5月23日(土)特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう、症例5:ガラス越しに 夫にトランシーバーで呼びかけた ④

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ5症例の研究

 

症例が増え、5症例目となりました。

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。


症例5:ガラス越しに 夫にトランシーバーで呼びかけた

4月7日取材 社会部 山屋智香子

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。関東地方に住む50代の男性は新型コロナウイルスに感染し一時、重篤となりました。妻が、夫の発症から治療、そして感染者の家族だからこそ思うことを語りました。

 

症例5(その4)

第5節:ガラス越しの呼びかけはトランシーバーで 

ECMOは外すことになったが、夫はその後、徐々に回復し意識が戻った。4月7日の面会ではトランシーバーを使って夫に呼びかけることができた

中には入れませんので、先生が中と外をつなぐ電話のようなものを用意してくださって、看護師さんがそれを夫の耳元に当ててくださって、私の声を聞いてもらった。

ただ気管切開していて声を出すことができないので、私のことばがわかっているのかわかっていないのか、それはわからない。本人はもどかしいと思いますけど。とりあえず近況と、家族はみんな元気でいること、みんなが心配していることと、よくなったら何しようってことを話しました。

 

寝ている間は命をつないでほしいということを思っていましたけど、目を覚めたときに何もしてあげられないというのはもどかしい(よくわかります。医師や看護師も同じか、それ以上の衝動に駆られやすいのです。このような場合、何をするべきか、ということより、どのようにあるべきか、が大切であるとされます。そうした分別が無いと、自分のその場のもどかしさに負けて、つい余分で有害なことをして、かえってその後の患者の容態を悪くしかねないのが信仰の力の乏しい大方の凡人なのです。私自身も決して例外ではないので、肝に銘じております。)気持ちにかられてですよね。

 

横で声をかけてあげられるのならしたいし、手を握ってあげられるなら握りたいし、足をさすってあげたいと思うけど、それはできない、それはもどかしい。この後どういう過程で回復していくのか、私はわからないから。それに本人が耐えられるのかなとか、そういうことも考えてしまいます。

 

<明日に続く>