・クルスの遺体の棺に取り組む2人の作業員。ロイター

 

«Esto es mucho más grande de lo que están diciendo. La magnitud de lo que está sucediendo es mucho mayor a lo que antes se decía sin tener en cuenta las muertes fuera del hospital, y sigue siendo superior a lo que están diciendo ahora». El sector funerario no alberga dudas: la mortandad provocada por la crisis sanitaria acabará superando, en mucho, lo que reflejan las estadísticas oficiales del Gobierno, incluso tras la corrección realizada para incorporar fallecimientos en geriátricos y domicilios.

「これは彼ら(政府)が言っているよりもはるかに大きい件数です。何が起こっているかの大きさは、病院の外での死亡に関係なく、以前に言われたものよりもはるかに大きい数字であり、それは彼ら(政府)が今言っているよりも高い状態のままです。」と葬儀業者には疑いを挟む余地がない:健康危機によって引き起こされた死者数は、老人や家庭での死亡者数を組み入れる補正を行っても政府の公式統計上の数をはるかに越えるだろう。

 

Habla con meridiana claridad Fernando Sánchez, director de comunicación del Grupo Mémora, el principal operador funerario de la Península Ibérica, con 140 tanatorios en España y Portugal. «En Barcelona hemos multiplicado por cinco el número de defunciones. De 40 de media hemos pasado a días de más de 200. Eso sigue sin cuadrar con las cifras que ahora se están dando. Todavía estamos lejos de la realidad», prosigue el portavoz de Mémora, quien, además, subraya cómo el coronavirus está teniendo una «incidencia global» en el aumento de la mortalidad en España, no sólo por los fallecidos que causa directamente el virus, sino por otras muchas muertes indirectas generadas por la crisis sanitaria. «Están los que mueren por Covid-19, por causas vinculadas al Covid y luego los que mueren por no haber podido ir a un hospital por estar colapsado, o los que no se atreven a ir con síntomas de infarto y acaban muriendo en casa. Hay una serie de muertes colaterales a esta crisis del Covid que hace que la mortalidad sea mucho más elevada», certifica Sánchez tras comprobar de primera mano la evolución de la pandemia en su amplia red de tanatorios.

イベリア半島の主要な葬儀オペレーターでスペインとポルトガルで140の葬儀場を取り仕切っているグルーポ・メモラの広報責任者のフェルナンド・サンチェスは、明快に語る。「バルセロナでは死者数が5倍に増えた。1日平均40件が200日以上続いています。それはまだ今も公表されている数字とは一致しません。我々はまだ現実から遠く引き離されているのです」と。メモラのスポークスマンはこう続けます。「コロナウイルスで直接亡くなった方だけでなく、健康危機によって引き起こされる他の多くの間接的な死亡のために、コロナウイルスはスペインの死亡率の«全体の増加に大きく関与する因子»です。」「Covid-19のために亡くなる人は、Covidに関連して亡くなる人、転倒してしまい病院に行けずに亡くなる人、または心臓発作の症状があるためにあえて通院せず家で亡くなる人も含まれています。「このCovid危機には、こうした一連のコロナ関連死があるため、死亡率をより高くしています。」と、サンチェスは、広範な葬儀場のネットワーク内でのパンデミックの拡大を直接目撃して確信しています。

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤い文字として区別しました。


症例1:感染 治療なき入院 20代女性が語る

3月12日、27日取材(札幌放送局 北井元気)
20代の女性は3月5日に感染が確認され、20日間近く入院しました。「自分が感染するとは全く思っていなかった」という女性。あまり知られていなかった症状や入院中の日々などを語りました。

 

第1症例(その5)(3月12日、27日取材 札幌放送局 北井元気)

 

第4節:“自分はかからない”後悔と教訓

入院中、女性が『何より心配だったのは濃厚接触者となった家族や友人のこと』(⇒医学原理1:戦略3:戦術3)だった。感染するまでの本音と、感染して痛感した教訓を語ってくれた。

 

家族は濃厚接触者なわけじゃないですか。『どうしても肩身の狭い生活をするというか、“コロナの菌”みたいな感じで思われるだろうし、その目をすごく気にしているんじゃないかな』(⇒医学原理1・2・3:戦略1・2・3/戦術1・2・3)と思うんですよね。日中は外を出歩かないようにしているんじゃないかなと思うんですよ。そこが『申し訳ない』ですよね。

 

人によっては、汚い、悪い菌を持ってる人たちみたいな、そういうふうに思う人はいるんじゃないかなと思うんですよ。テレビで見てたら、ただアジア圏ってだけで差別されるという話をやってるので、家族はすごく気にしているっていう感じが連絡とっていたらわかりますね。

 

正直、テレビであんなにやってはいたけれど 『自分はかからないだろうと、自分がかかるわけはないだろう』と思っていました。北海道で感染している人は、私がかかったときは90人もいなかったのかな、『まさかその中に自分が入るなんて全くと言っていいほど思ってもいなかったし、隔離されるような経験をすると思っていなかった』ので。


60代以上の人たちがかかっていて、20代30代の人がかかってるとはあんまり言われていなかったので、『かかっても簡単に自力で治せると思ってた』(貴重な教訓ですね。これが戦略1に直結します。)のが正直な気持ちです。


『思いのほか時間がかかったことの衝撃というか、びっくりした感じ』なんですが、家に帰ってきてまず安心しました。


本当に基本的なことになっちゃいますけど、手洗いとうがいの徹底。アルコールはなくても、せっけんでもいいから、ちゃんと手を洗ったほうがいいんだろうなって、今になって思います。

 

あとはちょっとした体調の変化を軽く考えないで、少しでも変化があれば外出は控えてみるということが大事なんじゃないかなと。簡単に治る病気ではないので、『自分たちが原因』(⇒戦略1・戦術1)で、もしかしたら『誰かにうつしてるのかもしれない』(その通りですね。ただし、もう少し視野を広く持っていただけたら一層素晴らしいと思います。⇒戦略2・戦術2;戦略3・戦術3)と思ったら、手洗い、うがいをちゃんとしておけばよかったなと、それに尽きますね

 

週間<外国語>旅行

イタリア北部のヴェネト州のルカ・ザイア知事はズバリと本音を言うイタリア人気質の人物です。

ロシアの通信社、スプートニクの中国語版サイトが2月29日付で配信した記事では「中国はこの感染症で大きな代償を払った。なぜなら私たちは、彼らが生きたネズミやそのようなものを食べるのを見ているからだ」などと発言した。

これに在イタリア中国大使館が反発して「このような困難な時期に、中国とイタリアが感染症の流行に肩を並べて対処している時、イタリアの政治家は中国の国民を中傷した」などと抗議すると、さすがのルカ・ザイア知事も「もし誰かの気分を害したなら、謝罪する」と述べたといいます。

 

柳川という記者が翻訳して編集しているサイトで知りました。


中露の双方の情報を収集しているので<ロシアの通信社、スプートニクの中国語版サイト>という情報ソースが気になるところではあります。

 

さて、新型コロナウイルスの感染が早い段階で拡大していたイタリア北部のヴェネト州知事であるザイア氏は4月6日、新型コロナに対する抗体の有無を判別する抗体検査が医療従事者を対象に開始しました。手始めに2000─3000人の医療従事者に抗体検査を実施し、その後、高齢者施設の従業員や利用者、国民との接触機会が多い職員に対して実施するという段取りでした。

 

ここまでは賞賛に値します。少なくとも医療従事者自らが感染しているかどうかの確認をさせないまま医療の最前線に立たせている日本政府よりは、遥かに理性的です。

しかし、その後が良くなかったようです。ザイア氏の試みは、最終的に新型コロナの抗体がある個人が仕事に復帰するための「ライセンス」を発行することを目的とするものだったからです。

 

以下はイタリアの新聞記事です。中国に嵌められたことに気づいたときには、すでに手遅れ。背に腹は代えられない、という緊迫状況にあって、ますます中共の術中に嵌って抜け出せなくなっている、という状況なのでしょうか。

 

Il Veneto che lavora col virus Qui si "costruisce" la Fase 2

ヴェネト、ここではウイルスと共存して働き(流行の)第2相を「構築」する

 

In Veneto il 40 % delle imprese di fatto lavora. Il Giornale.it è andato a documentare questa realtà. Ieri Zaia ha firmato la nuova ordinanza: via libera alla vendita da asporto, cimiteri e fiorerie aperte e manutenzioni da diportismo.

ヴェネトでは、事実上40%の会社が稼働している。イル・ジョルナーレ紙はこの現実を報告した。昨日ザイア知事は新条例に署名した:

 

 

Serenella Bettin - Sab, 25/04/2020 - 22:44
commenta
È il Veneto che riparte. È il Veneto che vuole ripartire. Soprattutto da oggi. Zaia ha firmato la nuova ordinanza in vigore dalle 15. Questo complice il controllo del contagio, le curve in ribasso, la responsabilità e la civiltà dei cittadini e il fatto che, di fatto, in Veneto già il 40 % delle aziende lavora.

再開するのがヴェネト州だ。再稼働したいのがヴェネト州だ。今日からは特に、である。
ザイア知事は午後3時から施行するこの新しい条例に署名した。これは、伝染の抑制、下降曲線、市民の責任と文明を複雑なものにし、しかも実際、ヴェネト州ではすでに企業の40%が働いているという事実があるのだ。

 

Noi del Giornale.it abbiamo fatto un viaggio per questo Veneto che riparte. In giro si vedono moto, auto, camion, parcheggi pieni, gente per strada, tutti rigorosamente con la mascherina. Ma soprattutto si vedono aziende che vogliono ripartire, che si stanno dando da fare, che stanno mettendo tutte le forze in campo possibili inimmaginabili per ripartire in sicurezza.

イル・ジョルナーレの記者である我々は、再開するヴェネトを旅行した。オートバイ、自動車、貨物を満載したトラック、通りの人々は皆マスクを装着しているのをあたりで見ることができる。しかし、とりわけ再開しようとしている会社、稼働している会社が目につくが、安全に再開するという想像もつかない考え方にすべての力を注ぎこんでいるかのようだ。

2020年現在の外来診療において、重点を置くべき領域の筆頭が呼吸器疾患であると考えます。これをA.一般診療とB.専門診療にわけて概観してみましょう。

 

A.呼吸器疾患の一般診療

 

かぜ症候群インフルエンザ肺炎肺結核非結核性抗酸菌症喘息慢性閉塞性肺疾患(COPD)が重要疾患群です。

これらの疾患群はすべて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との鑑別や合併に気を付けなければならない疾患です。COVID-19は、かぜ症候群として発症し、たちまちインフルエンザ様症状を呈し、急激に肺炎を招いて死亡する劇症例が問題になっています。

また、喘息慢性閉塞性肺疾患(COPD)を持病とする方は、こうした基礎疾患をしっかりとコントロールしておかないと罹患しやすくなるだけではなく、重症化のリスクも高いということを認識しておかなければなりません。

 

なお、喘息に関しては、花粉症湿疹(アトピー性皮膚炎・接触皮膚炎)はもとより、蕁麻疹皮膚掻痒症などを伴うことが多く、アレルギー専門医にとっては中核となる疾患群とともに、内科の全領域をも超える総合アレルギー診療が必要です。

 

 

B.呼吸器疾患の専門診療

 

間質性肺炎肺高血圧症睡眠時無呼吸症候群呼吸不全・在宅酸素療法などの疾患は、専門医による管理・治療が必要な代表的な呼吸器疾患です。

 

これらのうち杉並国際クリニックで常に注意を払っているのは間質性肺炎です。

その理由は、専門医としてリウマチ診療を行っているからです。関節リウマチは、関節や滑膜などの運動器系の疾患であると誤解している方も少なくありませんが、間質性肺炎などを含む内臓症状を呈する全身病です。

関節リウマチの診断がつけば、間質性肺炎は常に警戒しておかなければならない疾患でありうえに、関節リウマチの治療薬の主薬であるメトトレキサートの主要な副作用として間質性肺炎があるからです。

そのため、間質性肺炎の早期発見のため、診療の際には必ずパルスオキシメータ―という小型装置を用いて動脈血中の酸素分圧濃度を計測しています。

通常では96~99%の範囲ですが、93%以下で准呼吸不全、90%以下では呼吸不全と評価します。関節リウマチの患者さんの中で、たった1例ではありますが、急性間質性肺炎を発症し、呼吸不全となり、近位で在宅酸素療法を受けるに至ったケースを経験しています。

 

また睡眠時無呼吸症候群は、閉塞性(OSA)と中枢性(CSA)とがありますが、閉塞性(OSA)が大多数を占めます。OSAの新規患者が2010年で年間650万人を越え、この17年間に15倍に増加し、不眠患者数とほぼ同数になったと報告されました。

 

OSAは、高血圧糖尿病虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)心不全脳卒中慢性腎障害(特に重症例)うつ病などでさらにその頻度は増加するので、根本的な解決のためには、呼吸器専門医というより、心療内科をも加えた総合内科的アプローチにより基礎疾患のコントロールをはかることが重要だと考えます。