5月12日(火)特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』症例3:結婚記念日のクルーズ船旅行が… 夫を失った妻が語る1か月半 ⑦

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。

症例3:結婚記念日のクルーズ船旅行が… 夫を失った妻が語る1か月半

 

4月4日取材 社会部 山屋智香子
集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船して夫婦ともに感染。夫は発症から1か月半で亡くなりました。妻は「夫の死を無駄にしたくない」と感染症特有の怖さと無念さを明かしました。初めて語ったという経験をできるだけ詳細にお伝えするため、インタビューを一部整理した上で紹介します。


症例3(その7)

 

第7節:感染症で亡くなるということ

この日、いったんは持ち直したが、医師から受けたのは亡くなった場合の説明だった
「コロナというだけで、普通の葬儀社は受けてくれない(葬儀社だけでなく、あらゆる企業がリスクを回避して利益だけを追求する現状から、今後は少しずつ脱却していかないと相互不信社会が到来することになるでしょう)をから。病院であちこち当たって(このような業務を病院が引き受けなければならない現実も、医療崩壊を加速させています)、引き受けてくれるところがある。ただし普通だと1万円だか、1万5000円の火葬費なんだけれども、8万円かかる。それでもいいですか」っていう…(このような事務の仲介をすることは病院にとっての本来の義務でもなければ利益を得ているわけでもないので、ご家族にとっても事務担当者にとっても辛いやりとりであったと思われます)。良いも悪いもそれを頼む他ないし。火葬の日というのも、空いた日の空いた時間に人払いをして、それで火葬しますっていうふうに聞かされて。何かすごく無残な気がしましたけれどもね。


さっき私の呼びかけに応えてくれたはずの人の、もう火葬の話ですよ。
コロナに侵されてる人間の火葬のことっていうのは、私も前もってタブレットで見たりしたの。どうなるんだろうって。そしたら中国なんかでは、いきなり袋に入れられて24時間以内に火葬っていうふうに書いてあったから。そんなこと、と思ったけれども。

でも、それを実際に先生から聞かされて、「1度その袋に入れられたら、もう誰も袋を開けることはできない」って言われてね。愕然としながら、その話を聞いてた。ペットだって自分の家に持ち帰って、ちゃんとね、お葬式みたいなことするじゃないですか。それなのに、それもできない。だから、コロナの怖さというか、残酷さというか。それを本当に思い知らされた。