臨時の御報告:漢方薬など対症療法の効果=新型コロナ、症例解析へ―日本東洋医学会

日本東洋医学会は10日までに、新型コロナウイルス感染症やその疑いのある患者に対し、医師が処方した葛根湯などの漢方薬や、解熱鎮痛薬などの対症療法がその後の重症化の有無とどう関連があるか調べるため、医療機関に症例の報告を呼び掛けた。同学会は1000例規模を集め、統計的に解析する。
 

症例募集は医療機関が対象で、同感染症(疑いを含む)患者に対し、熱やせきなどを抑えるための対症療法として投与した薬の内容、受診開始から14日目までの症状の推移と、重症化(酸素投与)の有無などの情報提供を求めている。
 

研究事務局の東北大病院漢方内科の高山真・准教授は「感冒症状に処方する漢方薬には抗炎症・抗ウイルス効果、免疫調整作用などが報告されているものもあり、新型コロナウイルス感染症でも一定の効果が期待できる可能性がある」と説明。その上で、漢方薬を希望する際には医師や薬剤師と相談した上で内服するよう呼び掛けた。

 

以下は、日本東洋医学会からのトップページから緊急告知!

 

COVID-19 一般治療に関する観察研究ご協力のお願い

 

(軽症から中等症の COVID-19 患者(疑い含む)に対する西洋薬、
漢方薬治療による症状緩和、重症化抑制に関する多施設共同、後ろ向き観察研究)

 

目的:対症療法と重症化との関連性を明らかにする

 

令和 2 年 4 月 24 日

 

日頃より学会活動にご協力いただきありがとうございます。

COVID-19 に対する治療薬として、現在抗インフルエンザ薬(ファビピラビル等)、抗 HIV 薬(ロピナビル・リトナビル等)の治験が進んでおりますが、有意に効果がある標準治療はいまだ確立されていません。

このため臨床の現場の医療者の皆様におかれましては、現状 COVID-19 患者への対応に苦慮されていることと存じます。

今後さらに COVID-19 患者数が増加した場合、それに伴い重症患者数の増加も見込まれることから、医療ニーズ(マンパワー、酸素、人工呼吸器、ECMO など)は加速度的に増えることが予想されます。すなわちこのままですと医療崩壊のリスクはますます高まっていくと思われます。

 

そこで日本東洋医学会では、重症化に伴う医療ニーズ増加の抑制に少しでも寄与すべく、COVID-19 患者に対する様々な対症療法と重症化との関連性を明らかにすることを目的とした後ろ向き観察研究の準備を現在進めています

(研究事務局:東北大学病院)。

 

・実施されました対症療法の内容(アセトアミノフェン頓用、総合感冒薬内服、漢方薬の葛根湯や柴胡桂枝湯など)

 

・14日目までの症状の推移

 

・重症化指標(14 日目までの酸素投与の有無)
を治療後に症例登録表(匿名化)にご記入いただき、これを集計して事務局にてデータベースを構築します。

 

第二に、構築したデータベースを解析して、重症化と選択した対症療法との関連性を明らかにします。

 

第三に、この研究結果につきましては COVID-19 の今後の治療に役立つよう広く情報発信致します。

 

つきましては、COVID-19 患者を診療した医療者に皆様におかれましては、是非とも症例登録のご協力をいただきたく存じます。ご協力いただける方がいらっしゃいましたら、下記にご連絡いただければ幸甚です。後程詳細資料、手順書などをお送りさせていただきます。

 

是非、ご協力のほどお願い申し上げます。

 

一般社団法人日本東洋医学会  会長 伊藤 隆

 

 

コメント:

上記の研究の結果を実際の診療に使えるようになるのは相当先の話です。
それでも、研究参加者を募っているのは、発症のピークを先延ばしすることによって、急激な患者増が発生しないようにする戦略を取っているからです。つまり、現状の方向性が続く限りにおいて、今後の第何波かのピークの際には幾分役に立つかもしれないからです。

 

しかし、当クリニックでは、アセトアミノフェン頓用、総合感冒薬内服はおろか、漢方薬として葛根湯や柴胡桂枝湯などは予防や治療の有力候補リスト外であるため、このプロジェクトには参加しておりません。むしろ、私共がすでに実施し、実績を重ねている方法が、さらにどれだけ有効であるかの検証を進めていきたいと考えています。