取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究
新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。
以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。
症例4:集団感染 それから起きたこと
4月2日取材 北見放送局 関口祥子
新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。集団感染が起きた北海道北見市の展示会に参加していた60代の男性。激しい症状とのたたかいや感染後の苦境を明かしました。
症例4(その2)
第2節:数日後「なんか変だな」
2月の18日、19日(14日、15日の展示会から約4日経過しての発症。WHOによると潜伏期は1から12.5日、多くは5~6日、厚生労働省によると14日以内としています)あたりにね、悪寒ていうのかな、寒気がする状態(ひょっとしたらアレルギー性鼻炎があって、大きな声で話をして、お酒を飲んで賑やかにするタイプの方かもしれません。漢方薬では「麻黄湯(まおうとう)」が効き易いです。もしかするとスモーカーかも。杉並国際クリニックの前身である高円寺南診療所の時代には、このタイプの方がたくさんいらっしゃいました。慢性的に鼻咽頭や気管支等の気道粘膜に炎症がある方は、それに慣れてしまって喉の痛みなどを感じないことがあります。普段から喉が荒れている可能性もあります。そういうタイプであれば、常備薬セットNo2. 金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)が奏功します)でした。
ふだんはセーターなんか着ない(中医学・漢方では、「実証」という暑がりの体質であることを示唆します)んだけど、セーター着て仕事してたんです。なんか湯冷めするなって感じで布団に入ってもあったまんない。
熱なのかなっていうのは昼すぎから感じてた(実証の人は、体力やスタミナに自信がある人が多いが、その分、体調の変化を気づきにくいという弱点があります)。
たまたまその晩、飲み会があった(アルコール摂取は、ウイルス感染症を増悪させます)。
自分が言い出しっぺだったから断れなくて、焼き肉行ってすごくおいしかった(感染初期であり味覚・嗅覚は維持され、むしろ食欲旺盛、これも消化器系が丈夫な「実証」の特徴)。
でも、なんか具合悪いな、なんか変だなって思って、途中でちょっとトイレ行きたくなって、どうもならん感じになって、うちにタクシーで帰ったら37度8分くらい(体温には個人差があるため、一律に37.5℃以上、といった基準より、平熱より1度以上高い状態、といった目安の方がまだ妥当であったのではないかと考えます。)をかな、発熱(この方の平熱を仮に36.5℃程度だとすれば、37.8℃もはや微熱の域を超えて中等度発熱でしょう。このよう発熱の程度の凡その目安をつけられるようにするためには、普段の自分の平熱の範囲をきちんと把握しておくことも大切です)してる。
これはかぜかインフルエンザだと思って、一緒に飲んでた友達にLINE送って。「俺発熱してるから、かかったら大変だから気を付けて」(素晴らしい対処法です!)って。LINEが返ってきて冗談で「コロナかもしれないね」(互いにそのように警戒しておくことは、更なる感染拡大を防ぐためにとても大切です。<戦略1:『自分はすでに新型コロナウイルス感染者である』という認識で行動する>)でなんて言ってね。
「間が悪いね」(インフルエンザと新型コロナの症状は、初期には区別がつかず、また肺炎になると肺炎球菌性肺炎との鑑別も必要なので、毎年のインフルエンザ・ワクチンと該当年齢に達したら2種類の肺炎球菌のワクチンは接種しておくことによって冬季の感染症の罹患リスクをトータルで低くすることができます。きちんと接種しておくことをお勧めします)ないので、っていうやりとりはしました。
僕としては嗅覚や味、そういうものは違和感なかった(鼻咽頭から上部消化管症状は維持されているタイプ)。咳や痰も全然ない(呼吸器症状が先行しないタイプ)んですよね。
ただ、下痢(下部消化管症状が顕著なタイプ⇒常備薬セットNo3. 藿香正気散(かっこうしょうきさん)の出番です。この段階で内服を始めていれば、この後の経過はずっと楽だったと思います。)。
下痢と発熱。もう下痢が半端じゃない(激しい下痢に伴う、体液バランスの混乱、脱水による全身状態の悪化に伴う急性肺炎の発症に注意)。
トイレに1日に5、6回は行ってるんじゃない。なんでこんなひどいのかなって。
24日は振替休日でしょう? けん怠感すごかったから、いつも行ってる病院に点鼻薬もらいかたがた熱を診てもらった。インフルエンザだったら嫌だから検査(私は、従来からインフルエンザキットによる検査は実施しないことにしていました。この検査が普及することによるメリットよりデメリットが多いと考えてきたからです!当り前のようにこの検査をするのが常識になっていましたが、かえって感染を拡大させている可能性を憂慮してきました。この件に関しては、いずれ改めて!)してもらったら「大丈夫、インフルでないよ」って言われたから、あーよかったよかったなんて言って。
でも25日になっても熱下がらんし(この段階で、常備薬セットNo4候補の「地竜(じりゅう)」という熱さましを使用していたら、その後もずっと楽だったと思います)。
そしたら展示会の主催の会社からね、25日か26日に電話かかってきて、「コロナの患者が2人いた」(孤発例=感染源が特定できない感染者、ではないことを意味します。これは同時にクラスターが形成された可能性を示唆します)って聞いて。
これは間違いない、コロナだって確信した(この方は、とても素直に冷静なリスク判断をされているので関心です)。
<明日へ続く>
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