5月6日(水)特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』症例3結婚記念日のクルーズ船旅行が… 夫を失った妻が語る1か月半 ①

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤い文字として区別しました。


症例3:結婚記念日のクルーズ船旅行が… 夫を失った妻が語る1か月半

4月4日取材 社会部 山屋智香子

 

集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船して夫婦ともに感染。夫は発症から1か月半で亡くなりました。妻は「夫の死を無駄にしたくない」と感染症特有の怖さと無念さを明かしました。初めて語ったという経験をできるだけ詳細にお伝えするため、インタビューを一部整理した上で紹介します。

 

結婚記念日のお祝いの船旅

症例3(その1)


第1節:結婚記念日のお祝いの船旅

夫婦は70代。結婚記念日のお祝いにクルーズ船に乗船した。2週間かけてアジア各国をめぐる船旅。始まりは穏やかなものだった

乗ったのは1月20日でした。その日はすごくよく晴れていて、本当に快晴。雲ひとつなくて、山下公園がキラキラしていました。もう本当にみんなルンルン。

 

様子が変わったのは1月25日、香港に寄港したころぐらいだったでしょうか。

「ちらほらマスクかけてる人がいるなあ」(コロナ騒動以前の段階:マスクは、予防目的ではなく、呼吸器系感染症を発症している方が使用していた可能性が高いと思われます。それも複数です。)と思いました。

 

ただ「ちょうど春節で、アトリウムという船内の広い空間で獅子舞が披露されて、すごい人数が集まってました」(3密の一つ「密集」)よね。

「目の前でやってくれるから、獅子舞を触ったり」(3密の一つ「密接」)なんかして喜んでいました。

コロナのコの字も全然知らなかったので、この時は。わたしたち

「インフルエンザの予防注射してるし、肺炎球菌ワクチンも打ってるし、万全」

(とても健康意識の高いご夫婦であることが伺われます。平時であれば十分です。残念ながら、ご主人はなくなってしまいました。新型コロナに打ち勝てる免疫力を確保するまでには届かなかったわけです。しかし、証言されている奥様は死を免れました。ですから、予防接種は無駄ではないと考えておいた方が賢明だと思います。コロナウイルスに感染し易い人は、インフルエンザにも感染し易いからです。季節柄、同時に感染する可能性も少なくないのですが、現在のような状況では、十分な裏付けを確保することは困難であるように思われます。)

だよねっていう感じで乗ってましたから。

 

<明日へ続く>