5月15日(金)胆道癌と膵癌:膵がんNo2

膵がん診断までの検査

 

症状あるいは危険因子から膵がんを念頭に置いて2段階の画像検査を進めることからはじます。そして、最終的には細胞診あるいは組織診による病理学的診断により診断を確定します。

 

 

第1段階:超音波検査

超音波検査で明らかな所見が得られなくても、症状が続く場合や膵酵素や腫瘍マーカーの上昇を認める場合は、第2段階の造影CT検査などで確認することが勧められます。

 

まず早期診断のためのスクリーニングとしては、保険診療上抵触しない1)血中膵酵素測定や2)腹部超音波検査を十分に活用することが現実的です。

 

1)血中膵酵素としてはアミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1が重要です。

これらの検査は膵がんに特異的でなくても、下記のように早期診断に有用です。

・異常高値の場合は、膵液うっ滞、癌随伴性膵炎

・異常低値の場合は、膵組織の荒廃
       

なお、膵がんに多い膵頭部癌(約60%)では、直接ビリルビンや胆道系酵素(ALP、γ-GTP)が上昇するので検査項目に加えています。
      

膵がんでは膵臓からのインスリン分泌が低下するため、尿糖の検出、血糖の上昇、HbA1c高値となる場合がありますが、これらはルーチンに行っているのでスクリーニングに役立っています。また75グラムブドウ糖試験では糖尿病パターンとなります。

 

2)腹部超音波検査は、膵がんのスクリーニング検査として不可欠であるため、広く普及しています。まず、腫瘍の存在確認ですが、2㎝以下の膵がんでも約80%は腫瘤像や嚢胞を認めることができます。多くは低エコーで、内部エコーは不均一であるという特徴をもっています。それに加えて、主膵管の拡張所見を膵尾部にて発見できれば、膵がん発見の糸口になります。

 

杉並国際クリニックが関与できるのは、この段階までですが、逆にいえば、この段階で手掛かりがつかめない限り、患者さんの生命を救うことは困難である、ともいえます。

 

 

第2段階:造影CT、造影MRI検査、超音波内視鏡検査(EUS)

これらの検査を必要に応じて組み合わせて実施します。
膵がんが疑われCTなどでも否定できない場合には、超音波内視鏡検査(EUS)を行う必要があります。EUSは膵がんの存在診断の感度が他の画像診断より良好だからです。

 

 

病理学的確定診断:細胞診、組織診

悪性腫瘍は特に非切除治療を行う場合は治療の適否や薬剤の選択など、病理による確定診断を行うことが基本原則です。しかし、膵がんの場合、膵腫瘍からの組織や細胞採取が難しく、病理診断が行われないまま治療に進まざるを得ないことが少なくありません。そこで膵腫瘍の病理診断は、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による膵液採取による細胞診、あるいはEUS下穿刺吸引法(EUS-FNA)や体外超音波下での組織生検が推奨されます。