5月2日(土)特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』症例2:高熱や息苦しさ 味覚もなくなる…どこで感染したか分からない①

特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤い文字として区別しました。


症例2:高熱や息苦しさ 味覚もなくなる…どこで感染したか分からない

 

3月27日取材 (高知放送局 山嵜雄大 宗像玄徳)

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。どこで感染したのか心当たりがないという高知市に住む50代の男性の話です。

 

第2症例(その1)

第1節:突如現れた さまざまな症状
男性に症状が出始めたのは2月末、<別の疾患で入院>(入院の理由となった別の疾患の診断名は明らかではありませんが、通常、事故や外傷は疾患とは区別されます。この方には、入院加療を要する程度の何らかの基礎疾患があったことが推測されます。基礎疾患のある方が罹患しやすく、重症化しやすいことが明らかになってきています。⇒戦略1/戦術1:慢性疾患にて入院すべき段階で、玉弊風散を1日2包内服を推奨します。)しているときだった
「まず寒気、それと節々の痛み」(普通感冒、インフルエンザと共通する新型コロナ感染症の初期症状⇒戦略1・2/戦術1・2:玉弊風散に加えて藿香正気散を直ちに開始)が起きました。

「腰と背中の脊髄あたりがちょっとずきずきと痛む」(普通感冒より重い感染症が疑われます。普段から玉弊風散を内服していると重症化の予防になると思います。)ような感覚と、「寒気が全身に、足元から首元ぐらいまで」ですね。

それから「微熱が37度ちょっとぐらい」出ました。明くる日、夕食終わって8時ぐらいから「38度以上の熱」になりまして、日に日に症状が悪化していきまして。3日目には「39度以上の高熱が出て、それが4日間ぐらい続き」(現在の体制であればPCR検査の適応ですね。ただし、感染拡大の防禦の一点張りで、その間の免疫力維持のための心身のケアに対するサポートは全く関心がもたれていないことは人類の大問題だと考えます。もし、この間に、玉弊風散と藿香正気散を内服していれば軽く済んだ可能性があります。)ました。


【お薬を処方していただいて1日3回飲んでました。】(処方内容が気になるところです。)それでも効き目なくて、

「薬飲んだときは37度6分とか38度ちょっとまで下がり」(解熱剤が処方されていた可能性があります)ましたけど、

また「2時間ぐらいたったら、ばあっと39度以上の高熱」(高熱の発熱と解熱を繰り返すことによって、体力の消耗は著しく低下します。短期間であれば発熱反応を強力に抑制しないことが予後の改善には重要であると考えます。50代であるという、この方は、比較的抵抗力が大きいタイプであった可能性があります。抵抗力が乏しければ、たとえ40代以下でも致死的な状況に至る可能性があります。)になりまして。

とにかく「だるさと体の熱さ」ですね。それから吐息の、なんて言ったらいいかな、「息苦しさ」(この段階で肺炎の発症が疑われます。入院中で幸いでした。)ですか。

「呼吸がちょっとしんどい、息が続かない。プールで顔をつけて上げるみたいな感じ」(実感のこもった表現です。片側のみでなく両側に拡大していた可能性があります。多くの肺炎は片側なので、急激に重篤化することは比較的少ないのですが、新型コロナ肺炎の特徴は、短時間のうちに両側の肺炎となることで、急激な呼吸不全を来すことが指摘されています。)で。

とにかく『食べて寝ることがいちばん』(基本的には妥当な判断です!)やと思ったんですけど、「食べることが全くできなく」(新型コロナ感染症では、食欲低下の持続による脱水と栄養障害が問題になります。これが続くと免疫力がさらに低下し、肺炎を難治化させ重篤になっていきます。)なりまして。

「味覚がなくなり、味も無くなった」(嗅覚・味覚の脱失は、新型コロナ感染症の特徴的な症状の一つです。)もんでね。

高熱が出た明くる日の朝ご飯、その病院はパン食なんですけど、「全然食べられない状態」(それでも、この方は、すでに入院中であったことが幸いしました。現段階では、受け入れ先に余裕がないため、とても危険な状態です。)で。パンにクリームとかいろいろあったんですけど、それに牛乳付きで。

パンを全く食べられない、味もないということで、そこで気付きました。お味噌汁を飲んでも全然味がしません。ダシの味も1ミリもしません。

白米の「においなんかも感じません。もう、1ミリもしない」(優れた表現力ですね。嗅覚・味覚の消失が相対的なものではなく、絶対的な激しいものであることを端的に表しています。)です。


それやったら「冷たい水を飲んだほうがずっとおなかも張るし、味がないけど気持ちいい」(これは、良い方法です。しかし、冷水ばかりを摂取するのではなく、間欠的に常温のミネラルウォーターを摂取することによって、消化管のコンディションを維持する必要があります。)ですよね。

うどんのときもありましたけど、「うどんだけやったら無理やり詰め込んで食べ」(この判断も間違いではありません。なるべく咀嚼をしていただくようにすれば、さらに望ましいです。)たり。

『お薬を飲まないといけないんで、どうしても食べとかないかん』と思って、「なんとかして無理やり詰め込みよった」(これができたのは、この方の持ち前の強い意志ばかりでなく、比較的強健な消化管をもっていらしたのではないかと推測できます。逆に言えば、普段消化管機能が低下しているような方は、感染症の悪化を阻止しにくい可能性が高いということになります。)ですね。

 

<明日に続く>